店舗集客・マーケティングメディア「口コミラボ」と口コミサイトを“もっと”売上に変えるサービス「口コミコム 」を運営する株式会社movは、ネットからリアルまで、企業と消費者をつなぐ全チャネルを支えるITアウトソーシングサービスを提供するトランスコスモス株式会社と、店舗DXサービスの領域でパートナーシップを結んでいます。
今回は、movとトランスコスモスの「口コミ活用術」をテーマとした対談の模様を、トランスコスモスが運営するメディア「transplus」より一部口コミラボにて編集の上転載いたします。
ー口コミラボ編集部注ここまでー
商品の購入や飲食店を選ぶ際に、多くの消費者はクチコミやレビューを重要視します。こうした傾向をもとに多くの企業も顧客の声(VOC:Voice of Customer)を店舗改善や自社製品・サービスへ反映させることの重要性について考え始めています。
しかし、取り組みを進めるうえで「どのようにして情報を収集・分析すれば良いのか分からない」「口コミなどを収集することによるメリットや費用対効果を明確にできない」「集めた口コミなどのデータをどのように活用すれば良いのか分からない」といった悩みや課題を抱えている方もいるのではないでしょうか。
今回は、口コミの可視化・分析・店舗情報の一括管理などができるサービス「口コミコム 」を提供する株式会社movから常務取締役 / COOの菊池様をお迎えし、これからのデジタル社会における口コミ活用術についてお話を伺いました。
【対談者】
なぜいま口コミの活用が重要視されるのか
山田:本日は宜しくお願い致します。早速ですが「口コミコム 」で出来ること、そしてなぜいま口コミの活用が重要であると言われているのかを教えていただけますでしょうか。
菊池:口コミコム で出来ることは大きく分けて4つあり、「様々なWebサイトに掲載されている店舗の基本情報を管理する」「口コミの増加を促す」「口コミを収集・分析し顧客からの評価を定量的に可視化する」「分析したデータをMEO(Map Engine Optimization:マップ検索エンジン最適化)へ活用する」というのが主な機能です。
口コミなどのVOCやMEOを活用することの重要性が増している背景としてはスマートフォンの存在が大きく、たとえば気になる店舗の情報などを調べる際、公式サイトよりも口コミサイトやGoogleMAPなど第三者が提供する情報を利用されるケースが非常に多くあります。そのため、企業としては公式サイト以外に掲載されている情報についても把握・精査する必要があり、地図アプリなどに表示されている店舗情報を最適化する必要があります。
また、店舗への入電経路として検索エンジンが電話帳の代替え手段として一般化していること、常に最新の情報に更新される地図アプリがカーナビの代わりとして利用されていることなどからもWeb上の情報を最適化することが集客強化に直結することは明確です。集めた口コミを定量的に可視化し、可視化されたデータから課題を発見し改善することで顧客からの良い評価が得られ、それを見た他の顧客の来店を促し、さらに新たな口コミを獲得するという循環が、認知拡大や顧客に選ばれやすくなる要因になります。
さらに、悪意のある第三者による情報の改竄への対策も怠ることはできません。店舗情報が不正確・不親切なものであれば、ブランドへの信頼喪失や離反に繋がりかねません。こうしたことから、企業は適切で正確な情報をより多くのWeb上のサービスへ提供することが求められます。
「口コミの重要性」を正しく理解し、活用するために必要なこととは
山田:Web上の膨大な情報を収集し、活用するためには相応のITリテラシーも必要だと思いますが、実際にサービスを導入した後のフォローなどはあるのでしょうか?
菊池:もちろん導入後もしっかりサポートしています。パターンはいくつかありますが、基本的には現場の従業員、実際にツールを使用する方のITリテラシーに応じてmovがカスタマイズしており、ツールを使い慣れていない方でも抵抗なく使えるよう、カスタマーサクセスを軸としてサービスを提供しています。
逆にITリテラシーが高くノウハウなどを既に持っている方は、ある程度自走されるのが当たり前となっているため、movからはオペレーションのサポートをする程度に抑え、口コミを効率的に活用するにはどうすれば良いかなどの施策を一緒に考えます。ツールを導入していただいて終わりにするのではなく、ツールをどのように活用していくかまでサポートしています。
山田:マーケット全体を見て、店舗の従業員などへ「口コミの重要性」は浸透していると感じられますか?
菊池:現状、口コミの重要性について、現場への認知度や浸透力はまだまだ足りていないというのが正直な印象です。「口コミの重要性」とは、施設の集客力をベースに口コミを活用することで更に集客力を強化させることであると思っています。
これまでは有料の広告を使用して集客に結びつけるのが当たり前になっていましたが、これからはWeb上にある膨大な情報のなかから顧客に選ばれる店舗になるための取り組みを強化するのが当たり前になっていきます。そのため、クライアント企業様には有料広告などの「掛け捨ての施策」のみではなく、店舗の集客力を高めるための「蓄積型の施策」も進めていきましょうと提案しています。
山田:たしかに広告で見る情報よりも、一般のユーザーによる口コミの情報のほうが信頼度は高いですよね。
前田:マーケティングの観点では、「顧客接点を増やす」ことと、「商品の購入などコンバージョンに向けて行動してもらう」ことについては口コミの活用は必須であると考えています。口コミは顧客の行動決定における重要な指標になっていますが、これが世間一般に浸透してきているという環境の変化に追い付けていない企業も多く、口コミの重要性にいち早く気付けるかが今後のマーケティング活動のカギを握ります。
菊池:地図アプリにできないことは最後の一押しです。目的地を選んで、そこまでの道のりを教えてもらうことまでは地図アプリで達成できますが、実際にコンバージョンに繋げるための最後のワンプッシュをするような施策を進められれば、非常に面白いのではないかなと思います。
山田:悪い口コミや低評価をつけられてしまった原因について、店舗や現場ではすぐに気付けないことも多いと思いますが、これらを改善する際にmov社ではどのようなサポートをしているのでしょうか?
菊池:movが直接、改善点に対してアクションを起こすということは難しいため、例えば口コミやアンケートの結果など、VOCを店舗改善や他店舗との差別化をはかるために、どのように活かしていくかを現場に落とし込むためのワークフローを本部の方と一緒に作成するなどの支援をします。VOCを改善点として正しく反映させることができれば、当然ながら自然と良い口コミも増えていきますし、顧客に選ばれるための集客力の強化にも繋がります。
mov社とトランスコスモスが実現するVOCを活用したDX推進
山田:マーケティング活動やCXの向上を成功させるためには、口コミコム で収集したVOCなどを最大限活用すること、そしてよりスケールアップさせることが重要かと思います。その際、パートナー企業と協力して施策を進める場面も多くあるかと思いますが、トランスコスモスに期待することがあれば教えてください。
菊池:口コミコム は「口コミを収集・分析し可視化するためのツール」であり、クライアント企業様が収集したデータに対しどのように向き合っていけば良いのかというスタンスまではフォローしきれない部分があると思っています。そのため、VOCに対しどのようなスタンスで向き合うべきか、VOCを活用することでどういった効果に繋がるのか、理解を深めるためのフォローをしていただけることに期待しています。
そういった意味では、トランスコスモスは多くのクライアント企業様とディスカッションし、業界・業種別の様々な事例をもとにした知見・ノウハウを活用できるといった強みがあるため、口コミコム を導入されたクライアント企業様の課題に沿った手厚いサポートをしていただけると思っています。
前田:口コミコム はサービスの性質上Web検索との相性が非常に良いので、顧客接点を広げるためにSEOを強化するなど、口コミを閲覧する前段階の部分を強化するサービスと組み合わせることで真価を発揮します。そのため、VOCを活用しCXを高めるための取り組みを進めているトランスコスモスのソリューションとの相性はとても良いですね。
山田: SNS上の声を収集・分析するためのツールを様々な企業が提供していますが、口コミコム ならではの強みを教えてください。
菊池:この点を考えるうえでポイントになるのは「MEO」と「ソーシャルリスニング」ですが、MEOについては連携できるサービスやプラットフォームが豊富という点が強みです。例えば、複数の口コミサイトから情報を収集するにあたり、100個ある口コミのなかから実際に取得できたのが50個だけだった場合、取得できなかった残りの50個は無視しても良いのかというと、そうではありませんよね。そのため、できるだけ多くの情報を正確に収集し業務に活用するためにも、連携できるサービスやプラットフォームが多いというのはとてもシンプルですが非常に重要なポイントです。
ソーシャルリスニングについてはmovがもともとデジタルマーケティングに関するサービスを取り扱っていたこともあり、数字にコミットし、カスタマーサクセスをサービスの一環としてシナリオを構築することができるという点が強みです。
ソーシャルリスニングはあくまでも調査でしかないため、SNS上の声を見るだけで終わらせてしまうのではなく、調査結果を分析し、しっかりと施策に落とし込むこと、口コミなどの情報を定量化しKPIを達成するためにどのように活用できるのかという視点をもとにサポートすることができるのはmovならではです。
山田:その考え方はとても重要ですね。デジタルマーケティングの世界を見ていると、「顧客の声を可視化します!」というツールは多くありますし、ツールを使用しても「なるほど、こんな声があるのか」と、ただ見るだけで満足してしまうケースがとても多いですよね。なので、どんな施策を打ち出し、KPIを達成するためにどんなことをする必要があるのか、というところまで深掘りし、議論を進めることができるのは素晴らしいですね。
前田:SEOに本格的に取り組むにあたり、事前準備としてコンサルティングを受けるのは当たり前だという認識を持たれている方は多いのですが、MEOになるとコンサルティングよりもツールの性能を重視したり、ツールでできることの範囲のみで施策を進めようとする傾向が未だ強く、トランスコスモスではしっかりとコンサルティングを含めたサポートをさせていただくようなサービスの提供を準備しています。
例えば、とある商品に対する口コミであれば1つのものに対する意見として集約しやすいのですが、それぞれの店舗に対する口コミとなると店舗ごとに全く異なった口コミが集まるため、口コミを集約する手間や時間がかかる、各店舗が自分たちの評価がどうなっているのかが把握しづらく、口コミが改善に結び付きにくいという問題があります。
こうした問題に対し、良い口コミが集まる店舗とそうでない店舗のデータを定量的に分析し、本部にレポーティングすることで、各店舗のスコアから課題のある店舗が発見しやすくなります。また、各店舗責任者やエリアマネジャーなどが自店舗の評価がどうなっているのかを把握することで、ブランド全体の評価とCX向上のサイクルを作り出すことが可能になります。カスタマーサクセスの領域についてもMEOのコンサルティングを提供し、それに更なる付加価値としてSEOや広告などをあわせたトータルコーディネートを提供していきます。
山田: MEOへの取り組みについては店舗の協力があってこそ、それが成功への近道になるのは間違いないですね。さらに分かりやすく現場の従業員たちに店舗の状況を伝えるために、視覚的に分かりやすくするのも良いかもしれません。
たとえば、簡易図を作成して、こんな手順で店舗の改善に取り組むことで集客力や良い口コミの増加に繋がりますという全体のフローが見えるようになっていれば耳で説明を聞くだけよりも理解度は圧倒的に高まるでしょうし、こういった考え方が多くの店舗で広まって、今以上にスタンダードなもの、当たり前のものとして浸透すれば、そこから次にやるべき施策が見えてくるといった好循環も作り出せるのではないかと思います。
菊池:集客力の強化についてはmovの強みの1つであるインバウンドの取り組み、つまり外国人観光客をいかに取り込むかということも大事です。訪日した外国人が頼りにする地図アプリ上で日本語以外の端末環境で自店舗がどのように掲載されているのかというのは、実は見落としがちなポイントだったりします。
これは日本人と外国人どちらにも言えることですが、ディナーをどこで食べようかという計画は事前に立てることが多いかと思いますが、ふとランチやカフェに立ち寄りたいと思ったとき、ほとんどの人が「近くにどんな店舗があるのか」という検索の仕方をします。そのとき、しっかりマップ上に店舗情報が表示されるのかが、他店舗との差別化をはかるうえで非常に重要なポイントになりますし、良い体験をした人がその人の言語で口コミを投稿することで、またそれを見た人が来てくれるといった好循環にも繋がります。
外国人観光客に向けた施策については有料広告を掲載するだけなど、掛け捨て型の施策のみを行う企業は多く、費用対効果が明確にしにくいといった悩みを持たれているケースも多いため、今のうちからWeb上でのインバウンドに関する取り組みを進めておくことを強くおすすめします。
山田:最後に、口コミの活用やMEOが注目を集めていることについて、今後さらにどうなっていくと思われますか?
菊池:大手グローバル企業が地図アプリなどを活用してMEOの領域に注力しているというのは周知の事実であると思いますが、今後はさらにこの流れに沿ったサービス等が出てくるのではないかと思います。VOCを蓄積し活用することは事業者側・顧客側それぞれに多くのメリットがあるため、今後さらに伸びてくる分野であることは間違いありません。
山田:その通りですね。トランスコスモスとしてもデジタルマーケティングとコンタクトセンター(コールセンター)事業においてユニーク性を出したいと考えたときに、根幹となる非常に重要な資産はやはりVOCですし、「トランスコスモスDX」というサービスモデルを作成するときの起点となったのもVOCです。
店舗やコンタクトセンターに限らず、多くの業種・業界でVOCを活用した取り組みの重要性をどのようにして広く認知させていくかといった取り組みを通じて、この分野の発展に貢献していけたらと思います。
本日はありがとうございました。
転載元記事:https://www.trans-plus.jp/blog/service/202207_kutikomicom