外食チェーン約半数が値上げ、原材料・人件費等高騰で/カカクコムなど3社 DX推進提携【飲食業界動向まとめ 2022年7月】

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2022年7月の飲食業界では、非接触のサービスをさらに便利にするシステムや、新型コロナによる人手不足を解消する取り組みについてのニュースが多くみられました。

また原材料の価格高騰を受け、値上げに踏み切る企業が増えているようです。

本記事では7月の飲食業界のニュースや消費者の動向、データについて紹介します。

新規感染者数急増、どうなる飲食店

新型コロナウイルスの感染数が7月に入り、増加しました。「第7波」とも呼ばれている現在の感染者においては、いくつかの自治体でも過去最多の感染者数を記録しています。

しかし、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置など、これまで実施していた感染症対策は実施されなかったほか、時短要請等の施策も実施されておらず、感染症対策や新型コロナウイルスに対する考え方は次第に変わってきています。

一方で、感染者の増加に伴い外出や外食を控える人も少なからずいる中で、客足の減少への懸念や宴会需要の減少が心配されています。また、飲食店においては営業に関する制限がない反面、要請などに付随した協力金や補助金なども支給されません。

そのため7月28日に行われた全国知事会では、飲食店への時短要請や協力金の支給など現在の対策の改善を求める声が上がりました。政府や地方自治体による今後の対応に注目が集まっています。

飲食業界主要ニュース

7月の飲食業界における主要なニュースを紹介します。SNSを通じた飲食店の問題や、世相を反映した新しいサービスの提供など幅広いニュースがありました。

JCB、飲食店集客支援サービス提供へ

7月20日、株式会社ジェーシービーでは、株式会社Bespoと共同で、飲食店の集客を支援する「JCB飲食店集客応援パッケージ」を提供することを発表しました。

TABLE REQUEST:JCB
▲TABLE REQUEST:JCB

9月1日よりサービスを開始する予定で、WEB予約台帳サービスInstagramアカウントからの予約受付サービスを提供するとのことです。

これにより飲食店では予約管理業務を効率化できるほか、Instagramを活用したセミナーを実施し、フォロワーや集客の増加が見込めることをアピールしています。

カカクコムなど3社、DX推進で提携

食べログを運営する株式会社カカクコムは、株式会社デジタルガレージ、東芝テック株式会社との業務提携を発表しました。

飲食業界等に向けたDX推進合意と3社の機能:デジタルガレージ
▲飲食業界等に向けたDX推進合意と3社の機能:デジタルガレージ

この提携で、カカクコムが運営する「食べログオーダー」を戦略的に構築していくことになります。

消費者の購買意識や購買行動が多様化する中で、デジタルテクノロジーの導入や活用が必要不可欠と言えます。3社でノウハウを連携させ、DX推進という側面から飲食・小売業界を支援していく方針です。

やよい軒、モバイルオーダーを全店に導入

定食レストランやよい軒」を展開する株式会社プレナスでは、7月31日までに全国で展開する336店舗モバイルオーダーシステムを導入することを発表しました。

「やよい軒」のモバイルオーダー7月末までに全店導入へ:やよい軒
▲「やよい軒」のモバイルオーダー7月末までに全店導入へ:やよい軒

やよい軒では2021年4月よりテイクアウトメニューである「おうち定食」を提供しており、モバイルオーダーを利用することで待ち時間なく注文を受け取れます。

またモバイルオーダーでは7ブランドのキャッシュレス決済にも対応しており、利便性の向上が期待されます。

モスバーガー、脱プラでコメ原料のスプーン導入

モスバーガー」を展開する株式会社モスフードサービスでは、8月1日よりバイオマスプラスチック「ライスレジン」を使用したカトラリーの提供を開始します。

ライスレジンには、国産非食用米を25%配合しており、首都圏、関西圏を皮切りに10月より全国に導入される予定です。

モスバーガーはこれまでにも、顧客に声掛けを実施しプラスチックカトラリーを40%削減したほか、紙製カトラリーの使用実験をしたりと、様々な施策を実施してきました。

ハイデイ日高、中途採用者に手当50万円

日高屋」を展開するハイデイ日高では、人材不足解消を目的に中途採用者に50万円を分割支給することを発表しました。

新型コロナウイルスの影響で遠のいていた客足が戻ってきている一方で、外国籍アルバイト減少により従業員が不足して、営業時間が確保できないなど、人材不足が課題のひとつとなっています。

また今回の取り組みは人材確保以外にも、深夜営業が減ることで給与が減少することのへ対応でもあるようです。

スタッフに投げ銭?新たな取り組み

東京や横浜でステーキチェーン「ビーフキッチンスタンド」を展開する株式会社奴ダイニングでは、店舗で働くスタッフにチップを渡せる制度を開始することを発表しました。

推しエール:奴ダイニング
▲推しエール:奴ダイニング

本制度はID-POSの「ダイニー」の「推しエール機能」を活用したもので、100〜1000円のチップを送ることができます。また支払われたチップはすべてスタッフの給料として支給され、チップを送った側はその金額に相当するクーポンを取得できるものです。

「推しエール」導入により、飲食店で働く価値向上やスタッフの働く意欲が向上することに期待が高まります。

大阪王将、衛生管理に批判集まる

中華チェーンである「大阪王将」のフランチャイズ店、仙台中田店の元従業員が店内の衛生環境についてTwitterで公開しました。元従業員は7月24日に厨房の衛生環境を写真付きで投稿し、SNS上で非難する声が上がっています。

店舗がある仙台市では、翌25日に立ち入り検査を実施し、食品衛生法に基づき清掃などについて指導したことを発表しました。

スシロー、生ビール半額キャンペーンをめぐり問題に

回転ずしチェーンの「スシロー」では7月13日から28日まで生ビール半額のキャンペーンを実施していました。

このキャンペーンにおいて、キャンペーン開始前に店内に広告を掲示したほか、期間中にビールが売り切れキャンペーンを利用できない事態が発生し問題になっています。

スシローでは6月にも、消費者庁から景品表示法違反を指摘・再発防止を求める措置命令を出されており、信頼回復への取り組みが急がれます。

飲食業界注目調査&データ

7月に発表された、飲食業界の調査やデータについて紹介します。

7月に入り新型コロナウイルスの感染者が増加している影響や原材料の値上げを反映した結果となりました。

外食チェーンの約半数が値上げ、原材料・人件費等高騰で

東京商工リサーチが大手外食業者120社に対し実施した調査により、2022年1月以降53社でメニューの値上げを実施したことが明らかになりました。

53社66ブランドの中でも、ファーストフードが11ブランドと最多で、そこに中華9ブランド、コーヒー店とステーキ、焼肉チェーンがそれぞれ8ブランドと続きます。

53社66ブランドで値上げ・価格改定(業態別):東京商工リサーチ
▲53社66ブランドで値上げ・価格改定(業態別):東京商工リサーチ

値上げ幅に関しては、21ブランドで5%以上10%未満の値上げが最多となった一方で、20%以上値上げしたブランドもあったといいます。値上げの背景に原材料の高騰を挙げるブランドが最も多く、55ブランドとなったほか、物流や人件費の高騰を挙げたブランドもありました。

たとえば「ガスト」や「バーミヤン」を展開するファミリーレストラン大手のすかいらーくホールディングスでは、商品の半数において平均で5%の値上げを実施したことを発表しました。同時に地域別価格を導入することも発表しており、地域によって値上げ幅を抑える仕組みも導入したということです。

ファミレスは回復傾向、居酒屋は依然苦戦

JCBが6月のクレジットカードの利用状況から、購買動向を分析しその結果を発表しました。

分析の結果、居酒屋は2016年~2018年の同月と比較し24.6%減と大きく減少している一方で、ファミレスは4.2%減と回復傾向にありました。夜から深夜の需要が回復していないことが原因だとみられています。

7月に入り新型コロナウイルスの感染者が増加している中、二極化傾向はさらに顕著になっていくという見方もあります。

日高屋」を運営するハイデイ日高では、税抜き利益が前年比6倍となるなど大きく回復しました。深夜帯の客足は回復しているとはいいがたいものの、ランチタイムの客足の増加やタッチパネルによる注文で客単価の上昇が好転に影響しているといえます。

このように業績が劇的に改善している店舗もありますが、一方で閉店に追い込まれる店舗もあり、二極化の傾向が見受けられます。

「休日」「家族客」の客足好調/外食産業市場動向調査 6月/日本フードサービス協会

飲食店では、営業時間が戻りつつある中で客足が回復しています。昨年6月に都市圏で緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が取られていたことで、前年同月比は軒並み増加しました。

実際にファーストフード店では108.0%、ファミリーレストランでは131.3%、ディナーレストランでは122.9%、パブ・居酒屋では335.9%とそれぞれ増加しました。パブ・居酒屋は大幅に増加していますが、19年比では58.3%と約半分となっており、完全回復とはいいがたい状況が続いています。

今後は会社の宴会などの法人需要など、夜間の客足を回復させることが飲食業界の大きな課題といえそうです。

外食意欲の回復鈍化

2022年7月に博報堂生活総合研究所が実施した「新型コロナウイルスに関する生活者調査」において、外食意欲の回復が鈍化していることが明らかになりました。

調査では感染症により生活が最も不自由な状態を0点として点数化しており、7月は6月と比べ0.9ポイント悪化の62.6点という結果になりました。前年同月と比較すると6.8ポイント改善しているものの、7月に入り新型コロナウイルス感染者が増加していることが背景にあるとみられています。

さらに「外食を控えている」という質問に対して前月比0.3 ポイント改善の52.7%と回復傾向であることには変わりないものの、回復幅は前回の4.2ポイントから大きく減少しました。

来月の消費予報【博報堂生活総研】

博報堂生活総合研究所が実施した調査により、8月の消費意欲指数は48.6点と前月と比較して0.1%プラス、前年同月と比較して0.2%マイナスということが明らかになりました。

8月の消費意欲指数:博報堂生活総研
▲8月の消費意欲指数:博報堂生活総研

8月は夏休みやお盆のシーズンとなり1年の中でも消費意欲が大きくなる月ではあるものの、7月とあまり変わらず、前年と比較して減少という結果になっています。

一方でレジャーシーズンということで、レジャーにおいて消費意欲がプラスになると予測されました。ほかにも暑さ対策に食べやすい食料品の購入や値上げへの備えという背景から食料や飲料もプラスになると予測されています。



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<参照>

毎日新聞:焼き肉店「協力金あれば…」 第7波、行動制限なくても遠のく客足
朝日新聞デジタル:「飲食店の時短でいいのか」 知事会、感染拡大で国に新方針求める
ITmedia ビジネスオンライン:「大阪王将」のナメクジ騒動 どうなる?:問われる姿勢
J-CAST ニュース:スシロー「生ビール半額」企画、SNSに「注文できなかった」報告複数 品切れに客落胆、会社は実態調査へ:
TABLE REQUEST:JCB飲食店集客応援パッケージ
デジタルガレージ:デジタルガレージ、カカクコムおよび東芝テックの3社で、飲食・小売業界のDX推進に向けた基本合意書を締結
プレナス:「やよい軒」のモバイルオーダー7月末までに全店導入へ 累計370万食を発売『おうち定食』ネット注文 待たずに店頭受取
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日本経済新聞:ハイデイ日高の3~5月、税引き利益6倍 既存店が好調
日本フードサービス協会:外食産業市場動向調査 2022年6月度 結果報告
博報堂生活総合研究所:「2022年7月 新型コロナウイルスに関する生活者調査」

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    この記事の筆者

    口コミラボ編集部

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