アンケートは店舗利用客や商品のユーザーなど、効率的に消費者の意見を集められる手法の1つです。
アンケートを実施し、集まった回答から必要なデータを集計し正しく分析することで、商品開発や問題解決、店舗での商品配置などの新しいアプローチを経営や運営に活かせます。
本記事では、アンケートを実施するために必要な考え方やプロセス、集計方法や分析方法などについて解説します。
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アンケートを実施する前に確認すべきポイント
アンケートを実施しようとした場合、事前にどのターゲットにどういう内容と目的でアンケートを行うのかを明確にしておくことが大切です。
ここでは、目的を明確化する意味やターゲットの属性、適切な設問の作り方などについて解説します。
1. アンケートを実施する目的を明確にする
実際にアンケートを実施するその前には、「このアンケートを何のために行うのか」目的を明確にしておくことが重要です。目的を定めずになんとなくアンケートの形式や設問項目を決めてしまうと、無駄な設問項目や不要な選択肢が多くなり、本当に必要だったデータが揃わないといった事態になることもあります。
たとえば「商品に対して男女別の世代間での感想」をアンケートの目的とした場合、アンケートの設問項目には「性別」と「年齢」項目が必須となります。
不要で多い設問や、適切ではない設問の順番など、答える側にも分析する側にも不親切なアンケートとならないよう、実施する前にアンケートの目的を明確にしましょう。
2. ターゲットを選定する
アンケートの目的が明確化されたら、そこからアンケートに回答してほしいターゲットを選定します。ターゲットは、以下のような回答者の「属性」と、商品やサービスについての「履歴」を組みわせて検討するのが一般的です。
<属性>
- 地域(居住地や街頭アンケートなどを実施する地域)
- 性別
- 年齢
- 職業
- 個人または世帯 など
- 現在利用している
- 過去に利用していた
- 利用したいと考えている
- 初めて知った など
適切なターゲットを選定できたら、どれくらいの人数に対してアンケートを行うのかを検討しましょう。
人数が少なすぎたり属性が偏りすぎたりすると、有意性のあるアンケート結果が得られない場合があります。
また、アンケートの調査方法が、数値データを収集する「定量調査」か、対象者の意見や行動などを調査する「定性調査」かによっても、アンケートの分析に必要となる人数は違ってくるため、アンケートの目的と調査方法から適切な人数を設定します。
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3. 設問を決定する
アンケートの目的、ターゲットと人数、調査方法などが決まったら、求めたいデータが得られるように設問を作成します。このアンケートからどういった内容が知りたいのかが明確になっていれば、知りたい情報につながる適切な設問が設定しやすくなります。
たとえば「飲食店の利用者に対してメニューの満足度や感想」を聞くことが目的のアンケートなら、「利用した店舗」「来店時間」「注文した料理」「味の感想」「味に対する値段の満足度」などが設問として考えられるでしょう。
また、この設問を設定する際には、アンケート結果からデータの集計と分析をすることを意識しておくこと、後の集計作業や分析がスムーズに行えます。
設問項目の内容に過不足がないか、集計と分析がしやすいものになっているのかを確認して設問を決定します。
4. 設問内容が適切かどうかを確認する
アンケートの回答者は、わざわざ手間をかけてアンケートに回答してくれていますから、面倒だと感じさせてしまうと離脱してしまう可能性があります。例えば、設問文に専門用語を使っていたり意図がわかりにくい設問文だったりすると、回答者に対して不親切なため最後まで回答してもらえなくなります。回答者目線で答えやすい設問内容や流れを意識することが大切です。
また、選択肢を選ぶ設問では、似たような意味の選択肢が複数あれば回答者はどれを選ぶか迷ってしまったり、選択肢が多すぎると探すのに時間がかかってしまったりするので、選択肢はわかりやすくシンプルになるよう意識して設定します。
時系列に沿った設問の順番や、冒頭に選択式の設問を配置して記述式の設問は最後の方にまとめるといった流れが工夫されていると、答えやすいアンケートとなります。
さらに、アンケートの実施方法の検討も重要です。比較的簡単に母数を集めたいという場合はインターネット調査が有効です。
アンケートの集計方法
アンケートを実施したら、その後は「集計」と「分析」が必要となります。この2つは混同されやすい言葉ですが、それぞれ別の意味を持ちます。ここでは、「集計」の意味や種類について解説します。「集計」とは、数値を集めて計算や合計をすること、数値を分かりやすく可視化することをいいます。
1. 単純集計
「単純集計」とは集計の中でもっともシンプルな方法で、回答ごとの数を合計してその割合を示します。たとえば、「この商品を知っていますか」という設問で「はい」と「いいえ」の選択肢で100人に回答してもらった場合、回答した選択肢をそれぞれ合算して「はい」と回答した人は30人、「いいえ」と回答した人は70人、というように集計したものが単純集計となります。
この集計方法は評価や印象など全体的な傾向を把握したい場合に有効です。
2. クロス集計
「クロス集計」とは、回答者の属性や他の回答など、2つ以上の条件を組み合わせて集計する方法を指します。たとえば、前述の「この商品を知っていますか」という設問で「はい」と回答した30人のうち、女性は6人(20%)で男性は24人(80%)で男性の認知度が高い、というように集計したものがクロス集計です。
先程の例のように回答と属性を組み合わせたものや、回答と回答で組み合わせることもでき、さまざまな角度から詳細な分析が可能となります。
3. 自由記述集計
「自由記述集計」とは、アンケートの回答者が自由に記述した回答を集計する方法です。自由記述の回答形式が「数値」と「文章」の2通りあり、集計方法はそれぞれで違います。
- 数値で回答
「1か月にかかる食費」について自由記述で金額を回答してもらった場合、その回答を集計して最小値や最大値、平均値、中央値、標準偏差(標準的な平均値との差)などの値を求めます。
これらを集計することで、全体と各回答との比較データを読み取ることやデータの読み間違えを防ぐこともできます。
もし、回答された数値のばらつきが激しく適切な平均値が出せない場合は、中央値を参考にします。
- 文章で回答
文章で回答している場合は、まず回答内容の一覧を作成します。
回答内容は回答者の直接的な意見が書かれているので、1つひとつそのまま見ることができれば一番ですが、全体の傾向や効率的な内容の把握がしたい場合には、回答内容に対してアフターコーティング(選択肢化して回答内容をカテゴライズする)やテキストマイニング(キーワードや文節で絞り込んで文字を解析する)を実施して集計します。
文章に含まれるキーワードで回答を抽出したり回答内容の似たものを集めたり、回答内容によく出てくる言葉を検出するなどの集計方法があります。
ただし、こうした集計では細かな情報を見落としてしまう可能性もあるため、注意が必要です。
アンケートの分析方法
「分析」とは、物事を分解してそれを成立させている要素や成分、構成などをはっきりさせることをいいます。
そのため、アンケートなどの集計も分析の一部といえるでしょう。
ここでは、さまざまなデータ分析の手法について解説します。
1. クラスター分析
「クラスター分析」とは、集計したデータを類似したクラスター(群れ、集団)に振り分けて、要因を分析する方法です。
アンケートの自由記述欄から使用頻度の高い言葉を抽出してクラスタリング(似た要素を持つもの同士でグループ分け)することで、性別や職業などの属性分類とは違う分類が可能となります。
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2. アソシエーション分析
「アソシエーション分析」とは、「こう仮定すればこうなるだろう」というデータの関連性を見つけ出す分析手法です。たとえば、スーパーや小売店などの膨大な購買データから、「Aを買ったらBも一緒に買う人」をアソシエーション分析を使って求めると、同時購入されている商品の傾向を調べることができるため、商品の配置や品揃えなどの戦略に活かせます。
このように、消費者の購買行動から関連性やパターンを引き出し、一見関係がなさそうに見えるところに新しい可能性を見つけ出すのがアソシエーション分析です。
「Aを買ったらBも一緒に買う」というような関連性が高いものの組み合わせや相関関係のことを「アソシエーションルール」といいます。
アソシエーションルールがあるかどうかは、支持度、信頼度、リフト値の3つの指標を確認しながら導きます。
3. 主成分分析
「主成分分析」とは、膨大な数のデータをより少ない指標や合成した指標に要約して分析する手法です。1か月の食費と家計の支出額という2つのデータを、エンゲル係数(家計の支出額に占める食費の割合)という1つの指標にまとめたりするイメージです。
最も広範囲に分散しているのが第一主成分、次に幅広く分散しているのが第二主成分・・・となります。
1つひとつのデータを見るには数が膨大な場合に主成分分析を行うことでデータ全体の傾向を簡略的に分析できるため、購買分析やブランディングなどに活用されます。
一方で、データの詳細部分については考慮されないというデメリットもあり、注意が必要です。
4.決定木分析
「決定木分析」とは、ツリー状の構造を用いて「もし〜だったら」と仮定を繰り返して、想定する段階を可視化させていく分析方法です。たとえば、ジョギングについてのアンケートなら、もし雨の日だったらジョギングを「する」か「しない」か、平日や休日の場合に「する」か「しない」かという大量のデータがあると仮定します。
データを平日や天気などの要素で分割し、「する」「しない」で分岐させることで、「天気や平日休日に関係なくジョギングする」「雨でなければ休日にだけジョギングする」「天気に関係なく休日にジョギングする」といったように結果をわかりやすく表せます。
見込み客やロイヤリティの高い消費者の属性を把握するのによく使われます。
アンケート分析を実施する際の注意点
アンケートを集計したらそのデータを分析して、経営や運営に活かせるアプローチを見つけ出します。ここでは、分析の正しい流れやデータの有意性の考え方などを解説します。
1. 分析の流れは全体から細部へ
アンケートの回答を集計したら、分析は必ず全体から細部の順番で行っていきます。はじめからデータの細部を見てしまうと、全体の傾向を無視したデータの読み方や分析をしてしまう恐れがあるため、大まかに全体を把握してから細部に目を向けることが大切です。
まずは、単純集計からデータを読み分け、その後にクロス集計や属性での分析へと進みます。
2. 回答者数などの有意性を考慮する
実施したアンケートの集計結果が統計的に信頼できるかどうか、その有意性を確認します。
確認するポイントとして「アンケートの回答数」と「回答者の代表性」が挙げられます。
アンケートへの回答数が少な過ぎれば回答が大きく偏って数値が参考にならないこともあります。
また、アンケートのターゲットとしている層の属性や構成と、実際のアンケート回答者が一致していなければ、信頼できるデータとはなりません。
たとえば、イベント参加者へのアンケートを実施する場合、そのイベントでの男女比が3:7なら、アンケート回答者の男女比も3:7に近似しているほど有意性のあるデータといえます。
3. 論理性のある結論を導く
アンケートの分析とデータの優位性が確認できたら、それらを読み解き、問題解決や新しいアプローチとなるような結論を論理的に導き出す事が重要です。
ここでポイントとなるのが「因果関係」と「相関関係」の違いです。
「因果関係」とは、2つの要素が原因と結果の関係になっているものをいいます。
それに対して「相関関係」とは、起こった2つの出来事の間にはっきりとした因果関係がない場合をいいます。
アンケートの結果を分析した中で関連性のある要素を見つけたなら、それがどういった関係なのか、根拠となるデータと結びついているかなどを確かめて結論を出します。
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ここまで解説してきたように、アンケートを実施する前、実施後の集計や分析にはさまざまなプロセスや手法があります。これらを自分たちの手で集計や分析を行おうとすると、時間がかかったり自由記述などの回答で見落としが発生してしまったりする可能性は否定できません。
そこで、効率的に集計や分析が行えるツールの導入をおすすめします。
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