8月は緊急事態宣言が延長されるなど、引き続き飲食店の多くが引き続き営業時間の短縮や休業を余儀なくされました。酒類を主要な商品としていた店舗では特に厳しい状況が続いています。
一方、テイクアウトやデリバリーを強みにする飲食店には業績回復の兆しが見えてきました。
本記事では、8月の飲食業界関連ニュースや動向を紹介します。
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8月の飲食業界主要ニュース
緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の発令により、特に飲食店業界にとって厳しい状況が続いています。
ここでは、8月の飲食業界に関するニュースやデータについて解説します。
緊急事態宣言/まん延防止等重点措置
すでに緊急事態宣言が出されていた沖縄、東京に加え、8月には19都道府県にも宣言が発令されました。まん延防止重点措置も12県で出されました。
緊急事態宣言とまん延防止重点措置は9月12日までの予定でしたが、首都圏や都市部での感染拡大が収まらず、19都道府県で9月30日まで延長されることが発表されました。
一方、今後ワクチン接種が進む中で11月ごろをめどに、自治体から感染対策の認証を受けた飲食店は、酒類の提供や営業時間の延長を可能とする緩和策の方針案が示される見通しです。
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東京都の感染拡大防止協力金、9月も給付
東京都では、7月12日から8月31日の緊急事態措置期間中に営業時間の短縮や休業の要請を受け入れた飲食店に対して、協力金を支給することを発表しました。
中小事業者には1店舗当たり204万円から1,020万円が支給される予定で、9月15日から受付が始まります。大企業は1店舗当たり1,020万円を上限に支給されます。
また、9月1日から9月30日までの全期間に都の要請に全面協力する中小事業者に対して、協力金の早期支給の申請も9月13日から始まります。
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飲食大手の各社動向
ファミリーレストラン大手5社が公表した7月月次営業情報によると、いずれも既存店売上高が前年同月に比べ減少または微増という結果でした。
すかいらーく0.3%増、サイゼリヤ1.1%増、ジョイフル4.7%増、デニーズ11.4%減、ロイヤルホスト2.8%減と前月に引き続き不調です。
客単価を見ると、すかいらーく1.0%増、サイゼリヤ1.5%減、デニーズ3.3%減、ジョイフル0.2%減、ロイヤルホスト2.9%増でした。
各社とも再来店特典キャンペーンを実施したり、テイクアウトに力を入れたり、積極的に海外進出を図ったりと、売上アップのための施策を実施しています。
<参照>
月次業績 | IRライブラリー | 株主・投資家の皆様 | すかいらーくグループ
IRニュース|投資家の皆様へ|サイゼリヤ
月次データ | IR情報 | ファミリーレストラン ジョイフル [Joyfull]
月次売上|財務・業績|IR情報|ロイヤルホールディングス株式会社
月次営業情報 | 株主・投資家(IR) | セブン&アイ・ホールディングス
すかいらーくHD(ガスト・しゃぶ葉)/アメリカ進出
ガストでは、会計額に応じてハズレなしのくじを引いてもらい、当たった食事券や人気メニューの割引券を次回来店時に使用してもらうキャンペーンを実施しています。このキャンペーンで消費者の再来店に繋げる戦略です。
しゃぶ葉は、すかいらーくホールディングスとして初めて今秋米国に出店することが発表されました。
日本は直近のGDP(国内総生産)成長率(2021年4-6月期)は前期比0.5%、年率1.9%増と伸び悩んでいます。ワクチン接種回数が日本より先行している米国での飲食ビジネスの可能性を探ります。
<参照>
外食、接種先行国に活路 すかいらーくは米に初出店:日本経済新聞
2021年4-6月期GDP速報(2次速報値):内閣府
ロイヤルホールディングス(てんや)/テイクアウトメニュー強化
天丼てんやではテイクアウト事業をさらに強化すべく、天丼の一部メニューをワンコインで販売するキャンペーンを定期的に実施しています。
昨年まで業績がマイナス成長であったものの、今春から業績を回復しており既存店売上の前年比は2021年4月から8月までいずれもプラス成長を記録しました。
トリドールHD(丸亀製麺)/うどん弁当がヒット
丸亀製麺を運営するトリドールホールディングスは、2021年4-6月期の営業利益が47億6,900万円と黒字に転換しました。前年同期35億5,000万円の赤字だったことから見ても、今期の好調さがうかがえます。
「うどん弁当」を販売し、テイクアウト需要に対応した戦略が功を奏したといえます。
回転寿司
回転寿司各社は、気軽に持ち帰れるテイクアウト専門店を構えたり、回転レーンをレンタルしたりするなど、コロナ禍でも売上を確保するために工夫を凝らしています。
スシロー/テイクアウト専門店「スシローTo Go」
スシローでは、テイクアウト専門店「スシローTo Go」を次々オープンしています。8月26日には、都内の大森駅前と十条銀座商店街に2店舗を同時にオープンしました。
気軽に回転寿司の味を自宅でも楽しめるように、住宅街からアクセスの良い場所に出店する戦略を取っています。
「スシロー To Go」は、これまでに関東・関西・東海エリアに出店しており、今回オープンする2店舗を加えると合計13店舗となります。
<参照>
スシローのテイクアウト専門店『スシロー To Go』が大森駅前と十条銀座商店街に都内2店舗同時オープン!|株式会社FOOD & LIFE COMPANIESのプレスリリース
かっぱ寿司/回転レーンを自宅にレンタル
かっぱ寿司では、店内で食べているような体験を自宅でもできるよう回転レーンをレンタルするイベントを実施しています。家庭用コンセントを差すと最大15皿まで載せて回転する仕組みです。
持ち帰り商品を3,000円以上購入すると、回転レーンを1泊2日レンタルできます。誕生日会や自宅で回転ずしを楽しみたい人に好評です。
<参照>
大好評!自宅がかっぱ寿司に!?超進化型テイクアウト「レンタル回転レーン」好評につき実施エリア拡大&2,200円(税込)~選べる3つの新プラン登場!|カッパ・クリエイト株式会社のプレスリリース
元気寿司(魚べい)/夜8時以降の持ち帰り強化
魚べいでは、夜8時以降に単品寿司9貫またはセットメニュー1人前を店頭受け取りで購入すると、マンゴータルトが1つプレゼントされるサービスを展開しています。
緊急事態宣言により営業時間の短縮やイートインの利用時間の制限を受け、夜8時以降のテイクアウトの集客を少しでも増やす戦略です。
カフェ
コロナ禍で環境問題に取り組んだり、AI技術を使った混雑計測システムを取り入れたり、新たなことにチャレンジするカフェの事例を紹介します。
スターバックス/紙ストロー提供を拡大・リユースカップの実証実験を予定
スターバックスは、今年9月から全面的に紙ストロー化することを発表しました。これまでも一部で紙ストローが導入されていましたが、改良を重ねすべてのフラペチーノ商品に使用されます。
紙ストローを使うことによって、プラスチックごみの削減につなげていくという環境運動の一環です。一方、消費者からは紙ストローでは飲みにくく、味も変化してしまうなどといった不満の声が出ています。
同社では今秋から、繰り返し使えるカップのシェアリングプログラムの実証実験を東京・丸の内エリアで開始することが伝えられています。
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ドトールコーヒー/店内に入る前に混雑具合がわかるシステム導入
高知県にリニューアルオープンしたドトールコーヒーでは、「混雑カウント」が採用されました。
このシステムは「群衆・混雑カウント」のソフトウエアのことをいい、店内の混雑状況を計測してくれます。事前に混雑状況を確認できるため、空いている席や階にスムーズに案内できます。
密をなるべく避けたい利用者とスムーズにオペレーションしたい従業員のニーズが合致したシステムといえます。
<参照>
ドトール/高知帯屋町店でセキュアの「混雑カウント」を採用 | 流通ニュース
その他
これまでとは異なる新しい事業を展開する企業や、テイクアウト専用メニューを開発した飲食店の事例を紹介します。
物語コーポレーション(焼肉きんぐ)/新業態でテイクアウト・ひとり焼肉需要取り込み
焼肉食べ放題チェーン店を展開する物語コーポレーションは、新たに「焼きたてのかるび」一号店をオープンしました。同社初の”ファストカジュアル”業態をうたうこの店舗では、注文から料理の受け取り、食器の返却までセルフサービスで提供されます。
看板メニューはカルビ丼やユッケジャンスープで、税込490円、セットメニュー税込690円とリーズナブルな価格帯です。
おひとり様や家族連れにも対応しており、ほぼすべてのメニューがテイクアウトできます。
<参照>
「焼肉きんぐ」物語コーポレーション新業態「焼きたてのかるび」カルビ丼・ユッケジャンスープ各490円から、愛知県豊橋市に一号店|食品産業新聞社ニュースWEB
ハイデイ日高(日高屋)/テイクアウト専用メニュー
中華料理チェーン店日高屋では8月30日から、同社初のテイクアウト専用メニューを販売し始めました。
日高屋オリジナル味付け半熟卵、人気の餃子1人前6個タレ付き、唐揚げなどがセットになっています。餃子や揚げ物は注文後に調理、提供されます。
8月に発表された飲食業関連のデータ紹介
8月に発表された、7月の飲食業界の動向ポイントを解説します。
日本フードサービス業界データ
7月の外食産業市場動向調査によれば、全体売上は前年比102.1%と微増したものの、コロナ禍前の一昨年との比較では86.3%にとどまっており、回復したとはいえない状況です。
緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が出されていたこと、またオリンピックの無観客によりテイクアウトを強みにするファーストフードが外食市場全体を牽引しました。
営業時間の短縮や酒類提供の制限により、パプ・居酒屋全体の業績は前年売上の86.5%、一昨年比30.0%と深刻な状況です。
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外食市場調査2021年度6月度(リクルート)
リクルートによる6月の外食市場調査(首都圏・関西圏・東海圏)によれば、外食市場規模は前年同月比528億円減の71.8%と3か月ぶりにマイナスを記録しました。
コロナ前の2019年と比べた外食市場規模は40.3%で、5月(2019年比37.7%)からは2.6pt改善しています。
業態別の外食市場規模の前年同月比では、「ファーストフード」が+2億円、「レストラン、食堂、ダイニング、洋食店」がプラスマイナス0を記録した以外は、軒並みマイナスを記録しました。
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博報堂生活総研 [来月の消費予報・9月](消費意欲指数)
博報堂生活総合研究所が9月の消費意欲を調査した結果、スコアは45.6点(前月比マイナス3.3ポイント、前年比マイナス1.2ポイント)と低下しました。
夏休み・帰省シーズンの支出の反動により、前月よりも消費意欲が低下する見通しです。
このように消費意欲指数は前年比と前月比のいずれも低下しているものの、消費に肯定的な回答(欲しいものがある、家族や友人のイベント、冠婚葬祭など)については、2020年9月243件が2021年9月314件となり、前年に比べ増えていることが確認されました。
<参照>博報堂生活総研[来月の消費予想・9月](消費意欲指数)|株式会社博報堂のプレスリリース
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