8月は緊急事態宣言下でパラリンピックが開催されました。オリンピックと同様に東京、埼玉、千葉、静岡の全会場で無観客開催となり、宿泊業にとって恩恵が少ない結果となりました。
コロナ禍が長期化していることにより、宿泊業を含む多くの事業者でも疲弊が目立ちます。
8月は日本人の宿泊者数が回復傾向にあり、9月以降の動向が注目されます。また9月第2週に行われた菅首相の会見では、今後のワクチン接種の進展によってはGoToトラベル事業を再開する可能性もあることが示されました。
本記事では、2021年8月の宿泊業界動向、補助金、宿泊業関連データについて紹介します。
関連記事
宿泊業界動向まとめ 2021年7月
19都府県で“宣言“30日まで延長、ワクチン普及でGoTo再開も示唆:菅首相会見
8月の宿泊業界動向 ウィズコロナのニーズをつかむ
8月はウィズコロナ時代に対応し、ワ―ケーションや在宅ワークの需要を取り込んだ宿泊プランが多く提供され始めました。
ワクチン接種後の宿泊割引キャンペーンや、県をまたがない旅行に対して宿泊特典を付ける宿泊施設も数多く見られます。
ここでは、さまざまな宿泊施設が提供するウィズコロナ時代の宿泊プランなどの、8月の宿泊業界動向にまつわるニュースを紹介します。
関連記事
コロナでもホテルで楽しむ”夏”体験 150インチ大型スクリーンで花火鑑賞など、ユニークなプラン3選
プリンスホテル/ワーケーションとSDGsを組み合わせたプログラム
軽井沢のプリンスホテルでは、今秋から法人向け「SDGsワーケーションプログラム」を提供すると発表しました。
SDGs活動はコロナ禍で注目度が高まっており、プリンスホテルのSDGsワ―ケーションプログラムは企業と地域を結びつける役割を担います。
参加者はホテルに宿泊しワーケーションをしながら、間伐作業といった環境保全活動や、人手不足が懸念される地域のワイナリー農家でボランティア活動を行います。
期間は数か月から半年程度の長期を予定しており、企業の部署やチームで参加してもらいチームビルディングを高める狙いです。
自営業やベンチャー企業を対象に当プログラムの普及を目指します。
<参照>
プリンスホテル、ワーケーション通じSDGs貢献のプラン:日本経済新聞
星野リゾート/マイクロツーリズムの推進
星野リゾートでは、自宅から1~2時間以内の「マイクロツーリズム」という近距離旅行を推進しています。
コロナ禍で遠出が難しい状況の中、地域経済に貢献しながら地元の魅力を再発見してもらうために、星野リゾートは9月末まで東京、埼玉、神奈川、千葉の在住者に向けて割引プランの提供を開始しました。
地域限定の優待宿泊プランは通常料金より3~4割引きとなり、11施設で利用可能です。
関連記事
星野リゾートが提案する「マイクロツーリズム」とは/ウィズコロナの新しい旅行スタイル | 訪日ラボ
<参考>
星野リゾート 1都3県在住者に宿泊優待プラン、9月30日まで:トラベルニュース
東急ホテルズ/ビジネス需要の取り込み
東急ホテルズは、東京の東新宿駅近くに「東京ステイ新宿イーストサイド」を8月30日にオープンしました。
観光需要の回復が見込めない中、同ホテル3階に貸し会議室を設置することで、ビジネス需要を掘り起こす狙いです。
ホテル客室内に洗濯乾燥機や電子レンジを完備しているほか、キッチン付きの部屋も提供し、中長期滞在者をメインターゲットに稼働率の向上を目標とします。
また、東急ハンズとコラボしたコンセプトルームでは、ウェブカメラやモニターが完備され、販売アイテムを試しながら快適にテレワークができる環境を提供しています。
<参考>いまホテルの稼働率を上げるには? 東急ハンズや貸し会議室と連携:日経XTREND
日本ホテル/都民、県民がんばろう!プラン
日本ホテルでは、緊急事態宣言下において「都民、県民がんばろう!プラン」の販売を開始しました。東京、神奈川、埼玉の在住者限定プランで、現住所と同じ都県限定で宿泊の場合に利用可能です。
このプランの特典には、チェックインを朝の10時に済ませて翌日16時まで滞在できる「最大30時間ステイ」、レストランや次回宿泊で使える「5,000円分の利用券」、さらに「無料朝食」の提供があります。
<参考>
Be Strong, Tokyo! Kanagawa! Saitama! がんばろう 東京!神奈川!埼玉! 「都民、県民 がんばろう!プラン」を展開。
勝浦ウォーターアイランド/市内宿泊者優遇
千葉県勝浦市にある「勝浦ウォーターアイランド」では、市内宿泊者に向けて割引料金で海上アスレチック施設の利用を提供しています。
勝浦市民だけではなく市内の宿泊者も対象としている点が特徴で、コロナ禍が長引き疲弊を続ける地元の観光業を応援することが目的です。
海上アスレチックは事前予約制で、通常の安全管理だけでなく、1時間ごとに利用者を完全に入れ替えるなど、感染防止対策を徹底的に実施しています。
<参照>
「勝浦ウォーターアイランド」 市内宿泊で割引に 勝浦で観光業支援:千葉日報
勝浦ウォーターアイランド感染対策について
宿泊事業者への補助金など
新型コロナウイルス拡大の影響で苦境に陥った宿泊業者に対し、さまざまな自治体が補助金支援を始めています。
ここでは8月の補助金に関するニュースについて紹介します。
滋賀県/宿泊事業者へ最大750万円を支援
滋賀県の県議会で観光・宿泊事業者に対する補助金の説明会が開かれ、オンラインも含め参加者は100名以上にのぼりました。
新型コロナウイルス感染防止対策用に購入した物品や設備といった経費を補助するため、観光事業者には最大300万円、宿泊事業者には最大750万円が支給されます。
受給申請は9月30日に受付が終了し、電話で申請について相談できます。
<参照>
観光・宿泊業 の取り組み支援/滋賀(BBCびわ湖放送) - Yahoo!ニュース
山口県/中小事業者を支援 法人40万円・個人20万円
山口県は、新型コロナウイルスの影響を受け売上が減少している中小企業者支援として、事業継続を目的とした支援金を支給しています。支援金額は法人が40万円、個人が20万円で、今年1月から6月までの期間、前年または前々年の同月と比べ収入が3割以上減少した事業者が対象です。
山口市でも同様の支援を実施しています。支援対象となる事業者は、飲食店、宿泊施設、土産物店、飲食店等への納入事業者、タクシー事業者、自動車運転代行事業者です。
申請書の受付期間は山口県が10月1日まで、山口市が10月31日までで、申請に関しては電話で問い合わせできます。
<参照>
新型コロナウイルスで影響を受けている中小企業者等の皆様へのお知らせ:山口県
山口市飲食店等事業継続支援金の創設について:山口市
三重県/国体中止の影響深刻、宿泊業者支援へ
三重県で執り行われる予定だった国体がコロナの影響で中止となり、合計6万人規模の選手団体やボランティアの来県が取り止めになりました。
国体には全国から約2万5,000人の選手や指導者、約2万8,000人のボランティアが活動する予定でした。
三重県では10月にも全国障害者スポーツ大会が予定されており、5,600人の宿泊者が予定されていましたがこちらも中止が決定しています。
当初は無観客で国体を開催する予定でしたが、新型コロナウイルス新規感染者数の拡大を受け苦渋の決断に至ったとのことです。
売上を大幅に失ったバス会社や宿泊業者に対し、県は財政支援を予定しています。
<参照>
三重国体コロナで中止 知事「宿泊業・バスを財政支援」:日本経済新聞
相部屋の提供、今後難しく?ドミトリーを改修
コロナ禍の長期化に伴い、従来の事業形態では利益をあげることが難しくなってしまい、事業転換した経営者も見られます。
ある古民家をリノベーションした民泊では、宿泊客が相部屋になるドミトリーの利用者が激減してしまい、ソーシャルディスタンスが保たれる旅館業へ転向しています。
業態の変更にあたっては、国からの事業再構築補助金を活用しています。感染リスクを下げるため個室を増やし、旅館業の営業許可を取得する決断をしています。
コロナに関して先行きは不透明ですが、事業主は事業転換も視野に入れながら事業継続について考える必要があります。
<参照>
コロナ禍で増える業態転換 民泊を旅館に、国の補助金後押し:中日新聞
8月に発表された宿泊業関連のデータ紹介
最後に宿泊業に関連した各種データについて紹介します。宿泊旅行統計調査/2019年7月に比べ、宿泊人数40%減
観光庁が発表した「宿泊旅行統計調査」の速報によると、コロナ禍以前の2019年と比較した今年の全体の延べ宿泊人数は40%減となり、厳しい状況が続いています。
特にインバウンド需要の減少が顕著で、今年の外国人の延べ宿泊人数に限ると、2019年7月比で92%減と大幅な落ち込みが見られます。
日本人に関しては、6月の時点で46%減であったのに対し、7月は26%減と持ち直しつつあります。
しかし、新型コロナウイルスの新規感染者数は増加傾向にあるため、今後の動向は不透明です。
<参照>
宿泊旅行統計調査:観光庁
東京商工リサーチの調査/中小事業者の疲弊が目立つ
東京商工リサーチによる調査で、2021年1月から7月に倒産した宿泊業者数は累計49件と発表されました。前年同月は79件だったことを鑑みると、大きく減少しています。
支援金などのおかげで倒産件数は縮小したものの、新型コロナウイルス関連の倒産は過半数を超え、感染症の流行は宿泊業界に大きな打撃を与え続けています。
特に、コロナ禍による緊急事態宣言の延長や自粛ムードの長期化で、中小規模の宿泊業者を中心に疲弊が広がっています。従業員数が300人以上の大手宿泊事業者の倒産は見られず、5人未満の小規模事業者が全体の倒産数の6割を占めました。
<参照>
宿泊業の倒産は49件に減少、小・零細規模の息切れが目立つ(2021年1-7月):東京商工リサーチ
博報堂生活総研 [来月の消費予報・9月](消費意欲指数)
博報堂のシンクタンクである博報堂生活総合研究所は、20~69歳の男女1,500名を対象に調査した「来月の消費予報・9月」を発表しました。
調査によると、夏休みやお盆があった8月の反動で9月の消費意欲指数は減少する見通しです。「旅行」「レジャー」は2021年8月との比較では20人以上が消費の意欲がダウンしていますが、2020年9月との比較では意欲がアップしている結果となりました。
政府会見では10月以降の段階的な行動制限の緩和や、GoToトラベル事業の再開の可能性についても言及がありました。まずは県をまたぐ移動が解禁されることによる市場の回復が期待されます。
<参考>
博報堂生活総研[来月の消費予報・2021年9月](消費意欲指数):博報堂
口コミラボ 最新版MEOまとめ【24年9月・10月版 Googleマップ・MEOまとめ】
そこで口コミラボでは、MEO・口コミマーケティングに役立つ最新ニュースをまとめた「Googleマップ・MEO最新情報まとめ」を毎月発行しています。
本記事では、主に2024年9月・10月の情報をまとめたレポートのダイジェストをお届けします。
※ここでの「MEO」とは、Google上の店舗・施設情報の露出回数を増やしたり、来店行動につなげたりすることで、Google経由の集客を最大化させる施策を指します。
※『口コミアカデミー 』にご登録いただくと、レポートの全容を無料でご確認いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→「ポリシー違反によるビジネスプロフィールの制限」が明文化 ほか【2024年9月・10月版 Googleマップ・MEOまとめ】
【関連リンク】
宿泊業界動向まとめ アーカイブはこちら