新型コロナウイルスの流行により、飲食店は客足の減少や感染対策費用の捻出、営業の時短要請への対応など大きな打撃を受けています。
新しい生活様式が普及したアフターコロナの世界で飲食店が生き残るには、需要に応えたさまざまな対策を実施して消費者を取り込むことが必要です。
新しい社会の需要に応える対策を実施することで、減少した客足を回復させるのみならず、新たに来店客を呼び込むことも期待できます。
今回の記事では、コロナ禍で飲食店が生き残るために必要な5つの条件について解説します。
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新型コロナウイルスの影響で打撃を受けた飲食店
飲食店予約/顧客台帳サービス「トレタ」への日経新聞の取材によれば、2020年4月20日から26日の飲食店入店者数は、昼食(11時〜13時)、夕食(17時〜20時)、遅い夕食(21時〜23時)のいずれの項目においても、前年同期比で8割以上減少したといいます。この中でも、遅い夕食時間帯の入店者数は98%減少と最も減少しました。
また、8月10日から16日の飲食店入店者数は、昼食が前年同期比38%減少、夕食が前年同期比48%減少、遅い夕食が前年同期比55%減少となりました。4月に比べると昼食を中心に回復傾向が見られますが、依然として新型コロナウイルス流行前の水準までは回復できていないことがわかります。
アフターコロナの新しい生活様式に合わせ消費者の外食への捉え方も変化し、特に大人数や換気の悪い密閉空間での外食は避けられるようになっているといえるでしょう。
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コロナ禍で飲食店が生き残るために必要な5つの条件とは?
これからの世界で飲食店が客足を伸ばすには、消費者の需要に合致したいくつかの条件が必要と考えられます。
ここでは、新しい生活様式において求められる各項目を実現するために必要な条件について、5つにまとめて解説します。
1. 店内の感染症対策を可視化する
新型コロナウイルス流行を受け、感染症対策の有無が飲食店を選ぶひとつの大きな基準となりました。
感染対策を講じることはもちろん、対策を徹底していることを消費者に知ってもらう取り組みも大切です。
ホットペッパーグルメ外食総研が9月に公開した調査によると、飲食店を選ぶ際に事前にインターネットで感染対策の有無を確認するユーザーは43%にのぼりました。
飲食店の公式ホームページや口コミサイトに実施している感染予防対策について明記することで、消費者に安心感を与えることができるため、来店促進に繋がります。
また、店頭でポスターやステッカーを確認する人も45.5%となっているため、店舗で作成したステッカーや自治体の認定ステッカーを利用することも効果的です。
例えば東京都では、感染対策を実施している店舗や事業所に「感染防止徹底宣言ステッカー」を配布しています。
自治体から感染対策認定を受けることで、自治体のホームページなどで感染対策実施店として掲載されるほか、補助金の対象になることもあります。
感染対策を実施しているにもかかわらず自治体の認定を受けないことは機会損失にもつながるため、積極的に認定を申請するとよいでしょう。
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2. 非接触決済サービスの導入
従来の飲食店では会計時にお金の受け渡しで従業員と来店客が接触するため、お金を通して新型コロナウイルスに感染してしまうことが懸念されていました。
会計におけるこのような感染リスクを軽減するには、非接触決済サービスの導入が効果的です。
たとえばAirPAYやSqaure、楽天ペイなどのソリューションを導入することで、タッチ決済やQRコード決済などの各種非接触決済に対応できます。
非接触決済サービスの導入により会計時に従業員と接触する必要がなくなるため、安心して利用できる飲食店として顧客満足度の向上につながります。
また、非接触決済サービス事業者によってはAlipayやWeChat Payにも対応しているため、アフターコロナにおけるインバウンド需要の取り込みも見込めます。
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3. デリバリー・テイクアウトへの対応
新型コロナウイルスの流行下では自宅で食事をする需要が高まったため、デリバリーとテイクアウトが普及しました。デリバリーやテイクアウトサービスを展開する事業者は、さまざまな割引やポイントでユーザーを勧誘しています。そのため、デリバリーやテイクアウトは、改めて飲食店が独自の宣伝をせずとも、利用客が増えやすいことが特長です。
デリバリー・テイクアウト事業者には、Uber Eats、DiDi Food、出前館、menu、楽天デリバリーなどがあります。事業者によって、初期費用の有無や手数料、得意とする地域や客層が異なるため、飲食店の営業方針や営業エリアなどに合った事業者の選択が必要です。
また、飲食店がデリバリーやテイクアウトを始める際には、事業者の選択だけでなく、提供する飲食物がデリバリーに適しているか再検討することも大切です。
飲食店によっては、熱い状態で食べた方が良い食事や冷たい状態で食べた方が良い食事、汁物や生ものなど、デリバリーに向いていない飲食物があります。このような飲食店がデリバリーに対応する場合、これらをそのまま提供するのではなく、デリバリーに適した改良が求められるでしょう。
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4. 飲食に付加価値をつけた体験を提供する
デリバリーやテイクアウトにより自宅で飲食店の食事が楽しめるようになったため、消費者は「食事をする」ためだけに店頭へ出向くことが少なくなりました。
アフターコロナの世界で来店客を増やすには、そこでしか味わえない特別な体験を消費者に提供し、付加価値を加えることが必要となります。
例えば、高級レストランなら生演奏、居酒屋なら解体ショーなど、その場にいないと楽しめない体験を加えることで、飲食店で食事をするメリットが生まれます。
ただし、店内飲食の呼び込みと感染対策の実施は同時進行させなければならないことに注意が必要です。
5. サブスクリプションやポイント制度を導入する
サブスクリプションとは、消費者に毎月など一定の期間ごとに料金を払ってもらい、その間は商品やサービスを使い放題とする事業形態を意味します。
近年ではNetflixやSpotifyなどのコンテンツ配信サービスがサブスクリプションの代表例として注目されていますが、飲食店でもサブスクリプションは導入できます。
飲食店のサブスクリプションは、月額制で加入中は毎日定食を提供、ワンドリンクサービス、デザートサービス、飲食料金の割引などが見受けられます。飲食店のサブスクリプションサービスを購入した消費者は多くの場合、サブスクリプションを活用するため定期的に店舗へ足を運ぶようになります。
大抵の場合、消費者はサブスクリプション以外の飲食も同時にすることで利益をもたらすため、中長期的な経営の安定化に重要なリピーターにもなり得ます。
なお、営業形態の関係でサブスクリプションの導入が難しい場合は、ポイントカードやスタンプカードを導入し割引などを提供することも効果的です。ポイントカードなら注文履歴を記録することで、一人ひとりの注文傾向やリピート率など、経営戦略に役立つデータを取得できます。
スタンプカードなら来店回数や特定商品の購入回数に応じてスタンプを付与するなど独自のルールを作ることで、リピーター獲得にもつながります。
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コロナ後に大きく変わった需要に応えることが、飲食店の生き残りにつながる
2020年は新型コロナウイルスの流行により、デリバリーやテイクアウトの普及や非接触決済サービスの需要拡大など、さまざまな変化が起きました。
今回紹介した5つの条件を満たす飲食店はアフターコロナの世界における需要にも合致できるため、より多くの消費者に来店してもらえる可能性が高まります。
アフターコロナにおいて人気の飲食店となるためにも、消費者の需要をしっかりと捉えることが求められます。
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<参照>
日本経済新聞:外食の客足、復活の3条件 全国1万店データ分析
株式会社リクルートライフスタイル:「ホットペッパーグルメ外食総研」第2回外食実態調査
東京都:感染防止徹底宣言ステッカー