【DX成功事例5選】利益率「10倍増」達成 老舗飲食店「ゑびや大食堂」の革新とは?デジタル・トランスフォーメーション(DX)がよく分かる事例まとめ

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コロナ禍の影響もあってか「DXデジタルトランスフォーメーション、以下DX」という言葉を見かけることが多くなりました。

DXとは一言で言えば、「デジタル技術を活用し、業務やサービスに変革を起こすことで、競争を優位に進めること」を意味する概念です。

わかり易い例で言えば、コロナ禍の緊急事態宣言下に、テレビ電話ツールやチャットツールなどを活用してテレワーク(リモートワーク)が定着したことなどがあります。

本記事では、DXの概要をふまえ、実際にDXにより経費の削減や収益の向上などを実現した企業の事例を5つ紹介します。

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DXは新しい概念で、文脈や媒体、話者によって意味が曖昧な場合があります。

ここでは、経済産業省の「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドラインDX 推進ガイドライン)」を参照して定義を確認してみることにします。

本資料によれば、DXは以下のように定義づけられています。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。

つまりDXとは

  • 手段:データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革すること
  • 目的:業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること

ということになります。

しかし、これでは「実際のところDXとは何なのか?」がわかりにくいので、実際に事例を見ていくことにします。

DXで収益向上や経費削減に成功!DX事例5選

1. AIによるDXで利益率10倍を達成:ゑびや大食堂

▲[ゑびや大食堂]:公式サイトより
▲[ゑびや大食堂]:公式サイトより

三重県伊勢市の飲食店「ゑびや大食堂は、1912年創業の老舗飲食店です。「勘と経験に頼った経営」を続けてきましたが、このままでは事業継続性が危ういと小田島代表は考え始めました。

そこで小田島氏は「データを根拠とした経営」を実践すべく、まずは来店データをエクセルに入力することからはじめました。そこから発展して売上データ、気象データ、曜日、周辺の宿泊人数など複数のデータをもとに翌日の来店数を予測する「来客予測AI」を独自開発するに至ります。

これにより、用意する材料の量や人員リソースを最適化することに成功し、食品ロスを約75%削減。さらに、利益率は10倍、売上げは4.8倍を達成しており、飲食店における代表的なDX成功事例となっています。

2. 原価管理のDXによりコストの可視化に成功:ブルームダイニングサービス

▲[ブルームダイニングサービス]:公式サイトより
▲[ブルームダイニングサービス]:公式サイトより

飲食チェーンブルームダイニングサービスでは、原価管理のDXを進めました。

チェーン展開として小規模のころは、仕入先への発注を電話やFAXで行い、送られてきた請求書に通りに支払う、という管理でした。FC展開が大規模化するにつれ、いわば「経営者の目の届かない」範囲が増えてきます。そのようななか、属人化しがちな作業をシステム化すべく、受発注システムを導入します。

これによって、パソコンから材料の納品日や発注数、金額が確認できるようになったため、管理が簡単になり業務の効率化を実現しました。さらに効率化だけでなく、売上管理システムと連携することで、日次でコストを可視化することに成功しました。

3. 震災きっかけのDXで客単価&売上110%向上:松月産業

▲[松月産業]:公式サイトより
▲[松月産業]:公式サイトより

宮城県仙台市のビジネスホテルチェーン「松月産業」は、東日本大震災の経験から、BCP対策(*1)のため基幹システムをクラウドに移行しました。

2011年までの5年ほど、各店にサーバを設置しシステムを運用していました。しかし、2011年に発生した東日本大震災直後、ホテルの営業機能は早期に復活したものの、ダウンしてしまったサーバーの復旧が遅れ、手作業での業務対応が発生してしまいました。

このように大規模災害が発生してしまった場合、設置サーバーが稼働できなくなると業務に支障がでるだけではなく、顧客データなど重要データが消失してしまうリスクがあります。

これを解決すべく、2011年8月から基幹システムをクラウド化しました。これによって、サーバーの管理業務をアウトソーシングできたほか、業務継続リスクを限りなく小さくすることに成功したほか、予約、顧客管理、チェーンオペレーション、経営分析業務の効率化、従業員の勤務状況を可視化できました。さらに、店舗間における情報共有も高速化し、業務の大幅な効率化に成功しています。

さらに、顧客にも利便性向上がありました。システム移行に伴い、自社Webサイトの予約データ連携と、ポイントカードシステムの一新をしたことで、会員登録のオンライン化と自社Webサイトでのポイント確認が可能になりました。

これらのこうかもあり、2014年からの4年間で、顧客単価と売上ともに110%に拡大したほか、松月産業のDX「全国中小企業クラウド実践大賞」において審査員特別賞を受賞しており、国内でも特に注目された事例となっています。

*1 BCP対策:災害などの緊急事態が発生したときに、企業が損害を最小限に抑え、事業の継続や復旧を図るための計画。

4. DXによる情報共有徹底で3年で黒字転換の逆転:陣屋

▲[陣屋]:公式サイトより
▲[陣屋]:公式サイトより

神奈川県秦野市の老舗旅館「陣屋」は、10年ほど前には約10億円の負債を抱え、倒産寸前ともいわれる経営状態でした。

背景にあったのは「情報の不透明さ」による業務効率の低さなどです。例えば、売上を紙で管理していてどんぶり勘定状態、したがって人件費や原価計算もできていない、重要な情報が女将の頭の中にしか無い、取引先との商談の情報が担当者に属人化している…などです。これらにより1日の業務のうち8割がバックヤード業務に費やされ、顧客への接客時間が圧迫されている状態でした。

このような状況を改善するために導入したのが、クラウド上で顧客管理・商談管理ができるソリューション「Salesforce」です。Salesforce上で情報共有することを徹底し、今まで紙で管理していた数値もデジタルに落とし込み始めました。

これにより、業務効率を高め、PDCAを高速化し、サービスの質と従業員の労働生産性を向上させた結果、2009年からの3年間で黒字を達成したのに加え、従業員の負担が減ったことから、旅館業界では珍しい週休3日制も実現しています。

なお、週休3日を採用した後も売り上げは伸び続けており、以前30〜40%だった離職率も数%にまで減少させることに成功したといいます。

5. アプリ会員を2か月で50万人増加させマーケティング強化:カインズ

▲[カインズ]:公式サイトより
▲[カインズ]:公式サイトより

ホームセンター展開するカインズでは、2019年3月より「プロジェクトカインドネス」という経営改革をのもと、DXを急速に進めています。その事例として顕著なのが、同社の「カインズアプリ」の運用です。

カインズでは、顧客一人ひとりの異なる需要に応える「ワン・ツー・ワン・マーケティング」を掲げていますが、それを実施するためにはそもそも分析および施策の対象となるユーザーが必要です。そのためカインズでは、アプリ会員数を増やすために店頭にて販促活動を実施し、2か月でアプリ会員を50万人増加させました。

こうして増やしたユーザーに向けて、アプリ上でプッシュ通知で来店を促したり、店頭での商品の陳列位置が分かる機能を搭載し、買い物の利便性も向上させるなどの施策を実施しました。陳列位置が分かる機能は重要な進化で、これは流通や在庫管理など店舗の裏側のデータと消費者をつなげており、店舗業務デジタル化によって消費者に利便性をもたらした、というまさにDXの概念がめざすところを実現した取り組みと言えるでしょう。

DXによる業務の効率化で支出を抑えて収入を伸ばす戦略を

今回は、DXの事例を5つ紹介しました。

DXを導入することで、業務の効率化はもちろん、売上の拡大や上質な顧客体験の提供など、さまざまなメリットが得られます。

今後さらなる事業展開を図りたい企業や、業務効率を改善し収入を伸ばすことで経営状態を改善したい企業は、DXの導入を1つの選択肢として検討すると良いでしょう。

<参考>

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