6月の小売業、円安や電力ひっ迫の影響は?【小売業界動向まとめ 2022年6月】

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6月の小売業界では、LINEがデジタル店頭POPソリューション「LINE POP Media」をリリースしたほか、旭食品が物流倉庫における需要予測・自動発注システムを導入するなど、DXの取り組みが活発となっています。

また百貨店の回復が目立ち、クールビズ商戦にも復活の兆しが見られるなど、前向きなニュースが多く見られています。

一方、円安などに伴う原価の上昇の煽りを受ける企業も多く見られました。本記事では、6月の小売業界の動向や発表されたデータについてまとめます。

小売DXの事例まとめ

先月に引き続き6月の小売業界でも、物流倉庫における需要予測・自動発注システムや、LINEによるデジタル店頭POPソリューションなど、DXの導入事例が多く見られました。

需要予測&自動発注システム 発注時間1/8に/旭食品

旭食品と日立製作所は6月8日、旭食品が国内35か所の物流倉庫に導入した「需要予測型自動発注システム」の成果を発表しました。

同システムは日立製作所による流通・小売業向けデータ活用ソリューションを活用し、独自アルゴリズムにより需要を予測して、適正在庫量を勘案して発注推奨量を算出・提示するものです。

それまで1日あたり約4時間かかっていた発注・在庫管理業務を約30分に削減し、欠品は約4割、返品は最大約3割低減することに成功しました。

店頭POPソリューション「LINE POP Media」リリース 24,000店に導入予定/LINE

LINEは6月15日、「LINE Beacon」を活用したデジタル店頭POPソリューション「LINE POP Media」の正式提供を開始しました。

▲LINE POP Media:LINE
▲LINE POP Media:LINE

サービスはユーザーが小売店に来店すると、店内に設置した「LINE Beacon」を通じ、LINEのトークリスト最上部にメーカー企業の広告を掲載できるというものです。

プロトタイプでの実証実験では、店内で広告を受信したユーザーのうち約53%が広告を認知し、そのうち約75%が今後も広告を受け取りたいと回答しました。

2022年6月現在で「LINE POP Media」は、コンビニ大手のローソンのほか、ドラッグストア大手のサンドラッグなど、小売企業合計22社、約24,000店舗での導入が予定されています。

スマホをかざすと入店できる/ミニストップとヤマハが共同開発

ヤマハ株式会社は6月30日、ミニストップとともに、東京都港区のヤマハ東京事業所内に、無人ミニコンビニの実証店舗を7月4日にオープンすると発表しました。

▲簡単入店機能(専用アプリ不要):ヤマハ
▲簡単入店機能(専用アプリ不要):ヤマハ

ミニストップ展開する初期費用0円のオフィスコンビニ「ミニストップポケット」に、ヤマハが開発した「SoundUD」の技術を活用し、オフィスや工場、病院、駅などマイクロマーケットを想定した、低コストで導入可能な店舗形態を提案します。

専用アプリや事前登録は不要で、施設内の空き部屋など施錠可能な場所に、スマートフォンをかざすだけで入店できます。

店内BGMやアナウンスは専用アプリで遠隔地からタブレットなどでコントロールすることが可能です。

小売業界ニュース

6月の小売業界では、百貨店の売上が回復傾向にあるほか、クールビズ商戦にも復活の兆しが見られるなど前向きなニュースが多く見られています。

また円安の影響や、電力ひっ迫に伴う小売り各社の対応についてもご紹介します。

円安の影響は?

円安局面においては、小売業は原材料価格や製品の価格の低下により悪影響を受ける傾向があります。海外で製品を生産して輸入していたり、海外から原材料を輸入している企業にとっては、業績を下げかねない状況となっています。

いっぽう海外に自社製品を輸出する企業は、円安による恩恵を受けている状況です。また、海外展開している大規模チェーンにとっては、円安により海外売上が増加するため追い風となっています。

電力ひっ迫、小売各社の対応は?

イオンスーパーセンター株式会社は「ライトダウンキャンペーン」を実施して店舗の屋外照明を消灯し、店内での消費電力も抑えます。

▲イオンスーパーセンター ライトダウンキャンペーン:イオン
▲イオンスーパーセンター ライトダウンキャンペーン:イオン

また株式会社イトーヨーカ堂も9月30日まで、夏の電力需給逼迫への対応として、店内照明の明るさや一部消灯、店内空調の調整を実施します。

▲夏の電力需給逼迫への対応:イトーヨーカ堂
▲夏の電力需給逼迫への対応:イトーヨーカ堂

株式会社ローソンも、電力需給ひっ迫注意報・警報が発令された日に、東京電力管内のローソン店舗において、全時間帯でトイレの便座保温機能をオフにします。さらに昼間は商品陳列用の要冷機器照明の消灯や店内照明の一部消灯を実施し、夜間は店頭ライン看板、店外サインの消灯も検討するとしています。

このほかの企業もさまざまな取り組みを実施していますが、今後の電力の供給状況によってはさらに影響が広がる懸念があります。

百貨店の回復目立つ 売上高57.8%増

日本百貨店協会が6月23日に発表した5月の全国百貨店売上高は、既存店ベースで前年同月比57.8%増となり、前年実績を3か月連続で上回りました。

コロナ禍以前の2019年比でも10.5%減と回復傾向にあり、今後インバウンドが本格的に回復すれば、さらなる伸びも期待されます。

「西武・そごう」の行方は?ソフトバンク系投資ファンドが有力か

セブン&アイ・ホールディングスは、デパート「そごう・西武」の売却をめぐり、ソフトバンクグループ傘下のアメリカの投資ファンド「フォートレス・インベストメント・グループ」と優先的に交渉を進める方針を固めました。

提示額は2,000億円を大きく超えたとみられ、セブン&アイはそごう・西武の売却後、コンビニエンスストア事業への経営資源集中を加速させる考えです。

「ネットスーパー売上高、24年までに1000億円に」西友

西友の大久保社長は6月24日、ネットスーパーの売上高について、1年前倒しで2024年に中期経営計画目標の1,000億円に達する見通しを示しました。

124店で実施する店舗出荷型が多くの店で黒字化し、柏と港北、茨木の専用物流センターによる倉庫出荷型も稼働率が高まっているとしています。

センキョ割 参院選控え続々

7月10日投開票の参院選の投票へ行くと、指定された飲食店で割引が受けられる「センキョ割」。投票した後に投票所でもらう投票済証、または投票所の看板やポスターの前で撮った写真を、対象の店舗で見せることで割引を提供していました。

クールビズ商戦復活

今年は2020年や20221年に比べて出社機会が増加していることから、クールビズ商戦に復活の兆しが見られています。

コロナ禍以前の出社専用のジャケットやパンツではなく、在宅勤務の広がりを意識、出社時以外にも普段の外出時でも使えるデザインのものが多くなっています。

自宅の洗濯機で洗えるものや、革靴よりも歩きやすいレザースニーカーなども展開されています。

来月の消費予報【博報堂生活総研】

▲7月の消費意欲指数:博報堂生活総研
▲7月の消費意欲指数:博報堂生活総研

博報堂のシンクタンクである博報堂生活総合研究所は6月28日、「来月の消費予報・2022年7月」を発表しました。

それによると2022年7月の消費意欲指数は48.5点で、前月比では2.0点増、前年比では0.4点減となりました。

コロナ禍の影響は薄れつつあるも、物価上昇により、ボーナスシーズンである7月としては過去5年間で最も低い数値となりました。

前月比では、ボーナスや夏休みを控え、夏服を買いたいなど7月らしい季節的な意欲向上が見られています。

おすすめレポート:ENEOSを抑えて口コミ投稿数1位のガソリンスタンドは?

日本全国47都道府県のガソリンスタンド4ブランド(ENEOSコスモ石油出光興産昭和シェル)に寄せられる口コミ(総数37,000件)を分析しました。

全国47都道府県のガソリンスタンドをブランド別に大調査:口コミコム
▲全国47都道府県のガソリンスタンドをブランド別に大調査:口コミコム
ガソリンスタンドは、石油というコモディティを扱うため、口コミ数は少ない傾向にあります。しかし調査の結果、一部の口コミが多く寄せられている店舗がありました。

他のガソリンスタンドとの差別化ができている店舗の秘訣を、口コミから迫ります。

レポートをダウンロードする(無料)


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<参照>

ITmedia エンタープライズ:旭食品、需要予測ベースの自動発注システムを導入 発注・在庫管理業務にかかる時間が約8分の1に
LINE:LINE、デジタル店頭POPソリューション「LINE POP Media」のサービス提供を開始
exchangewire:LINE、デジタル店頭POPソリューション「LINE POP Media」を開始[ニュース]
ヤマハ株式会社:ヤマハとミニストップ、SoundUDの技術を活用した無人ミニコンビニの実証店舗をオープン
日本経済新聞:セブン&アイに鳥貴族、円安に動じぬ意外な銘柄
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    この記事の筆者

    口コミラボ編集部

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