社会・生活インフラとしての役割も果たすコンビニエンスストアですが、昨今の人材確保や営業時間変更の問題に加え、新型コロナウイルスの影響により、休業や経営方針を変えざるを得ない店舗が出ています。
そういった深刻な状況下で大手コンビニでは、新型コロナウイルスによって影響を受けた店舗に支援金を送る取り組みも行われています。
この記事では、新型コロナウイルスによるコンビニ業界への影響、コンビニ大手3社の支援策や地域貢献における取り組みについて紹介します。
新型コロナによるコンビニへの影響
5月下旬まで続いた外出自粛要請は、飲食店やほか小売業界同様、コンビニの売り上げにも大きく影響しました。
コンビニは生活必需品を販売しているため休業要請の対象にならず営業を続けられましたが、客数や売り上げは減少し、営業しているため休業協力金などの補償対象にならない店舗が多く、経営が苦しくなる店舗も出ました。
外出自粛によりコンビニの売上激減
コンビニは生活費需品を販売しているため、休業要請の対象から外れましたが、各コンビニへの打撃は大きなものとなりました。
日本フランチャイズチェーン協会が発表した、2020年5月の大手コンビニ7社既存店舗の来店客数は前年比19.9%減となり、来店数の記録を始めた2005年以降で最小の客数となりました。
既存店舗の売り上げも過去2番目の下げ幅10%減を記録しています。
コンビニ業界としては大きな下げ幅を記録していますが、リモートワークなど家で過ごす人が増え、校外や住宅地の一部コンビニでは一人当たりの購入単価が上がり売上を伸ばした店舗もあるようです。
反対に観光地やオフィス街などは外出している人の数が減ったため、その影響を受けた結果となりました。
一部コンビニではこの状況を受け赤字補填や人材不足対策として時間短縮を実施し、状況によっては休業や閉店を選択する店舗も出ています。
自粛解除後、客数は回復傾向
4・5月の売り上げ、客数ともにほとんどの店舗で低迷していましたが、緊急事態宣言が解除された5月末頃から、徐々に客数・売り上げともに回復傾向にあります。
この一つの要因として、外出自粛解除に伴い、休業していた施設の再開、通勤・通学を再び始めた人が増えたことがあります。
一部コンビニでは、休業または時短営業していた店舗が、6月からは通常営業を再開する店舗も出ています。
クロスロケーションズ株式会社の調査では、緊急事態宣言解除前(5月11日~17日まで)のコンビニ来店者数を解除後(5月25日~5月31日)と比較すると、110%を記録したことを発表しました。
県外移動自粛も緩和になった6月は観光地などにも徐々に人が増えることが考えられるため、今後も回復傾向が続くと予想されます。
コンビニのコロナ対策
新型コロナウイルス感染防止のため、小売店ではさまざまな対策がなされました。
各コンビニでは、従業員感染時の情報開示や店舗内での感染防止対策、損害がでた店へのさまざまな支援方法などを発表しました。
休業をホームページで配信
各コンビニでは、従業員に感染者が出た場合の情報を各社ホームページで発表し、関係者や消費者が確認できるようにしています。
公開内容は各社によって異なりますが、該当者の感染前の勤務履歴、感染発覚までの経緯、他従業員の感染状況、店舗の消毒について、今後の感染予防対策などを細かく発表されます。
ファミリーマートでは、上に書いた情報に加え、実際に従業員の感染者が出た店舗での勤務中のマスクの有無、新型コロナウイルス感染日時と決定後の休業中の対応、消毒清掃作業についての情報をニュースリリースとして発表しました。
店舗内での取り組み
対策内容は各社異なりますが、顧客や従業員の安全・安心を第一に考え、本部が中心となり政府や行政と連携を取りながら感染拡大防止に取り組んでいます。
従業員にはマスクだけでなく、フェイスシールドの配布や、手袋の着用、レジ前の透明カーテンの設置をするなど、顧客と従業員の距離が近くなりやすい場面での感染防止に努めています。
接客の一つとして行われていた、お釣りの手渡しを中止し、コイントレーを使用して不必要な接触を避ける店舗もあります。
さらに店内ではイートイン席の利用制限や、レジ前の床にあらかじめ並び位置のしるしをつけることでソーシャルディスタンスの確保、入口ドアを開放し店内の換気をしています。
他にはトイレ、ごみ箱、灰皿などの施設サービス利用を一時停止することで、感染防止に努めている店舗もあります。
本部からの加盟店休業支援
コンビニ各社では、売り上げや客数の減少、従業員の感染により休業や時短営業の店舗への支援や融資を実施しています。
ファミリーマートでは、感染者発生時の臨時休業支援として、店舗へ災害支援金として10万円を支払い、営業再開前の店舗消毒費を本部が負担しています。さらに、感染拡大のため経営状況が変わった加盟店の特別措置として、フランチャイズ契約内容の一部緩和や、日本政策金融公庫特別貸し付けの本部一括申込などを行いました。
セブンイレブンでは、加盟店感謝金として店に10万円、従業員に特別感謝手当として店ごとに6万円分のクオカードを支給しました。さらには感染者が発生した場合、店舗へ休業日数に合わせて見舞金を支給するそうです。加えて、1店舗あたり最大500万円の融資制度や、仕入れ等の支払い代行に伴う利子の期間限定免除などを発表しました。
ローソンでも感染者が発生した店舗では7日以上休業した場合見舞金を支給されます。
各社補償内容や金額は異なりますが、新型コロナの影響だけでなく、働き方改革、人材確保など、日々負担が大きくなる各店舗が営業継続できるようにさまざまな支援が広がっています。
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コロナ支援・取り組み
コンビニ各社は消費者や医療従事者に向けて新たな取り組みをスタートさせました。
過去に災害時などの支援でも行われていた募金活動に加え、現在の生活様式に合わせた取り組みとしての飲食・日用品のデリバリーサービスや、医療従事者や感染者への寄贈に取り組んでいます。
ローソン、Uber Eatsの導入
ローソンでは2019年8月より都内を中心にフードデリバリーサービス「Uber Eats(ウーバーイーツ)」を開始し、2020年5月、東京都大阪中心に実施店舗を約500店舗まで拡大する計画を発表しました。
約200種類の商品がデリバリー対象商品になり、通常の食品デリバリーに加え、酒や日用品、雑誌の購入も可能です。
ローソンでのUber Eatsの売り上げは、2020年4月時点で2月と比べ2.8倍伸び、2019年11月より6ヶ月連続売り上げを伸ばしていました。
外出自粛などによる巣ごもり需要に合わせて他県へのサービスの拡大が決定しました。
施設に支援品を寄贈
コンビニ各社は医療機関や新型コロナウイルス感染者が滞在する施設へ食品や医療器材の提供を行っています。
ファミリーマート中日本エリア本部では第一感染症指定医療機関指定病院で働く医療関係者に向けて菓子や水、子供たちが作ったメッセージ付きぬり絵を届けました。
他にも新型コロナウイルスによって困窮する人々をサポートする取り組みは、コンビニ各社から日々発表されています。
感染者や医療従事者が滞在する施設への食料品の寄贈や、食事手配サポートの実施、ひとり親家庭に向けて食料品や遊具をセットにしたボックスの配布などが行われています。
あらゆる募金活動
コンビ二各社は店頭での募金に加え、系列銀行や店内の通信端末を使用し、新型コロナウイルスのための支援活動をしています。
ファミリーマートでは、クラウドファンディング運営会社と協力し、拡大防止活動基金の受付を店舗にある通信端末「Famiポート」より受け付けました。
日本赤十字社への募金も、この通信端末を通じて受け付けています。
ローソンでは店頭募金箱に加え、通信端末「Loppi」を通じた募金、オンラインでポイントカードのポイントを現金換算し、募金できるポイント募金、ローソン銀行を通じて振込募金を行いました。
セブンイレブンの親会社にあたるセブン&アイ・ホールディングスは、そごう、セブンイレブンなどの各グループ会社の約22,000店舗で支援募金を募り、募金を元手に全国の救急指導医施設に向けて不足する医療器材の提供をしました。
従来の現金による募金だけでなくオンラインや機器を通じてできる募金形式は、他者との接触を避けながら支援ができるため、現在の感染拡大防止に則しているといえます。
コンビニのあらゆる施策を今後の参考に
5月末より自粛期間が解除され、コンビニ各社の客数は徐々に戻り、売り上げも回復しつつあるものの、新型コロナウイルスの第二波は世界的にも懸念されており、完全な収束の見込みは経っていません。
コンビニ各社は、顧客のライフスタイルの変化や従業員の働き方改革などに合わせ、便利な24時間営業店舗から営業時間の短縮や店舗の無人化などの取り組みを新型コロナウイルスが流行する前から実施していました。
Withコロナ時代はライフスタイルの変容や店舗立地による差が進むため、地域にあわせたさらなるサービス変革が求められることが予想されます。
時代や情勢に合わせた加盟店・地域社会への支援策や取り組みは、コンビニや小売店に今後も参考になるでしょう。
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