緊急事態宣言が解除されてもなお、新型コロナウイルスへの警戒状態は続いており、これからはウィズコロナ時代として新しい生活様式に対応することが求められます。
そんな中で、非接触により感染リスクを軽減できる「キャッシュレス決済」に注目が集まっています。2020年6月23日には、全国に店舗を構える人気イタリアンレストラン「サイゼリヤ」がキャッシュレス決済導入の本格化や、小銭の受け渡しを減らすためメニュー価格を変更するといった発表をしました。
本記事では、サイゼリヤが実施した取り組みと、キャッシュレス決済の需要の高まりについて解説します。
サイゼリヤが価格変更とキャッシュレス決済導入
サイゼリヤは、新型コロナウイルス感染拡大によって生まれた新しい生活様式に合わせて、メニューの価格変更、キャッシュレス決済導入を開始することを発表しました。これにより、現金の利用を減らし、店員とユーザーの接触機会を減らすことが期待できます。
7月からメニューの価格変更
イタリアンレストランを経営する株式会社「サイゼリヤ」は、2020年7月1日からグランドメニューの価格を変更すると決定しました。
グランドメニューの税込価格の末尾は00円、または50円に統一することで、1円、5円、10円といった端数の硬貨の使用を減らし、小銭を通した接触機会を減らす取り組みを実施します。
たとえば、399円(税込)は400円(税込)に、169円(税込)は150円(税込)となります。
この取り組みにより、硬貨の取り扱い80%削減を目標にしています。
8月からキャッシュレス決済の導入
サイゼリヤはテナントやモールの出店基準に応じてクレジットカード決済や電子マネーの利用が認められていますが、基本的には現金による決済が主流でした。
しかし、ウィズコロナ時代の新しい生活様式が求められることを受け、2020年8月から今まで導入が遅れていたキャッシュレス決済を展開していくことを表明しました。
キャッシュレス決済は、店員とユーザー同士の接触の機会減少に効果があるとされています。
一部店舗では訪日外国人の増加によるキャッシュレス需要の高まりや普及に合わせて、以前から導入の実証実験が実施されています。こういった検証実験の結果からも導入に踏み切った理由の一つだと考えられます。
顧客の声
サイゼリヤの価格設定変更の発表を受けて多くの声が挙がりました。
もともと価格設定が低いことが定評となっているサイゼリヤに対して、「値上げかと思ったら1円だけ」「値上げは仕方ないなと思ってたら価格がほとんど変わっていない。むしろ下がっている商品もある」「1円の値上げを申し訳なさそうに言ってるの謙虚すぎる」などの肯定的な声が挙がりました。
また、キャッシュレス決済導入に関しても「現金を使いたくないから大賛成」「サイゼリヤがとうとうキャッシュレス始める」など、新しい生活様式にいち早く対応したサイゼリヤに注目する様子が見られます。
サイゼリヤがキャッシュレスを導入しなかった理由と導入する理由
サイゼリヤは今まで現金による決済を基本とし、キャッシュレス決済導入は推進していませんでした。しかし、日経ビジネスが2019年に行った代表取締役社長 堀埜一成氏へのインタビューによると、キャッシュレス決済導入自体は以前から検討されていたようです。
キャッシュレス決済を導入しなかった理由
サイゼリヤは全国に展開する大型チェーンにもかかわらず、今まではキャッシュレス決済の導入を推進していませんでした。
その理由として堀埜氏は、
1,100店も店舗があるとキャッシュレス決済の端末を整備する費用があまりに高額になってしまう
キャッシュレス決済は開発が急激に変化しているため、そういったハード面に費用をかけたくない
と述べています。
キャッシュレス決済を導入する理由
サイゼリヤが今回の導入に至った理由として、キャッシュレスを導入するタイミングを計っていたことが考えられます。
同インタビューで堀埜氏は
最終的にはキャッシュレスはやるんです。究極の後出しじゃんけんをするつもり
と述べており、キャッシュレス決済に関してタイミングをうかがっていたようです。
堀埜氏はキャッシュレスにおける手数料に関しても、導入を妨げる要因としては考えていませんでした。
キャッシュレスという決済方法が徐々に普及し、新型コロナウイルス感染拡大により多くの人がキャッシュレスを利用するようになったこのタイミングで導入に至ったと考えられます。
新型コロナで進むキャッシュレス決済の導入
感染拡大防止において注目されているのが、素早い支払いや、接触機会を減らすことを可能にするキャッシュレス決済です。新型コロナウイルス感染拡大によって多くの人がキャッシュレス決済を利用するようになりました。
また、現在ではカードやスマートフォンをかざす必要もない「タッチレス」決済の開発も実施されています。
新型コロナで6割がキャッシュレス決済増
政府は、経済施策としてポイント還元キャンペーンを実施していましたが、キャッシュレス決済は新型コロナウイルス感染拡大防止策としても注目されました。キャッシュレス決済により会計時の接触を減らすことに期待が高まっています。
クレジットカードの情報サイト「CREVIEW(クレビュー)」が主導する「キャッシュレスラボ」が、2020年5月1日〜6日に実施したキャッシュレス決済を利用している全国20~50代の男女200名を対象としたアンケートによると、6割の人が新型コロナウイルスの影響でキャッシュレス決済の利用が増えたことが分かりました。
また、「これまで現金を使っていた場面で、キャッシュレスを利用する機会が増えた理由を教えてください」という質問に対して、「お得に買い物できる」という項目が27%に上りました。
その一方で、「接触による感染リスクを下げる」ことに関連する項目(「現金を持ち歩かなくてよい」「お会計がスピーディ」「現金のやり取りによる接触リスクを避けられる」「現金取引で発生する手数料がかからない(ATM引き出しなど)」)の回答を合計すると、6割以上となりました。
6月末まで経済産業省主体で実施されていた「キャッシュレス・ポイント還元事業」により、全国的にキャッシュレス決済が一定数普及しましたが、事業終了後も、キャッシュレス決済は「ウィズコロナ時代の決済手段」として定着していくと考えられます。
キャッシュレス決済には「コンタクトレス」「タッチレス」がある
キャッシュレス決済には「コンタクトレス」と「タッチレス」の2種類の方法があります。
「コンタクトレス」は、スマートフォンやカードをかざすだけで支払いができる決済方法です。コンタクトレスによってサインを記入したり、暗証番号を入力する必要がなくなるため、よりスピーディーな支払いが可能になります。
さまざまな企業がコンタクトレス決済を導入しており、セブン&アイ・ホールディングスは6月11日から、全国のセブン-イレブンでクレジットカードやデビットカードなどによるコンタクトレス決済の導入が開始されています。
さらに、現在では「タッチレス」決済の開発も進められています。タッチレスではスマホなどの端末から至近距離で感知できる無線を利用することにより、バックの中に入れたままレジの前に立つだけで決済が完了したり、ドライブスルーで窓を開けてスマホを提示する必要がなくなります。
タッチレス決済の導入検証実験も実施されており、より接触の機会を減らす決済手段として注目されています。
Withコロナ時代のニューノーマルへ
非常事態宣言は解除されたものの、感染拡大を防止のために新しい生活様式が求められています。
サイゼリヤは、現金の使用を減らすことやキャッシュレス決済導入を本格化させる取り組みを発表しました。
キャッシュレス決済は、利便性を高めるだけではなくWithコロナ時代のニューノーマルとして重要な側面にもなるため、今後も需要が続くと考えられるでしょう。
また消費者の行動変容も起こっており、店舗選びの基準の一つとしてキャッシュレス決済を導入しているかどうかも考慮される傾向にあります。
Withコロナの時代で、新型コロナ対策としてどのようなアプローチをしていくかが今後ますます重要となるでしょう。
<参照>
株式会社サイゼリヤ:7月1日グランドメニュー改定 ~新しい生活様式を視野に入れての改定~
Impress Watch:「サイゼリヤ」がついにキャッシュレス決済。一部店舗で実証実験中
日経ビジネス:現金決済にこだわる「サイゼリヤ」、社長が真意を明かす
PR TIMES:【コロナ禍のキャッシュレス事情調査】キャッシュレス利用は約6割増!日用品での利用も増え、お得さへの期待一層高まる
PayPay:コンタクトレス決済とは?対応クレカやQRコード決済との違いも解説
特選街web:【タッチレス決済とは】キャッシュレスよりスピーディーに!スマホをかざさず買い物できる技術
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