飲食店が低評価の口コミを受ける理由はどこにあるのでしょうか。口コミラボでは前回、「高評価の口コミには共通する評価要素がある」という仮説を基に飲食店の口コミを分析し、「味」が最重要要素である実態を明らかにしました。
今回は「低評価の口コミには共通する評価要素がある」という仮説を立て、130件の口コミを分析してみたところ、低評価の場合「接客」が最重要要素であることがわかりました。
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口コミが低評価になる理由は「接客」「味」「価格」
今回調査も前回同様に以下の方式で行っています。
- Google マップの口コミにおいて総合評価が3.3から3.8の首都圏の飲食店が対象
- 総務省の定める「日本標準産業分類」の飲食店以下の13小分類ごとにそれぞれ3店ずつ無作為に抽出
- それぞれの飲食店から3〜4件ずつ5つ星評価の口コミを無作為に選出
- 合計130件の口コミに含まれている評価要素を以下11項目に分類
- 店舗のシステム(食べ放題、おかわり事由など)
- メニューの豊富さ
- 味
- 量
- 価格
- 料理の見た目
- 店内の環境
- 接客
- 店舗の立地
- 営業時間
- 感染対策
言いかえれば「『ふつう』と評価される飲食店の口コミの中で、★1がつけられた口コミを抽出して書かれている内容を分析してみた」という調査です。
その結果、1つ星口コミに最も多く含まれた評価要素は「接客」で全体の約32.5%、2番目に多く含まれた評価要素は「味」で全体の約28.4%、3番目に多く含まれた評価要素は「価格」で全体の約10.8%となりました。
この3要素は高評価の口コミに含まれる評価要素でも上位3要素となっていたものであるため、「接客」「味」「価格」の善し悪しは口コミの評価に大きな影響を及ぼすと考えられます。
高評価の口コミの重要性の順序は「味 > 価格 > 接客」であったのに対し、低評価の口コミは「接客 > 味 > 価格」と重要な要素が変わっている点にも注目です。
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1. 接客:コミュニケーションを取る姿勢が大切
今回調査した1つ星評価の口コミで最も多く言及されていた要素が、接客の悪さです。
具体的には「入店しても声をかけられない」「席の移動を頼んだら露骨に嫌な顔をされる」「注文した料理が売り切れていても謝罪がない」など、顧客目線での行動ができていないことにより顧客が嫌な思いをする例が多く見受けられました。
また「従業員同士の私語が多い」「上司らしき人物がほかの従業員を店内で叱りつけるため店内の雰囲気が悪くなった」など、従業員の行動が原因で顧客に迷惑をかけている例も中には見受けられました。
なお、「二度とこない」といった強いネガティブフィードバックとともに語られることが多かったのも接客関連であったことも注目に値するでしょう。
もしも接客に関するネガティブな口コミがあった場合には、顧客目線に立った接客を心がけるよう従業員を指導するほか、ミステリーショッパーを依頼し第三者目線から接客を評価してもらうことも改善につながるでしょう。
一方、接客に関する高評価の口コミでは、気配りの良さや従業員の笑顔についての記述が多く見受けられました。
飲食店に限らず、全ての接客業において従業員一人ひとりの態度や行動はその店の態度や行動として顧客に伝わります。顧客目線に立った気配りと笑顔を欠かさないことで、低評価が高評価へと転じる可能性は大いに存在します。
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2. 味:顧客の味の好みを把握しよう
今回調査した1つ星評価の口コミで2番目に言及されていた要素が、味の悪さです。
「味噌汁が薄い」「コクがない」といった味付けの薄さに対する口コミが多く見られたほか、中には「塩味が濃すぎる」といった味付けの濃さに対する口コミも一部では見られました。
また「ご飯がべとべとしている」「揚げ物に生の小麦の塊がある」など、調理方法が原因で味が落ちてしまっている例も中には見受けられました。
では、どのように対策すればよいのでしょうか。味の基準は一人ひとり異なることから、万人受けする味の料理を作ることは難しいのも事実です。
たとえば、こってりなラーメンを看板商品にしている店舗に、たまたま健康志向な顧客が来たとしましょう。その人は「油っこすぎる」というネガティブな口コミを書いたとします。
これに対応してあっさりなラーメンに味を変えるべきでしょうか。答えはNOでしょう。
なぜなら、そのこってりなラーメンにはファンがついているかもしれないからです。主要な客層の味の好みに合わせることで最も多くの顧客を満足させられるほか、ゆくゆくは常連客の獲得にもつながります。
そのため、前回のいい口コミの分析でも触れたとおり、常連客らしきユーザーからの「味が落ちた」といった口コミが投稿されていないかをチェックしつつ、自店の味を磨くことが重要です。
3. 価格:付加価値を顧客に伝える工夫を
今回調査した1つ星評価の口コミで3番目に言及されていた要素が、価格の高さです。正確に言えば体験の価値に見合わない価格の高さであったことがネガティブな口コミで触れられることが多いようです。
単純に価格が高いことそのものを批判している口コミは少なく、多くの口コミでは「値段に合った肉の品質ではない」「中ジョッキのビール1杯が1,000円近くした」「ビール3杯と料理2品で5,000円程度した」のように価格に見合わない品質や量であった、つまり正しい意味でコストパフォーマンスが低かったことを批判していることが特徴的です。
価格設定は安ければ良い、高ければ良くないという単純なものではありません。価格に見合う対価を提供することはもちろん、付加価値を提供することで顧客は満足感を得ます。
そこで重要なのは「自店提供する体験に対する適正価格はどのくらいだろうか」という問いです。たとえば、近隣の類似した条件の店舗や主要客層の金銭感覚を調査し、近隣店舗と同程度の価格か主要客層にとって来店しやすい価格に設定することなどが考えられるでしょう。
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顧客はここを見ている!今すぐ改善すべき3つの要素
ここまで、飲食店における低評価の口コミで特に多く言及されていた「接客」「味」「価格」について詳しく解説しました。
これら3要素のほかにも、店内のたばこ臭さ、衛生面や感染対策の不備、インターネットに掲載している情報が実情と異なるという点で多くの低評価口コミが見受けられました。
1. 店内のたばこの臭い:改正健康増進法を参考に禁煙、分煙を
今回調査した1つ星評価の口コミのうち、「環境」は全体の約9.3%と4番目に多く言及されており、中でも店内のたばこの臭いに関する記述が目立ちました。
なお、2020年4月には「健康増進法」が改正され、2020年4月1日以降に開業する飲食店か、既に開業している飲食店で客席面積が100平方メートル以下の所では等しく屋内の全面禁煙化か分煙化が義務付けられるようになりました。
改正健康増進法の対象となる飲食店では、店内での喫煙を認める場合には喫煙専用室を設ける必要があるほか、換気の確保や禁煙区画との分離などを法律に則った形で実現する必要があります。
改正健康増進法の対象となる飲食店が店内での喫煙を認めつつ上記の措置を怠った場合、最大50万円の罰金が科せられます。
また、対象とならない飲食店でも同様の措置を採ることで客席環境が向上できるため、客層に合わせて適切な対策を講じるべきでしょう。
効果的な分煙対策|2020年4月から施行の改正健康増進法とポイントを解説
2020年4月から「改正健康増進法」が施行され、飲食店などでの分煙対策が必要となりました。改正健康増進法は、喫煙者のタバコから発せられる煙を非喫煙者が吸い込む「受動喫煙」を防止することを目的としています。2018年7月に健康増進法の一部を改正する法律が成立し、2020年4月1日より全面施行となりました。改正健康増進法には、各施設にあわせた禁煙の方針や、喫煙室の設置に関する規定が含まれています。は学校・病院・飲食店・小売店といった施設を「第一種施設」「第二種施設」の2つに分類しており、それぞ...
2. 衛生面や感染対策:店内飲食は特に感染対策が求められる
今回調査した1つ星評価の口コミのうち、「衛生」は全体の約7.2%と5番目に多く言及されており、次いで「感染対策」は全体の約3.6%と6番目に多く言及されていました。
飲食店にとって衛生的な環境の確保は基本中の基本であり、食品衛生責任者を配置し衛生的な環境を保つよう食品衛生法にて定められています。
しかし、調査した口コミでは「ゴキブリがいる」「従業員の指が料理に触れている」「床に落ちたレモンを洗って再利用している」など、とても衛生的とはいえない実態が顧客に見えてしまっている店舗の存在が明らかになりました。
また、新型コロナウイルスの流行が続く現在では、飲食店における感染対策は喫緊の課題となっています。
しかし、調査した口コミでは「従業員がマスクをしていない」「隣の客との間隔が狭い」といった報告が目立ち、一部の飲食店では感染対策が徹底されていないことがわかりました。
料理に虫が混入しないよう定期的に殺虫すること、従業員の手が料理に触れないよう手袋を着用してもらうこと、感染拡大防止のために従業員にマスクを着用してもらうこと、そして客席と客席の間隔を空けることなど、基本的な点に立ち返って自店の衛生と感染対策を見直すことで、多くの低評価の口コミで言及されている問題は解決できます。
いまこそ「第3波」に備える:チェックシートですぐわかる感染対策「業種別新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドラインまとめ」
北海道や大阪府を筆頭に、全国的に新型コロナウイルスの感染が再拡大しており、い「第3波」とも2020年前半の新型コロナウイルスの感染拡大期に、飲食業や小売業、宿泊業などの各業界団体が、独自の感染拡大予防ガイドラインを定めてきました。これをふまえ、口コミラボの姉妹メディアである訪日ラボは「業種別新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドラインまとめ」を作成しました。このガイドラインでは、業種ごとに事業者側の対応や利用者向けの対策などをチェックシート方式でまとめています。本記事では資料の中から飲食店編...
3. 掲載情報の不一致:定休日や営業時間は必ず最新のものを
店側も顧客も大きな損失につながる事例がインターネットにおける掲載情報と実情の不一致です。
調査した口コミでは、インターネットに掲載している営業時間や定休日と実際のものが異なっており、インターネットの情報を参考にして飲食店へと足を運んだにもかかわらず営業していなかったことがいくつかの飲食店において指摘されていました。
インターネットに掲載している情報と実情が異なることは、自店にわざわざ足を運んでくれた顧客を失望させ、いずれは常連客になるかもしれない新規顧客を獲得し損ねる機会損失につながります。現在のコロナ禍や緊急事態宣言をうけ時短営業をしているものの、Googleマイビジネスに登録できていなかった事例も増加しています。
このような事態を避けるため、Google マイビジネスや各種予約サイトなどの情報は常に最新のものに保つ必要があります。
特にGoogle マイビジネスでは臨時休業や臨時の営業時間の変更なども告知できるため、営業時間の変更はいち早くGoogle マイビジネスに反映させるとよいでしょう。
また、Google マイビジネスなどでメニューを掲載している場合、メニューに変更があった場合は素早く反映させることで、変更前のメニュー目当てで来店した顧客を失望させてしまう事態も避けられます。
Googleマイビジネスで臨時休業・特別営業時間を設定・解除する方法/手順を詳しく解説
※Googleマイビジネスは、2021.11.5よりGoogle ビジネスプロフィールという名称に変更されました。これに伴い、2022年にスマートフォン向けGoogleマイビジネスのアプリが終了します。アプリ終了前に、これまでと同じように快適に使えるよう今から準備しておきましょう!
低評価の口コミを知れば、店舗に足りていない要素がわかる
前回の記事と今回の記事では、5つ星の口コミと1つ星の口コミをそれぞれ分析し、含まれている評価要素を検討しました。
「接客」「味」「価格」は高評価の口コミと低評価の口コミのどちらにも多く含まれていたため、これら3要素の善し悪しは口コミの評価に直結しやすいと考えられます。
また、高評価の口コミとは異なり、低評価の口コミでは衛生環境や感染対策に言及したものが多く見られました。
新型コロナウイルスの流行により人々の衛生観念が向上している現在では、飲食店もより厳格な衛生観念を取り入れ、安心して入店してもらえる店になる必要があります。
ほかにもインターネット上の情報を実情と一致させることなど、わずかな労力で改善できる箇所は数多く存在します。
低評価の口コミの原因となる要素を一つずつ改善すれば、口コミの評価が高まると同時により魅力的な飲食店へと成長できるでしょう。
口コミラボ 最新版MEOまとめ【24年9月・10月版 Googleマップ・MEOまとめ】
そこで口コミラボでは、MEO・口コミマーケティングに役立つ最新ニュースをまとめた「Googleマップ・MEO最新情報まとめ」を毎月発行しています。
本記事では、主に2024年9月・10月の情報をまとめたレポートのダイジェストをお届けします。
※ここでの「MEO」とは、Google上の店舗・施設情報の露出回数を増やしたり、来店行動につなげたりすることで、Google経由の集客を最大化させる施策を指します。
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