自粛生活によってデリバリーやテイクアウトによる食事が一般化したため、コロナ禍における外食はより特別なものへと変化しました。
そのため、飲食店は料理のクオリティだけでなく、食事の時間が充実するような付加価値のあるサービスが求められています。
本記事では、面白いサービスを提供している飲食店の事例5選、コロナ後の消費者と飲食業界の動向を紹介します。
飲食店面白いアイデア事例5選
面白いサービスを企画するためには、成功事例を参考に食事の時間が賑わうようなアイデアを知る必要があります。ここでは、ゲーミフィケーションを活用したサービスや健康促進など、さまざまなパターンの事例を5つ紹介します。関連記事
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1. ゲームクリアで割引
特定の料理またはドリンクを注文することでゲームへの参加権を獲得し、店舗が指定するゲーム条件をクリアすれば特典がもらえる、顧客参加型のサービスは顧客の興味を引きます。懐かしいおもちゃやトレンドの遊びを取り入れることで、より注目度を高めることもできるでしょう。
たとえば、ある居酒屋ではスペシャルドリンクを注文した顧客に対し、黒ひげ危機一髪で人形を飛ばせたらドリンクをもう一杯プレゼントするサービスをしています。
ゲームによるドキドキと昔遊んだ思い出を共有することで、より一層、食事の場が賑やかになります。食事の時間にいつもと違ったイベントが発生するので、店舗の印象が残りやすく、楽しかった思い出が再来店のきっかけになるかもしれません。
2. ストップウォッチの秒数ごとに割引
目をつむりストップウォッチで10秒ピッタリを狙ってもらい、ピタリ賞だけでなく誤差ごとに特典を獲得できるサービスの提供事例があります。難しい操作や複雑なルールの理解がいらないストップウォッチなら子どもからお年寄りまで参加できるので、幅広い顧客層の集客を期待できます。
たとえば、10秒ピッタリなら20%OFF、前後1秒の誤差ならワンドリンクサービスなど、細かくプレゼントを用意します。
こうすることで顧客が特典を獲得できる可能性が高まり、ゲームに積極的に参加してくれるかもしれません。ストップウォッチは100円ショップで購入できるので、すぐにでも導入できるハードルの低いサービスです。
3. ルーレットで当たった料理をサービス
顧客にルーレットを回してもらい、当たった料理またはドリンクをプレゼントするサービスも顧客の関心を引き込むサービスとして機能します。この際、新商品や注文数を伸ばしたい料理を特典に組み込めば、ルーレットをプロモーション活動としても適当でしょう。
タブレット端末にルーレットアプリを入れれば店員との接触も最小限となり、通常業務に負担を与えずに面白いサービスを導入できます。
他にも、回転寿司で10皿ごとに一回ルーレットに挑戦でき、当たれば商品がもらえるサービスを提供している事例があります。この場合は、一定数の注文をしなければルーレットを回せないことで顧客の購買意欲を促進し、さらに皿のカウント業務をカットできます。
4. 名前割・血液型割など
特定の条件に一致した顧客にだけ割引が適応されるサービスです。たとえば、店舗名やオーナーの名前と一致する人だけが注文できるスペシャルメニューを提供したり、曜日ごとに割引がもらえる血液型割などがあります。
これらのサービスの場合、公的な身分証明書を提示する必要があり、顧客によっては面倒に感じるでしょう。初回の身分証確認だけで済むようにメンバーズカードを発行するなど、リピートしやすいような工夫が必要です。
他にも、健康的な食事を提供する飲食店で体脂肪率が高いほど会計時の割引率も高くなるサービスをしている事例があります。体脂肪率が気になって健康的な食事を求めている顧客にとって、お得に健康な食事を楽しめる魅力的なサービスです。
5. 子守りをする主夫にドリンクサービス
皿洗いや子守りなど、主夫をしている写真を提示した顧客にドリンクを提供するサービスの実施事例があります。このサービスは、育児と家庭の両方を一人でこなす女性を応援し、ワンオペレーションを撲滅するためのキャンペーンとして始まりました。
サービスを知ることで夫が妻に歩み寄るきっかけになったり、主夫としての働きが家庭外で賞賛されたり、円満な家庭を築くために活用できます。
また、サービスに共感する人やすでに主夫として家庭を支えている人など、これまでとは違った新規顧客層を開拓できる可能性があります。
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<参照>ママの辛い悩み…「ワンオペ育児」撲滅キャンペーンとは?(2018年2月13日)|ウーマンエキサイト(2/2)
顧客に満足してもらうための要素
新型コロナウイルスが流行してから、飲食店における食事の楽しみ方が変化してきています。緊急事態宣言や不要不急の外出を控える生活などの影響により、飲食店で食事をする機会はあった圧倒的に減少しました。
その結果、多くの消費者は飲食店に足を運ぶまでにしっかりと情報収集をし、一回の食事を最大限楽しめるようにしたいと考えています。このような状況で飲食店が集客を伸ばすためには、料理だけでなく店舗で過ごした時間が記憶に残るようなインパクトのあるサービスが必要かもしれません。
コロナ後の飲食店、今後はさらに価値を求められる
コロナ禍で自粛生活が求められたり、デリバリーやテイクアウトのサービスが発展したり、飲食店は店内で食事をすることにより一層価値を見出す必要があります。「より多くの顧客に興味を持ってもらうこと」「来店の決め手になる魅力的なポイントをつくること」「食事の時間を楽しめるようなサービスを用意すること」が大切になるでしょう。
ここでは、飲食業界や消費者の動向を紹介するとともに、飲食店が企画を考えることの重要性について解説します。
これからの消費者マインド
コロナ収束後、飲食店への客足は回復傾向にある一方、外食を控える自粛派も多くなることが予測されています。ホットペッパーグルメ外食総研は「2021年5月25日の緊急事態宣言解除の外食実態調査・調べ」を発表しており、これからの外食に対する消費者のマインドが読みとれます。
回答者の54.0%が「コロナ以前の頻度で外食する」「頻度は抑えるが外食はする」と前向きな考えを持ち、外食自粛派であっても「安全が保証されるまでは行かない」と考えている回答者は3.8%に過ぎません。
この結果から、今後は一回の外食にかける時間はより重要視されるようになり、感染症対策を徹底するとともに食事の時間を彩るようなサービスが重宝されるでしょう。
感染症対策も当然重要
緊急事態宣言が解除されたとしても、ほとんどの消費者は外出を控えた方がいいと考えているため、引き続き感染症対策への取り組みは集客に大きく影響するでしょう。たとえば、入店時の検温や消毒、3密対策、飛沫感染と接触感染の防止など、これらの感染症対策をスムーズにできる必要があります。
利用したいと思える店舗が限られる状況でれば、飲食の体験は通常よりも印象深くなるでしょう。
良質な顧客体験となるアイデアが集客を左右
消費者が好むコンテンツは時間の経過とともに変化していきます。飲食店においても、消費者の変化や飲食業界の動向にアンテナを張ることが重要です。数々の飲食店が独自の魅力で顧客に訴求する中で、特定の条件をクリアした顧客にサービスを与えることは差別化の一つのやり方といえるでしょう。
外食はただ空腹を満たす目的ではなく、一方で上質な料理を口にしたいというだけでなく、どのような空間でどのような接客を受けるのかといった体験に価値を見出す消費者は少なくありません。良質な顧客体験となるアイデアは、集客力にも良い影響を与えるでしょう。