関係人口とは?定義・市場規模・日本全国での取り組み事例・今後推進すべき施策を解説

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地方創生の大きな柱であったインバウンド需要はコロナ禍で落ち込みましたが、国内では地方への関心が強まっています。

地域の魅力発信や活性化につながる活動など「地域との関わりを持ちたい」もしくは「寄付やボランティアなどを通して特定の地域を応援したい」というニーズも生まれています。

また各人の状況や要望に合わせた柔軟な勤務体系などが企業によっては採用されるようになり、新しい働き方であるワーケーションを実践する人もいます。

政府が関係人口の創出や拡大を推進している中、このような動向に期待が高まりますが、「関係人口」の定義や考え方を認知している人は三大都市圏でも3%に満たないのが実情です。

本記事では、改めて言葉の定義や実際の取り組み、今後の課題について解説します。

<参照>報道発表資料:三大都市圏の「関係人口」は1,000万人超!~「地域との関わりについてのアンケート」調査結果~ - 国土交通省

関係人口とは

関係人口は、「関係」という響きから発想する意味とはギャップがあるため、定義を正確に理解することが重要です。

地域づくりに関わる人だが、移住者や観光客は含まず

関係人口は、地域や地域の人々と、継続的に、多様な形で関わる人を指します。「少しでも関係のある人」と捉えられがちですが、定住する人(定住人口)や観光で往来する人(交流人口)は含まれません。具体的には、地域内にルーツがある人、過去に勤務や居住、滞在していた人、頻繁に往来する人、寄付やボランティア活動で支援する人などです。

関係人口の増加により、農山漁村などの地域で、その土地を活かした新しいビジネスや働き方の創出、地域コミュニティ機能の活性化などが期待されます。

「ファンベース」と「仕事ベース」の2つに分かれる

関係人口は、関わりを持つ要因によって2つに分類できます。

1つ目は、地域のイベントサポーターや現地で産業支援など、趣味や貢献活動がきっかけの「ファンベース」です。2つ目は、兼業や副業で地域企業と都市部を結んだり、地域にサテライトオフィスを構えたりするなど、ビジネスをきっかけとした「仕事ベース」です。

多様性ある都心部の人材が関わることで新たな価値創出

関係人口となる人数が増えることは、地域活性の大きな原動力になりますが、重要なのは、多様なキャラクターやバックグラウンドを持つ人々の「個」を地域が積極的に迎え入れることです。都市部と地方の人材が混ざり、画期的なアイデアを見出したり新しい風を巻き起こしたりすることが期待されています。

関係人口の市場規模と地方の取組み状況

関係人口に該当する人がどの程度いるのか、また、どんな関わり方をしているのかについて解説します。

全国に約1,800万人まで拡大

関係人口は全国で約1,800万人規模と推定されています。

中でも、東京、名古屋、大阪の三大都市圏では合計1,000万人を超えており、アンケート調査によれば「関わりある特定地域へ定期的に訪問している」と回答しています。

<参照>
2021年7月5日号>関係人口のつくり方 地域を支援する1800万人市場 | トラベルジャーナル

内訳は「直接寄与型」「就労型」「参加、交流型」「趣味、消費型」

関係人口の内訳は大きく4つに区分できます。

産業の創出や地域づくりプロジェクトへの参画、ボランティア活動といった「直接寄与型」、テレワークや副業、地域の企業で労働するなど「就労型」、地域の人たちとの交流やイベントに参加する「参加、交流型」、地域での飲食や趣味活動をする「趣味、消費型」です。

全国で25団体がモデル事業として採択されている

一方、総務省から採択を受け、モデル事業を担う地方公共団体は全国で25団体あり、関係人口のきっかけ作りや地域との継続的な関係形成、取り組み内容を発信する仕組み構築に貢献しています。(参考:https://www.soumu.go.jp/kankeijinkou/discription/index.html

各地のモデル事業や取組み内容

地域ならではの活動や担い手育成など、全国各地の創意工夫が活きたプロジェクトを紹介します。

事例1. 現地と東京で交流の場を作り、関係人口データベースで地域の魅力発信(青森)

「環十和田湖Gateway構想」を掲げ、地域資源の「食」に関して、現地と東京の両拠点でイベントを開催し、地域と関係人口をつなぐきっかけを作っています。

また、関係人口が地域の魅力をPRできる仕組みとして「関係人口データベース」を構築し、オンライン、オフライン両方で地域を盛り上げています。

今後は、県境を越えた人の流れを活性化させていく狙いです。

事例2. クリエイターなどを募り歴史的建造物を有効活用(茨城)

都内で関係人口の募集イベントを開催し、クリエイターやフリーランスをメインに精力的なメンバーを集め、スムーズな事業化を目指します。

歴史的建造物を中心とした空き店舗や施設に対し新たな価値を吹き込み、地域愛を醸成すると同時に、クリエイターにとって貴重な自己実現の場にもなっています。

事例3. 大学や協議会と連携し、卒業生の受け皿を整備(兵庫)

兵庫県のある自治体では、地元の卒業生を対象に地域へ貢献する担い手の育成に力を入れています。

卒業生の活動拠点を整備し、実践を支援するワークショップを開催したり、卒業生メーリングリストや地元出身の社会人とをつなぐウェブサイトを制作するなど受け皿が豊富です。

さらに、都市部の大学や関係人口のフォロー経験が豊富な協議会などとの連携も進めています。

事例4. 最新技術を使った農業ビジネスなど副業者へ認知拡大(熊本)

ICT/IoTを活用したスマート農業など、最新の知識を学べるセミナーやシンポジウムを開催しています。

副業志望者の興味を促進したり、テクノロジーのメリットを市民が理解できるよう働きかけ、新たなビジネス創出につなげる狙いです。

また「やつしろ未来創造塾」を立ち上げ、他市の未来創造塾修了生を招いたセミナーを実施するなど、市をまたぎ地域ビジネスについて学べる場を展開しています。

事例5. 移住を視野に入れた「くらし体験」でギャップを回避(和歌山)

他県から移住する人が馴染めるギャップ無く馴染めるように農家民宿などに数日間宿泊し、製炭事業からIT事業まで現地ならではの仕事を体験するコースを用意しています。

若年の移住希望者が増加していることから、都会での暮らしに近い地方都市部にもエリアを拡大し、積極的な学生受け入れを実践中です。

今後の移住や交流増加に向けた施策

将来に向けた施策として、関係人口となる人材へ間口を広げ、移住や交流など継続的なつながりを維持する施策が必要です。

地域との接点を増やし、関係人口の「貢献したい気持ち」に応える

地域づくりに貢献したい人材が増加傾向の中、その想いを受け止め、チャンスを増やす取組みが必要になってきます。

地域と関われる活動やパブコメ、まちづくり会議への参加の機会や広報誌の送付といった接点の積み重ねで、継続的なコミュニケーションを強化することが重要です。

地域ニーズと関係人口をつなぐコーディネーター人材を確保する

関係人口も必要ですが、同時に、地域の状況や声を把握し、活動へと運ぶコーディネーターも必要不可欠です。

関係人口となる人材に対し、メディアやスクールなどを通してビジネスの可能性や関わりのチャンスを可視化し、地域と関係人口を結ぶ重要なハブの役割を果たします。

関係人口の拡大と深化による、新たなビジネスチャンスに期待

都心部の人は地域に目を向け始め、地域は関係人口となる人材のスキルやアイデアを活かせる土壌作りが進んでいます。経済効果も期待され、2021年は更に活発化する見込みです。

そしてこれから先10年後、20年後には、継続的な活動の成果として地域と都心部の格差が減り、それぞれの持ち味を活かしたまちづくりが発展していく可能性もあるでしょう。

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