ここ数年、クラウドファンディングによる新製品の開発やプロジェクトの実行が普及しつつあり、CAMPFIREやMakuakeなどのクラウドファンディングプラットフォームも続々と登場しています。
また、新型コロナウイルスの流行により経営が悪化した企業が、クラウドファンディングにより資金を募る事例も増えています。
本記事では、飲食業界において現在募集中のクラウドファンディングを8例取り上げ、その取り組みの内容について解説します。
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コロナ影響による経営悪化で支援を募集
新型コロナウイルスによって多くの事業者が経営悪化に直面する中、クラウドファンディングを通してこの危機を乗り切ろうと考えている事業者がいます。
事例1. 博多炊き肉鍋レストラン「金蔦 六本木店」ご支援のお願い
「金蔦 六本木店」は、九州産の牛肉や豚肉と野菜を特製スープで炊いた博多炊き肉鍋を提供しているレストランです。
金蔦六本木店では新型コロナウイルスの流行を耐え抜く資金を調達するべく、300万円を目標にクラウドファンディングを開いています。
このクラウドファンディングの出資者には、同店の食事券や姉妹店の貸し切りプラン、そして自宅でお店の味を楽しめる博多炊き肉鍋セットをリターンとして提供しています。
募集ページ:博多炊き肉鍋レストラン 金蔦 六本木店ご支援のお願い
事例2. 湘南の名物店、「レストランジャミン」を何としても続けたい!
「レストラン&バー ジャミン」は、神奈川県藤沢市にあるカレーとアジア料理が名物のレストランです。
1993年の開店から今日に至るまで27年の歴史を持っており、フジテレビ系の番組「テラスハウス」でも店内の様子が放送されました。
しかし、新型コロナウイルスの影響で売上げが半減するなど、厳しい状況が続いています。
この状況を立て直す資金を調達するべく、ジャミンでは500万円を目標にクラウドファンディングを開いています。
このクラウドファンディングの出資者には、ステッカーやTシャツなどのほか、名物料理のキーマカレーが自宅で再現できるキーマカレーの素をリターンとして提供しています。
募集ページ:湘南の名物店、「レストランジャミン」を何としても続けたい!
常連客育成に!オーナー会員募集
飲食店の経営にはさまざまな目標が考えられますが、常連客の獲得はその中でも重要な目標のひとつです。
常連客は安定して消費してくれるほか、飲食店の情報をインターネットや口コミで発信してくれることで、常連客を通して新たな顧客が獲得できる可能性も十分に考えられます。
そこで、特別なサービスの提供や料金の割引などの「オーナー会員権」をリターンとするクラウドファンディングも登場しています。
事例3. 神楽坂に誕生した「新・日本料理」が楽しめる隠れ家割烹。オーナー会員募集
「日本料理 珀也(びゃくや)」は、東京都新宿区の日本料理店です。
「日本の豊かさを分解し再構築した」新日本料理を提供しており、味だけではなく食事の体験全てにこだわった割烹料理を提供しています。
珀也では50万円を目標にクラウドファンディングを開いており、出資者には食事券のほか、ファーストシャンパンの提供、コース料理の5%割引、貸し切り利用や出張料理などを特典としたオーナー会員権をリターンとして提供しています。
募集ページ:神楽坂に誕生した「新・日本料理」が楽しめる隠れ家割烹。オーナー会員募集
お店のメニューを商品に
新型コロナウイルスの流行をきっかけに、出前(デリバリー)で料理を提供することで自宅で料理を味わったり、食材(ミールキット)のみの提供で自宅で調理をしてもらうなど、さまざまな形態での飲食提供が広まりました。
また、技術の発達によるレトルト食品の多様化も進んでおり、現在ではカレーやシチューなどのみならず煮込み料理や味噌漬けなど、さまざまな料理がレトルト食品になっています。
一部の事業者では、このような飲食業界を支えるサービスやプラットフォームを設立したり、レトルト食品製造のような技術を広めるにあたり、クラウドファンディングを活用しています。
事例4. 【レストランの味を残そう、そして世界に!】飲食店の秘伝レシピをご家庭に届けたい
「Stay Restaurant」は、飲食店がStay Restaurant上に出品したレシピとミールキットを購入したユーザーに届けるプラットフォームです。
新型コロナウイルスの流行による経営悪化で店じまいを迫られた飲食店を救うべく、店を畳んでも食事の提供を続けられるサービスとして開発されました。
Stay Restaurantでは300万円を目標にクラウドファンディングを開いており、出資者には出資者が希望する店舗への登録交渉や、Stay Restaurantの制作者である緒方さんが以前経営していたレストラン「菜美ら」で人気だった料理のレシピとミールキットをリターンとして提供しています。
募集ページ:【レストランの味を残そう、そして世界に!】飲食店の秘伝レシピをご家庭に届けたい
事例5. オリジナルレトルト食品が10Pから作れる工房を全国に358か所つくりたい
「HORICOO」は、食品輸送を専門とする物流企業です。
同社では、新型コロナウイルスの流行で打撃を受けた飲食店の料理をレトルト食品にすることで、消費者の家庭で飲食店の味を楽しんでもらうべく、レトルト食品加工工場を全国に358か所設置するというプロジェクトを立ち上げました。
HORICOOは30万円を目標にクラウドファンディングを開いており、出資者には出品者の希望するレシピで製作したレトルト食品や、鰆(さわら)の味噌漬け、鶏もも味噌煮込み、魚の味噌漬け、すっぽん鍋などのレトルト食品をリターンとして提供しています。
募集ページ:オリジナルレトルト食品が10Pから作れる工房を全国に385ヶ所つくりたい
フードロスを削減
飲食の経営において、フードロス(食品ロス)の削減は大きな課題です。
消費者庁によると日本では年間約2,250万トンの食品廃棄物が産出されており、そのうちまだ食べられるのに廃棄される「フードロス」は約612万トンにのぼっています。
この問題を受け、一部の企業ではフードロスを抑えるためのプロジェクトを始めるべく、クラウドファンディングで資金を集めています。
事例6. 【フードロス削減】ホテルの朝食用として使用予定だった食材をご家庭へ!
「アサヒグラント」は、ヨーロッパ諸国の食肉加工品を輸入販売している企業です。
生ハムやサラミなど、食肉加工品の多くはホテルの料理に用いられています。
しかし、新型コロナウイルスが流行している現在ではホテルの客足も落ちており、このままでは大量の廃棄が発生してしまいます。
そこで、同社では1,000万円を目標にクラウドファンディングを開き、出資者にソーセージやベーコンなどをリターンとして提供しています。
募集ページ:【フードロス削減】ホテルの朝食用として使用予定だった食材をご家庭へ!
お店のメニューをパワーアップ
多くの飲食店は、常に提供する料理の刷新に取り組んでいます。
しかし、時には新たな料理を創るにあたり、資金面の課題が生まれることもあります。
そこで、一部の飲食店ではクラウドファンディングを用いて資金を集め、新たな料理の開発に取り組んでいます。
事例7. 薪窯でパンを焼いて里山を守る。愛媛県内子町、石畳のパン屋の挑戦
「石畳のパン屋」は、愛媛県内子町のパン専門店です。高齢化の進む内子町で、古民家を改装したパン屋を開き、地域振興に貢献しています。
内子町では昔から炭焼きが盛んに行われていますが、曲がったクヌギの木やそれ以外の広葉樹は利用されません。
同店ではそうした「炭として利用できない木材」を活用した薪窯(まきがま)を新築し、更に味わい深いパンを焼き上げるべくプロジェクトを立ち上げました。
石畳のパン屋では150万円を目標にクラウドファンディングを開いており、出資者には炭、パンの詰め合わせ、内子町のご当地食材、ランチ券などをリターンとして提供しています。
募集ページ:薪窯でパンを焼いて里山守る。愛媛県内子町、石畳のパン屋の挑戦
お店のファンによる応援
ここまで紹介したクラウドファンディングは、全て飲食店や飲食関連企業の事業者が自ら開いたものでした。
しかし、中には飲食店のファンが飲食店を応援するべく、クラウドファンディングを開いている案件もあります。
事例8. 池袋の「ナチュラルフードカフェ・トレプンティーニ」を応援させて!
「ナチュラルフードカフェ・トレプンティーニ」は、東京都豊島区の自然食品レストランです。
有機野菜や雑穀を使ったランチプレートや、野菜が豊富に摂れるスパイシーカレーを提供しており、お店はペットフレンドリーなため、近隣のペット愛好家にも好んで利用されていました。
同店は昨年から経営者の事情により数か月間にわたり休業しており、3月の再開を目標にしていたところに新型コロナウイルスの打撃を受け、現在では感染拡大防止策を実施した上で営業時間を短縮して営業しています。
トレプンティーニのファンの有志が、同店の運営資金となる100万円を目標にクラウドファンディングを開いており、出資者にはドリンクサービス、料理サービス、店内貸し切りなどをリターンとして提供しています。
募集ページ:池袋の「ナチュラルフードカフェ・トレプンティーニ」を応援させて!
飲食店のクラウドファンディングに使えるサイトを紹介
クラウドファンディングを開く際には、出資者に何らかのリターン(お礼)を提供することが基本です。
飲食店であれば料理や食品などをリターンとして提供できるため、飲食店とクラウドファンディングの相性は良いといえます。
クラウドファンディングのプラットフォームにはさまざまな種類がありますが、日本で最も規模の大きいクラウドファンディングプラットフォームは「CAMPFIRE」です。
他に2011年から稼働している老舗プラットフォームの「READYFOR」や、実店舗にて商品を展示・販売できることが特長の「Makuake」、試飲会や試食会が開ける「GREEN FUNDING」、そして手数料の安さが魅力の「MotionGallery」などがあります。
プラットフォーム、目標金額などは要検討
サービスごとに細かい規則や手数料などが異なるため、これから始めようとするプロジェクトに合わせたプラットフォームを選ぶことが大切です。
またクラウドファンディングを開く際には、目標金額の設定、目標金額を達成しなかった場合でも支援金を受け取るか、目標金額を達成した場合にのみ支援金を受け取るか、リターンとして何を提供するか、などの事前の検討が欠かせません。
自社に適したクラウドファンディングの形を見極め、資金調達を叶えましょう。
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