各業種におけるGoogleビジネスプロフィール(Googleマイビジネス)の活用方法について、Googleビジネスプロフィールダイアモンドプロダクトエキスパートの永山卓也氏とざっくばらんに語る連載企画「エキスパートに聞く!業種別GBP活用講座」。
vol.6の今回は、ビジネスホテル、シティホテル、民宿、旅館、ゲストハウスなどを含む「宿泊施設のGoogleビジネスプロフィール(Googleマイビジネス)活用」について伺います!
- 前回(vol.5)の記事はこちら→お土産屋のGoogleビジネスプロフィール(Googleマイビジネス)活用
※Googleマイビジネスは、2021.11.5よりGoogle ビジネスプロフィールという名称に変更されました。
現時点では投稿機能など、機能面での大きな変更は発表されていないため、従来のGoogleマイビジネスの機能に沿って解説していきます。
参照:Ads & Commerce Blog / Google ビジネス プロフィール ヘルプ
<プロフィール>
永山卓也 - Googleビジネスプロフィール ダイアモンドプロダクトエキスパート/「口コミコム 」テクニカルアドバイザー&「訪日ラボ」アドバイザー
ローカルビジネスコンサルティング、店舗マネジメント業を行い、 デジタル、アナログ両面で小売・飲食・宿泊業、観光業に豊富な経験。各都道府県の地方自治体、地域団体などを中心にセミナー、講演実績多数。観光庁 インバウンドの地方誘客促進のための専門家。Googleビジネスプロフィール ダイアモンドプロダクトエキスパート。Google Maps, Google広告プロダクトエキスパート。東京観光財団 観光おもてなしアドバイザー。株式会社movが運営するお客様の声のDXサービス「口コミコム
」テクニカルアドバイザー&インバウンド業界最大級メディア「訪日ラボ」アドバイザー。
Twitter:永山卓也|Takuya Nagayama
石橋美奈子 -株式会社mov マーケティング部 口コミラボ編集
株式会社mov マーケティング部。オウンドメディア「口コミラボ」創業期からインターン(当時)として参加。
現在は「口コミラボ」記事の企画、取材、執筆、編集を担当。
Twitter:口コミラボ公式 / いしばし@口コミラボ
※次回は10月29日(金)に公開します。この連載を見逃さないためにも、ぜひ口コミラボのメールマガジンにご登録ください。
※Googleマイビジネスは、2021.11.5よりGoogle ビジネスプロフィールという名称に変更されました。
これに伴い、2022年にスマートフォン向けGoogleマイビジネスのアプリが終了します。
アプリ終了前に、これまでと同じように快適に使えるよう今から準備しておきましょう!
宿泊施設のGoogleマイビジネス活用について
石橋:
今回も業種別のGoogleビジネスプロフィール(Googleマイビジネス)活用について、永山さんとざっくばらんにお話ししていきたいと思うんですけれども。
その前に永山さん、ついにGoogleビジネスプロフィール(Googleマイビジネス)のダイアモンドプロダクトエキスパート(※)になったんですね…!
おめでとうございます!!
※Googleビジネスプロフィール(Googleマイビジネス) プロダクトエキスパートとは、他のGoogleマイビジネスの利用者にとって有益なアドバイスや支援を行っているなどの活動が認められ、Googleから公式に付与されるステータスです。「ダイヤモンド」は最高位のステータスで、2021年10月現在、ビジネスプロダクトの中で国内唯一となっています。
永山:
そうなんです。ありがとうございます!
石橋:
そんな永山さんに、Googleビジネスプロフィール(Googleマイビジネス)について詳しく伺える連載、非常にありがたい機会をいただけているなと感じています。
今後ともよろしくお願いします!
今回は、口コミラボ公式Twitter(https://twitter.com/kutikomilab)にリクエストをいただいたということもありまして、「宿泊施設」のGoogleビジネスプロフィール(Googleマイビジネス)の活用について伺いたいと思います。
永山:
なるほど。「宿泊施設」とくくると、ずいぶん幅広いですね。
ビジネスホテル、シティホテル、民宿、旅館、ゲストハウスなど、さまざまな業態があると思いますが、例えばオーナーが1人でやっているゲストハウスと、チェーンビジネスのビジネスホテルでは同じ活用方法というわけにはいかないでしょう。
石橋:
確かに、一度に語りきるのは難しそうですね…。リクエストでも、業態を細分化して扱ってくれたら嬉しい、とのご意見をいただきました。
永山:
はい。宿泊施設という大枠は一緒なので、もちろん共通の部分もありますが、お客様の層も違いますし、目的も異なってくるため、今後個別に施策を落とし込んでいく記事を作れるとより良いですね。
今回はどの業態にも共通する基本的な話を扱いつつ、「そもそも宿泊業でGoogleビジネスプロフィールって必要なんだっけ」という問いに答える内容にしたいと思います。
石橋:
わかりました。よろしくお願いします!
そもそも宿泊業にGoogleビジネスプロフィールは必要?
永山:
まず、宿泊施設のGoogleビジネスプロフィールでは投稿機能などの機能が一部制限されています。
石橋:
はい、投稿機能は、告知などの最新情報、商品、クーポン、イベントなどを投稿できる機能ですよね。
これまでの連載でやってきた業種別のGoogleマイビジネス活用方法では、この投稿機能を活用した手法が多かったように思いますが、それが使えないんですね。
永山:
そうなんです。
積極的な宣伝に使えるはずの投稿機能が使えないため、「そもそもGoogleビジネスプロフィール(Googleマイビジネス)って宿泊業者でも役に立つの?OTAと自社サイトだけやっていれば良いんじゃないの?」「投稿できないなら意味ないんじゃないの?」といったお考えで導入をためらったり、活用されていない事業主様が多いのも事実です。
※12月13日追記
宿泊施設では使えなかったGoogleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)の「投稿」機能が、正式に使えるようになったことがわかりました。
詳しくは→ホテルでも投稿機能が使えるように!Googleマイビジネス(ビジネスプロフィール)機能変更
ですが、宿泊業にとってもGoogleマイビジネスの活用は有効です。
石橋:
ですよね。口コミに返信したり、マップ上に表示される基本的な情報を管理したりといった施策は、宿泊施設でもできますし重要なはずだと思います。
永山:
はい。特に宿泊業界では、OTAでは口コミ返信をていねいに対応する文化があって、多くの施設が返信に取り組んでいます。
OTA(Online Travel Agent)というのは、楽天トラベルや一休などの宿泊予約サイトのことですね。
一方、OTAに寄せられた口コミには返信しているのに、Googleマップ、Googleビジネスプロフィール(Googleマイビジネス)では返信していなかったりします。
石橋:
そうなんですね。なぜなんでしょう…。
永山:
理由を聞くと、「直接予約が入ってくるところじゃないから意味がないと思って無視していた」「どれくらい意味があるのかわからないので放置していた」などと言われたりします。
しかし、予約してくれたサービスは確かに楽天トラベルなどのOTAですが、その前後にGoogle検索する人が多いんです。
石橋:
なるほど!
最後に予約をしたのがOTAだからそれだけを重要視してしまいがちですけど、導線としてはGoogle検索、マップ検索経由だったりしますもんね。
永山:
はい。実際にGoogleマイビジネスでインサイトを見てみると、検索数がかなりあったりするわけですよ。口コミも、他の業種と比べても比較的多いですし。
そして石橋さんがおっしゃったように、予約前後で宿泊施設までのルート検索をする際も、Googleマップなどが利用されることが多いです。
なのに、
「無視するのはもったいなくないですか?」
「情報が間違っている場合もあると思いますが、たくさん見られているのに放置するのはリスクがあるので最新情報にした方が良くないですか?」
ということですね。
石橋:
なるほど。OTAでの施策を主としている宿泊施設にとっても、Googleビジネスプロフィール(Googleマイビジネス)は重要なんですね!
宿泊施設の検索は、Googleホテル検索という特殊な仕様
永山:
Googleマップは宿泊施設のみ宿泊の金額が表示されたり、ペット可・プールの有無など、非常に多くの属性情報設定が用意されています。
これは他の業種には見られない特殊な仕様になっています。
石橋:
確かに、「ホテル」などと検索すると、宿泊プランや金額が表示されますが、これは飲食店などでは見られない表示ですね。
永山:
このように宿泊の料金が表示されるのは、先ほどお話ししたOTAと有料契約している(OTAから予約できるようになっている)場合、OTAが自分のサービスで予約をしてもらいたいために、その宿泊施設の情報を間借りして、金額を広告として表示しているんです。
石橋:
あっ、宿泊施設ではなくOTAが表示させている情報なんですね。
永山:
そうなんです。
ここに「自社サイトの金額を出したい!」という要望もあると思いますが、これには2種類の方法があります。
まず1つ目は予約管理システムを提供している会社(ブッキングエンジンなど)に代行してもらって広告として表示させる方法。
2つ目は、Googleが2020年の年末ごろに開始した、無料で宿泊施設の登録を自社でもできるようにするサービスを利用する方法です。ただ、これはこれで非常に技術的なハードルが高い仕組みで、まだ導入されているところは非常に少ないです。
ブッキングエンジンとGoogleの無料宿泊施設登録については、深掘りしていくとかなり混み入った話になるので、これについてはまた別で語る機会を作りたいですね。
石橋:
ぜひ!よろしくお願いします。
永山:
また、これとは別の話ですが、宿泊施設のGoogleビジネスプロフィールでは「投稿」機能や「ビジネスの説明文」の追加といった機能が使えなくなっています。
以上のような理由から、宿泊施設のマイビジネス活用は、他の業種とはかなり違ってくるわけですね。
宿泊施設でできるGoogleビジネスプロフィール活用
石橋:
では実際、宿泊施設でできるGoogleビジネスプロフィール(Googleマイビジネス)活用としてはどういったものがありますか?
永山:
基本的には従来通り写真投稿や口コミへの返信、基本情報の加筆修正をしていくというのが基本になります。
先ほどお話しした通り、記事が書ける投稿機能などが使えないため、写真の投稿機能は非常に有用なものになります。
石橋:
投稿機能が使えなくても、写真を使って施設の見た目、良さなどをアピールできるわけですね。
永山:
しかし、宿泊業はお部屋のグレードであったり、料理、景色、その他いろいろなサービスなど写真でアピールしなければならないものもそれなりに多岐に渡ります。
その中には、写真を見ただけではそれがどのプランで利用できるものなのかがわからないことがありますよね。
例えば「投稿されているホテルのお部屋の写真がどのお部屋なのかわからない」「料理がいつも食べられるものなのか、または期間限定のものなのかがわからない」という状態になっていると、興味がわいても問い合わせまではしてくれず、決め手にはならない可能性があります。
このあたりを工夫していく必要がありますね。
石橋:
なるほど。どういった工夫が可能でしょうか?
永山:
実は、投稿する写真には、隅の方に10%以内であれば画像編集アプリなどを使ってテキストを入れてもいいことになっています。
写真に部屋のグレードや、部屋番号、料理の名前や提供している期間などを記載しておくと、見ている方がより理解しやすくなり、利用に結びつきやすくなります。
石橋:
なるほど。写真にひと手間加えるだけで、より充実した施設情報になりそうですね。
永山:
さらに、先ほどお話しした通り、施設の特徴や対応しているサービスなどを伝える「属性」の情報設定が充実しています。
例えばペットと一緒に宿泊を考えている方や、バカンスとしてプール付きやスパ付きのホテルを探している方、長期出張でランドリーサービスなどがあるビジネスホテルを探している方にとっては、非常に重要な決め手になります。
石橋:
なるほど、投稿機能がない代わりに、「属性」で細かな特徴を設定することができるんですね。
永山:
逆に、これらの設定をしておかないと機会損失を生んでしまうため、これらをきちんと設定すると良いでしょう。更にこういった需要も取り込めるよう、写真などできちんと伝えておくことも重要です。
永山:
また、宿泊施設では、レストランやバーなどの飲食店、土産物屋などの売店、貸し会議室、さらには結婚式場(結婚式相談カウンター)、あとは温泉施設などが施設内にあったりします。
石橋:
そうですよね。そういった施設がある場合、どのように宣伝していけばいいでしょうか。
永山:
こういった施設内施設では、宿泊施設をアピールして盛り上げていくために、Googleビジネスプロフィールなどの登録・運用を一緒にやっていくというのは非常に有効です。自社運営ではなくテナントだったりするかもしれませんが、自社運営であっても他企業の運営であっても、登録しておくと良いです。
ただし、施設の看板があること、個々の施設として成立していることなどが前提になるので、その点にはご注意いただければ。
石橋:
施設内施設と一緒に盛り上げる、というのは素敵な考え方ですね!
永山:
はい。あとこれによって情報を別々に登録できるメリットもあります。
例えば複合的な施設があったとして、結婚式場(結婚式相談カウンター)の情報を宿泊施設の情報に混在させていたら、宿泊目的のお客様にとっては余計な情報になってしまいますよね。
ですので、場合によっては個々の施設として登録した方が良いホテルもあるんです。
石橋:
結婚式場やレストランなどの施設内施設を別個で登録すれば、「結婚式場」「レストラン」といった検索が行われた際も引っかかりやすくなりそうですし、管理は大変になりますが、分けた方がメリットは大きそうですね。
永山:
はい。そちらのビジネスは投稿機能やビジネスの説明文なども使えるため、非常に有効ですよ。
石橋:
なるほど。
石橋:
あとは、宿泊施設内に「土産物屋などの売店」があるのであれば、前回の「お土産屋のGoogleビジネスプロフィール活用」を読み、集客につなげてくださったら嬉しいですね。
永山:
今日はこの辺にしておきましょう。
これでもさわりくらいですが、宿泊施設のGoogleビジネスプロフィール活用というのが少しわかっていただけたのであれば幸いです。
石橋:
面白かったです!「そもそも宿泊業でGoogleビジネスプロフィールって必要なんだっけ」というところから考えるというのが新鮮でした。
宿泊業の活用方法は非常に特殊だと分かったので、また機会があればトピックとして扱いたいです。
今回は、「宿泊施設のGoogleビジネスプロフィール活用」についてリクエストをいただいて記事化しました。
今後もリクエストの中で良いご指摘があれば、採用してこういった記事にしていきますので、以下Twitterへのリプライ等で教えていただければ幸いです!
※次回の「エキスパートに聞く!業種別GMB活用講座」は10月29日(金)に公開します。この連載を見逃さないためにも、ぜひ口コミラボのメールマガジンにご登録ください。
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