今日の社会においては、商品やサービス、そして企業などの価値を高める手段として「ブランディング」という手法が存在します。
ブランディングは、商品、サービス、企業などが持つブランドの価値を高め、高めた価値を消費者に伝えることで、市場における自社の価値や存在感を高める手法です。
ブランディングといえばチェーン店を展開するような大企業が複数のチャンネルを用いて大々的に自社のブランドを宣伝する、という印象を持たれることもあります。
しかし、実際にはひとつの店舗で営業している飲食店や、ひとつの施設で営業しているホテルや旅館などの宿泊施設でもブランディングは十分に可能です。
今回は中小規模の飲食店と宿泊施設に焦点をあて、ブランディングのメリットや実施方法、実施のコツについて解説します。
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ブランディングとは?意味を徹底解説
ブランディングの意味を解説する前に、まずはブランドの意味について解説します。
ブランドとは、他の同等品や類似品と区別されている商品やサービスのことを指します。
たとえば飲食店では「ガスト」や「和民」、ホテルでは「東横イン」や「帝国ホテル」は全てブランドです。
なお、ブランドは高級である必要もなければ、チェーン店である必要もありません。
たとえば「口コミレストラン」という飲食店が東京都渋谷区に一店舗だけあるとすると、この「口コミレストラン」もブランドとして成り立ちます。
そしてブランディングとは、ブランドの持つ価値を高め、その価値を消費者に伝えることにより、市場における自社の価値や存在感を高めることを指します。
そのため、ブランドの持つ価値を高めてもその価値を消費者に伝えなければブランディングは成り立ちません。
また、ブランドの持つ価値を高めずにその価値を消費者に伝えてもブランドは成長しません。
人はなぜブランドを好むのか
そもそも、人はなぜ「ノーブランド」より「ブランド」を好むのでしょうか。そこには2つの原因があるとされています。
一つ目は、機能的理由です。
たとえば東横インは、立地に優れており、朝食が提供され、清潔な環境にリーズナブルな価格で泊まれる、という機能性が評価され、ビジネスマンを中心に支持されています。
このように、ブランドの価値を裏付ける理由としては、多機能、利便性、高品質、安価などの機能的理由がよく見受けられます。
二つ目は、感情的理由です。
たとえば銀座などの高級料理店は、高品質な料理を快適な環境で楽しめるという機能的理由もさることながら、高級料理店で食事をしたいという感情を叶えられるため富裕層を中心に支持されています。
他にも、独特な雰囲気を楽しめる店や他にはないサービスを受けられる店などは、機能的理由の観点からは競合他店に劣るかもしれません。
しかし、このような店では感情的理由が高いことにより、ロイヤルティの高い顧客を多く抱えている場合があります。
このように、感情的理由によりブランドを選ぶ顧客は「ファン」とも呼ばれます。
世間に数多く存在するブランドは、機能的理由か感情的理由のどちらか、または両方を満たすことによりブランドとしての価値を保っています。
ブランディングの実施で得られるもの
ブランディングによりブランドの持つ価値を高めることで、主に価格競争からの離脱と顧客ロイヤルティの向上という2つの効果を得られます。
まず、競合他店と自店をブランドにより差別化することで、消費者が自店を選ぶ理由が価格だけではなくなります。
多くの消費者は、自分の好きなブランドであれば価格は最安でなくともよいと考えるためです。
また、ブランドの名称を広め、多くの消費者に認知してもらうことで新規顧客を開拓できるほか、既存顧客のブランドに対するロイヤルティの向上も望めます。
たとえば「口コミレストラン」という飲食店がブランディングを実施し、「口コミレストラン」という名称が広く知れ渡ったとします。
すると、名前を聞いたことがあるからという理由で来店する新規顧客が現れることや、有名店に通っているという感情的理由から常連となる既存顧客が現れる可能性があります。
ブランディングを実施する方法3ステップ
ここまでブランドやブランディングの意味、そしてブランディングにより得られるものについて解説しました。
それでは、実際にブランディングを実施する場合、どのような手順を踏めばよいのでしょうか。
ここでは飲食店や宿泊施設におけるブランディングの流れについて、3ステップでわかりやすく解説します。
1. 市場における自店の価値を明らかにする
まず、既存顧客がなぜ自店を選んでいるのか、現段階で自店が持っている価値を明らかにするところからはじめます。
飲食店であれば、自店の価値は料理、居心地、接客などが挙げられます。また、宿泊施設であれば、自店の価値は立地、設備、景観、接客などが挙げられます。
これらの価値のうちどれが既存顧客に伝わっているのか調査することで、現段階における自店ブランドの価値が明らかになります。
調査にあたっては、インターネット上の口コミを分析したり、顧客にアンケートを記入してもらうことが有効です。
第三者目線で自店を見たときにどのような価値があるのか認識することで、ブランドの価値を高める次のステップへとつながります。
2. ブランドを構成する価値を高める
現時点における自店ブランドの価値が判明したら、次はその価値を具体的に表現し、市場へと発信する準備をします。
飲食店の場合、自店ブランドの価値が料理の良さなら、料理の素材や調理の手法など、こだわっている部分を発信すべく、その価値を高めていきましょう。
また、自店ブランドの価値が居心地の良さなら、店内の様子や来店客の様子などを発信できるように、雰囲気作りやホスピタリティの向上に努めましょう。
そして、それらの価値を消費者に伝えられるような発信ポイントを検討することが重要です。
宿泊施設の場合、自店ブランドの価値が設備の良さなら、温泉の泉質や館内の様子など、設備の良さがわかる部分を発信するとよいでしょう。
また、自店ブランドの価値が景観の良さなら、施設周辺の四季折々の様子などを発信するとよいでしょう。
一方、たとえば料理の良さが評価されている飲食店が居心地の良さだけを発信したり、景観の良さが評価されている宿泊施設が立地の良さだけを発信しても、思うような効果は得られません。
ブランドとして発信する主な価値は顧客に評価されている価値とし、それ以外の要素を強調したい場合は主な価値に付け加える程度に留めておくのがよいでしょう。
3. 作成したブランドを発信する
ブランドの価値として発信する内容が決まったら、いよいよブランドを発信します。
ブランドを発信する際には、ターゲットとする客層に合わせて適切なチャンネルを選ぶことが重要です。
主なターゲットが若年層であればWebサイトやSNS、主なターゲットが中高齢層であればテレビ、ラジオ、新聞、折込チラシなどの手段が考えられます。
中でもSNSでの発信は初期費用をかけずに実施できるものもあり、最近では中高齢層のSNSユーザーも存在するため幅広いターゲットにアプローチできます。
そのため、数あるメディアの中でもSNSは費用対効果の高いメディアであるといえます。
ブランドの発信には、文字、画像、動画などが用いられます。
発信の際にはキャッチコピーをつけるほか、画像や動画の色づかいや雰囲気を統一させることで、消費者の視覚に印象を残すことが大切です。
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ブランディングで気をつけるべきポイントは?
ここまで、飲食店やホテルにおけるブランディングの手順について3ステップで解説しました。
特に中小規模の飲食店やホテルではブランディングに費やせる予算も限られていることから、SNSなどを有効活用して費用対効果を最大化することが求められます。
限られた予算と人員で完璧なブランディングを実施するためにも、最後にブランディングの際に気をつけたい点を3つ解説します。
1. ブランディングの目標を設定する
ブランディングの際には、目標を設定することが重要です。
ブランディングの効果を示す数値としては、1日の売上げや1日の来客数、SNSや口コミサイトでの口コミ数、ブランド強化したポイントの言及数などが考えられます。これらから最も効果測定に最適な数値を選び、いつまでにどこまで伸ばすかを決めるとよいでしょう。
目標が達成されると、来客数や利益の増加などで、以前と環境が変わったり余裕が増えたりするはずです。その都度その時点での価値を調査し、改めてブランドとして発信することで、常に成長し続けるブランドを構築できます。
2. ブランドを育成し続ける
ブランドは一過性のものではなく、事業の発展とともに変わりゆくものです。
ブランドの発信を始めた後は定期的に評価を実施し、ブランドとして発信している価値と顧客の求めている価値が合っているか、ブランドとして発信している価値は発信した通りに提供できているかを確認するとよいでしょう。
たとえば、飲食店が居心地の良さをブランドとして発信しているにもかかわらず、顧客は料理を評価している場合、料理の良さをブランドとして発信しないことは大きな損失です。
また、宿泊施設が設備の良さをブランドとして発信しているにもかかわらず、館内の設備が故障していたり、清潔感に欠けるようであれば、顧客は期待と現実の差に落胆して去ってしまうでしょう。
このような事態を避けるためにも、定期的に口コミを分析したりアンケートを実施することで、顧客が求める価値は何なのか、顧客に発信した通りの価値を提供できているかを確認することが大切です。
3. 一度の発信で終わらせず、恒久的に発信を続ける
ブランドを市場に浸透させるには、継続して発信を続けることが必要不可欠です。
それは、いわゆるブランドとして確立された家電メーカーやファッションブランドでさえ、テレビCMや雑誌広告などで発信し続けていることからも理解することができるでしょう。
CMや雑誌広告ほどの規模ではできない、といった場合でも継続した発信はできます。たとえば、TwitterやInstagramなどに公式アカウントを作成し、毎日コンテンツを更新することはブランドの浸透にとても効果的です。
継続して発信され、消費者から一定の支持を得たブランドには、市場における存在感が生まれます。
存在感が生まれることでブランドを知らない消費者もブランドの名称を見聞きする確率が高まり、ブランドの知名度が指数関数的に広まることも考えられます。
特に、SNSでは「バズる」という現象があり、多くのSNSユーザーに気に入られた投稿はリツイートやシェアなどの機能により拡散されることがあります。
このような現象を上手く利用するためにも、SNSにおいては特に継続的な発信を心がけることが大切です。
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大企業でなくともブランディングによる集客は可能
ブランディングは、一見すると大企業が各種メディアを横断して自社ブランドを世間に強烈にアピールする行為のようにも思われがちです。
しかし実際は、個人経営の小さな飲食店や宿泊施設でもブランディングにより市場を開拓することは十分に可能です。
ブランディングは、自店の価値を認識し、認識した価値を高め、高めた価値を発信する、という3段階で実施します。
ブランディングは一過性のものではなく恒久性のものであるため、期間ごとに目標を定め、定期的にブランドの価値を見直し、常に発信を続けることが大切です。
ブランディングを実践することにより、価格競争の世界から抜け出せるほか、ロイヤルティの高い顧客を増やすことにもつながります。
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