消費税増税、新型コロナウイルスの影響による外出自粛などにより、外食文化の一つとしてデリバリーが定着しつつあります。
2016年に世界的に有名なUber Eatsの上陸や各企業がデリバリー産業に進出するなど活気を見せています。
しかし急遽始まった外出自粛に合わせてデリバリーを始めた店舗では、トラブルや顧客の注文した料理イメージとのギャップなどが起きています。
この記事ではデリバリートラブルの例や、回避方法について解説します。
新型コロナウイルスによりデリバリー需要が拡大
今までもデリバリー需要は追い風が吹いていましたが、新型コロナウイルスにより需要がさらに伸びています。デリバリーピザチェーンのドミノ・ピザジャパンでは、デリバリー需要の増加などに対応するため、正社員とアルバイトを計5,200人採用することを発表しました。
他にもデリバリーオーダーアプリで注文が昨年に比べ数倍の伸びを記録するなど、デリバリー需要の拡大が広がっています。
デリバリー普及の背景
新型コロナウイルスの影響により、テイクアウトやデリバリーの活用が「共働き世帯」や「生活環境」などが要因でのデリバリー需要が拡大しやすい背景だったことやUberなどの配車アプリドライバーがデリバリーアプリの配達員も同時に行うことで供給側の円滑なオペレーションがマッチしたことなどがデリバリーが広がった1つの理由として考えられます。
以前から宅配ピザや出前の蕎麦などが利用されていましたが、新型コロナウイルスによる外出自粛制限などが追い風となり、急速にデリバリーアプリの利用者、出店数が増加しています。
配送料さえ払えばさまざまなジャンル、店舗から選べるデリバリーアプリは、家にいながら気軽に外食を楽しめることやWithコロナ時代での食の選択肢の1つとして今後も売り上げや販路の拡大が期待できます。
テイクアウト・デリバリー需要増加で新サービスや新アプリが続々登場
デリバリーの需要拡大を受け、飲食店の検索、口コミサイトや検索エンジンでのテイクアウトやデリバリー情報を発信するサービスが各社で始まっています。
口コミグルメサイトを運営するRettyでは、掲載飲食店に「持ち帰り」や「宅配」を表示できるようになりました。
デリバリー&テイクアウトアプリを運営する「menu」では、事前注文・決済できるテイクアウト機能に加え、デリバリー機能を追加し、急速にデリバリー可能エリアを広げています。
GoogleやYahoo!では、検索マップで表示される店舗情報にデリバリーやテイクアウトの情報を表示でき、利用者は現在地情報から近い飲食店を検索し、手軽に外食を楽しめる機会が増えています。
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デリバリーのトラブル例
拡充するデリバリーサービスですが、デリバリーに関するトラブルが日本だけでなく、世界でも問題になっています。
急速に広まったサービスを取り入れるため、店側のオペレーションや提供方法の検討が不十分な場合、デリバリースタッフの対応などさまざまなトラブルが発生しています。
商品のクオリティが落ちてしまう
配達時に商品に伝わる振動を軽減はできてもすべて無くすことは大変難しく、商品のクオリティが下がってしまうことがあります。
カレーが配達時にご飯と混じってしまい、見た目が悪くなってしまう、寿司が偏っている、商品の温度が適切ではなかったなどがトラブルとして起きています。
これらのトラブルはデリバリーの配達員だけでなく、店舗側の問題の可能性もあり、顧客がどこに問い合わせをしていいのかわからない、または二度と注文しないと判断されるケースもあります。
デリバリーアプリなどの場合、各店舗の口コミや評価を残せるものあるため機会損失につながる危険性があります。
イメージギャップ
注文した商品の入れ間違いやドレッシングなどの付随商品の入れ忘れや配達間違い以外によくあるトラブルとして、注文時のイメージと実際の商品との違いによるトラブルが増えています。
デリバリー情報を掲載するときに印象をよくするため写真にこだわり、少しでもよく見せようとさまざまな工夫をする事業者も多いでしょう。
しかしあまりにも配達商品とのギャップがある場合、「写真とまったくく違う」、「ボリュームが少ない」などとクレームにつながる可能性があります。
デリバリーサービス(アプリ)利用のトラブル
注文可能時間や最低注文価格などの設定がなく、気軽に頼める「Uber Eats」などのデリバリーアプリは人気が高い一方で、悪評も目立ち始めています。
この問題は世界的にも起きており、海外では配達員が配達中に注文料理をこっそり食べる姿が撮影され問題になりました。
日本でも配達時間の遅れに加え、料理がぐちゃぐちゃになっていたため顧客が受取拒否したところ、マンションの共有部分に廃棄されてしまったなど、配達員とのトラブルがSNSなどでアップされています。
他にも新型コロナウイルスの影響により学生アルバイトの増加や社会人が副業として働くケースが増えています。
配達業務に慣れていないことやしっかりとしたオペレーションが整っていない結果として、交通事故の多発や運営会社と配達員の間で報酬に関するトラブルが起き、その影響で注文しても配達員が見つからず注文料理が廃棄され、顧客にも飲食店にも影響がでる問題が発生しています。
トラブル防止のための注意点
デリバリーサービスが普及して間もないため、さまざまなトラブルが起きていますが、解決の糸口や対策方法は徐々に構築されています。
飲食店側では容器や、メニュー内容、デリバリーを委託する会社の特徴を捉え、店とあった会社を選択することで、トラブル回避の糸口が見えてきます。
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容器や包装に注意
通常デリバリー時、配達員は専用の大きな配達用バックに料理をいれて運びます。配達員の中にはバックと料理の間に緩衝材などをいれて動かないようにする例もありますが、料理内容や、容器、道の状況などの要因により動いてしまう可能性は否めません。
そのため、料理の破損や傾きを防ぐため、容器の選び方が重要になります。容器が販売されているサイトには「嵌合性(かんごうせい)」を表記しているものがあります。
嵌合とは容器と蓋のかみあいの強さを表したもので、容器選択時に一つの目安になります。
この嵌合性に加え、デリバリー時の揺れに耐えられるよう容器にラップを巻くなどをすると、料理がこぼれたり、見た目が損なわれるリスクを下げられます。
ただし熱いスープなどをラップで巻いてしまうと容器が膨張し、あふれ出てしまう可能性があり、ラップの上から小さな穴を数か所開けるなどの工夫をする必要があり、顧客に商品が届くまでのシミュレーションを行うことが重要です。
デリバリー向けにメニューを工夫
同じメニューを店内飲食とデリバリーともに提供する場合も、レシピを変えたほうがうまくいく場合があります。そのポイントは「いかに劣化を抑えるか」という点です。
店内飲食のように出来立てをすぐ食べるのではなく、デリバリーは「一定の時間が経ってから食す」が前提になるため、店内飲食と違う工夫が求められます。
さらに、デリバリー時の振動は避けることが難しく、盛り付けにも工夫が必要です。
例えばサラダで野菜の上に肉などのトッピングをのせると美しく見えますが、デリバリーでその状態をそのまま保つことは厳しくなっています。
そのため振動しても美しく見えるよう、トッピングと野菜をまぜた状態のサラダにする、もしくはトッピングと野菜を分け、デリバリー後に顧客が盛り付けられる状態にしておくなどの工夫が必要です。
デリバリーの委託を十分に検討する
今までも、各飲食店が独自で行う出前や宅配サービスが定着していましたが、新たなデリバリーサービスが続々と誕生しています。
デリバリーアプリとして有名な「Uber Eats」や「出前館」、通信会社やインターネットサービス会社が運営する「楽天デリバリー」や「LINEデリマ」、「ファインダイン」などがあり、料金や各サービスに付随する特典や特徴、配達エリアは異なります。
例えば楽天デリバリーでは楽天ポイントが使用できるため、他楽天サービスからの流入も期待できます。ファインダインは、「銀のさら」や「釜寅」などデリバリーサービスを運営する会社ならではのノウハウがあり、運用基盤を変えずに開始できます。
出前館では、注文から料理到着まで最短20分を実現し、顧客の希望に応じて非接触デリバリーに対応するなど衛生面や顧客への配慮を行っています。
このように各社の特典、特徴など店舗のサービス内容と照らし合わせ検討し、どのデリバリーサービスを採用するかを考えことがトラブル防止に役立ちます。
デリバリー時のトラブル防止のために十分な対策を
国が提唱する「新しい生活様式」として飲食店のデリバリーは多くの自治体で応援や推奨がなされています。長野県のホームページでは、地域にあるデリバリーやテイクアウトに取り組む飲食店を応援するため、エリアごとに飲食店を紹介しています。
需要が拡大し定着し始めているデリバリーのトラブルは尽きませんが、問題点が見えてきたからこそ解決方法も練りやすくなっています。
デリバリーは店内での料理提供とは状況が違うため、調理方法や盛り付け、容器、委託先など検討すべき点が多くあります。
十分な対策とトラブル回避の検討を行えば、Withコロナ時代での売上獲得の一つの手段となるでしょう。
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