現在菅政権は、「脱炭素社会」を2050年までに実現するという目標を掲げています。「脱炭素社会」とは、温室効果ガスやCO2の排出がゼロの社会を指します。
脱炭素社会の実現にあたっては社会全体に対して環境にやさしい行動が求められており、一企業にとっても決して無関係なものではありません。
この記事では「脱炭素社会」とは何か、企業が「脱炭素社会」を掲げる2つのメリット、そしてイオンの「脱炭素社会」を目標とした事例について解説していきます。
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「脱炭素社会」とは?
「脱炭素社会」とは、2050年までに温室効果ガスやCO2の排出ゼロを目指していこうという考え方です。日本政府は中期目標として、2030年までを目安に、家庭由来のCO2(直接排出)の対2013年度比4割削減を目標としています。
家庭では「食事」「移動」「住居」を中心とした、以下のようなライフスタイルの変革が求められています。
- 「食事」:食品ロスの削減や野菜中心の食生活
- 「移動」:公共交通機関の活用、エコドライブやエコカーの活用、テレワークの推進
- 「住居」:断熱リフォームの実施、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)への住み替え、再エネ電気への切り替え
時事通信の報道によれば、菅首相は2030年に向けた温室効果ガス削減への取り組みに関し、「脱炭素社会の実現に指導力を発揮する」と述べ、来年の国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議までに、国連への報告を目指すとしています。
企業・店舗も無関係ではない
上に家庭内での省エネについて紹介しましたが、企業や店舗にとっても無関係の話ではありません。短期的なものとしては、省エネが重要課題になります。照明をLEDに替えたり、窓ガラスを複層ガラスに替えたり、エアコンや冷蔵庫を最新型のものに買い替えたりすることで、省エネ効果が期待できます。
長期的なものでは、特に飲食店や小売店におけるフードロスの削減が重要なポイントになっていくでしょう。
再生エネルギーの転換やエコカーの活用など、商品の提供以前の店舗や物流で地球環境にやさしいものを取り入れることも重要です。
「脱炭素社会」を掲げる2つのメリット
もちろん「脱炭素社会」の目的は地球環境を守ることが第一ですが、「脱炭素社会」の行動指針に沿った経営を実施することは、企業や店舗の利益にもつながります。以下で解説していきます。1. 企業ブランディングにつながる
環境に配慮した経営を発信することで、企業のブランディングにつながります。
たとえばスターバックスコーヒーでは、世界規模の環境負担削減に向けて積極的なESG(※)活動を実施しており、この活動がブランドイメージの構築に貢献しています。
※ESGとは、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)の頭文字をとったもので、環境や社会に配慮しつつ企業の長期的な成長を目指す考え方です。
スターバックスの店舗は全世界に約2万8,000か所あり、毎年およそ10億本のプラスチックストローが使用され、大きな問題となっていました。そこでストローの必要がないメニューをドリンクボトルで提供し、フラペチーノなどのストローが必要なメニューについては、紙製ストローを提供しています。
そのほか、マイボトルの持参推奨、環境問題を考慮した店舗運営・設計、コーヒー豆のリサイクルなど、環境負荷軽減を重視した活動を繰り広げています。
これらの活動の成果がブランド調査ランキングにも大きく反映されました。
日経BPによる2020年の「ESGブランド調査」(2019年までは「環境ブランド調査」)では、主要560企業ブランドの「環境(E)」、「社会(S)」、「ガバナンス(G)」への取り組みのほか、ESGに分類できない優良企業としてのイメージである「インテグリティ(誠実さ)」を、消費者に対してインターネットでアンケート調査し、ランキングにまとめています。 この調査の中の環境に対する取り組みをチェックする項目には、「気候変動の対応に努めている」、「省エネに努めている」、「生物多様性の保全に努めている」、「自然保護に力を入れている」、「消費者や地域住民・NPOと協力して環境を保護している」などがあります。
スターバックスコーヒーは2019年のこの「環境ブランド調査」の「有害物質の使用削減」に関するプラスイメージ評価の項目において、前年の166位から2位へ急上昇し、総合ランキングでは前年の27位から7位まで大躍進を遂げました。
この例から、店舗の環境問題への取り組みは、消費者の企業・店舗に対するイメージをかなり左右していることがわかります。消費者に「環境に配慮した企業・店舗である」とアピールすることは、企業・店舗のブランディングにつながるでしょう。
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2. 補助金を受けられる可能性
自家消費型太陽光発電設備などを導入する事業者に対し、一般財団法人環境イノベーション情報機構が「サプライチェーン改革・生産拠点の国内投資も踏まえた脱炭素社会への転換支援事業」として補助金の公募を行っています。新型コロナウィルスの感染拡大により日本におけるサプライチェーン(生産・物流・消費の一連の流れ)の脆弱性が顕在化したことから、国内の生産拠点を整備しようとする企業に対し、脱炭素化の推進や防災に役立つ太陽光発電の設備導入を支援するものです。
現在、2021年1月15日正午まで第4次公募を受け付けています。一般財団法人環境イノベーション情報機構の公式サイトで公募要領をよく確認し、応募様式をダウンロードのうえ、必要書類を提出しましょう。
また日本経済新聞の報道によれば、菅政権は脱炭素社会に関する研究・開発を支援する2兆円の基金創設を表明し、2050年までに温室ガスを実質ゼロにする目標を後押ししていくことを決めました。今後もさまざまな補助金が拡充されていくことが予想されます。
「脱炭素社会」を掲げる企業の事例:イオンの「脱炭素ビジョン2050」
イオン株式会社は、店舗で排出するCO2を2050年までにゼロにする目標「イオン脱炭素ビジョン2050」を発表しています。
中間目標として2030年までにCO2排出量を35%(2010年比)削減することを掲げており、以下の3つの視点からCO2排出ゼロを目指しています。
- 店舗:店舗で排出するCO2などを2050年までにゼロにする
- 商品・物流:事業の過程で発生するCO2などをゼロにする努力を続ける
- お客さまとともに:すべてのお客さまとともに、脱炭素社会の実現に努める
主な手段として、イオンのCO2排出量の約9割が電力由来であることから、店舗使用電力の削減や再エネ転換を挙げています。太陽光パネルの設置や、IoTを活用した店舗のエネルギー融通の遠隔一括管理などを実施していくようです。
また消費者に対する活動として、イベントや商品を通じた家庭での省エネや3R行動の促進活動、買い物袋持参運動、店舗近隣の子どもたちを集め、環境に関するさまざまな体験や学習を提供する「イオンチアーズクラブ」などの取り組みを行っています。
脱炭素社会の実現は、一企業の努力のみでは成し遂げられません。イオンは自社が脱炭素を目指すうえで何をしていくかをはっきりと提示し、商品サプライヤーやPB商品の製造委託先企業や消費者に働きかけ、社会全体に波及させるための一翼を担おうとしています。
店舗でも、少しでも環境にやさしい方法を取り入れたり、環境保護のために消費者に働きかける取り組みをしていくことが必要でしょう。
<参考>
PR TIMES:「イオン 脱炭素ビジョン2050」を策定
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