消費者からの企業に対するイメージは、商品やサービスに大きな影響を及ぼします。
そのため企業は消費者に少しでも良いイメージを持ってもらい、それを付加価値として購買促進やファン作りを行う企業ブランディングが注目されています。
本記事では、企業ブランディングの意味やメリット、企業ブランディングの方法と成功事例について紹介します。
企業ブランディングとは
企業ブランディングとは、企業全体に対して消費者が抱くイメージの向上や価値を高めるための取り組みを意味します。
個別の製品ブランドイメージとは異なり、「企業のブランドイメージ」という大きな枠組みで捉えることが大切です。
企業ブランディング＝企業の社会的イメージを向上させること
製品やサービスを提供している企業自体のイメージは購買意欲に大きな影響を与えるため、多角的な視点での対策が必要になります。
環境や資源保全の意識や法令遵守といったモラル面での評価も、近年は重要視されるポイントとなっています。
マーケティングの一環として注目されがちな企業ブランディングですが、顧客からの評価を高めるだけでなく、従業員のモチベーション向上にもつながります。
中小企業では特に、取引拡大や消費者からの信頼獲得のために企業イメージの向上と差別化が重要です。
企業ブランディングに成功することで社外からの評価に好影響が出るため、企業で働くことに対して従業員が満足感を獲得し、業績向上にもつながります。
企業ブランディングに取り組むメリット
企業ブランディングに積極的に取り組むことにより、いくつかの効果が期待できます。
消費者からの認知度拡大やイメージ向上により、マーケット上で優位に立てます。
また、社外からのイメージが良くなるため、より良い人材が集まりやすくなる効果をもたらします。
企業ブランドが確立していると、信頼性があり将来性も期待できるとして銀行や株式などでの資金調達の際に有利になります。
企業ブランディングは対外的に実施されるものですが、従業員に対して意識を浸透させることで社内に対しても良い効果が期待できます。
ブランディングとは？正しい意味・メリット・手法を解説
ブランディングは、付加価値によって認知度を高める販売戦略です。具体的には、企業が押し出すブランドアイデンティティと、顧客が持つブランドイメージを一致させ、独自の価値を認めてもらう手法です。この記事では、ブランディングの意味、必要性、メリット、方法を解説します。関連記事目次ブランディングとは販売戦略のブランディングの意味ブランディングの重要性ブランディングの種類ブランディングのメリット他店との差別化リピーターの獲得価格競争から逃れることが可能ブランディングの方法ターゲットを意識一貫性のある体...
プロダクトブランディング・CIとの違い
プロダクトブランディングとは、特定の商品やサービスに対してイメージ向上を図るための施策です。
CIとはコーポレートアイデンティティの略称で、ロゴマークが代表的なものになります。
企業理念や製品サービスなど、企業独自のイメージを込めたロゴマークを運用することは、利用者に対して企業のイメージを発信する一つの手段となっています。
一方で、企業ブランディングでは、企業名や企業が扱う製品サービス群全体に対して人々がどのような印象を持つかについてコントロールすることを目的としています。
企業ブランドディングの方法・プロセス
企業ブランド構築においては、分析、計画、実行、経過観察のプロセスが必要になります。
長期的な取り組みになることを意識して取り組むことが大切です。
自社の現状把握する
マーケティング全般に取り組むにあたっては、現状分析を徹底させます。
PEST分析、3C分析、SWOT分析などを切り口にして、社内外の環境を考慮し顧客の分析を進められます。
市場における自社の立ち位置やターゲットとしている顧客を明確にすることで、消費者ら持たれたいブランドのイメージを目標化でき、ブランディングの進め方の方向性が見えてきます。
SWOT分析とは？経営戦略をつくるための具体的な方法やコツを紹介
経営戦略の策定やマーケティングを行う中で、現状や課題を明確にするためのフレームワークが役に立ちます。「SWOT分析」もフレームワークのひとつであり、環境要因から課題を分析し、戦略策定の合理性を高める方法です。本記事では、SWOT分析のやり方や分析結果の活用事例、注意点を解説します。目次SWOT分析とはフレームワークのひとつ4つのカテゴリーに分類活用することで戦略的優位性が得られるSWOT分析の使い方やり方分析結果の活用例注意することSWOT分析でよく使われるフレームワークPEST分析ファイ...
ブランド戦略の立案・ブランディングツールの開発
ブランディングの方向性に合わせ、全社的な方針の共有と、ホームページや資料など社外向けの表記やデザインを刷新する必要があります。
新たな取り組みを始めた場合には、社外向けにプレスリリースやホームページの更新を通して周知することが大切です。
通常業務への影響も加味しながら、段階的に方針転換を進めていく段取りを予め構築しておくことで、スムーズにブランディングを進めることができます。
タグラインとは？キャッチコピーとの違いや企業の事例12選、作り方を紹介
タグラインとは、企業理念やコンセプトなど、顧客に伝えたいメッセージを簡潔に伝えるための言葉です。消費者などに対し、自社の思いを“一言”で表したフレーズですで、テレビCMなどの最後のシーンに挿入されていたり、企業のロゴマークに隣接して書かれていることもあります。タグラインを効果的に活用することで、ブランドの持つイメージや企業の理念を明確に表現できます。本記事では、このタグラインの意味や、キャッチコピーとの違いや、企業の事例、ブランディングには欠かせない効果的な作成方法を紹介します。目次タグラ...
ブランド運用と仮説検証
従業員一人ひとりが目指すべき企業イメージを体現できるよう、ブランディングへの意識を高めることが大切です。
また、ホームページへの掲載情報、製品パッケージや販促物など企業名の入るもの全てにおいて共通したイメージに沿ったものになるようにデザインや掲載情報を更新することが大切です。
しかし、消費者が企業に対して抱くイメージは短期間ではなかなか変化しません。
企業ブランディングが効果を発揮するためには長い時間がかかるため、ブランディング効果の継続的なモニタリングが大切になります。
企業ブランディングの成功事例4選
企業ブランディングを成功させた事例について代表的な4社を取り上げ、企業の概要と行われた取り組み内容をそれぞれ紹介します。
トヨタ
トヨタ自動車では、「自働化」と「ジャスト・イン・タイム」の2本を主要な柱としてトヨタ生産方式を確立しています。
無駄を省き、必要なものを必要なときに必要な量確保するために取引先との連携を強化しています。
トヨタ自動車は、品質や実用性の高い製品を効率的に製造しており、ブランドとしては機能的価値の面で高い評価を獲得しています。
龍角散
せき、たんなどの喉の症状に効果を発揮する龍角散は、ブランドの再立ち上げをすることで、現在の知名度や売上の獲得に成功しました。
パッケージ表記やキャッチコピーへの変更、水無しで飲めるタイプの販売の開始など、利用者目線に立った取り組みが功を奏しました。
龍角散の事例は製品志向から顧客志向へと転換した成功事例といえます。
多くの競合製品のなかから消費者に選ばれる製品になるためには、利用者のニーズを起点に製品のあり方を検討することが重要です。
海外から見た日本ブランドのイメージ「ハイテク」47.3％、ジャパンブランド調査2019
目次電通の海外消費・訪日動向調査日本ブランドのイメージ「ハイテク」成長カテゴリーの予測は「医薬品」「ジュエリー」電通の海外消費・訪日動向調査株式会社電通は4月15日、「ジャパンブランド調査2019」の結果を公表。2018年12月に20ヶ国の国・地域で日本への訪日意向や、日本製品全般に関する海外消費者の意識などを調査したものです。「ジャパンブランド調査2019」日本ブランドのイメージ「ハイテク」レポートによると、20ヶ国・地域の中で「行きたい国」は日本がトップ。アジア諸国を中心に40％以上の...
ユニリーバ
ユニリーバは、2010年に導入したユニリーバ・サステナブル・リビング・プランに沿い、環境保護活動、衛生面の支援、暮らしの向上に力を入れています。
社会貢献や責任あるビジネスの展開を進める企業は、所属する従業員にとって誇りとなります。
また、近年では特にCSR活動や、持続可能な社会に向けた取り組みへ注目する消費者が増加しています。
より環境に配慮した製品を意識的に利用したいと考える消費者を獲得するためにもこれらの活動は重要なものとなります。
Apple
Appleは、斬新で革新的なデバイスを世の中に数多く投入し、消費者のニーズを新たに作り出し市場を創造してきました。
製品のもつイメージやデザインは感覚価値として認知され、品質、性能、機能、実用性などは実利価値として消費者に認知される要素です。
Appleは感覚価値と実利価値を高い次元で両立させており、優れたブランドとして広く認識されています。
製品だけでなく、商品の箱を開封する際の体験や購入後のサポートなど、常に利用者目線でのサービスを提供してきたことが現在の評価につながっています。
企業ブランドを構築して他社との差別化を
消費者の抱く企業イメージ好転のために、企業ブランディングに取り組む必要性について紹介しました。
時代の求める企業像やターゲット顧客の求める企業像に向かって変化を続けることで他社との一つの差別化ポイントを作り出せます。
ブランディングには分析、計画、実行、経過観察の4つのプロセスがあります。
自社の現状分析を徹底し、長期的な視野で方針を設定してブランディングを進めることが重要です。
従業員が主体となって取り組むことで、社外からの評価が高まり、従業員のモチベーション向上につながる好循環を生むことが期待できます。
口コミラボ 最新版MEOまとめ
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