菅政権「雇用調整助成金」3月から縮減へ:新たに「産業雇用安定助成金」創設、何が違う?

口コミアカデミー 0円すべて無料 口コミサイトの運営やノウハウが学べる、店長限定の無料のオンラインスクール

12月8日に閣議決定された菅政権の追加経済対策では、「新型コロナウイルス感染症の拡大防止策」「ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現」「防災・減災、国土強靱化の推進など安全・安心の確保」の3つを柱として構成し、73.6兆円もの事業規模となることが発表されました。

その中で、「雇用調整助成金」の特例措置が2021年3月以降は段階的に縮減するとともに、雇用維持のために他社へ出向する際に出向元と出向先双方の事業者を支援する新たな助成制度「産業雇用安定助成金」が創設されることがわかりました。

本記事では、これまでの雇用調整助成金の特例措置について、そして新設される産業雇用安定助成金との違いについて解説します。

※本記事の内容は12月15日時点での各社報道をもとにまとめたものであり、内容は大幅に変更となる可能性があります。

雇用調整助成金、3月から縮減へ

内閣府が発表した「国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策」によると、雇用調整助成金の制度は今後以下のように運用されていくとしています。

雇用調整助成金の特例措置等は、現行措置を来年2月末まで延長のうえ、3月以降、段階的に縮減し、5~6月にリーマンショック時並みの特例とすることを基本の想定としつつ、感染状況や雇用情勢を踏まえ柔軟に対応する。具体的には、1月末及び3月末時点で、それぞれ、感染状況や雇用情勢を見極め、休業者数・失業者数が急増するなど雇用情勢が大きく悪化している場合、感染が拡大している地域・特に業況が厳しい企業について特例を設けることとする

その上で、出向元企業への雇用調整助成金による支援、労働移動支援助成金による受入企業への支援を引き続き実施することに加え、出向元及び出向先双方の企業に新たな助成制度を創設するとともに、産業雇用安定センターによるマッチング体制を強化する

現行の雇用調整助成金の特例措置は、2021年2月末まで延長のうえで3月以降は段階的に縮減していく、としています。

その代わり、業績が悪化した事業者から別の事業者に雇用契約を維持したまま従業員を出向させる「在籍型出向」の取り組みを広げるための新しい制度として、産業雇用安定助成金を創設するとしています。

雇用調整助成金とは

雇用調整助成金とは、本来は経済的な理由などから事業縮小をせざるを得ない事業主に対して、雇用を維持できるよう休業手当などに必要な費用を助成する制度です。

2020年4月1日からは新型コロナウイルスの感染拡大の影響によって事業活動の縮小を余儀なくされた事業者を支援するため「新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例」措置が取られ、支給要件の緩和や助成率・限度額が引き上げられて実施されています。

ここでは雇用調整助成金の新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例について解説します。

雇用調整助成金、再延長いつまで?→2021年2月末まで、2020年12月以降も延長に:改めて対象・申請方法を解説

新型コロナウイルスの感染拡大により雇用情勢の厳しさが増すなか、自民党は10月6日、雇用問題を話し合う会合を開きました。会合では、依然として厳しい状況が続く雇用情勢を受け、雇用調整助成金の期限を、現在の12月末からさらに延長すべきという意見が多く寄せられました。また田村厚生労働大臣は2日、雇用調整助成金について対象範囲などを縮小することも念頭に、期限の延長を検討する考えを示しています。本記事では申請期間の延長の可能性をふまえ、改めて雇用調整助成金の対象や申請の流れについて解説します。※11月...

雇用調整助成金の対象・助成額は?

雇用調整助成金の支給対象となる事業者は、以下の3つの用件を満たしたすべての事業者です。

  1. 新型コロナウイルス感染症の影響によって経営環境が悪化・事業活動が縮小している
  2. 直近1か月の生産量または売上高などの減少率が、前年同月比5%以上
  3. 従業員へ休業手当を支払っている

一方、助成対象となる労働者は、事業主に雇用されている雇用保険の被保険者です。学生アルバイトなど、雇用保険の被保険者以外の方に対する休業手当は「緊急雇用安定助成金」の助成対象となります。

また、雇用調整助成金の助成額は、1人1日あたり15,000円を上限として、以下の式で計算します。

(平均賃金額× 休業手当等の支払率)× 下表の助成率
大企業と中小企業、解雇せずに雇用を維持しているかによって、以下のように助成率が異なります。

<大企業>

  • 解雇せずに雇用を維持した場合:3/4
  • それ以外の場合:2/3

<中小企業>

  • 解雇せずに雇用を維持:10/10
  • それ以外の場合:4/5

雇用調整助成金の対象となる「雇用シェア・在籍型出向制度」とは

新型コロナウイルスの感染拡大に伴って事業活動の縮小を余儀なくされた事業者が、従業員を休業ではなく雇用の維持を図るためにほかの事業者へ出向させる「雇用シェア(在籍型出向制度)」も、雇用調整助成金の対象となっています。

最近ではANAやJALといった大手航空会社が、グループ内の社員を一定期間ほかの企業へ出向させるなどが話題となりました。

<雇用調整助成金の対象となる出向の要件>

  1. 雇用調整を目的とする出向である
  2. 出向後は元の事業者に戻ることが予定されている
  3. 出向元の事業者と出向先の事業者が親子やグループ関係にない、資本的・経済的に独立性が認められている
  4. 玉突き雇用・出向ではない
    (出向元の事業者で代わりの労働者を雇い入れていない、出向先の事業者で別の人を出向させたり離職させていない、出向元の事業者と出向先の事業者で労働者を交換していない)

<助成額・助成率>

助成額は、出向元の事業者が出向者へ賃金を支払う場合に、以下のいずれかの低い額に助成率(大企業1/2、中小企業2/3)を掛けた額となります。

  1. 出向元の出向労働者の賃金に対する負担額
  2. 出向前の通常賃金の1/2の額

現行の雇用調整助成金では、助成は出向元の事業者だけが対象となり、また、従業員を休業させた場合よりも低い金額となります。

出向の場合の助成額
▲[出向の場合の助成額]:厚生労働省公式サイトより、口コミラボ編集部スクリーンショット 

新たな支援「産業雇用安定助成金」とは?

産業雇用安定助成金とは、2020年12月8日に閣議決定された追加の経済対策の柱「ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現」で言及されている、雇用シェアを例とした労働移動などの雇用対策の1つです。

これまでの「雇用調整助成金」と何が違う?

出向などの雇用シェアに対して雇用調整助成金では、従業員を出向させる出向元の事業者だけが助成の対象となっていました。また、出向に対しての助成額が休業手当への助成に比べて低かったため、これまでは出向よりも休業を選ぶ事業者が多かったようです。

そのため、新設される産業雇用安定助成金では、出向元だけでなく出向先の事業者も支援の対象として、従業員の受け入れがしやすくなるように負担を軽減させるとしています。

また、内閣府が発表した「国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策」では以下のようにも記されています。

出向元企業への雇用調整助成金による支援、労働移動支援助成金による受入企業への支援を引き続き実施することに加え、出向元及び出向先双方の企業に新たな助成制度を創設するとともに、産業雇用安定センターによるマッチング体制を強化する
余剰の従業員を出向させたい事業者と人手不足で人材を受け入れたい事業者が、公益財団法人の産業雇用安定センターを通じてマッチングを行い活発な雇用シェアを推進していくものと考えられます。

産業雇用安定助成金の補助額・補助率は?

補助額・補助率の詳細は現時点では不明ですが、12月6日付の毎日新聞の報道では、以下のように報じられています。

助成額や上限額については、来年3月以降に段階的に縮小する予定の雇調金の特例措置と大きな差が出ないよう制度設計を進めている。
今後段階的に縮減されていく雇用調整助成金の補助額・補助率の基準と差が生じないよう、調整していくものとみられます。

産業雇用安定助成金の対象・条件は?

産業雇用安定助成金の対象は、出向元の事業者と出向先の事業者の両方です。

条件の詳細はまだ不明ですが、現行の雇用調整助成金の対象となる出向の要件が踏襲されることが予想されます。

雇用調整助成金の対象となる出向の要件

1. 雇用調整を目的とする出向である

2. 出向後は元の事業所に戻ることが予定されている

3. 出向元の事業者と出向先の事業者が親子やグループ関係にない、資本的・経済的などからみて独立性が認められている

4. 玉突き雇用・出向ではない(出向元の事業者で代わりの労働者を雇い入れていない、出向先の事業者で別の人を出向させたり離職させていない、出向元の事業者と出向先の事業者で労働者を交換していない)

産業雇用安定助成金は、いつから申請できる?

申請開始日時は、現時点では不明ですが、12月8日付のNHKの報道では以下のように報じられています。

この助成金は8日閣議決定される政府の追加経済対策に盛り込まれていて、決定を受けて来年4月までに運用が始まる見通しです。

産業雇用安定助成金、申請の流れは?

申請方法や申請の流れは現時点では不明ですが、現行の雇用調整助成金の対象となる雇用シェアでの受給の流れを踏襲するならば、以下のような受給の流れになるものと考えられます。

<申請の流れ>

  1. 出向先との契約・労働組合などとの協定・出向予定者の同意
  2. 出向の計画届提出・要件の確認
  3. 出向の実施
  4. 支給申請・助成金受給

また、申請先は事業者が所在する地域を管轄する都道府県労働局、またはハローワークでの受付または郵送での受付となると考えられます。

<参照>

内閣府公式サイト:国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策

厚生労働省:「雇用シェア」(在籍型出向制度)を活用して、従業員の雇用を守る企業を無料支援します!

JIJI.COM:自治体、出向社員受け入れ続々 ANA、JAL支援

NHK:従業員の出向支援 助成金制度新設へ 双方の企業対象に 厚労省

毎日新聞:在籍のまま社員出向、政府が助成金で後押し コロナ機に「雇用シェア」強化

口コミラボ 最新版MEOまとめ

【24年3月版 Googleマップ・MEO最新情報まとめ】


MEOに関わるサービス「Googleマップ」「Googleビジネスプロフィール」や、各種地図アプリ・口コミサイトは日々更新を続けており、その全容を把握するのは難しくなっています。

そこで口コミラボでは、MEO・口コミマーケティングに役立つ最新ニュースをまとめた「Googleマップ・MEO最新情報まとめ」を毎月発行しています。

本記事では、2024年2月〜3月の情報をまとめたレポートのダイジェストをお届けします。

※ここでの「MEO」とは、Google上の店舗・施設情報の露出回数を増やしたり、来店行動につなげたりすることで、Google経由の集客を最大化させる施策を指します。
※『口コミアカデミー 』にご登録いただくと、レポートの全容を無料でご確認いただけます。

詳しくはこちらをご覧ください。
ビジネスプロフィールにSNSの投稿が表示される / 宿泊施設のGoogleビジネスプロフィールでSNS登録が可能に ほか【24年3月版 Googleマップ・MEO最新情報まとめ】


口コミアカデミー 0円すべて無料 口コミサイトの運営やノウハウが学べる、店長限定の無料のオンラインスクール

関連するオススメ記事

    この記事の筆者

    口コミラボ編集部

    口コミラボ編集部

    口コミラボ編集部ではMEO対策、ローカルSEO対策、販売促進店舗の口コミデータをもとにしたコンテンツなどを配信しています。