全国に発令された緊急事態宣言は、5月25日をもって正式に解除となったものの、外出自粛や休業がもたらした経済活動への影響は深刻です。
さらに7月29日には1日あたりの新規感染者数が1,000人を超え、先行きの見通せない状況に経営を立て直したい事業者はさらに難しい状況に追い込まれています。
本記事では、緊急事態宣言発令下の小売店の休業状況を振り返り、3密防止など感染拡大予防策を講じた上での企業のさまざまな施策について考察します。
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緊急事態宣言による休業
緊急事態宣言を受けた外出自粛要請により 、上場企業などの大手から中小企業に及ぶ多くの企業では休業や営業時間の短縮を余儀なくされ、厳しい経営状態に立たされました。
緊急事態宣言下の休業状況について振り返ります。
7都府県への発令直後、休業へ踏み切る企業が急増
4月7日、7都府県(東京都・千葉県・埼玉県・神奈川県・大阪府・兵庫県・福岡県)を対象に発令された緊急事態宣言を受け、休業や時短表明を行う企業が急増しました。
株式会社帝国データバンクの調査によると、事業所や店舗などの営業休止や時間短縮など、「営業活動に影響が出た」上場企業は、4月10日午前までに計306社に上りました。
業種別では小売が最も多く、全体の約4割を占める124社となっており、1割強を占めるサービス業と合わせると全体の半数超を小売・サービスなどのB to C業種が占める形となりました。小売の中では特に飲食店を中心とした企業で、対象となる7都道府県での休業や営業短縮、臨時休業を決定したケースが相次ぎました。
「博多 一風堂」を展開する力の源HDは4月8日から当面の間計93店舗を休業、外食産業を中心に展開するコロワイドは、居酒屋業態の計384店舗で4月8日から5月6日までの休業を決定しました。
また、大手百貨店や商業施設でも同様の動きが見られ、三越伊勢丹HDは緊急事態宣言解除までの間、首都圏の百貨店について臨時休業を決定しました。
阪急百貨店を運営するエイチ・ツー・オーリテイリングでは、阪急メンズ大阪など4店舗について臨時休業とした他、13店舗は食料品売り場のみ営業継続としました。
その他サービス業にも休業の流れは広まり、結婚式場大手のテイクアンドギヴ・ニーズは緊急事態宣言の発令期間中、運営する一部の式場を臨時休業とした他、京都きもの友禅も7都府県の計27店舗で臨時休業を決定しました。
休業外になった大手チェーンの対応
休業を実施しない企業でも、更なる感染の防止として営業を縮小化する企業が相次ぎました。
スーパー大手では、イトーヨーカ堂が一部店舗を除き休業し、終業時間を原則20時とした時短営業を全店で行いました。
イオンでは一部の専門店で休業や営業時間を変更し、フードコートやイートインコーナーの利用は20時まで、アルコール類の提供は19時までとしました。
外食チェーンに目を向けると、ファーストフード大手のマクドナルドでは「特定警戒都道府県」対象地域である13都道府県で一時店内飲食を中止とし、持ち帰りやドライブスルー・デリバリー推進にあたりました。
ケンタッキーフライドチキンでは、7都府県での営業は20時までに短縮し、一部では休業としました。
また、大手カフェチェーンのスターバックスでは、13の特定警戒都道府県で休業、その他店舗では19時までの短縮営業とし、ドライブスルー・持ち帰りのみの営業としました。
牛丼チェーンの吉野家では、イートインは5時から20時までとし、20時以降の深夜帯はテイクアウトとデリバリーのみの対応とした他、すき家では全店舗で避けるの販売を中止しました。
さらに、家電販売店でも同様の動きは広がり、ビックカメラでは一部店舗で臨時休業や営業時間を実施、ヤマダ電機では全店舗で10時から19時までの短縮営業としました。
新型コロナ流行に対抗、独自の営業対策の紹介
各所で休業や営業時間短縮などの措置をとる企業が増えるに伴い、感染拡大防止にあたり独自対策を進める動きが広がりました。各企業で展開されたさまざまな施策について解説します。
セブン-イレブンの感謝金支給
セブン-イレブン・ジャパンは4月30日、 新型コロナウイルス感染拡大する中で営業を続ける加盟店への支援を目的に、特別感謝金として1店舗あたり10万円の支給を行うことを発表しました。
また、従業員への特別手当としては6万円分のクオカードを支給し、仕入代金や営業費の支払いを本部が代行することにより利息を当面免除としました。
さらに感染者発生により休業を余儀無くする店舗には、休業日数に応じて5万~10万円の見舞金を支払うとしました。
一方、加盟店従業員の感染防止策としてはマスクやフェースシールド、使い捨て手袋の配布にあたるなど、営業を継続する加盟店へ最大限配慮した施策となっています。
ドン・キホーテやアピタの就労支援
ドン・キホーテなどを傘下に持つパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスは、営業自粛中の飲食店従業員への就労支援を実施しました。
具体的には、ドン・キホーテやMEGAドン・キホーテUNY、アピタ、ピアゴなど食品を取り扱う店舗にて、生鮮食品・総菜売り場のアルバイトとして雇用するとし、給料の週払いや営業自粛期間のみなどの短期雇用も可能としました。
全国にグループ店舗を展開する同社の強みを生かした策として、注目が集まりました。
ローソンの宅配対応
外出自粛による巣ごもり需要増加により、ローソンではUber Eats(ウーバーイーツ)の売上が右肩上がりで伸びており、2020年4月の売上は2月の3倍近くに増えていると発表しました。
これを受け、さらなる売上獲得のためUber Eats(ウーバーイーツ)の対応店舗拡大に注力しました。
4月9日の発表時点では都内14店舗でしたが、5月26日には282店舗に拡大しており、6月末までに500店舗での導入を目指すと発表しています。
宅配の対象となるのは弁当やおにぎり、冷凍食品、菓子、飲料・酒類、日用品など約200種類の商品となっています。
また感染者受け入れにあたる宿泊施設へ食事を提供するほか、病院内のローソン約320店舗で4~6月の各月に1回、医療従事者にスイーツやコーヒーを5割引で提供するとしました。
高島屋柏店のドライブスルー販売
高島屋柏店(千葉県柏市)では3密防止にあたり、4月28日から電話注文にて、野菜・果物など一部商品のドライブスルー販売の受付を開始しました。
販売するのは、キュウリやナスなどの野菜34品とリンゴやバナナなどの果物7品であり、支払いは注文時に高島屋のクレジットカードで決済、または当日現金で支払いとしています。
なお、受け渡し場所は駐車場となっており、対面による感染リスクを押さえた施策の実施にあたりました。
休業補償金
休業や営業時間短縮などの要請に全面的に協力している企業や個人事業主に対しては、休業補償金などの支援策が発表されました。
各都道府県ごとに支援内容が異なるため、申請にあたっては最新情報を確認する必要があります。
新型コロナウイルス休業協力金
東京都は、営業時間短縮や休業等の要請を受けた施設を運営する、中小企業及び個人事業主に対し、最大100万円の「感染拡大防止協力金」支給を実施しました。
都内に事業所を有し、4月16日から5月6日までの休業期間中、休業や時間短縮の要請等に応じた中小企業および個人事業主が対象となっており、支給額は通常50万円(2つ以上の事業所で休業を実施した事業者は100万円)としました。
なお、協力金は2回にわたって実施されており、申請受付期間は第1回が緊急事態宣言下の4月22日から6月15日まで、第2回が6月17日から7月17日までとなっています。
雇用調整助成金
事業活動の縮小を余儀なくされながらも、「雇用調整(休業)」を実施し従業員の雇用維持に努めた事業者に対しては、休業手当などの一部を助成する「雇用調整助成金」が支給されます。
新型コロナウイルスによる影響で、最近1か月間の売上高または生産量などが前年同月比5%以上減少していることや、労使間の協定に基づき休業などを実施し、休業手当を支払っていることなどの条件を満たした、すべての業種の事業主が対象となっています。
なお、6月12日には「特例措置」が施行され、上限額の引き上げ(1人一日あたり15,000円まで)と助成率の拡充は、4月1日までさかのぼり適用することとなりました。
さらに、学生アルバイトなどの雇用保険被保険者以外への休業手当も助成対象となっており、政府はコロナウイルスによる失業を抑えるため、対策に乗り出しています。
影響を最小限に抑えるためアフターコロナへの備えを
7月29日には1日あたりの新規感染者数が1,000人超え、新型コロナウイルス収束には程遠い状況にあります。
再度の休業要請は可能性が低いとの見方が強いものの、第2波到来への懸念が深まる中、事業者は万が一のリスクに備えて早期に対策を講じておく必要がです。
また、休業を実施しない場合には感染予防に細心の注意を払った上で、売上確保および経営立て直しにあたり、テイクアウトやデリバリーなど非対面に留意した独自施策や政府の助成金などの活用を検討すると良いでしょう。
助成金などは情報が随時更新され、各都道府県や市区町村でも対応が異なる場合があるので管轄の窓口への問い合わせまたは公式サイトなどを常にチェックすると良いでしょう。
今後も政府の動向に注視しつつ、新型コロナウイルスの感染予防対策を確実に行い、自店で感染しないさせないように細心の注意が必要です。
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