2021年12月、宿泊業界は緊急事態宣言の解除や各自治体での県民割の効果を受け、少しずつ活気を取り戻しつつありました。一方でコロナ前の需要には遠く、「Go To トラベル」事業の実施が強く待たれています。
この記事では、12月の宿泊業界動向についてまとめます。
「Go To トラベル」動向
政府の目玉政策である「Go To トラベル」に関しては12月にもさまざまな動きがありました。
再開時期は?
岸田総理は12月10日の国会で「年末年始の感染状況などをしっかり見極めた上で検討する」「具体的な開始時期は専門家の意見を踏まえる」「週末の混雑回避や中小企業への配慮も踏まえる」と述べ、明言は避けたものの1月以降の再開を示唆しました。また岸田総理の側近である木原副官房長官が12月6日に出演したテレビ番組で、「Go To トラベル」の再開時期が来年1月末以降になると発言し、再開は「慎重のうえにも慎重に」という岸田総理の考えについても述べました。
岸田氏は補正予算に「Go Toトラベル」関連の予算を付け足す意向を示すなど、経済回復施策の目玉として「Go Toトラベル」事業を重視しています。しかし、オミクロン株の流行も心配される中、感染拡大を防ぐことに重点的に取り組む姿勢も同時に見せており、「Go Toトラベル」の再開には慎重です。
※1月7日、「Go To トラベル」の再開見送りが発表されました。オミクロン株の市中感染の広がりや年始の感染者数増大が原因です。これによって再開時期は早くとも2月以降となる見込みです。
「Go To トラベル2.0」の概要
岸田総理は総裁選の時点から、感染対策や中小企業への恩恵の少なさなどの反省点を踏まえ、既存の「Go Toトラベル」の枠組みを見直す考えを示していました。
今回の「Go To トラベル2.0」では、1月から夏休みに入るまでの7月が割引の対象期間(春休み期間は対象外)とされ、利用条件にワクチンの接種証明やPCR検査の陰性証明が必要となる見込みです。
前回からの変更点としては、旅行代金の割引率が35%(1万4,000円上限)から30%(1万円上限)に変更となるほか、クーポンの発行も旅行代金の15%(6,000円上限)から平日3,000円、休日1,000円と休日・平日で割引率に差がつけられるようになります。
これらは中小の旅行事業者にも恩恵が得られるような配慮であるほか、利用が週末に集中しないようにするための措置でもあります。
ゴールデンウィーク以降は各地方自治体が事業を補助し、旅行代金の最大20%(8,000円上限)割引と最大3,000円のクーポン発行をベースに、自治体ごとの裁量で割引率が決定されます。
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Go Toトラベル、61.6%が利用に前向き
BIGLOBEが12月7、8日に全国の20代~60代の男女1,000人を対象として行ったアンケートによると、「Go To トラベル」の利用意向について「利用したい」が27.1%、「やや利用したい」が34.5%と回答し、合計で61.6%が利用に向けた意向を持っていることがわかりました。
Go Toトラベルは昨年12月以降中断されており、1年以上の停止期間を経たことで再開への期待感は高まっているといえます。
また事業者の方からも消費の喚起効果が大きいGo Toには期待感があり、一刻も早い再開が望まれています。
宿泊業界主要ニュース
ここでは、12月の宿泊業界にまつわるニュースについてまとめます。
長期滞在プランのフロアを拡充/帝国ホテル
宿泊大手の帝国ホテルでは、「サービスアパートメント」として長期間のプランを提供しています。料金は月額36万円からで、料金によってさまざまなグレードの部屋を利用できます。
各フロアには洗濯乾燥機や電子レンジなどが設置されたスペースが準備されており、ホテル内で生活ができるようになっています。プールやフィットネスセンターの利用に加え、テレワークに活用できる予約制のミーティングルームなどもあります。
12月には新たにペントハウスフロア、レジデンシャルフロアを用意するとの発表がありました。最上階の特別なフロア/スイートルームのみのフロアとなっています。
その他にも多くのホテルがコロナ禍を受けて長期滞在プランを始めており、好評を得ています。
900人が行列、ホテルガチャ/東武グループ
東武鉄道が発売し、東京スカイツリーの商業施設「東京ソラマチ」に設置した「ホテルガチャ」は大きな人気を博し、900人以上が行列を作るなどの現象も起きました。
ホテルガチャは1回5,555円で「ACホテル・バイ・マリオット東京銀座」のプレミアルーム宿泊券や、東京スカイツリー展望デッキにあるレストラン「Sky Restaurant 634(ムサシ)」のディナー食事券など、東部グループが運営する施設での高級サービスが当たる可能性があるというカプセル自販機で、ネットを中心に大きく話題になりました。
西武グループも類似のサービスを実施しており、こちらも1回1万円で最大250万円のスイートルームが利用できるなど豪華な景品を用意しています。
宿泊業関連データ
ここでは、12月に発表された宿泊業の各種データについて紹介します。
宿泊旅行統計(11月分)
国土交通省が発表した宿泊旅行統計によると、11月の延べ宿泊者数は3,561万人泊と、前年同月比で約100万人泊ほど増加しています。
外国人延べ宿泊者数は、約27万5,000人泊と依然として少ない状況が続いています。オミクロン株への危機感から外国人の入国は難しい状況が続くと思われます。
また客室稼働率は46%と低迷しており、「Go To トラベル」などの国内需要の喚起策が求められています。
内閣府「景気ウォッチャー調査」(11月分)
内閣府による「景気ウォッチャー調査」では、緊急事態宣言解除と各自治体が独自に行っている観光支援事業(県民割など)も効果を受け、徐々に宿泊業への客足が戻りつつあることが各地方の旅行代理店やホテルの動向から見てとれます。
しかし外国人観光客や団体旅行客の不在からコロナ前の水準までに需要は戻っておらず、厳しい状況は続いています。本格的な冬を迎えるにあたって感染拡大も心配されており、先行きの不安感も拭えません。
一方で、同調査でも先行き判断において「GoTo 事業」が多くキーワードとして多く上がるなど、「Go To トラベル」への期待感は高まっています。
博報堂生活総研 [来月の消費予報・1月]
2022年1月の消費意欲指数は51.4点で、前月比-4.7ptと低下し、前年比は+2.8ptの上昇です。
クリスマスやお正月などの反動で消費意欲が低下しがちな1月ですが、2022年は過去5年で最高値となっており、幸先のよいスタートといえるでしょう。
旅行やレジャーなど、旅行に関する消費意欲は前年に比べると高まっています。ただオミクロン株への危機感や年始の感染者数急増など、いまだ先行きは不透明です。
口コミラボ 最新版MEOまとめ【24年9月・10月版 Googleマップ・MEOまとめ】
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<参照>
日本経済新聞:新型コロナ: 首相、Go To再開「年末年始の感染状況見極め」
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観光庁:宿泊旅行統計調査 | 統計情報
博報堂 HAKUHODO Inc:博報堂生活総研[来月の消費予報・2022年1月](消費意欲指数).