兵庫県が旅行業支援に約7億円/ホテル各社「リハビリ向け」など独自プランで売上めざす【宿泊業界動向まとめ2021年9月】

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9月末で緊急事態宣言とまん延防止等充填措置が全国的に解除され、宿泊業にとっては明るい兆しが見え始めています。

そのほかワクチンの普及にもとづいた制限緩和に向けての実証実験の開始や、GoTo事業の再開への動きなどもみられています。

そんななか、各宿泊業者は売り上げ回復に向けたさまざまなプランやイベント展開を試みています。また宣言解除をうけて、宿泊業に向けた自治体の支援策も具体的になってきています。

この記事ではそれらの宿泊業の動向についてまとめます。

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9月の宿泊業界動向、ホテル各社の特色あるプランなど

ホテル各社は新型コロナウイルスによって減少した売り上げを取り戻すべく、さまざまなプランによって新たな需要を掘り起こすような動きが見られています。またホテルへの宿泊とイベントを組み合わせた取り組みなども見られます。

ここでは、そのような各社の取り組みについて紹介します。

1. ホテルオークラ/ワクチン接種者への割引サービス

京都ホテルオークラではホテル館内のレストランで新型コロナウイルスワクチンを2回接種済みの顧客に割引サービスを実施しています。9月末までは65歳以上の顧客を対象としていましたが、10月以降はその年齢制限が撤廃され、新型コロナウイルスワクチンを2回接種済みの全てに人が対象となります。

割引の内容としては、平日のランチタイム(11:30~14:30)に館内のレストランを利用する際にワクチンの接種証明書を提示すれば、利用金額が10%引きになるというものです。

そのほかホテルオークラ京都では宴会場での会食プランを利用した客のうちワクチン接種者にホテル特性のレトルトカレーをプレゼントするなど、ワクチン接種者に向けたキャンペーンを展開しています。

<参照>
【京都ホテルオークラ】《対象拡大&延長》ワクチン接種応援企画|オークラ ホテルズ & リゾーツのプレスリリース

2. 京王プラザホテル・帝国ホテル「サービスアパートメント型」長期滞在プラン

京王プラザホテル新宿は、7泊以上および30泊以上の長期滞在向けのパッケージをプランを開始しました。

サービスアパパートメント型 長期在在プラン」と呼ばれるこのプランでは、7泊もしくは30泊を基本として、連泊のほか最低3泊から自由に日程を組み替えて利用することもできるようになっています。7泊プランの場合は1回、30日プランの場合は5回まで滞在時期を組み替えることができます。

同様のサービスは帝国ホテルでも実施されており、月額料金によるプランで3フロア99室が4か月分で満室になるなど人気を博しています。

<参照>
京王プラザホテル、多彩な特典が魅力の「サービスアパートメント型 長期滞在プラン」を発売 | HotelBank (ホテルバンク)
帝国ホテル「即日満室」の舞台裏 「住まう」へと価値を大転換:日経クロストレンド

3. リーガロイヤルホテル/高齢者向け長期滞在プラン

大阪市のリーガロイヤルホテルでは、2021年10月より歩行や食事など日常動作に支障のある高齢者が滞在しながらリハビリを受けられるサービスを開始しています。

これはホテル内の貸し会議室をリハビリ施設に改装し、介護支援業者との提携によって専門スタッフを配置することで高齢者がリハビリを受けられるようにしたもので、1室30泊から高齢者自身と解除者の2名で利用できます。

このプランはコロナ禍で介護施設の利用を中断している高齢者がいることに着目し、長期滞在プランにリハビリをを組み合わせることで新たな需要を見出そうという試みです。ホテル側はこれを「リハビリツーリズム」と銘打ち、利用客の開拓を狙っています。

<参照>
リーガロイヤルホテル、30泊200万円の集中リハビリプラン発売 - 産経ニュース

4. 東京ドームホテル/リアル脱出ゲーム

宿泊と同時に、ホテルをイベントのために利用するというアイデアも出てきています。

東京ドームホテルでは、リアル脱出ゲームを企画運営する株式会社SCRAPと提携し、「宿泊型リアル脱出ゲーム」としてイベント「夜明けの来ないホテルからの脱出」を開催しています。9月には予約数が1万人を突破するなど、好評です。

このイベントは宿泊と同時にさまざまな謎を攻略しながら進んでいく形式となっており、その過程でホテル内の施設を利用できたり、サービスを受けられるようになっています。イベントはストーリー形式で進むため、ホテルの雰囲気と合わせて非日常的な体験が楽しめます。

<参照>
宿泊型リアル脱出ゲーム シリーズ累計予約数1万人突破記念!「夜明けの来ないホテルからの脱出」公式体験レポート公開!|株式会社SCRAPのプレスリリース

5. 帝国ホテル/従業員の健康管理も、ワクチン未接種のスタッフ向けに抗原検査

新型コロナウイルス対策として、さまざまな場所から不特定多数の人が集まるホテルという業態では、従業員の健康管理も重要になります。

帝国ホテルでは新型コロナウイルスのワクチン接種を受けていない従業員に対し、週1回の抗原検査を受けてもらう方針を発表しています。直営ホテルに勤務する従業員はすでに9割以上ワクチンの職域接種を済ませていますが、これによりさらに安全性を高める狙いです。

<参照>
帝国ホテル、ワクチン未接種の従業員に週1回の抗原検査へ : 経済 : ニュース : 読売新聞オンライン

宣言解除もみすえ自治体が支援策

9月末で緊急事態宣言が全国的に解除されることとなり、それを受けて各自治体では景気浮揚に向けた支援策が出され始めています。そのなかには宿泊業に向けたものも見られます。

ここでは各自治体からの経済支援策のうち、宿泊業に向けたものを紹介します。

兵庫県/旅行業・宿泊業支援に約7億円

兵庫県は新型コロナウイルスワクチン接種の普及後をにらんだ経済対策として、9月の補正予算案において7億円以上を計上しました。

支援策としては県内のワクチン接種率が60%以上になることを条件として、県民の県内旅行・宿泊に1人1泊あたり最大5,000円の割引やクーポン券を配布するなどのキャンペーンを実施する予定です。ワクチンの未接種者に関しては、旅行に同行できるのが同居人に限られるなどの制限がかけられます。

これらの施策により、中小の観光事業者や旅館ホテルなどが恩恵を受けられるようにしたい、と兵庫県の斎藤元彦知事は述べています。

<参照>
新型コロナ: ワクチン普及後の県内旅行・宿泊支援 兵庫の9月補正: 日本経済新聞

岩手県/いわて旅行応援プロジェクト

岩手県は、県民による県民旅行を対象とした「いわて旅応援プロジェクト」を10月1日から再開することを発表しました。このプロジェクトは県内の日帰り旅行や宿泊代金に対して1人につき最大で5,000円の補助をするほか、土産物店などで利用できる最大2,000円のクーポンを配布するというものです。

もともと2021年4月に始まっていた同プロジェクトですが、夏場の感染拡大を受けて8月にいったん中止となっていました。宿泊業界から間には、事業再開を望む声が多く上がっていました。

予算としてはプロジェクトの第一弾で計上された約36億円の事業費のうち、中止により使い切られていなかった8億5,000万円が充てられます。これらの予算がなくなり次第終了する予定です。

<参照>
県民宿泊割再開へ : ニュース : 岩手 : 地域 : 読売新聞オンライン

9月に発表された宿泊業関連のデータ紹介

9月の宿泊業では、売上などにおいてはこれまでに引き続き厳しい状況が見られます。

ここでは9月に発表された宿泊業関連のデータについて紹介します。

宿泊旅行統計調査/2019年8月に比べ、述べ宿泊人数51%減

観光庁が発表した「宿泊旅行統計調査」の速報によると、コロナ禍以前の2019年と比較した今年8月の全体の延べ宿泊人数は51.8%減となりました。

外国人宿泊者数に限って見た場合、2019年8月と比較して93.5%減と大幅な落ち込みが続いています。

日本人の宿泊者数では、7月には回復傾向が見られていたものの8月の感染拡大を受けて2019年同月比44%と後退することになりました。9月も緊急事態宣言は続いていたため、本格的な国内旅行客の回復には10月以降になることが予想されます。

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東京商工リサーチ/8月宿泊業倒産14件で過去最高

東京商工リサーチが発表した2021年の宿泊業倒産数は14件で、8月単月では過去最多となる数字です。

倒産の理由別では経営不信が最も多く、その多くは破産によるものでした。倒産したのは中小のホテル業者が多く、インバウンド需要を見越していた業者の苦境がうかがえます。

また旅行業でも4件の倒産があり、単月では今年最多の数となりました。これらはすべて新型コロナ関連の倒産であり、宿泊業と同じく苦しい状態であることがわかります。

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博報堂生活総研 [来月の消費予報・10月](消費意欲指数)

博報堂のシンクタンクである博報堂生活総合研究所は、20~69歳の男女1,500名を対象に調査した「来月の消費予報・10月」を発表しました。2021年の消費意欲指数は46.2ポイントで、前年比で1.9%低下しました。前月比では0.6ポイントの横ばいです。

博報堂生活総研:来月の消費予報10月
▲博報堂生活総研:来月の消費予報10月

10月は例年9月と同水準で推移することが多いのですが、内訳として男性は前月比マイナスであったのに対し、女性は消費意欲が大きくプラスになっているという特徴が見られました。

旅行に関する消費意欲は前月比・前年比で見ても回復傾向は見られませんが、これは緊急事態宣言の解除が発表される前のデータであるため、実際の需要はもう少し上向くことが予想されます。

9月はまだコロナウイルスの感染拡大や緊急事態宣言の影響が大きく、宿泊業にとってはこれまでの苦境が続いた形になりました。

10月以降は宣言の解除などを受けて、改善が見られる可能性があります。GoToキャンペーンの再開などに向けて、売り上げ獲得に向けた施策を打ち出していく必要があるでしょう。

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<参照>
8月の宿泊業倒産は14件 単月では今年最多に(東京商工リサーチ調べ) – 旬刊旅行新聞 – 株式会社旅行新聞新社
博報堂生活総研 [来月の消費予報・10月](消費意欲指数):時事ドットコム



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