近年、Google マイビジネスを用いてGoogle マップの施設情報を最適化する「MEO対策」が、飲食店・宿泊施設など実店舗におけるマーケティング手法として注目されています。
そしてGoogle マップは観光の際にも店舗・施設を探すために使われることから、観光地などを有する自治体やDMO(Destination Management Organization:観光地域づくり法人)にとっても重要になってきています。
本記事では、自治体やDMOにとって何故MEO対策が必要なのか、そしてMEO対策の内容などについて解説していきます。
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観光地でやるべきMEO対策とは?
インバウンド集客の新常識「ローカルSEO(MEO)対策」とは?
※Googleマイビジネスは、2021.11.5よりGoogle ビジネスプロフィールという名称に変更されました。
これに伴い、2022年にスマートフォン向けGoogleマイビジネスのアプリが終了します。
アプリ終了前に、これまでと同じように快適に使えるよう今から準備しておきましょう!
MEOとは
MEO(Map Engine Optimization)は、もともとGoogle マイビジネスの情報整備を通じてGoogleからの評価を高めることに着目した、Google ストリートビューの撮影業者などが使い始めた言葉です。
その言葉の定義は曖昧ですが、今では大抵の場合「Google マイビジネスを用いた情報の管理、口コミ促進などを通じGoogle マップからの検索に最適化すること」という意味で使われています。
MEOは日本でだけ使われている言葉で、海外では場所情報に関連した検索への最適化を意味する「Local SEO(ローカルSEO)」という用語があります。国内では、ローカルSEOはMEOとほぼ同じ意味で使われることが多いようです。
MEO対策の基本
Google マップでの検索に最適化するための対策には、以下のようなものがあります。
1. Google マップ上の施設情報の最適化
Google マップ上の施設情報にできるだけ詳しい情報を掲載し、それを常に新しい情報に更新していきます。
なお、Google マップへの施設情報登録は通常のユーザーでも可能ですが(正確にはGoogleへの情報提案という形で、Googleが承認すれば掲載されます)、オーナーとしてより詳しい情報を登録するにはGoogle マイビジネスのアカウントが必要です。
2. 投稿機能の活用
Google マイビジネスの「投稿」機能を用いて施設の特徴やキャンペーンの内容などを投稿することで、Google マップ上にも表示され、ユーザーへのアピールにつながります。
3. 口コミ促進・返信
Google マップの検索結果の表示順には、ユーザーからの口コミと評価が影響しているといわれています。
また、ユーザーが施設を選択する際にも、他のユーザーからの口コミ・評価、さらにはオーナーからの返信を参考に決めることが多くあります。
そのため、口コミを投稿してもらえるよう来店時に直接呼びかけたり、口コミを投稿してくれたユーザーに対してGoogle マイビジネスからお礼の返信をしたりといった対応が必要です。
4. WebサイトのSEO対策
Google マップの検索結果の表示順には、施設公式WebサイトのSEO評価も影響しています。
公式サイトのURLをGoogle マイビジネスに登録するのはもちろん、公式サイトにGoogle マップ情報を掲載するなど相互リンクを構築しておくと、公式サイトの評価が施設情報に紐付けられやすくなります。
5. サイテーション獲得
Google マップの検索結果の表示順に影響する要素として、サイテーションも重要な評価対象だといわれています。
ここでのサイテーションとは、他サイトやSNSで施設名などに言及されることをいいます。
Googleはこのサイテーションも順位決定要因としているため、ユーザーやWebメディアなどによってWeb上で取り上げてもらえるよう、SNSで積極的にプロモーションを行いましょう。
MEO対策の注意点
MEO対策を謳った業者の中には、Googleのガイドラインに違反している悪質な運用を行なったり、もしくは推奨したりする業者が存在します。
たとえば、Google マイビジネスのビジネス名に「人気」「おすすめ」などといった不要な情報を入れ込むことや、自作自演で虚偽のレビューややらせの口コミを大量に投稿することはGoogleのガイドライン違反となります。
こういったガイドラインに違反したGoogle マイビジネスの運用を続けていた場合、アカウント停止などのペナルティが課されることもあるので注意が必要です。
自治体がMEO対策を推進すべき理由
自治体やDMOにMEO対策が必要な理由として、日本国内でのGoogle マップの月間利用者数がマップアプリの中で圧倒的なシェアを誇っていること、そして目的地への経路をすぐ確認でき、観光の際にも使われるツールであることがあげられます。
また、Google マップは世界で使われて自動で言語が翻訳されるツールであるため、インバウンド対策としても有効です。
地方ではまだGoogle マップへの情報掲載ができていない施設が多くみられますが、観光客がGoogle マップで周辺の施設を検索した際に検索結果に表示されなければ、機会損失につながります。
反対に、その地域にある多くの施設が表示されれば、より多くの場所を訪れてもらえる可能性が高まるはずです。
自治体やDMOにとって、観光客の満足度向上のための受け入れ環境整備は必須で、その中で整備すべきツールとして、今後Google マップの重要性が上がっていくことが予想されます。
第三者による情報改ざんのリスクも。Web上の施設情報管理はいまや必須
自治体やDMOが率先して施設のGoogle マップ情報を管理すべき理由として、第三者による情報の改ざんの可能性があります。
Google マップに掲載されている情報は、「情報の修正を提案」という機能をユーザーが利用することによって情報が書き換えられてしまうことがあります。
これまでにも、2015年に広島県の原爆ドームや島根県の出雲大社の名称が書き換えられたり、2017年には大阪市内の駅名が改ざんされたりなどの悪質な行為がありました。
そういったことを防ぐためにも、各自治体が持つ観光施設情報などをしっかり管理していく必要があるといえます。
関連記事Googleマップの店舗情報「誰でも勝手に書き換えられる」って知ってた?
自治体が推進すべきMEO対策とは
観光施策としてGoogle マップへの施設情報の掲載を推進するためには、Google マイビジネスへの登録や情報の最適化をそれぞれの施設まかせにしたままでは運用が進まないことが考えられます。
自治体やDMO自身が地域全体でMEOへ取り組むことの必要性を説き、導入のための手助けなどを行なっていくことが必要です。
ここでは、自治体やDMOで具体的にどういった支援が行えるのかを解説していきます。
1. Googleマイビジネスの重要性を広める取り組み
地方の観光施設では未だデジタル化が進んでおらず、Google マイビジネスの導入がされていないところもあるはずです。
そういった施設の管理者に対して、これからの観光におけるGoogle マップの重要性を広める必要があります。
Google マイビジネスの重要性について説明するセミナーを開催するなど、自治体やDMOが主導し、地域全体でMEO対策を行っていくとよいでしょう。
2. Googleマイビジネスの登録代行・支援
Google マイビジネスを用いたGoogle マップ活用の重要性について理解を得られたら、次の段階として実際のGoogle マイビジネスへの登録を促します。
しかし、パソコンなどのデジタル端末に疎く登録を難しいと感じる人に対しては、登録方法を詳細に説明したパンフレットを作成して配布したり、登録支援の特設サイトや窓口を開設したり、場合によっては登録を代行するなどの支援が必要となります。
パンフレットや特設サイトにて、Google マイビジネス登録方法を解説する場合は、大まかに以下のような順番となります。
- Google アカウントを作成する
- Google マップ上で施設を検索し、「ビジネスオーナーですか?」をクリックする
- 必要事項を記入し、送信する
- Googleから確認コードが届いたら、入力画面にコードを入力する
- 利用開始
各手順の詳細な操作方法は以下の記事をご覧ください。
関連記事【保存版】簡単にわかる「Googleマイビジネス」登録方法 ステップ別解説
3. 登録した後に整備すべき情報や使える機能を周知
地域の店舗や施設をGoogle マイビジネスへの登録まで促すことができたら、その後のGoogle マイビジネスでの情報整備や機能について発信し、管理者へ周知します。
たとえばGoogle マイビジネスでできることとして、以下のようなものが挙げられます。
- 施設情報の登録
- 口コミ管理・返信
- 投稿
- インサイト(分析機能)
- ユーザーとのメッセージのやりとり(※2024年7月31日以降、メッセージ機能は利用不可)
- メニューやサービスの紹介
- 簡単なWebサイトの作成
- 管理するユーザーを追加する
詳しくは以下の記事をご覧ください。
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【完全版】Googleマイビジネスとは?活用すべき理由、登録・運用方法、新機能まで徹底解説!
まとめ
目的への経路探索だけでなく観光時にも活用されることが多く、世界中の人に利用されているGoogle マップは、店舗や施設の集客にとって今後もその重要性が増していくことが予想されます。
観光客受け入れの施策としてGoogle マップを活用していくには、地域全体でMEOに取り組むことが効果的です。
これまでデジタルへの対応が進んでいなかった地域では、自治体やDMOが主体となってGoogle マイビジネスへの登録と活用の支援をするなどして、継続した管理の実現が必要となるでしょう。
口コミラボ 最新版MEOまとめ【24年11月版 Googleマップ・MEOまとめ】
そこで口コミラボでは、MEO・口コミマーケティングに役立つ最新ニュースをまとめた「Googleマップ・MEO最新情報まとめ」を毎月発行しています。
本記事では、主に2024年11月の情報をまとめたレポートのダイジェストをお届けします。
※ここでの「MEO」とは、Google上の店舗・施設情報の露出回数を増やしたり、来店行動につなげたりすることで、Google経由の集客を最大化させる施策を指します。
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<参考>
産経WEST:グーグルマップ、また改ざん 大阪市内の駅名に悪質ないたずらか