サイレントマジョリティは「静かなる多数派」「声なき声」とも呼ばれ、特にマーケティングにおいては、大多数の消費者のニーズに応えるうえで重要な存在です。
また、近年ソーシャルメディアの台頭によってサイレントマジョリティの声の可視化が進み、今度はいかにネット上に散らばるサイレントマジョリティの意見を集めるかが新たな課題として浮かび上がっています。
本記事では、サイレントマジョリティの意味や、マーケティングに取り込むためのアプローチ方法まで、幅広く解説します。
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サイレントマジョリティとは?
サイレントマジョリティは、本来政治の場で使われていました。この用語の起源は、1969年に当時のアメリカ大統領・ニクソンが行った演説の中で「グレート・サイレント・マジョリティ(the great silent majority)」と発言したことです。
ニクソンは、日増しに大きくなるベトナム戦争に対する反戦運動を受けて、声高に反対の声を挙げているのはごく一部であり、それ以外の大多数の沈黙を守っている国民は現体制を支持しているという意味でこの言葉を用いました。
その後サイレントマジョリティはマーケティングの世界において、「発言しない大多数の消費者」を指す言葉として用いられるようになりました。
潜在的な声はマーケティングにおいて重要な要素に
サイレントマジョリティは積極的に声を挙げる存在ではないものの、多数派を意味します。そのためマーケティング業界において、その存在はかねてから重要視されてきましたが、近年、改めてその注目度が高まっています。
その背景にあるのがソーシャルメディアの台頭です。従来企業にとっては「声なき声」であったサイレントマジョリティが抱えていた思いや意見が、ソーシャルメディアを通じて可視化され始めたためです。
さらにソーシャルメディアで発信された意見は、企業アンケートのように設定された設問に沿って回答されたものではありません。
より消費者の真のニーズに近い声であり、さらに否定的な意見だけではなく、企業側が気づかなかった商品の強みを指摘しているものもあります。
対義語は「ノイジーマイノリティ」
サイレントマジョリティの対義語としてマーケット用語として用いられているワードに、「ノイジーマイノリティ(noisy minority)」があります。
直訳すると「声の大きい少数派」で、クレーマーや、教育機関におけるモンスターペアレント、医療現場におけるモンスターペイシェントなどが当てはまります。主張に論理性がなく、ただ雑音のように騒がしいことから、批判的意味合いが強い用語です。
サイレントマジョリティの声を拾うには?どう活かす?
ソーシャルメディアを活用してサイレントマジョリティを可視化できるようになった今、サイレントマジョリティの声をいかに拾い、マーケティングに活かせるかが重要です。ここでは有効な施策のひとつとして、「ソーシャルリスニング」を紹介します。
ソーシャルリスニングとは
「ソーシャルリスニング」とは、TwitterやFacebookといったソーシャルメディア上で発信されている声を拾い集めて分析し、マーケティング戦略に活用する方法を指します。
顧客からの率直な意見や不満を集める、投稿数やリーチ数といったデータを集めて分析するなどの作業を通し、サイレントマジョリティを可視化することで現状把握や顧客ニーズの把握に役立てられます。
ソーシャルリスニングのメリットとしては、さまざまなユーザーの声を拾えることです。
あらゆる顧客の投稿を収集し、投稿数が伸びる時期を分析するだけでも、そのサービスや商品のニーズが高まる時期の予測に役立ちます。
さらに「投稿がどれほどの人に見られているか」を意味するリーチ数を調べて分析すれば、情報がどの程度拡散しているのかを知る手がかりとなります。
分析した結果をマーケティングに活かす
これまでの企業アンケートなどは、主にすでに自社の商品やサービスを購入、使用したことがある層が調査対象となっていました。
ところがソーシャルリスニングで得られる消費者の声には、これから顧客になるかもしれない見込み顧客も含まれています。
また、ソーシャルリスニングによって情報を集め、分析することで、年代、性別、ライフスタイル別など、自社の商品やサービスのターゲット層の興味や、消費行動の方法をリサーチできようになりました。
こうして得られた結果を活用することで、より詳細なペルソナを描けるようになり、現在の商品の販売戦略だけではなく、今後の商品開発の一助としても役立ちます。企業イメージやブランドの認知度向上にもつなげられるでしょう。
サイレントマジョリティの声を拾う際の注意点
ソーシャルリスニングを行ってサイレントマジョリティの声を拾うことは、現在提供している商品やサービスだけではなく、これからの企業戦略を立てるうえでも有益です。
しかし正しい手法でデータ収集をしなければ、マーケティングに活用できるデータは得られません。
そこで、ソーシャルリスニング手法を用いてサイレントマジョリティの声を拾う際の注意点について解説します。
1. 目的と目標を明確にする
ソーシャルリスニングを行うことで得られる情報は膨大です。
ソーシャルリスニングを行う際には「キャンペーンに対するユーザーの反応が見たい」「ライバル社の製品と比較したときの自社製品の評価を知りたい」など、ソーシャルリスニングを行う目的と目標を明確にすることが重要です。
メインターゲットを定めてターゲットニーズを収集できれば、収集したデータをより有効に活かせます。
2. リサーチ対象が的確かどうか
ソーシャルリスニングの分析結果を効果的にマーケティングに活かすには、明確な目標に加え、適切なリサーチ対象が欠かせません。
ソーシャルリスニングの対象となるメディアには、次のようなものが考えられます。
- SNS(FacebookやTwitter、Instagramなど)
- 個人ブログ
- YouTube
- ランキングやレビューサイト
- 掲示板
- オウンドメディア
- 企業公式サイト
上記にあげたリサーチ対象には、企業など公的な存在の発信が目立つものと、個人的な発信が目立つものと、その両方の側面を持つものがあります。
利用している年代や社会的地位など、それぞれユーザー層に特徴があります。無駄のないソーシャルリスニングを行うためには、まず自社の商品やサービスのペルソナに合ったメディアを選ぶ必要があるでしょう。
3. ポジティブ・ネガティブな意見をどちらも分析する
ソーシャルリスニングツールを活用し、自社が提供する商品やサービスに関する投稿の内容がポジティブなものか、ネガティブなものかを分析する作業を「ポジティブ・ネガティブ分析」(ポジネガ分析)といいます。
ポジティブ・ネガティブ分析を行うことで、自社の企業イメージやブランドイメージを把握できます。
ポジティブ・ネガティブ分析においては、特にネガディブと分類された意見について細かく分析を加えることが重要で、その分析結果から消費者の本音を探れたり、商品やサービスに対する改善点のヒントなどを得ることが可能です。
潜在的な顧客の声を拾うことでマーケティングに活かす
ソーシャルリスニングを行い、これまでは把握が難しかったサイレントマジョリティの声を可視化できるようになりました。
一方で、ソーシャルメディアは利用している年齢層や地域、ライフスタイルや職業などに偏りがあります。
ソーシャルメディア利用者の中にも読むだけで自分は情報を発信しないユーザーも少なくありません。だからこそ、ソーシャルリスニングで可視化できるサイレントマジョリティの声は限定的なものであることを十分に認識しておく必要があります。
しかしなお、サイレントマジョリティの声を収集、分析して自社のマーケット戦略に活用していくことは、今やあらゆる業界で必要な手段です。マーケットリサーチ担当者には、有益な情報を幅広く集め、積極的に自社のマーケティング戦略に活かす姿勢が求められます。
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