「ポップアップストア」とは、百貨店や商業施設などのスペースを借りて期間限定で運営される店舗や展示会のことを指します。
一定の期間でのみ出店されるポップアップストアの運営には、売り上げの獲得のほか、ブランドの認知度を向上させたり、テストマーケティングを行うといった目的が設定されています。
ポップアップストアは幅広い業界で取り入れられている手法で、飲食店やアパレル製品、化粧品の販売店などでさまざまな導入例があります。
本記事では、ポップアップストアの概要や出店形態、ポップアップストアを展開することによるメリットや事例を紹介します。
ポップアップストアとは?出店する目的・出店形態・費用
「ポップアップストア」とは、期間限定で運営される店舗や会場の形態を指します。この項目では、ポップアップストアの概要、目的、費用などについて紹介します。
ポップアップストアとは
「ポップアップストア」とは、期間限定で実施されるイベント型の店舗・展示・パフォーマンスを指します。期間限定の出店であれば、飲食店や小売店のほか、展示会場などもポップアップストアに分類されます。
ポップアップストアはファッションビルやデパートの一角などに設けられる、一時的な場所を使って運営されます。ポップアップストアを展開することにより、通常はECサイトなどを中心に展開している企業もブランド名を認知されやすくなるといった利点があります。
ポップアップストアの「ポップアップ(pop up)」は英語で「突然出現する、現れる」という意味で、この出店方法は「突然現れて消える、イベント性の高いタ出店方法」というニュアンスで用いられています。
ポップアップストア出店の目的
ポップアップストア出店の主な目的には「売り上げ獲得」「認知拡大」「テストマーケティング」「コミュニティ形成」が挙げられます。
ポップアップストアは期間限定の出店イベントのため、長期的な売り上げの獲得には繋がりにくいという特徴があります。しかし、商品の販売だけを目的としてポップアップストアを実施するケースは少なく、店舗を介して認知度の向上や、商品の試験販売、顧客との接点を増やす手段としてポップアップストアが展開されています。
短期間の出店であっても、百貨店やファッションビルなどの会場費や人件費などに費用がかかるため、ポップアップストアを出店する際には出店目的を明確にし、充分に資金を確保する必要があります。
出店形態や費用の目安
ポップアップストア用のスペースを借りる際に利用できる代表的な施設としては、「レンタルスペース」「店舗や飲食店」「百貨店や商業施設」の3つが挙げられます。
レンタルスペースとはパーティー・会議・講演会など、利用者のさまざまな用途にあわせて場所を貸し出しているサービスです。
通常は小売店やカフェなどの飲食店として営業している場所であっても、一部スペースを貸し出している場合があります。
百貨店や商業施設のスペースを利用する場合、レンタルスペースや店舗の場所を借りるより費用が高くなりがちですが、ポップアップストアが目立ちやすく集客につながりやすいという利点があります。
スペースを借りる際にかかる費用は、広さで決まる場合や、1日・1時間あたりの料金が設定されている場合など様々です。渋谷マルイ1階の「SHIBUYA BASE」のように、出店中の売り上げの一部を「販売手数料」として支払う場合もあります。
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ポップアップストアを出店する3つのメリット
この項目では、ポップアップストアを出店するメリットを紹介します。
1. 話題性がありプロモーションに有効活用
ポップアップストアでは、顧客が商品を手にとったり、展示物を見たりできます。
ECサイトを運営している場合や、出店数が少なく顧客との接点が少ない店舗にとって、ポップアップストアは顧客にブランドの認知度を向上させる効果的な手段です。
ウェブ広告といったオンラインの集客に加え、ポップアップストアのようなオフラインでの集客に向けた工夫を織り交ぜることで、店舗のプロモーションの強化に期待できます。
期間限定で出店するポップアップストアはメディアや雑誌にも取り上げられやすく、既存の顧客以外の層にも店舗を知ってもらうよい機会となります。SNSなどで店舗の感想や写真が拡散されれば、認知度のさらなる向上といった効果が見込めます。
2. 顧客との関係を構築
話題性があることに加え、ポップアップストアの利点として「顧客との関係を構築しやすい」という点があります。
ポップアップストアは、販売員と顧客間でコミュニケーションを取りやすく、対面接客を介して商品の特徴や使用方法を的確に伝えられるというメリットがあります。
ECサイトやインターネット上では一人の顧客に対して密なコミュニケーションが生まれにくいため、対面して接客や情報提供ができるポップアップストアは、店舗と顧客の信頼関係を築く上で有効です。
さらに、来店した客に対し丁寧なサービスを提供することで、ブランドや店舗を覚えてもらえるほか、リピーター客の獲得にもつながる可能性があります。
3. 効果測定が可能
期間限定での出店という特徴を持つポップアップストアは、常設の店舗に比べ効果測定を行いやすいというメリットがあります。
ポップアップストアの出店にともない収集できる主なデータとしては「来客数」「SNSでの反響」「店舗名の検索数」などが挙げられます。
これらのデータをポップアップストアの実施前と実施期間中で比較することで、ポップアップストアの実施による販売促進効果や認知度の推移を確かめることが可能です。
ポップアップストアの出店期間は数週間〜1ヶ月ほどに留まるため、常設の店舗よりデータの比較を実施しやすく、効果測定を行うという点では適した出店方法の一つといえます。
ポップアップストアの事例3選を紹介
この項目では、ポップアップストアの事例を3つ紹介します。
1. リプトンの期間限定「Fruits in Tea」
ユニリーバが所有する紅茶ブランド「リプトン」では、2016年から「Lipton Fruits in Tea」と呼ばれるポップアップストアを展開しており、毎年夏季に東京都の代官山や吉祥寺、大阪に店舗を出店しています。
店舗では限定タンブラーを販売したり、「Fruits in Tea」と呼ばれる紅茶ベースの飲料を提供したりしています。顧客は「Fruits in Tea」に使用する紅茶やトッピングのフルーツ・ハーブなどを選んで自分好みのドリンクを注文できる点がサービスの特徴です。
2. ディノスのポップアップストア「gensen dinos」
株式会社ディノス・セシールが所有する通販サービス「ディノス」では、「gensen dinos」と呼ばれるポップアップストアを運営しています。
2020年8月に東京都世田谷区でオープンした店舗では、ディノスで長期にわたって購入されている家具や家電を紹介しています。商品を直に確認できる場所を提供することで、同ブランドは通販やECサイトのみの展開に留まらない顧客へのアプローチを展開するねらいです。
3. SK-ⅡのAI×スキンケア体験型ストア
資生堂が所有するブランド「SK-II」は、体験型ポップアップストア「SK-II Future X Smart Store」を東京・原宿で、2019年6月から8月にかけて展開しました。
SK-IIのポップアップストアではAIを搭載し、機械の前に座るだけで肌を測定できる機械「マジック スキャン」のほか、ロボットを使った美容アドバイザーなどのサービスを提供しています。
最新技術の導入により、SK-IIのポップアップストアでは対面型の接客だけではなく、機械を介した購入体験の提供も実現しています。
ポップアップストアのメリットや先進事例を知って、プロモーションに活かす
百貨店や商業施設などの場所を借りて期間限定で展開されるポップアップストアは、ブランドの認知度向上やテストマーケティング、顧客獲得などを目的として運営されています。期間限定という店舗形態のため話題性が大きいポップアップストアはメディアにも取り上げられやすく、プロモーションに活かすには最適な手法の一つといえます。
また、ポップアップストアを実施することにより、プロモーションへの効果が見込めるだけではなく、顧客との信頼関係を築きやすい、出店前後のデータを収集しやすいといったメリットがあります。
ECサイトやウェブ広告などを配信する店舗は少なくありませんが、ポップアップストアのようにオフラインで顧客との関係を築けるチャネルも設けることで、効果的なプロモーションに期待できるでしょう。
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<参照>
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紅茶の専門家リプトン(Lipton):Lipton Fruits in Tea
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