口コミマーケティングとは、消費者による商品やサービスの口コミを活用して、認知度や売り上げの向上をめざすマーケティング手法の1つです。
SNSが普及する中で、消費者は、個人ブログやSNS、口コミサイトといったさまざまな媒体を活用して店舗やサービスの情報をチェックしています。
口コミマーケティングに取り組みたいけど
・口コミマーケティングは本当に集客に効果的なのか
・効果的な口コミマーケティングとは?
・口コミマーケティングを行う際の注意点
など気になることもあるでしょう。
そこで、本記事では、口コミマーケティングの概要や注目される背景、メリット、実践する上でのポイントなどを徹底的に解説します。
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口コミマーケティングとは?
口コミマーケティングとは、消費者による商品やサービスの口コミを活用して、認知度や売り上げの向上をめざすマーケティング手法の1つであるということは紹介しました。
しかし、どのようなものを口コミマーケティングというのでしょうか。口コミマーケティングがどのようなものなのか、まずイメージを持つために具体的に解説します。
口コミマーケティングの意味
口コミマーケティングは、注目を集め、消費者の中で話題を生み、それが口コミとして広まっていくことを効果として見込むマーケティング手法であるという説明が一般的にされます。
それは間違いではなく、口コミマーケティングのひとつの考え方です。
しかし、必ずしも話題性を持たせ、拡散することだけが口コミマーケティングではありません。口コミは話題性が無くても、良い商品やサービスであれば自然と集まります。
そのため、口コミマーケティングでは、消費者による口コミを生み、その口コミに対応したり、管理することによって集客につなげることが重要であるといえます。
「戦略型」と「自然発生型」がある
口コミマーケティングには、「戦略型」と「自然発生型」があります。
戦略型は、意図的かつ戦略的に口コミを広めることで、低コストで効率的に顧客を獲得したり、商品をアピールしたりできるのが特徴です。
自然発生型は、自然と口コミが拡散されることにより、集客効果をもたらすものです。戦略型と異なり、仕掛けを作らずとも評判が広まり、長期かつ安定的に宣伝することができます。
「バズマーケティング」、「バイラルマーケティング」との違い
口コミマーケティングとよく似たマーケティング手法に、「バズマーケティング」と「バイラルマーケティング」があります。
バズマーケティングとは、「バズる」という言葉があるように、戦略的に消費者による口コミや投稿を増加させたり、有名人などにPRをしてもらい話題を呼ぶマーケティング手法です。
一方で、バイラルマーケティングとは、「ウイルス性の」という言葉の「バイラル」から来ており、人から人へと拡散されていくように仕掛けるマーケティング手法です。SNSなどのコンテンツをユーザーがシェアするように促すことなどが挙げられます。
バズマーケティングとバイラルマーケティングの違いは、効果をもたらす期間や手段にあるといえるでしょう。バズマーケティングでは、人為的に話題を作り、効果は一気に表れます。一方でバイラルマーケティングは、自然発生的に拡散されるという意味があります。
このように考えると、一見バイラルマーケティングと口コミマーケティングとの違いが無いように思えますが、バイラルマーケティングと口コミマーケティングでは「目的」が違います。
バイラルマーケティングには拡散させるという目的がありますが、口コミマーケティングには、口コミを通じてレピュテーションマネジメントといった企業評価を高めることや、サービスの改善をし、そこから集客へとつなげるといういことも含まれるからです。
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口コミマーケティングの効果とメリット
ここでは、口コミマーケティングが集客に有効な理由について、データをもとに解説します。
91%が来店前に口コミを確認!宣伝効果に
口コミマーケティングが注目されるようになったきっかけは、スマートフォンやSNSの普及にあります。スマートフォンやSNSが普及し、消費者はインターネットを通していつでもどこでも第三者によって書き込まれた商品の評判や口コミを見たり、自ら発信できるようになりました。
企業からの発信だけではなく、これらによって消費行動に変化がもたらされたといえます。
口コミコム が実施した調査で、「今までに利用したことがない店に行くときに、インターネット上の口コミやレビューを確認していますか。」と質問したところ、「確認する」と回答した人が48.8%、「確認することの方が多い」と回答した人が42.3%で、合わせて91.1%となりました。
この調査結果により、口コミの影響力が絶大であることが読み取れます。
口コミは、消費者からの客観的な意見や中立的な意見もあります。そのため、口コミは情報源として信頼性が高く、来店行動に影響を与えているいえるでしょう。
口コミマーケティングを成功させるポイント
では、どのようにして口コミマーケティングに取り組めば良いのでしょうか?
口コミマーケティングを行う場合、押さえておくべきポイントがあります。どのようなポイントを押さえなければならないのか、重要なポイントを解説します。
1. 口コミを集める
まず、口コミマーケティングをする上で、消費者からの口コミを集める必要があります。
口コミは、GoogleやGoogleマップ、飲食店などではグルメサイト、宿泊施設ではトリップアドバイザーなど、多くの情報サイトにて掲載されます。また、SNS上でも発信されます。
口コミを集めるのは、これらの情報サイトやSNS上に載せられている消費者からの客観的な意見や中立的な意見によって信頼性を得て、それが購買などの行動へとつながるという効果を発揮するためです。また、口コミが少ない場合、悪評が目立ってしまったり、情報サイトにおける店舗評価に影響します。
しかし、ユーザーは口コミを必ず書いてくれるわけではありません。消費者が口コミを書く理由には、「返報性」「尊敬・評価」「理想のコミュニティ実現」という4つの欲求が隠れており、この欲求に訴えかける必要があります。
そのため、口コミを書いてくれるために働きかける、または書きたくなるような仕組みをつくる必要があるということです。
たとえば、話題性のある商品やサービスを提供したり、「〜の感想を書いてください」などと直接依頼するといった対応方法があります。
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2. 口コミに返信・対応する
次に、口コミに返信するということも、口コミマーケティングでは重要です。
口コミへの返信は、再来店を促進したり、第三者から好印象を得られるといったメリットがあります。
口コミを書いた人は、返信してもらえると、また自店舗のことを思い出すきっかけになります。
口コミは第三者からも見れるため、他のユーザーが、企業側がユーザーからの口コミにどう対応しているかによって、それが来店や購買を検討している第三者の印象に影響を与えるでしょう。
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3. 口コミを監視・分析する
口コミは、集めておくだけでは集客には活かせないでしょう。そこで、分析まですることが重要でます。
集めた口コミが、どんな内容なのかを把握し、そこから商品・サービスの改善に活かすことができます。また、内容の把握だけでなく、口コミが集まったことによって来店数に影響があったのかどうかなども分析するとよいでしょう。
口コミマーケティングの注意点
1. すべての施策をやろうとしない
まず、上記で述べたような対応をすべてやろうとすることが正しいということではありません。なぜなら、全てを一気にやろうとするのは負担がかかってしまうからです。
そのため、口コミを集めるのか、返信対応をするのか、監視・分析するのかの中で、どのポイントに注力すべきかを考えるということが重要です。
どうすべきかは、自店の持つ課題に合わせて考えます。
たとえば、Googleマップの検索結果の上位に表示されるようになるということが課題であった場合に、「口コミに対して全て返信する」という対応を取るのは、返信するという対応が、ビジネス情報が検索結果の上位に表示される上でどの程度貢献するのかが不明確であるため、適当ではないと判断するなどです。
このように、むやみに全ての口コミマーケティング施策を実践するのではなく、課題解決する上でどんな対応を取るべきかを考える必要があるでしょう。
2. 妥当な担当者を決める
口コミマーケティングは、担当は誰でも良いというわけではなく、リソースや役割に応じて担当者を決めることで最大効果を発揮できるかどうかが異なるということです。
たとえばチェーン店を経営している場合に、店舗ごとに店長が口コミマーケティングを行うのか、本社や管理部門が行うかでは大きく異なります。また、自社の内部で行うのか、支援業者に委託するのかでも異なります。
それぞれのメリット・デメリットを挙げ、担当を決めるようにすることで、効率的に履行できます。
3. ステルスマーケティング(ステマ)のリスクを避ける
ステルスマーケティングとは、「ステマ」とも呼ばれており、いわゆる「サクラ」を指します。企業の人間が消費者になりすまし口コミを投稿するほか、有名人に宣伝を依頼をしているにもかかわらず、その事実を隠しPRしてもらうといった例が挙げられます。
こうした宣伝方法は批難やネット炎上の恐れがあるため、インフルエンサーなどに依頼をし自社商品を口コミしてもらう場合は、必ず「広告」や「宣伝」といった文言を入れ、ステマのリスクを回避する必要があります。
2024年6月には、消費者庁がインセンティブを用いてGoogleの口コミを集めた医療法人に対し、景品表示法(ステルスマーケティング告示)違反に該当するとして措置命令を行ったことがわかりました。詳しくは「【専門家解説】Google口コミの「ステマ」に措置命令 "★5投稿で割引"が景品表示法違反に、事業者やユーザーの責任は?」の記事で紹介しています。あわせてご確認ください。
4. 協力者と企画意図のイメージを共有する
インフルエンサーや制作会社などに口コミマーケティングの協力を仰ぐ場合、その企画やコンテンツの意図をしっかりと共有し、ミスマッチを避ける必要があります。なぜなら、協力者の力を仰ぐことは問題ではありませんが、コンセプトにミスマッチが生じることで双方のブランドイメージが毀損する恐れがあります。
口コミマーケテイングを制作会社に依頼する際はこうしたことを念頭に置いておきましょう。
口コミマーケティングの事例:QRコードで口コミ投稿促進
ここでは、口コミを集める手法を実践した企業の事例を紹介します。
ブックオフ
大手古本チェーンのブックオフは、口コミ投稿を促進するページへの誘導により口コミを収集しています。具体的には、口コミ投稿のページへ誘導するQRコードを店内に設置し、口コミを収集します。そうすることによって、その収集した内容をもとにサービスの改善につながったり、投稿した口コミは第三者にも見られるため、そのユーザーに対する宣伝機能も担うという効果がもたらされます。
株式会社大樹
焼肉店などを運営する株式会社大樹は、Googleビジネスプロフィール(旧:Googleマイビジネス)で口コミを集めて、顧客とのコミュニケーション向上を成功させています。Googleビジネスプロフィールは、Google検索やGoogleマップ上に店舗情報を掲載できる無料の管理ツールです。Googleビジネスプロフィールで管理するビジネス情報に、利用したユーザーなどから口コミが寄せられ、それがさらに来店を検討しているユーザーを誘客するきっかけとして機能させられる可能性があります。
株式会社大樹では、Googleビジネスプロフィールの口コミ投稿画面に飛べるQRコードをジョッキに印刷することで、口コミ投稿を促進しています。
ジョッキにQRコードが貼ってあることで、顧客の興味を引き、コミュニケーションも活発になります。そして、良いサービスを提供することによって、自然発生的な口コミが増えます。
ネガティブな口コミが寄せられたときに、その内容を把握することでサービスの向上に活用し、結果的にネガティブな口コミを減らし、店舗の改善につなげられるというメリットもあるようです。
<参照>
QRコードをジョッキに印刷。「気になる仕掛け」で口コミ投稿促進! | 口コミコム
「収集」「返信・対応」「監視・分析」の口コミマーケティングで集客効果を向上
口コミは、来店行動に大きく影響を与える情報源です。それらを活用することは、マーケティングにおいて有効であるといえます。
また、企業規模の大小を問わず、口コミマーケティングは実践できます。同じように口コミを活用するものでも、話題性を呼ぶバズマーケティングやバイラルマーケティング は、規模の大きい店舗やそれなりにもとから認知度のある企業、商品においては有効でありますが、個人店が実践するには適当ではないかもしれません。
しかし、企業規模の大小にかかわらず、口コミを「収集」、「返信・対応」、「監視・分析」するという基本的なポイントを実践するという口コミマーケティングなら実践しやすいはずです。これらを意識し、事例も参考にしながら口コミマーケティングを実践することで集客力を向上させることができます。
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