民泊業界は、新型コロナウイルスの影響による訪日外国人の減少に伴い、厳しい状況に立たされています。
これまで民泊では、訪日外国人からの需要を中心に運営が続けられていましたが、需要回復までは時間がかかることが予想されます。そのため、今後は国内在住者向けのサービスを強化することも検討する必要がでてきました。
本記事では、緊急事態宣言が解除された国内でのテレワーク需要の獲得に向けてどのように点に注意して営業再開を目指すべきかについて紹介します。
民泊業界の現状
新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言の発令や、全国的な行動の自粛要請の影響は宿泊産業にも大きな影響をもたらしました。
2018年に施行された住宅宿泊事業法に定められた規制強化のため、2013年以降増加を続けてきた民泊事業者の数は、採算が合わなくなった施設の閉鎖により一時は大幅に減少しました。
しかし、増加する訪日観光客の宿泊先として需要が高まっているため、住宅宿泊事業者の届出件数は同法の施行以降急速に増加し続けています。
民泊業界の特徴として、インバウンド需要に大きく依存している点が挙げられます。
民泊の利用者に占める外国人の割合は8割に迫り、他の宿泊形態の施設での外国人比率が1~4割程度であることと比較すると、その実態が顕著となります。
新型コロナウイルスの影響により訪日外国人が減少し、外国人への依存度の高い民泊は特に大きな影響を受けました。
ほとんどの予約がキャンセルされたことにより、客室稼働率は1割前後で推移しています。
民泊を開業するには?関連する法律・必要な手続き・事前準備を解説
昔は宿泊といえばホテルと旅館のどちらかを選ぶことが多く見られましたが、昨今は民泊の利用も少しずつ広がっています。新たに民泊を開業しようと思う事業者も多いでしょうが、民泊を開業するために必要な手続きは複雑に思われがちです。今回は民泊の開業にあたり押さえておきたい法律、手続きの流れ、そして事前準備のコツについて解説します。民泊に関連する3つの法律ここでは、民泊を開業するにあたり、押さえておきたい主な法律上の関連事項を3点紹介します。これらの法律に関連した制度を上手く活用することで、効率の良い民...
ウィズコロナにおける対策事例
民泊における新型コロナウイルス対策として、厚生労働省は旅館等の宿泊施設における対応と同様の対応をとることが望ましいとして各都道府県に通達を行っています。
具体的な対策と民泊施設の新たな活用方法について紹介します。
接触の解消など「3密」の回避は当たり前
3密を回避するために、対人接触をできるだけ避け2mを目安に個人間の距離を確保することは、感染対策の大前提です。
チェックインの手続きは、従業員と利用者の距離が近くなりやすく感染のリスクが高い場面です。
アプリだけで手続きを済ませたり、文書、動画による案内を活用し非対面でのチェックイン手続きを行うことが推奨されています。
ホテルや旅館では、衛生的な空間を維持するために施設内への定期的な消毒散布や換気を行ったり、感染防止のために従業員及び利用者のマスクの着用、手洗い、消毒液の利用を徹底したりしています。
民泊でも同様の対策を行うことで、利用者に安心感を与えることができるでしょう。
このように、対面での接触を回避し、衛生面に配慮することがすべての宿泊施設において基本事項となります。
新型コロナの避難場所の提供
新型コロナウイルスの感染者のうち条件を満たした軽症者は、医師の判断により民間のホテルを借り上げた施設での宿泊療養を行うという選択肢があります。
特に、感染者の家族に重症化しやすいと判断される方がいる場合には、優先的に宿泊療養施設での治療が行われます。そのため、感染者の家族の方は、自宅で感染のリスク無く安心して過ごすことができます。
しかし、感染の疑いがあるものの経過観察のために自宅待機をしている方の家族は、常に感染の不安を感じながら生活をする必要があります。
一般社団法人日本民泊協会は全国の民泊運営会社と連携し、このような家族の方々の一時的な避難場所として民泊の斡旋をしています。
民泊にはキッチンや洗濯機などの生活家電が揃っているため、長期間での滞在も可能です。特に感染した際に重症化のリスクの高い高齢者、基礎疾患を有する方、妊娠中の方への利用が勧められています。
日本民泊協会のホームページから希望する施設の形態や人数、期間を指定して相談ができます。
空室のテレワーク活用
新型コロナウイルス感染拡大に伴う外出自粛要請により、多くの企業でテレワークの導入が進んでいます。
緊急事態宣言の対象地域では、オフィスへ出社を最低7割減少させるという方針のもと、自宅で業務を行う方が急増しました。
これまで自宅外の喫茶店やレストランで作業を行っていた方も、これらの店舗の休業や店内席の利用禁止措置により自宅で業務を行う必要がでてきました。
学生がオンラインで授業を受けるケースもあり、家族全員が自宅で作業を行うことも珍しくありません。
自宅で仕事を行うことで通勤時の感染リスクはなくなるものの、自宅という環境は仕事への集中を維持する点において適さない場合があります。
同じ家の中にいると、子供が話しかけてきたり騒いだりすることがストレスに感じる場面があることも想定できます。
さらに、自宅での業務を続けると仕事とプライペートの区切りがつけにくくなるという弊害を感じる方もいます。
このような自宅での勤務にデメリットを感じる方々に向けて、ホテルや民泊を利用したテレワークプランの提供が開始されています。
アパホテルでは、8〜19時の間を利用可能とするテレワーク応援「日帰りプラン」や、「5日連続プラン」の提供を行っています。アパートメント型ホテルMinnでは、1部屋1日4,500円~、1部屋平日5日間20,000円~のプランを提供しています。
テレワーク目的での利用者の獲得にむけた個人向け、法人向けプランを提供することで、空室の有効活用ができます。
コロナウイルスによる民泊の今後|収束後のインバウンド・国内旅行・今できること
新型コロナウイルスの影響で、人の移動が制限され、訪日外国人だけでなく、国内旅行の数も激減しました。観光庁が行った調査によると、2020年4月の訪日外国人客数は前年同月より99.9%減のわずか2,900人だったと判明しています。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大前は、東京オリンピックの開催予定だったことも相まって、民泊需要が増加傾向にありました。この記事では、新型コロナウイルスの収束後のインバウンドや国内旅行の動向、民泊事業者が今できることについて解説します。コロナ期の民泊の現状新型コロナ...
感染症に負けない宿泊環境の整備がアフターコロナに向けた対策の肝
適切な宿泊環境の整備のためには、各自治体の要請やガイドラインに沿った対応をすることや、安定した経営体制の構築も重要です。
39県で緊急事態宣言が解除された2020年5月14日には、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会、日本旅館協会、全日本シティホテル連盟から「宿泊施設における新型コロナウイルス対応ガイドライン(第1版)」が、日本旅行業協会「JATA」から「旅行業における新型コロナウイルス対応ガイドライン(第1版)」がそれぞれ発表されました。
ウィズコロナからアフターコロナへの過渡期といえるこの時期に発表されたこれらのガイドラインに沿った対策を講じることで、感染症に負けない宿泊環境の構築につながるでしょう。
民泊もホテルや旅館と同様に、宿泊者の情報収集や感染の疑いがある宿泊者が発生した際に適切な対応を徹底することが求められているため、宿泊者全員に対し、宿泊者名簿への正確な記載や、手洗洗いとマスクの着用の徹底にむけた働きかけを行う必要があります。
宿泊者に対し、発熱かつ咳などの呼吸器症状を発症したら必ず宿泊施設側に申し出るよう伝えるよう促します。症状が発生した宿泊者には、事前に医療機関へ連絡してから受診するよう勧める、という手順が推奨されています。
日本政策金融公庫では、経営環境変化対応資金、衛生環境激変特別貸付、新型コロナウイルス感染症特別貸付など、業績の悪化した企業に対する融資を行っています。
各種支援を活用して資金を確保し、宿泊施設の衛生面の強化や適切な宿泊者対応体制の確立をすることは、アフターコロナの需要への備えとして重要です。
アフターコロナを見据えつつ、ウィズコロナにおける対策も
新型コロナウイルス感染拡大による影響は、民泊業界に2018年の法改正以来の劇的な環境変化をもたらしました。
国内では、緊急事態宣言の解除や外出自粛の段階的緩和の方向性は示されていますが、外国人観光客が以前のように戻るのはまだ先になることが予想されます。
衛生面でのガイドラインに沿った適切な対策と各種支援を活用し、まずは国内の方に安心して利用して頂ける環境を整備することが最優先となります。
外国人観光客だけに頼らない新たな民泊の価値を模索し、提供することで早期に経営回復につながります。
口コミラボ 最新版MEOまとめ【24年9月・10月版 Googleマップ・MEOまとめ】
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