埼玉県は3月14日、株式会社くまのみに対し、景表法違反が認められたことから、同法の規定に基づき措置命令を行いました。
今回の行政処分にとどまらず、口コミに対する規制は年々強化されてきており、今後さらに利用規約の遵守が求められます。
2024年6月には、消費者庁がインセンティブを用いてGoogleの口コミを集めた医療法人に対し、景品表示法(ステルスマーケティング告示)違反に該当するとして措置命令を行ったことがわかりました。詳しくは「【専門家解説】Google口コミの「ステマ」に措置命令 "★5投稿で割引"が景品表示法違反に、事業者やユーザーの責任は?」の記事で紹介しています。あわせてご確認ください。
埼玉県、「口コミNo1」表示に景表法違反措置命令
埼玉県は、「くまのみ整骨院」での各種役務及び「プレミアムボディバランス」での「美骨盤矯正+選べる最新痩身5種ダイエット」並びに「小顔矯正」の役務について、景表法違反(優良誤認)が認められたことから、同法の規定に基づき措置命令を行いました。
同社は、ウェブサイトにおいてあたかも同社店舗が口コミにおいて高評価であること及び口コミの件数が埼玉県で1位、あるいは各地で1位を獲得したかのように表示していましたが、実際は統計的に客観性が確保された調査によるものではありませんでした。
また、顧客に対し口コミ投稿の特典を与えて投稿を促すなど、顧客が自主的に投稿した口コミではないことが判明しました。
その他にも同社は、ウェブサイトにおいてあたかも複数の雑誌の企画又は特集、テレビ番組で同社が紹介されたものであるかのように表示していましたが、雑誌の大半において、企画や特集ではなく広告として掲載されていたものだと明らかになりました。さらにテレビ番組で紹介されたのは他社開発の機器であり、同社が紹介されたものではありませんでした。
「お客様の声」 客観性が十分に確保されず
また、同社は、ウェブサイトにおいて同社痩身役務等は、顧客からの満足度が非常に高いことや同社の痩身結果が1位であると評価されているかのように表示していましたが、表示の根拠となる調査等の資料を有しておらず、統計的に客観性が確保された調査によるものではありませんでした。
上記の他にも、同社は「お客様の声」と称するページにおいて、15名の人物の施術前及び施術後の写真を表示するなど、あたかも本件役務の提供を受けた顧客の写真であるかのように表示していましたが、実際は15名のうち2名は従業員であり、残り13名の中にはモニターもいるなど、顧客ではない人物が含まれていました。
また、従業員が恣意的に施術後の顧客写真から選定したものを用いていることも分かりました。
さらに、ウェブサイトにおいてあたかも痩身効果や小顔効果があるかのように表示していましたが、統計的に客観性が十分に確保されているとは言えないものでした。
埼玉県が当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、資料は提出されましたが、いずれも、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものであるとは認められなかったということです。
措置命令「再発防止策を講じ、従業員に周知徹底すること」
今回の事案では、埼玉県から以下の措置命令が出されました。
- 景品表示法に違反する表示を行っていたことを一般消費者に周知徹底すること。
- 再発防止策を講じて、これを従業員に周知徹底すること。
- 今後、同様の表示を行わないこと。
3月21日現在、店舗のWebページからは「口コミNo1」などの記述は削除されています。
「口コミのお礼」は口コミサイト規約違反の可能性も
今回の事案では、口コミ投稿のお礼にサービスを提供したり、投稿内容や投稿回数に応じて1万円又は3万円の商品券をプレゼントしていました。
使用された口コミサイトは明らかにはされていませんが、Googleをはじめ口コミサイトの多くは『インセンティブ』を禁止しています。
したがって『口コミのお礼に品物やサービスを渡す』ことは、口コミサイトの規約違反にもなっている可能性があります。
Googleの場合、規約に違反するとビジネスプロフィールの掲載が停止されるなどのペナルティを受けます。
弊社にも『口コミに対するインセンティブ』に関する相談・問い合わせが来ますが、Googleをはじめ多くの口コミサイトでは『インセンティブは禁止』と覚えておくと良いでしょう。
口コミに対する規制は年々強化されてきており、今後さらに利用規約の遵守が求められます。口コミ対策をする際は、各口コミサイトの利用規約を把握することが重要です。
関連記事:Googleビジネスプロフィールのペナルティとは?違反行為・原因と対策を解説
不正はバレてしまうもの。正しく口コミを集めて集客に活かす
Googleマップに寄せられる口コミは、評価が高いとユーザーからの信頼度が上がり集客にとても効果的です。
しかし、高い評価の口コミは、自然な形で顧客から集めたものでなければいけません。
従業員が自作自演で口コミをしてしまうと、Googleビジネスプロフィールのアカウント停止などさまざまなリスクに繋がります。
今回の事案では「お客様」「Google」「行政」3つの信頼を損ねることとなりました。
口コミは焦らず一つひとつ誠実に取り組むことが大切です。店舗集客を効率的に行っていくためにも適切な運用をしていきましょう。
関連記事:Google口コミ「自作自演」は違反行為…良質な口コミを集める方法は
<参照>
埼玉県:整骨院及びエステサロン等を経営する事業者に対する景品表示法に基づく措置命令について
Google:マップのユーザー作成コンテンツに関するポリシー「禁止および制限されているコンテンツ」
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