新型コロナウイルスの影響で厳しい状況が続く理髪業界ですが、ヘアカット専門店であるQBハウスは顧客ニーズに応えることで、緊急事態宣言下でも黒字を確保しています。
本記事では、ヘアカット専門店であるQBハウスの特徴や、事業展開、さらにはコロナ禍でも好調な理由について実態に迫ります。
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2021年度QBハウスの業績
キュービーネットホールディングス株式会社が運営するQBハウスは、「10分1,000円」のヘアカットサービスで理髪業界に新しいビジネスモデルを打ち出しました。
1996年11月に第一号店をオープンして以来、日本一の店舗数を保有する理容室に成長しただけでなく、国内だけでなく国外にもスケールさせ、国内の年間来客数が1,500万人を突破しています。
8月に発表された決算資料によれば、コロナの影響により売上不振店の統廃合で国内の閉店数は増加しましたが、2021年6月期のグループ連結業績は売上収益が前期比99.2%、営業利益が前期比193.5%(助成金を含む)と、比較的好調を維持しています。
国内の来店客数は2021年1月を底に回復傾向
第2回目の緊急事態宣言が出された2021年1月には来店客数が115万人まで落ち込みましたが、コロナ禍にもかかわらず気温が上昇するにつれ回復しています。
3月以降は130万人台をキープし、6月には来店客数が139万人までのぼりました。
2022年6月期はコロナ前の95%まで回復予測
2022年6月期には、ワクチン接種率の上昇で新型コロナウイルスによる影響が和らぎ、国内の売上がコロナ前の95%まで回復すると予測しています。
次に説明するDXによる電子カルテ導入やウェブ集客活動などを、売上回復の対策として掲げています。
好調な業績ささえる、QBハウスの3つの経営工夫
そもそもQBハウスの創設は、創業者による「美容室の待ち時間をなくしたい」という思いから始まり、無駄をなくした10分カットで回転率を上げていきました。
顧客の「安くて早いサービスを受けたい」「質は落としたくない」というニーズを満たすだけでなく、従業員を安定的に確保するために研修制度や休日取得といった組織体質を整え、美容師のニーズにも応えています。
このように、多様なニーズに応えて顧客や従業員の満足度を見極める経営姿勢が、コロナ禍でも好調な業績を実現できたと考えられます。
以下では、DXによる顧客体験の提供、顧客接点の増加、出店戦略といったQBハウスの具体的な経営工夫を解説します。
1. DXによる顧客体験の提供:電子カットカルテ・新アプリ「QB Passport」
QBハウスでは、美容師が変わることで仕上がりのズレが生じるのを防ぐために、業界でもいち早く電子カットカルテを導入しました。顧客が希望するヘアスタイルを登録でき、担当者が変わってもカウンセリングがスムーズに進み、満足度の高いヘアスタイルが実現します。
また、QB PREMIUM大手町メトロピア店や同会社が展開するカットサロンFaSSの混雑状況を来店前に確認、予約までできるスマホアプリ「QB Passport」を提供することで、利便性を高め機会損失を防いでいます。
予約時にクレジットカードで事前決済ができるため、キャッシュレスで支払いが完了し業務効率化にも役立ちます。
アプリ導入後、FaSSの予約利用率は30%以上に伸びました。
2. 顧客接点の増加:公式サイトリニューアルとGoogleマイビジネス活用
QBハウスの公式ウェブサイトをリニューアルし、GPSを活用した近隣店舗の検索や店舗登録機能を追加することで、アクセス数が数倍増加しました。
また、新規顧客を獲得するために、Googleマイビジネスに掲載する営業時間や住所といった情報を正しい内容に定期更新しています。
Googleマイビジネスを活用して商品ページに写真や価格も提示し、QBハウスの魅力を伝えています。
Googleマイビジネスに寄せられる顧客からの口コミに関しては、返信することでコミュニケーションを取る機会を設けています。
3. 出店戦略:中心地域だけでなく周辺地域にも展開
QBハウスは「中心地域」と呼ばれる歩行者が多い駅ナカや駅前といった露出の高い場所に出店することで、大がかりな宣伝をすることなく顧客を獲得してきました。
しかし、コロナによる影響で生活圏が中心地域から「周辺地域」に分散化しており、さらにコロナ禍で優良物件が空いたことから、今後は中心地域と周辺地域の間にも新規出店を予定しています。
常に顧客のニーズに向き合うことが事業継続に重要
QBハウスは、「コロナだから工夫して勝ちパターンを見つけよう」という姿勢ではなく、細かな顧客ニーズに常に向き合い続けることで、厳しい状況下でも黒字を実現しています。
業界の常識にとらわれず、顧客の利便性を高めるためにDXを促進し、顧客接点を創出するためオンライン集客に注力しているのがポイントです。
テレワークの普及で顧客の活動範囲が分散化されたことから、QBハウスでは今後、空白地帯の新規出店に力を入れるとしています。引き続き、顧客の想いに寄り添った事業展開による成長が期待されます。
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<参考>
キュービーネットホールディングス株式会社:決算説明資料
QB House
キュービーネットホールディングス株式会社:実績・沿革
QB Passport
ITmediaビジネス:QBハウスがコロナ禍でも「客を離さない理由」 秘密はビジネスモデルにあり
出世ナビ ヒットの原点:QBハウス、新業態の挑戦 重ねる「自己破壊」