【独自取材】たった2文字の口コミにも長文で返す高級ホテル。その理由が斜め上で深かった

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「口コミには返信したほうがいい。」
ということはなんとなくわかっていても、時間がなく取り組めなかったり、毎回決まった文で返信してしまっていたりするという店舗事業者の方も多いのではないでしょうか。

そんな中、”口コミより長い”文量で、驚くほど丁寧な返信をされている宿泊施設を発見しました。

”口コミより長い”文量の驚くほど丁寧な返信を発見! ※著作権・個人情報保護の観点から、口コミやユーザー名等、一部にぼかしを入れています
▲”口コミより長い”文量の驚くほど丁寧な返信を発見! ※著作権・個人情報保護の観点から、口コミやユーザー名等、一部にぼかしを入れています

こちらは渋谷駅近くのラグジュアリーホテル、セルリアンタワー東急ホテルの口コミ返信です。

返信を見ていくと、定型文ではなく、口コミの内容に合わせた返信をされているのがわかります。なんと、「たった2文字」の口コミにも丁寧な返信をされていました。

たった2文字の口コミにも丁寧に返信 ※著作権・個人情報保護の観点から、口コミやユーザー名等、一部にぼかしを入れています
▲たった2文字の口コミにも丁寧に返信 ※著作権・個人情報保護の観点から、口コミやユーザー名等、一部にぼかしを入れています

しかも担当の方によると、15のサイトに集まる月150件の口コミ すべてに対応しているというのです。

一体どうやって、これだけの口コミ返信を行っているのでしょうか。また、ここまでこだわる理由はどこにあるのでしょうか。口コミへの返信を担当されている、カスタマーリレーション部の方に詳細を伺いました。

■セルリアンタワー東急ホテル
渋谷駅から徒歩5分と好立地のラグジュアリーホテル。全室19階以上の高層階からは東京の夜景が一望でき、都心にいながら静寂で優雅なひとときを過ごせるホテルです。

セルリアンタワー東急ホテル
▲セルリアンタワー東急ホテル

お客様の宿泊体験を”より良くする”ために。セルリアンタワー東急ホテルの口コミ対応

――この度は、取材にご協力いただきありがとうございます!口コミへの返信を拝見して、あまりに丁寧で驚き、思わず取材を申し込んでしまいました。

ありがとうございます。

口コミへの返信は力を入れている取り組みのひとつですので、取り上げていただけて嬉しいです。

――カスタマーリレーションという部署で対応されているとのことですが、どういった部署なのでしょうか?

カスタマーリレーションは2017年に始まった新しい部署で、業務内容は「カスタマーリレーション(顧客との関係)」という名前の通り、「お客様につながる取り組みすべてが仕事」となる部署です。

お客様の宿泊体験をより良いものにし、ブランドの価値を向上させる取り組みを行っています。

具体的には、会員組織の管理、顧客創造に関する企画・運営、口コミ返信とサービス向上のための現場への働きかけなどが主な業務です。

――「お客様につながる取り組みすべてが仕事」、素敵ですね!お客様の体験をより良くするために活動されているのですね。
カスタマーリレーションの部署ができるまでは、口コミへの返信は行っていなかったのでしょうか。

そうですね。それまでは、一部の口コミのみ各現場にて返信をしておりました。

ですが、ブランドの価値を高めていくには何が必要かということを考えた時、ブランドの良いところ・悪いところを一番わかっているのはお客様ですから、お客様のご意見が集まる口コミにきちんと向き合う必要性を感じたんです。

現在では口コミへの返信はもちろん、口コミをもとに接客やサービスを改善するといった取り組みも行っています。

15のサイトに集まる月150件の口コミ すべてに返信

――どのような形で口コミに関する取り組みを実施されているのでしょうか。

はい。返信は部署内の2名で実施しておりまして、1日の半分〜すべてがこの業務で埋まってしまうこともあるくらい、時間をかけて丁寧に取り組んでおります。

まず、毎朝出社したら、すべてのサイトの管理画面を開くんです。そして、口コミ一つひとつに返信していきます。

口コミが投稿されたらメールでも通知が来ますが、社内で導入している管理ツールの特性上投稿されてから通知が来るまで数日かかることもあるので、通知より私たちのほうが早く対応してしまうことが多いですね(笑)

――通知より早く対応されているなんて、すごいですね!
宿泊施設の場合、口コミが入ってくる予約サイトは結構多いと思うのですが、どれくらいの数を対応されているんでしょうか?

OTA(宿泊予約サイト)でいうと国内の主要6サイト、海外の3サイト、あとは自社CSアンケート、Googleマップトリップアドバイザーですね。

館内にあるレストランにも口コミが入りますので、各種グルメサイトも含めると約15のサイトに対応しています。

全部で月に150件前後の口コミに返信していると思います。

――15のサイトで月150件入ってくる口コミすべてに、あの長さの返信をされているんですか!すごすぎます…。

返信のテンプレートは決めない。「もう一度行きたくなる」返信を意識して

――返信の内容はどのように決めていらっしゃるのでしょうか。もう1人の担当の方と共有しているルールやテンプレートなどはありますか?

ルールやテンプレートはあえて決めていません。

ただ、暗黙の了解ではないですけども、「なんとなくこういう流れで書くよね」という共通の認識はあるかもしれません。

おおまかですが、

  1. 口コミを投稿いただいたこと・当施設にお越しいただいたことへのお礼
  2. 口コミの内容を受けてのコメント、いただいたご意見への回答
  3. 再度来店したくなるようなプラス情報のアピール
  4. お待ちしております といった結びのご挨拶

といった感じですね。

お礼やご挨拶だけでなく、施設やサービスの魅力をアピールするような言葉も入れて、「そうだったんだ」「もう一度行きたい」と思っていただけるような返信を心がけるのが大事かなと思います。

返信のおおまかな流れ。「季節や時間によって見える景色も日々変わって参りますので、…」のように魅力をアピールする言葉も入れ、「もう一度行きたい」と思っていただけるような返信を行っているそうです ※著作権・個人情報保護の観点から、口コミやユーザー名等、一部にぼかしを入れています
▲返信のおおまかな流れ。「季節や時間によって見える景色も日々変わって参りますので、…」のように魅力をアピールする言葉も入れ、「もう一度行きたい」と思っていただけるような返信を行っているそうです ※著作権・個人情報保護の観点から、口コミやユーザー名等、一部にぼかしを入れています

気をつけているのは、お客様のコメントを受けての内容になるようにすることですね。たとえば、景色に関するコメントがありましたら、必ず返信でも景色に言及します。

返信では、必ずお客様のコメントを受けての内容になるように心がけているといいます ※著作権・個人情報保護の観点から、口コミやユーザー名等、一部にぼかしを入れています
▲返信では、必ずお客様のコメントを受けての内容になるように心がけているといいます ※著作権・個人情報保護の観点から、口コミやユーザー名等、一部にぼかしを入れています

――なるほど!お客様のコメントに沿った内容になっていると、投稿したお客様も「ちゃんと見てくれてるんだな」と嬉しい気持ちになりそうですね。
口コミがこれだけ多く投稿されていると、どうしてもネガティブな意見が入ってしまうこともあるかと思います。その場合は、どのように対応されているのでしょうか。

そうですね。批判的な内容の場合、間違った内容の返信をしてしまうと困りますので、現場への事実確認をします。

また、返信の文面は、誠意が伝わるものになるよう心がけています。

ただ、ネガティブな意見が入ってしまうと、やはり気持ち的には落ち込むこともありますね…。

――そうですよね…。とはいえ、これだけ真摯にお客様の意見と向き合っているという姿勢は、口コミを投稿した方や口コミを見ている方にも伝わっているんじゃないかと思います。

口コミを現場へ共有、その後のPDCAまで管理

――返信以外にサービスの改善も行っているとのことですが、どういった対応をされているのでしょうか。

口コミへの返信と並行して、お褒めのお言葉もご指摘・ご意見のコメントも関係部署に共有します。先ほどお話しした通り、返信の内容について確認するほか、口コミでご指摘いただいた内容をどうやって改善していくのかも決めていきます。

さらにその後、改善事項として挙げた内容がどうなっているか、つまりPDCAを回せているのかもチェックします。

ネガティブな内容を改善しないと、また同様にネガティブな内容の口コミが入ってしまうでしょうから、しっかり改善されているのを確認するのが大事だと思っています。

――お客様からいただいたご意見をしっかりと業務改善に活かしているのですね!PDCAまで管理されているとは驚きです。
こうした取り組みは、現場の協力が不可欠だと思います。スタッフへの「口コミに返信していこう」「口コミをもとにサービスを改善していこう」といった動機付けは、どのように行っているのでしょうか。

もともと社内で「お客様に真摯に向き合う」というようなホスピタリティの精神が息づいているので、現場へ落とし込む際に強い反対というのはなかったように思います。

ただ、継続して取り組むためには、やるべきこと・やる理由を「繰り返し伝える」というのが大事ですね。忙しい中で取り組むには、やはりその重要性がわかっていなければ続けていくのは難しいと思います。

また、口コミにすばやく対応したり、各スタッフが口コミをいつでも見れるように集計して共有したりという施策は、カスタマーリレーションという専門の部署があるからこそできることかもしれません。

――確かに、企業によってはそこまで対応できない場合もありますよね。そうした企業の場合、誰がどこまで対応するのかを決めておくのが大事になりそうですね。

「口コミ返信を見て泊まろうと思った」お客様の声で効果を実感

――口コミへの返信は重要だとわかっていても、なかなか目に見えるような効果が実感できないものでもあるため、優先的に取り組めないという方が多い印象があります。

口コミへの返信などに取り組む中で、何か効果を実感されたことはありますか。

はい。こうして取り組みを続けていますと、お客様から「口コミへの返信を見て泊まろうと思いました」とお声がけいただくことがあるんです。励みになりますし、口コミへの返信は集客にも効果があるんだと実感しますね。

――それはすごいですね!口コミ返信によって集客まで可能となり、売上にもつながっているのですね。

また、ネガティブな内容を伝えて改善に活かすのはもちろんですが、スタッフを褒めるようなポジティブな口コミが入ったら、その内容もきちんと伝えるようにしています。この取り組みはスタッフのモチベーション向上にもつながっていると思います。

口コミ評価も向上、★4.5達成

さらに、積極的に口コミを集める取り組みを進めていまして、それと同時に口コミ返信やサービスの改善を進めたことで良い評価が集まりやすくなったこともあり、口コミの総合評価も上がっているんです。

「このサイトで★4.5を目指しましょう」といったかなり高めの目標を立てたところ、なんと達成できました。「次は★4.7を目指そう」など、さらに高い目標を掲げています。

また、噂を聞きつけた同グループの他のホテルの担当者からも、「口コミの評価を上げるにはどうすればいいのか」とアドバイスをお願いされたこともあります。「まずは★4.2以上を目指しましょう」ということで同じように施策を始めて、こちらも達成しました。

――素晴らしいですね!口コミ返信やサービスの改善といった取り組みが、評価の向上にもつながっているのですね。

口コミ返信やサービス改善、さらには口コミ評価の向上まで、適切な口コミ対応について知りたい方にとって、大変参考になるお話だったと思います。
ありがとうございました!



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    この記事の筆者

    口コミラボ編集部

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