2020年の飲食業界は、想像しなかった困難に見舞われており、 その中で明暗を分けている要素のひとつとして、利用オプションの多角化を行っていたか否かが挙げられます。
東洋経済オンラインによると、2020年5月の既存店売上高は、和民や鳥貴族といった有名居酒屋チェーンが90%前後減に陥る中、マクドナルドやモスバーガーは15%前後増、ケンタッキーフライドチキンに至っては37.6%もの増加を達成しています。
飲食店が現在の状況を追い風にするための選択肢として、各社が提供するフードデリバリーサービスがあります。
この記事では、LINEデリマの特徴とメリットとデメリットについて解説します。
※LINEデリマは2020年12月に「出前館」と統合されました。
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LINEデリマとは
LINEデリマは、LINE株式会社の提供する宅配注文サービスです。コミュニケーションアプリとして国内で不動の地位を誇るLINEが展開しているため、LINEユーザーすべてに簡易に訴求できる点で、大きなアドバンテージを得られます。
新型コロナウィルスの影響で幅広いジャンルのテイクアウトやデリバリーへの需要が増えている現在、多くのユーザーが利用しているLINEデリマに展開することはビジネスチャンスにつながりやすいといえます。
LINEデリマの特徴:メニューの幅広さ、LINEのサービスという強み
デリバリーの印象が強い飲食店の料理だけでなく、お弁当やお惣菜といったメニューも豊富に取りそろえている点が特徴です。
これまでの出前館のサービスは、独自のサイトで店舗を選んで注文する形式でしたが、LINEとの提携によって、多様なジャンルのフードメニューをLINE上で選び、注文することが可能になりました。
定期的にキャンペーンやポイント還元を行い、幅広い用途のLINEポイントが貯められるのも、ユーザーにとっては魅力といえます。
加えて、LINEが個人情報の認証を行っているため、会員登録という煩雑なプロセスを除外できるのは最大の強みになりえるでしょう。 日頃慣れ親しんでいるLINEで注文できるのは、ユーザーの心理的障壁の解消にも役立ちます。
支払い方法もオーソドックスな代金引換に加え、LINE Payやクレジットカードで手続きを行うことが可能です。
キャッシュレス決済への需要が高まる中、幅広い決済手段が使えるのは、店舗と消費者双方にとっての利益となるでしょう。
「LINEデリマ」と「出前館」が統合
LINEは出前館に300億円を出資して傘下に加え、満を持して「LINEデリマ」と「出前館」のサービスの統合計画を発表しました。今年中にもLINEデリマを出前館への統合を実施する予定とされています。
出前館の首脳部は、フードデリバリーの日常化を目指しています。 その観点から、配送業務のみに特化した専門のスタッフチームを組織し、飲食店からの業務委託を受ける「シェアリングデリバリー」を提案しています。
これにより、配送専門のスタッフを常時雇用することが困難だった小規模の個人店でも、出前を低負担で運用することが可能になるでしょう。
出前館はシェアリングデリバリーの受付可能エリアを拡大し、2021年内には4,200万人にデリバリーを提供できる体制の構築を目指しています。
LINEデリマの優位性、LINEポケオとどう違う?
続いて、LINEデリマと他のデリバリーサービス、LINEデリマと同じくLINEのサービスであるLINEポケオとはどのような違いがあるのか紹介します。
LINEデリマと他のデリバリーサービスとの違いは?
LINEデリマを利用するためには、コミュニケーションアプリ「LINE」に登録していることが必要です。
モバイル社会研究所の「SNS利用動向調査」によると、LINEの利用率はTwitterの36.4%を押さえて72.6%と高い普及率となっているため、ほとんどの人がLINEデリマを利用する際に新たにアプリをインストール・会員登録する必要がないといえるでしょう。
また、LINEにはメッセージ機能だけでなく、キャッシュレス決済やポイント貯蓄の機能など、様々なシステムが備わっています。
LINEデリマはそうした恩恵をフルに活かせる点で、大きなアドバンテージを持っています。
他にも、注文内容や配達状況がLINEで確認でき、注文した金額に応じてLINEポイントが付与されるなど、普段使いのアプリでサービスが完結するため利用者には手間がかからず便利に利用できます。
LINEデリマとLINEポケオの違い
LINEデリマと同じくLINEが提供する飲食店に関連したサービスとして、LINEポケオが存在します。LINEデリマはデリバリーサービスを提供しており、LINEポケオはテイクアウトサービスを提供しています。
いずれのサービスを開始したいのかにより、使い分けが必要です。
また、LINEデリマと同じく、LINEポケオも今後出前館に統合される見込みです。
LINEポケオとLINEポケオ for biz(フォービズ)とは?導入メリット・掲載方法を解説
LINEポケオはフードデリバリー、テイクアウト代行サービスとして2019年6月に本格展開が開始されました。現在では5,000を超える加盟店を持ち、LINEポケオ公式アカウントの友だち追加数は1,000万人以上と、多くのユーザーを持ちます。LINEの提供する他のサービスとの相乗効果により、既存のLINEユーザーから多くの利用者を獲得することが期待できるサービスです。本記事では、LINEポケオの特徴と登録方法や、店舗経営者が利用できるアプリLINEポケオ for bizについて紹介します。目次...
飲食店にとってのLINEデリマ、メリットとデメリット
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デリバリー導入のポイントまとめ|メリット・デメリット、アプリ・サービス紹介
新型コロナウイルスの感染拡大の影響によって、多くの飲食店がデリバリーやテイクアウトサービスの導入を始めています。日本フードサービス協会によると、2020年2月に発令された大型イベントの自粛要請や同年3月に東京都から発令された週末の外出自粛要請なども客足を落とした要因と指摘されています。本記事では、デリバリーサービスに対する消費者・店舗側の見解や、デリバリーサービスを開始するために必要な許可、運営方法に関するポイントを紹介します。目次デリバリーを始める飲食店が増加消費者・店舗側のデリバリーや...
飲食店にとってのメリット
LINEの普及率は先に述べた通り、日本国民の7割以上が利用している計算になります。
10人に7人が新しく会員登録せずに、「デリバリーを頼みたくなったら、すぐに頼める環境にある」という事実は、非常に大きいと言えます。
また、宅配可能な存在として店舗の情報がサービス上に表示されることで、知名度の向上にもつながるでしょう。これまで知られていなかった潜在顧客にもリーチして、新規顧客の開拓を実現できます。
また、販売ルートの複数化は、リスクヘッジとしても優秀です。緊急事態宣言下における店舗内消費需要の減少と、それに伴って上昇したデリバリー需要は、その最たるところでしょう。
飲食店にとってのデメリット
デリバリーサービスを行うにあたっては、解決しなければならない課題があります。デリバリーサービスを始めるにあたって時間管理が問題になりやすいです。デリバリーに適したオペレーションを設定し、良質な料理を届ける必要が出てきます。
デリバリーで提供するメニューのクオリティが店舗で提供しているものとあまりにも違えば、ファンを増やすことはできません。 むしろ、ユーザーが期待していればいるほど、がっかりされてしまうリスクを負います。
デリバリーには費用や価格の問題もついて回ります。 軽減税率やこぼれにくい容器、わりばし、ビニール袋のコストも考える必要があります。
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飲食店がLINEデリマに登録するには?
実際に飲食店が宅配出前サービスをLINEデリマを通じて始めるにあたり、登録方法について解説します。LINEデリマへの出店には出前館に登録が必要
両者は業務提携の関係にあり、また先述の通りに経営統合を進めています。 LINEデリマに出店する飲食店は、まず出前館に出店している必要があります。
統合されたあとの登録手続きなどについては公表されていませんが、現時点での登録のプロセスは把握しておくべきでしょう。
LINEデリマ(出前館)に登録し出店するまでの流れ
出前館への登録には、出店希望フォームから申込みをします。
この時、あらかじめ「販売メニューと価格(サイドメニューを含む10アイテム以上)」と「同メニューの商品画像(縦横1280ピクセル以上の正方形推奨)」を用意しておくことで申請が通りやすくなります。
他にも、「店舗基本情報」「店舗ロゴ画像(縦横300ピクセル推奨)」「営業許可証」「配達エリア」「酒類販売業免許(酒類販売の場合のみ)」を用意しておくことが求められています。
また、受注端末としてタブレットが1台必要です。タブレットを未所持の場合には出前館のレンタルがあります。
LINEデリマの注文への対応
掲載が始まると、オーダー管理アプリで受注確認が可能になります。 オーダーを受注した旨は画面テキストと音声で通知が入ります。
配達にかんしては、出前館が配達の委託を請け負っている場合、デリバリースタッフが商品を受け取りにやってきます。
店舗には、スタッフの店舗到着5~10分前に通知が来ます。それに合わせて商品の準備を始めます。
もし自前での配達を行う場合には、アプリで表示されているお届け希望時間までに配達を完了できるよう準備をします。
LINEデリマのメリット・デメリットを理解してサービス導入の検討を
LINEデリマの利用のメリットは、単に販売経路を増やすだけに留まりません。 複数の異なる需要に対応することで経営の安定化を図り、さらには店舗そのものの知名度向上にも役立つ効果が期待できます。
LINEデリマによるキャンペーンも折々に行われています。こうした動きは飲食店にとって、宅配サービスの利用者を増やし、新規顧客の獲得可能性を高めてくれるでしょう。
飲食店にとってLINEデリマへの出店は、オペレーションや提供商品の最適化が必要という点で負荷もかかります。
あらかじめこうした必要なコストについて理解しサービスを活用することで、変化する市場のニーズを効率よく取り込むことができるでしょう。
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→「ポリシー違反によるビジネスプロフィールの制限」が明文化 ほか【2024年9月・10月版 Googleマップ・MEOまとめ】
<参照>
東洋経済オンライン:外食企業「テイクアウト&宅配」で分かれた明暗
モバイル社会研究所:SNS利用動向調査