新型コロナウイルスの影響により、飲食店ではいまだに休業や営業時間の変更が実施され、一部の地域では限定的に夜の営業時間の短縮などの指示が各自治体から出ています。
そのようななか、多くの飲食店が厳しい経営状態に追い込まれています。これを期に、店舗の引継ぎを考える飲食店も少なくありません。
引継ぎや相続のメリットとしては、廃業のコストが少ないことが挙げられます。
本記事では飲食店における引き継ぎ、相続のメリットや具体的な施策について解説していきます。
コロナによる倒産と今後
新型コロナウイルスの影響で多くの事業者が倒産に追い込まれています。
飲食店においても倒産件数は増え続けています。緊急事態宣言が解除されてもなお、売上の回復までに時間がかかると考えられます。
飲食店・宿泊施設の倒産
帝国データバンクが発表した新型コロナウイルス関連倒産のデータによると、7月2日時点において全国で310もの事業者が新型コロナウイルスの影響により倒産に追い込まれています。4月末の119軒と比較すると、急激に数が増えていることが分かります。
緊急事態宣言による外出自粛要請や休業、営業時間の短縮要請により売り上げが激減しており、資金繰りが困難になったことが要因として考えられます。
同データによると、エリア別の内訳としては倒産件数が多い順に東京都で72件、大阪府は30件、北海道で22件となっています。
また、事業別に倒産件数の内訳を見ると「飲食店」が49件、「ホテル・旅館」が45件、「アパレル・雑貨小売店」が21件となり、飲食店が一番多いことが分かります。
コロナで『隠れ倒産』増加する2つの理由:倒産したくてもできない事情…5つの対処法を解説
新型コロナウイルスの感染拡大の影響により倒産する企業が相次ぐ一方、倒産扱いにならないものの廃業してしまう「隠れ倒産」が増えています。そこで本記事では、「隠れ倒産」とはなんなのか、なぜ「隠れ倒産」に陥ってしまうのか、そして乗り切るためにはどうすればいいのかを解説します。目次倒産扱いにならない廃業「隠れ倒産」倒産したくてもできない現状1. 裁判所・弁護士の業務縮小で、破産手続きに要する期間が長期化2. 「不渡り」の処分を猶予隠れ倒産するしかないと思ったら…5つの対処法1. 補助金や融資2. 事...
飲食店はウィズコロナに対応した営業が求められる
5月末までであった緊急事態宣言が、5月26日に全面解除されたものの、感染拡大には依然として警戒が必要な状況です。
各業界では、営業再開に向けて「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」を基にしたガイドラインが作成されています。飲食店のガイドラインでは、食事や会計時など状況に応じた衛生対策について、座席の間隔を離す、室内の換気、アルコール消毒剤の設置など、細かな取り組みが記されています。
また、3密の回避のために、デリバリーやテイクアウトのサービスを開始する飲食店も増加しました。
今後も店舗を営業していく際には、こうしたコロナ対策を遵守した取り組みが必要になると言えます。
飲食店の相続方法1. 居抜き売却
居抜き売却とは飲食店において、キッチンなどの厨房機器、内装設備等をそのままの状態にしながら店舗を売却する手法です。
退去時の条件として設備などを取り払う原状回復義務が基本になりますが、賃主や大家さんの許可が下りれば居抜き売却は可能です。
ラーメン屋の跡地がラーメン屋になるように、いちいち設備を撤去していては事業を終える側も始める側も手間とコストがかかります。
賃主も設備を撤去している間での空き店舗状態では収入が得られないので、近年は居抜き売却が認められるケースが一般化しています。
売却の相場としては100〜250万円ほどといわれています。
飲食店の相続方法2. M&A
近年、M&Aが経営戦略の一つになっています。M&Aとは合併と吸収(Mergers&Acquisitions)の頭文字を取った言葉で、事業の存続や拡大が目的になります。
飲食店業界でも同業種の買収が盛んにおこなわれており、大企業だけでなく中小企業でもM&Aは活発です。2012年から2017年で中小企業のM&A成約件数は3倍以上に増加しています。
また、居抜き売却との違いとしてM&Aでは店舗や設備だけでなく、スタッフや取引先との契約等も引き継ぐ点で異なっています。
M&Aをする金銭的メリット
M&Aを実施することにより得られる金銭的なメリットは2つあります。
1つは廃業のコストが削減される点であり、もう1つは店舗譲渡によって現金が獲得できる点です。
飲食店を廃業する際には、店舗の契約満了までの賃料支払いやリースの解約金、さらに設備を撤去して飲食店を始める前の状態に戻す原状回復に関する費用も必要です。また、廃業に関して手続きするための代行費用も確保する必要がある場合もあります。
M&Aであれば事業が継続されるので、店舗の賃料、リース代などの費用を支払う必要は無くなります。さらに、経営権の譲渡によって利益が獲得できます。
飲食店におけるM&Aの譲渡金額は店舗の立地や敷地面積、従業員の数などによって変動し、「時価純資産価額+減価償却前の営業利益×2〜5」が目安になるといわれています。
M&Aでの譲渡金額は従業員や取引先も引き継ぐため、店舗と設備のみを譲渡する居抜き売却よりも高値になります。
飲食店の相続:居抜き売却・M&Aの手続きの流れ
居抜き売却、M&Aを実施するための手法を解説していきます。
どちらも買い手を探したうえで契約するのが基本的な流れですが異なる点として、M&Aは従業員や取引先も引き継ぐので要する時間は多くなります。
相続の手順1. 居抜き売却の場合
店舗を買い取る意思のある希望者を探します。
身近で飲食店を経営したいという知人などがいない場合、仲介会社を通して探します。
仲介会社を通す場合、売却店舗における内装、立地、エリアなどの査定を依頼し、仲介会社と相談のうえで売却額を決定します。
その後、賃貸仮契約において居抜き売却が禁止されている場合は、店舗の賃主から承諾を取ります。
許可を取らずに、居抜き売却を進めるとトラブルになるので賃主からの承諾を得る必要があります。
仲介会社を通して買い手が見つかり次第、売り手と買い手が交渉しあって店舗資産譲渡契約を結びます。
譲渡した後のリース精算や故障などのトラブルを未然に防ぐうえでも互いに交渉することは必要な事項になります。
店舗賃主と買取希望者の契約が合意に至れば、売り手は解約手続きをした後に店舗の引き渡しをします。
最後に、売買決済をして居抜き売却の手続きは完了です。
相続の手順2. M&Aの手順
従業員や取引先の引き継ぎも含めたM&Aを実施する手順を解説します。
まずは居抜き売却と同様に譲渡先を見つけます。
ご自身の周りに買い手が見つからなければ、M&Aアドバイザーに譲渡先を探してもらいます。
地元の銀行では中小企業をサポートする一環としてM&Aの譲渡先を探してくれる機関もあるので地元銀行を利用するのも良い手です。
買い手が見つかった後、譲渡する飲食店の情報やビジネスモデルを伝えて交渉します。
買い手が納得すれば、事業譲渡に関する条件が「意向表明書」で提案されます。
取引価格やいつ譲渡するかなどの条件が記載してあり、トラブルなく譲渡するためにもしっかり内容を確認し検討すると良いでしょう。
その後、買い手と売り手の双方が条件に納得できたなら「基本合意契約書」を締結します。
契約後には「デューデリジェンス」が実施されます。
デューデリジェンスとは、譲渡する飲食店の情報を調査することです。
具体的には財務・税務・法務に関する資料を売り手が買い手に提出します。
デューデリジェンスを実施する目的は、買い手が店舗を譲渡された後に書類不備などの不安が残らないようにするためです。
売り手と買い手の双方とも、譲渡に関して問題がなければ契約書を記入して店舗を引き継ぎ、譲渡金額の振り込みを実施して取引完了です。
飲食店の相続は金銭面以外も考慮し売却の検討を
居抜き売却に店舗売却、M&Aによる店舗譲渡のどちらも、廃業費が少なく済む点で同様のメリットがあります。
異なる点として、居抜き売却では事業そのものを終えることになります。
M&Aでは買い手が事業をそのまま続けていく形ですが、居抜き売却では長年やってきた飲食店をたたむことになります。
どちらの方法を取るかの判断は飲食店経営者によって異なるので、上記で紹介したそれぞれの特徴を比較したうえで転売売却の形式を定めると良いでしょう。
口コミラボ 最新版MEOまとめ【24年9月・10月版 Googleマップ・MEOまとめ】
そこで口コミラボでは、MEO・口コミマーケティングに役立つ最新ニュースをまとめた「Googleマップ・MEO最新情報まとめ」を毎月発行しています。
本記事では、主に2024年9月・10月の情報をまとめたレポートのダイジェストをお届けします。
※ここでの「MEO」とは、Google上の店舗・施設情報の露出回数を増やしたり、来店行動につなげたりすることで、Google経由の集客を最大化させる施策を指します。
※『口コミアカデミー 』にご登録いただくと、レポートの全容を無料でご確認いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→「ポリシー違反によるビジネスプロフィールの制限」が明文化 ほか【2024年9月・10月版 Googleマップ・MEOまとめ】