「いつかは自分の店舗を開業させたい」と考えている人もいるでしょう。飲食店の開業を目標にしても、それに費やす資金や時間を漠然と想像するだけでは、なかなか開業に至らない場合もあります。
飲食店を開業するためのステップを丁寧に知ることで、実現に向けてやるべきことが明確になります。今回は、飲食店開業への手順や必要になる資格、手続きについて解説します。
飲食店開業に向けての9つのステップ
飲食店の開業を現実にするために、手順について9つのポイントを解説します。漠然と考えていたコンセプトをメニューの開発へと具体化させ、コスト面も網羅した事業計画書を書けるようにしてください。
1. コンセプトを明確化する
飲食店を開業する究極的な最終目標は、利益を追求することです。この目標を達成するためには、「なぜ飲食店を開業したいのか」「どのような食事やドリンクを提供したいのか」「誰に対してサービスを行いたいか」について、顧客視点に立ったコンセプトづくりをすることが重要です。
このコンセプトを打ち出すことで、開業に向けた必要な費用と開業する場所など店舗の基礎を築くことがでます。まずは、資金力を基礎に、競合を把握し他店と違う独自コンセプトの調査を進めます。
この調査で、他店にはない自店特有のコンセプトを見つけ出してこそ、今後の事業計画の確たる部分になり、顧客にとって魅力的な店舗づくりにつながります。具体的な競合分析の例として、「7W2H」の視点に立ち競合店や繁盛店を分析します。
7W2Hの視点には以下の9件が含まれます。
- Why:なぜ?(目的)
- When:いつ?(開業する時期や営業時間)
- Where:どこで?(立地や物件)
- Who:だれ?(主体・関係者)
- Whom:だれに?(ターゲット)
- What:なにを?(商品やメニュー)
- Which:どれ?(おすすめ商品)
- How:どのように?(接客やサービス形態)
- How much:どれくらい?(費用や予算)
7W2Hの視点から、競合のメニューの種類、サービスの内容などを評価対象にして「なぜ人気なのか」「どのような魅力があるのか」を、自店舗の評価軸を見える化できるように具体化させることで、より確固たる自店舗のコンセプト作りを進めることができます。
2. 物件探し
コンセプトを考え出すことができれば、ターゲットが来店する可能性が高い立地について予算内で物件を探す必要があります。
この物件を探す上で、「オフィス街」「大学近くで学生が多い」「住宅街の近く」などコンセプトにあった特徴を持つ物件を探し出し、出店する街を定めます。
出店場所を決めるのに重要なポイントは、予算内の物件であることです。理想的な立地であっても、好立地であればあるほど不動産や賃料は高くなります。売上が想定より悪く店舗の回収率が見込めないと、撤退せざるをえなくなります。最低の場合を想定した無理をしない物件探しを心がけましょう。
3. 事業計画書の作成
コンセプトを明確にして物件もある程度目処がついたら、事業計画書の作成をしましょう。
事業計画書には、起業動機や売上予測などを記入するため、開業にあたりどれほど利益が見込めるかを予測する良い機会になります。
資金調達にあたり融資を受けない場合であっても、事業計画書の作成を行うことで開業後の集客見込と売上目標を知ることは、継続的な事業経営に必要になります。
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4. 資金の調達
飲食店を開業するには、店舗のジャンルや規模によっても差はありますが、1000万円程度の資金が必要だと言われています。
開業費用の内訳は、内装工事費、厨房や食器などの備品、開業後の運転資金などが挙げられます。
資金の調達を考える時は、創業補助金や小規模や小規模事業者持続化補助金など国や自治体の制度を検討することもできます。
5. メニューの開発
競合調査やコンセプト作りの段階で、どのようなメニューを提供したいか、どれほどの価格で提供するかというイメージやアイディアが漠然と浮かんでくると思いますが、それらを具体的にメニュー開発に落とし込まなくてはいけません。
提供するメニューを考える中で、どのメニューを店舗の売りにするのか、全体で利益を出すためにどのような価格帯で提供するのかという2つのポイントを考える必要があります。
提供する料理内容がある程度決まったら、その内容に合わせて食材や原価などの代金を設定します。その際に、食材廃棄率についても考え、全体として利益が出るように予測する必要があります。
6. 内装の工事
予算に基づき物件を定め提供するサービスを具体化すれば、そのサービスにわざわざ足を運んでくれる来店客を迎えるための店舗の内装デザインを考えます。
店舗規模によって差はありますが、オープン予定の2か月前までには内装工事を行うことが望ましいです。
内装工事は、一度行うと直すためには再度工事が必要となり、コストや時間が余計にかかってしまいます。そうならないよう、キッチン内の通路、作業スペース、ホールスタッフの動線、顧客の入退店、トイレの場所など従業員と来店者の両方の視点から予測してレイアウトを考える必要があります。
動線を両者の視点から考える時、快適な空間だと感じやすいエアコンの位置なども考えることもポイントです。
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7. 食器などの備品の調達
コンセプト作りや来店希望者を迎える内装などを決めれば、次は備品の調達です。調理器具、客席用の備品、食器などを発注します。
メイン、デザートなどの出数が多いメニューとそれらが少ないメニューとでは必要な皿の枚数が異なります。
サービス提供時に食器が不足する事態を防ぐためにも、どれほどの量が必要なのかを席数を考えて発注します。食器や客席の備品などは、店舗のコンセプトに合わせて統一感を意識することがポイントです。
8. 人材の確保
飲食店には、キッチンとホールスタッフが必要です。それぞれ、どれくらいの人数分が必要なのか、人件費や雇用保険料の負担についても考えながら人材の確保をします。
正社員の場合は、開店3か月前、アルバイトは1か月前ほどから募集するのが一般的だとされています。
人材は確保するだけでなく育成することも重要です。スタッフの能力を引き出して、より魅力的な店舗づくりができるように具体的なマニュアル作成をしましょう。
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9. 宣伝
オープンが決定すれば、より多くの人に知ってもらう努力をする必要があります。
飲食店の場合は、地域性が高い店舗が多いため、地域の顧客を獲得するためにチラシの配布などが効果的です。
他にも、ウェブサイトの作成、SNSアカウントの運用を行い積極的な情報発信をすることが、店舗の認知度を上げ集客へとつなげます。
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資格取得や手続きも忘れずに
飲食店の開業をするためには、以上の9点が主なステップになります。これらの段階を経て開業を進めるには、公的な資格取得や届出の提出が必要になります。
1. 食品衛生管理者
飲食店の開業するためには、食品衛生責任者の資格が必要です。食品衛生責任者は、施設で食中毒や食品衛生法違反を起こさないために店舗の衛生管理を行い、従業員に対し衛生管理方法の指導をし、管理を徹底させる役割があります。
飲食店だけでなく食品を販売している小売店において、食品衛生責任者の資格を持つ従業員が1名以上在籍していなければならない。この資格は講習を受けることで取得できます。
2. 防火管理者
防火管理者は、防火管理について知識を持ち火災を防止するために監督する役割を担う責任者を指します。従業員を含めて30人以上の収容が可能な飲食店を開業する場所に必要な資格です。
30人以上収容が可能で300㎡以上の面積を有する店舗では「甲種防火管理者」、300㎡以下の面積を有する店舗では「甲種又は乙種防火管理者」の資格が必要になります。
甲種防火管理者の資格では2日間、乙種防火管理者の資格は1日の講習を修了することができます。費用は講習の新規講習で8,000円、乙種講習で7,000円です。
甲種防火管理者 |
乙種防火管理者 |
|
店舗規模 |
30人以上収容可能/300㎡以上 |
300㎡以下 |
講習日数 |
2日間 |
1日間 |
費用 |
8,000円 |
7,000円 |
3保健所や消防署への届出や申請手続き
飲食店を開業するためには、以上2つの資格の他にも様々な書類の提出や申請絵手続きが必要になります。
具体的には、「飲食店」「飲食店営業許可申請」「防火管理者選任届出書」「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」「深夜における酒類提供飲食営業開始届出書」などがあります。店舗の形態や規模により必要となる書類や手続きが異なります。
そのため、提出先も保健所や警察署、消防署など多岐にわたります。自分が開業する店舗には、どのような申請が必要なのかを確認しながら取り組むことが重要です。
3.入念な準備を行い、魅力的な店舗のオープンで売上アップへ
飲食店を開業するには、様々な手順を追い入念な準備が必要です。また、開業するだけでなく長期的な経営を目指すには入念な競合調査とコンセプト作りが必要になります。コンセプトを基軸にした、資金調達、不動産の選定、内装、備品、人材確保など広く考慮しなければなりません。
もし資金調達の必要がなくても、事業計画書を書くことで資金繰りが適切であるかを知ることができます。飲食店の経営を食品ロス削減の視点に立つことで、売上追求の側面だけでなく、経費削減から全体の利益につながる考え方もできます。
これらのポイント以外にも公的な資格取得や申請手続きを必要とします。時間をかけて開業を計画し、オープン前から魅力的な店舗づくりをすることが重要になります。
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