6月の飲食業界では、すかいらーくが800店にセルフレジを導入すると発表したほか、ロッテリアがモバイルオーダーを導入するなどDXが進んでいます。
また、6月に発表されたデータでは、2021年に飲食店の新規法人数が「過去最多」となったことがわかりました。
本記事では6月の飲食業界のニュースや市場の動向、発表されたデータなどについて紹介します。
飲食業界主要ニュース
ここからは飲食業界における6月の主要なニュースを紹介します。
800店にセルフレジ導入 すかいらーく
株式会社すかいらーくホールディングスは6月19日、ガストやバーミヤン、ジョナサン、しゃぶ葉など800店舗以上に、「セルフレジ」を7月から2022年末までに順次導入すると発表しました。
人材不足を解消する狙いに加え、会計の待ち時間を解消して顧客満足度を向上させ、店舗運営の効率化を図るものです。
1分単位での賃金支払いへ すかいらーく
同じくすかいらーくホールディングスは6月9日、パートやアルバイトへの賃金支払いについて、5分単位から1分単位に変更することを明らかにしました。
さらに過去2年分もさかのぼり、5分未満の勤務の未払金16億円余りを従業員へ支払うとしています。
パートやアルバイトへの賃金支払いは、多くの飲食店で5分から15分単位の給料計算となっているのが現状で、その中ですかいらーくは「より働きやすい環境づくり」へと踏み出した形です。
業界大手のすかいらーくが賃金支払いの改革に踏み切ったことで、今後他社の動向にどう影響するか注目されます。
モバイルオーダー導入 ロッテリア
株式会社ロッテリアは6月27日、全国のロッテリアで7月1日から新サービス「LOモバイルオーダー」を開始すると発表しました。
創業50周年記念の一環として、あらかじめスマートフォンで注文・支払いができるもので、店舗で並ぶことなく商品を購入できます。
また導入を記念して、7月1日から20日まで、「LOモバイルオーダー専用ポテからパッククーポン」キャンペーンが実施されます。
飲食業界注目調査&データ
6月に発表された、飲食業界の調査やデータについて紹介します。
2021年 飲食店の新規法人数は「過去最多」の7,810社、一体なぜ?
2021年の飲食店の新設法人数(個人企業除く)は7,810社で、2012年以降で最多となりました。
同年はコロナ禍で多くの飲食店が苦境に陥っていましたが、前年(2020年)に事業立ち上げを見送った反動や、アフターコロナの需要回復を見据えての設立などの要因が考えられます。
またバーチャルオフィスを本店登記地とするケースや、新規開店の準備段階とみられる法人も多い傾向がありました。
Z世代の6割は「財布を持ち歩きたくない」
アプリマーケティングプラットフォーム「MGRe(メグリ)」を提供する株式会社ランチェスターは6月23日、関東在住のZ世代(18歳〜24歳)111名を対象として実施した「Z世代のキャッシュレス / ウォレットレスに関する実態調査」の結果を発表しました。
調査では、Z世代の過半数が、キャッシュレス決済未対応のために買い物をやめた経験があることが分かりました。
また店舗の会員/ポイントカードを発行した経験のあるZ世代の約6割が、会員登録に時間がかかることや、財布がかさばることを避けるために、「発行しようとしてやめた」経験があることがわかりました。
さらにZ世代の約7割は、出かける際に財布を常に持ち歩くものの、うち約6割が財布を持ち歩くことにストレスと感じていると回答しました。
約8割の店舗がデジタルツールの効果実感/ホットペッパー外食総研
リクルートの外食市場調査・研究機関「ホットペッパーグルメ外食総研」は、全国の飲食店経営者を対象に、デジタルツール導入への興味・導入実態と導入後の効果に関するアンケート調査を実施しました。
飲食店経営においてデジタルツールを導入することへの興味・関心は42.8%にとどまっており、今後のデジタル化への伸びしろが期待されます。
いっぽうでデジタルツール導入により何らかの効果を感じている経営者は80.6%にのぼり、特に人事労務管理系のツールや「ハンディ」で高い効果を実感していることが分かりました。
またDXによって得られている効果としては、「売上UP」(48.1%)に続き「顧客満足度UP」(37.5%)、「経営数値管理の強化」(24.4%)が上位を占めています。
DXによって、どこまで人手不足の解消や売上アップにつなげられるかが注目されます。
日本フードサービス協会 外食市場の月次売上動向
日本フードサービス協会が6月27日に発表した5月の外食業界の全体売上は、前年同月比120.4%と大幅な回復を記録しました。
行動制限のないゴールデンウィークに家族客を中心に客足が戻ったものの、飲酒業態などを中心に夜間の客足の戻りは鈍くなっています。
業界の人手不足も足かせとなり、特に「パブ・居酒屋」は未だ苦戦を強いられています。
内閣府「景気ウォッチャー調査」
内閣府が発表した5月の「景気ウォッチャー調査」では、ゴールデンウィークに多くの飲食店で賑わいを見せたことが分かりました。
在宅勤務からオフィス勤務に人が回帰しており、都市部のランチにも活況が戻りつつあります。
一方、ディナーの客足の戻りは鈍く、物価高を懸念する声も聞かれています。
来月の消費予報【博報堂生活総研】
博報堂生活総合研究所の調査によると、7月の消費意欲指数は48.5点で、前月から2.0%増、前年比で0.4%減となりました。
例年7月はボーナスシーズンで消費意欲が上昇する傾向がありますが、今年は7月としては過去5年で最も低くなりました。
消費意向は「旅行」のみ前年比・前月比増で、日常生活関連は前年比減となっており、物価上昇の影響からか日常生活関連の消費意向は高まりにくくなっていると考えられます。
※7月に入り、コロナの新規感染者数が増加しています。今のところ飲食店への時短要請等はありませんが、今後さらに感染者数が増えれば、政府や自治体がなんらかの対応に乗り出す可能性があります。
【6月公開のおすすめレポート紹介】全国のスタバの口コミを分析してみたら…
全国で大人気の「スターバックス」に寄せられる口コミ(総数約120,000件)をもとに、日本を9個のエリア(北海道・東北・北関東・北陸甲信越・関東・東海・関西・中国四国・九州沖縄)に分け、エリアごとに地域性が現れるのかを徹底調査しました。
その結果、コーヒーに関する評価に地域間の差は見れれない一方で、「新作」や「限定」に関する評価は関西圏が他の地域よりも高いなど、興味深い結果となりました。
口コミラボ 最新版MEOまとめ【24年9月・10月版 Googleマップ・MEOまとめ】
そこで口コミラボでは、MEO・口コミマーケティングに役立つ最新ニュースをまとめた「Googleマップ・MEO最新情報まとめ」を毎月発行しています。
本記事では、主に2024年9月・10月の情報をまとめたレポートのダイジェストをお届けします。
※ここでの「MEO」とは、Google上の店舗・施設情報の露出回数を増やしたり、来店行動につなげたりすることで、Google経由の集客を最大化させる施策を指します。
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→「ポリシー違反によるビジネスプロフィールの制限」が明文化 ほか【2024年9月・10月版 Googleマップ・MEOまとめ】
<参照>
株式会社すかいらーくホールディングス:新勤務時間管理方式に関する報道について
NHK NEWS WEB:すかいらーく 賃金支払い1分単位に 未払い金16億円余支払いへ
株式会社すかいらーくホールディングス:すかいらーくグループ 2022 年末までに800 店舗以上で「セルフレジ」導入
株式会社ロッテリア:~並ばず待たずに受け取れる 便利なサービス!~「LO モバイルオーダー」2022 年 7 月 1 日(金)から全国のロッテリアにてサービス開始!
東京商工リサーチ:2021年の新設法人数、苦境の飲食店が過去最多の不思議
MGRe:ニュースリリース|Z世代のキャッシュレス / ウォレットレスに関する実態調査 〜 Z世代はカバンも財布もミニマム化を希望? 〜
株式会社リクルート:デジタルツール導入に関心のある飲食店経営者(※1)は42.8% 導入して何らかの効果を実感している経営者は80.6% 「人事労務管理」系ツールや「ハンディ(※2) 」で高い効果を実感
Foodist Media:飲食店のDX導入、約81%の店舗が効果を実感。ホットペッパーグルメ外食総研が調査
一般社団法人日本フードサービス協会:日本フードサービス協会加盟会員社による外食産業市場動向調査 2022年5月度 結果報告
内閣府:景気ウォッチャー調査 令和4年5月調査結果
生活総研:来月の消費予報