11月10日、第2次岸田内閣が発足しました。岸田内閣は数十兆円規模の経済対策を打ち出す方針としたほか、ワクチンパスポート、接種証明等を活用した実証実験を行っています。
この記事では、ワクチンパスポートの取り組みを始め、店舗マーケターが知っておきたい政府・デジタル庁のDX戦略をまとめます。
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自民党の経済施策・DX戦略
岸田新総理は「新しい資本主義実現会議」を立ち上げ、「分配」を重視した経済施策を行う姿勢を示しています。また分厚い中間層を再構築することを目的に「令和版所得倍増計画」を提唱しています。
またコロナで落ち込む経済を活性化させるために、30億円規模の予算を編成する意向です。
「DXの推進をはじめ新たな経済社会システム構築」
自民党は、総選挙の公約のなかに「DXの推進をはじめ新たな経済社会システム構築」を掲げていました。
農業や通信、流通でのDXに加え、新設されたデジタル庁を中心にデジタル化を推し進める構えです。
18歳以下に10万円相当給付
連立を組む公明党が公約に掲げた「18歳以下に10万円給付」をめぐって議論がかわされています。
当初は所得制限を設けない形での一律給付が目指されましたが、バラマキとの批判根強く、960万円の所得制限を設ける方向で調整が進んでいます。10万円相当給付の内訳は、現金5万円と用途を限定したクーポン5万円です。
ファミリー層への給付は、彼らの消費意欲を喚起することにつながり、外食産業や旅行業者へのよい影響も期待されます。
さらにマイナンバーカードを通じて2万円~3万円相当のマイナポイントを給付する政策も示されており、現金よりも消費につながりやすいとされるポイント給付で経済活性化が目指されます。
DX戦略の司令塔、デジタル庁が9月発足
マイナンバーカードやワクチンパスポートなど、政府が推し進めるDX戦略の司令塔となるデジタル庁は、2021年9月に立ち上げられました。
他の先進国に後れを取っているデジタル化を推進することがその役目です。民間から人材を多く登用するなど、従来とは違った手法が注目を集めています。
デジタル庁が掲げる3つの柱
デジタル庁は、デジタル化推進のために以下3つを柱とし、政策を進めています。
-
デジタル社会に必要な共通機能の整備・普及
マイナンバー等のID・認証整備
政府共通のクラウド環境整備
基幹業務等システムの統一・標準化
サイバーセキュリティ
データ戦略 -
国民目線のUI・UXの改善と国民向けサービスの実現
マイナポータル、公共フロントサービス等、行政手続きのデジタル化 -
国等の情報システムの統括・監理
国の情報システムの整備・管理の基本方針を策定し、その標準化や統一化を図る
その他、デジタル人材の育成・確保や、調達における公平性・透明性の確保等を進めています。
デジタル庁発足前、4月に提出された資料に掲げられていたのが「PF(プラットフォーム)としての行政」。デジタルを活用したサービスを通じてデータを収集し、そのデータを分析・活用することでさらなる行政のサービス改善を目指すというものです。
行政のデジタル化によって煩雑な手続きを簡略化したり、マイナンバーカードを活用して行政の利便性を高めたりすることが目指されています。
実際にマイナンバーカードを健康保険証として利用できるようになるなど、成果をあげています。
<参照>
デジタル庁:政策
ーー第9回 成長戦略会議「デジタル改革担当大臣提出資料」2021年4月
民間から意見を募る
積極的に民間から意見を募っていることも、デジタル庁の特徴の一つと言えます。
すでに受付は終了していますが、直近では以下のようなアンケートが行われており、今後の戦略に活用されるようです。
- 2021年10月26日:データ戦略へのご意見をお寄せください
- 2021年9月17日:コロナワクチンの接種証明書(電子交付)の仕様に関するご意見を募集します
また、10月10日、11日に「デジタルの日」を設け、優れたデジタルの取り組みを取り上げ表彰するイベントも開催されました。
デジタル庁の課題
デジタル庁は、従来の省庁とは異なる性質を持っており、職員の一部を民間から登用して専門的な知識を持つ人材を確保するなど、新しい取り組みがなされていています。
また事務方トップには一橋大学教授でさまざまな会社の社外取締役を務めた経験のある石倉洋子氏を迎えました。
しかしその中でも職員の多くは、各省庁から集められた官僚です。そのため本来省庁の「縦割り」を打破することを目標のひとつとしているデジタル庁が、各省庁の「利益誘導」の場となる危険性をはらんでいます。
さらに民間から登用した職員の中には、民間企業と兼業している者もおり、企業との癒着をどう防ぐかが課題です。デジタル庁の大臣や高官がNTTから接待を受けていたりと、実際に問題も起きています。民間との協力が欠かせない領域だけに、どう透明性を確保するかが課題となります。
ワクチンパスポートの電子化、年内にも実現か
デジタル庁は、外食・観光産業復興のかなめとなるワクチンパスポート電子化について、事業者や自治体にアンケートを取り、あり方について協議しています。
「Go To」事業にも活用される予定で、デジタル庁は年内中にリリースする方針を示しています。
電子ワクチンパスポートは、申請から証明書の提示まで、専用のスマートフォンアプリで完結するような仕様になる見込みです。またスマホに2次元バーコードを表示させ、証明書代わりにします。
一方、ワクチンパスポートについてはすでにメディアチェック推進機構とICheck株式会社が共同で「ワクパス」をリリースしています。
これもスマホで接種済みであることを証明することができ、すでにアパホテルやかっぱ寿司などが「ワクパス」を活用した特典を発表しています。
このように電子ワクチンパスポートは、ワクチン接種積みであることを簡単に示せるため、感染拡大防止と経済活性化を両立するためのカギとなる仕組みです。電子ワクチンパスポートは、店舗の集客に役立つだけに、いち早いリリースと使いやすいシステムづくりが求められます。
ワクチンパスポートの課題 電子ワクチンパスポート「使わない」が95.4%
しかし、先ほど紹介したデジタル庁が実施したアンケート調査では、95.4%が二次元コード・APIの電子証明書について「どちらも使わない」と回答しました。
個別の事情があって接種できない人への配慮から、そもそもワクチンパスポート自体に反対している人も多いようです。
システムについての意見では、ワクチンパスポートを提示する飲食店やホテルなどで氏名などを見せたくないという声も多く、プライバシーを保護しながら使用できるシステムの構築が求められています。
そのためデジタル庁は、個人情報を表示しない仕様を追加する方針です。
また発行予定の電子ワクチンパスポートを申請するには、マイナンバーカードが必要です。これは接種データを管理しているデジタル庁の「ワクチン接種記録システム(VRS)」に、個人の接種履歴とマイナンバーとが紐づけて管理されているためです。
マイナンバーカードの普及率は11月1日時点で39.1%であり、申請方法には課題が残ります。
さらにワクチンの接種には、世代間格差があり、特に若年層への接種が遅かったため、不平等だとする意見もあり、これらの課題をどう解決するかが、今後注目されます。
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<参考>
ビジネスIT:デジタル庁は「何に」「どのように」取り組むのか? 5つの重点施策とは
日経クロステック:デジタル監人事「迷走」の裏側、菅政権は民間トップに何を求めたのか
ニッポン放送:デジタル庁発足から1ヵ月あまり デジタル社会構築への課題
東京新聞:デジタル庁の民間登用は98%が非常勤 企業との兼務で癒着防止に甘さ?
ITmedia:ワクチン接種証明書の電子化、デジタル庁が仕様案を一部変更
ITmedia:民間初のワクチンパスポートアプリ「ワクパス」 接種証明でアパホテルやかっぱ寿司など優待に
総務省:マイナンバーカードの市区町村別交付枚数等について(令和3年11月1日現在)
FNNプライムオンライン:【岸田政権の課題(3)デジタル化】「ワクチン接種証明」「マイナ保険証」本格運用への課題は? デジタル庁は“遅れ”挽回できるか?
自民党:次期衆院選における自民党の重点政策が決定
読売新聞:【独自】18歳以下に10万円支給へ…政府・与党、所得制限設けず
時事ドットコム:岸田政権、再始動へ 第2次内閣が発足
厚生労働省:マイナンバーカードの健康保険証利用について
NNK:18歳以下に10万円相当給付 所得制限で詰めの調整へ