2010年代後半から導入されたコード決済が、コロナ禍における非接触決済の需要の高まりで急速に普及が進んでいます。個人におけるスマホの保有率は年々増え続け7割に達しようとしており、利用者増加とともにコード決済事業者の競争も激しさを増す傾向です。
コード決済は、顧客側も店舗側も双方にとってメリットの高い決済手段です。
本記事では、動向やシステムの仕組み、提供事業者の比較を紹介します。
※2021年5月27日追記:PayPayはこれまで決済システム利用料について、無料で店舗にサービスを提供していましたが、2021年10月1日より有料になります。利用料率は8月31日に発表される予定です。
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コード決済|近年話題のキャッシュレス決済
コード決済はキャッシュレス決済の1つです。QRコードやバーコードをスキャンすると、店舗コードや利用者コード、決済金額などが決済会社に送信され、アプリにチャージした金額や銀行口座から引き落とされる仕組みとなっています。
コード決済のメリット|作業負担軽減、新規顧客獲得
コード決済のメリットは、購入履歴や売上情報も専用アプリに記録されたり、店舗でのつり銭が不要であったりすることでレジ締めなどの経理作業を軽減できる点です。また、クレジットカードと異なり、顧客の個人情報を預かる必要なく決済が完了するためセキュリティリスクを抑えられます。
スマホ1つで支払いが済む利便性などが要因となってコード決済は利用率が高まっています。その点、コード決済を普段から利用しているユーザーの来店動機となり、集客につながる可能性が高まります。もし、近隣店舗でコード決済導入が進んでいる場合、未導入の店舗は選ばれづらくなってしまうかもしれません。
また、サービスによってはQRコードを設置するだけで導入できるなど、導入も簡単です。
決済方法 1. ユーザー側が読み取る「ストアスキャン方式」
顧客がコードを提示し、店舗側が読み取る「ストアスキャン方式」では、顧客は事前に決済アプリをスマホへインストールしておく必要があり、店舗で決済時に決済アプリからコードを表示します。
店舗側はリーダーなどを使って読み取り、金額を入力して決済が完了します。
店舗はPOSシステムと連動できる専用端末を揃える必要がありますが、商品の在庫管理がしやすいのが特徴です。大手スーパーやコンビニチェーン店の多くが採用している方法です。
決済方法 2. ユーザー側が読み取る「ユーザースキャン方式」
顧客がコードを提示し、店舗側が読み取る「ストアスキャン方式」では、顧客は事前に決済アプリをスマホへインストールしておく必要があり、店舗で決済時に決済アプリからコードを表示します。
店舗側はリーダーなどを使って読み取り、金額を入力して決済が完了します。店舗はPOSシステムと連動できる専用端末を揃える必要がありますが、商品の在庫管理がしやすいのが特徴です。大手スーパーやコンビニチェーン店の多くが採用している方法です。
コード決済の動向
キャッシュレス決済の中でも注目を集めているコード決済ですが、これまでの経緯と今後市場でどのように広がりを見せるのか、国内外の動きを解説します。
国の導入支援
世界へ目を向けると、キャッシュレス決済比率は1位が韓国、次いで2位が中国で、日本は10位と出遅れていますが、政府は2025年までに現状の2割から4割まで普及させることを目標に定めています。
2019年10月の消費税増税の際は、キャッシュレス決済を利用した消費者へのポイント還元や、中小事業者に対しては決済端末の無料設置や手数料補助を行うなど国として推進しました。
また、複数のQRコード決済サービスを一つのQRコードに統一できる規格「JPQR」が総務省より展開され、店舗や地方自治体で導入が進んでいます。
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コロナ禍でのキャッシュレス決済需要の高まり
2020年以降は、新型コロナウイルス感染拡大によりキャッシュレス決済の需要が高まりました。現金の決済ではどうしても接触が発生しやすいですがコード決済であればスマホをかざすのみで接触がほとんど発生しないため、感染防止の観点で利用する人が増えています。
特にQRコード決済アプリは、キャッシュレス決済の利用者のうち5割を超える人が利用し、10代~60代まで幅広く普及が広がっています。
インバウンド需要の取り込み
コード決済の利用率が高い中国では、「Alipay」と「WeChatPay」がコード決済サービスの2大勢力で、決済市場の9割を占めています。
これだけコード決済が当たり前になっている中国からの訪日客であれば、日本での買い物もコード決済で済ませたいという需要は高いでしょう。
訪日外国人数1位である中国人を取り込むためにも、コード決済の導入は有効です。
コード決済事業者5社比較
コード決済全体の年代別利用率では、20代〜50代がそれぞれ40%を超えています。
しかし、国内にコード決済サービスは複数あり、どのサービスを導入するかを選んで検討する必要があります。
導入のしやすさや自店舗の顧客層などが、選ぶ上で見るべきポイントです。主要な5事業者について特徴やメリットなどを解説します。
<参照>Retail Innovations Vol.009 2020年版 一般消費者におけるキャッシュレス利用実態調査レポート
1. PayPay
PayPayはソフトバンクとヤフーの共同出資により誕生し、現在利用者は3,600万人に上り、最も多く支持されているコード決済サービスです。初期導入費用が無料、システム利用料も2021年9月末までは無料のため、店舗側のコスト負担が少なく済みます。(引用:https://paypay.ne.jp/store/)
また、2021年4月下旬以降にLINEPayとのQRコード統合を予定しており、両者の顧客集客や管理コスト削減など、更なるメリットが期待できます。
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2. 楽天ペイ
PayPayに次ぐシェアを誇り、楽天市場や楽天トラベルなどで溜まったポイントを利用した支払いが可能なため、楽天会員1億人以上を取り込める高い集客力が魅力です。
導入費用は無料で、決済手数料は3.24%(クレジットカードの種類によっては3.74%)になります。
キャンペーン中は2万円相当のカードリーダーも無償で配布されます。
<参照>楽天ペイ店舗向けページ
3. d払い
続く3位のシェアを誇るのは、NTTドコモが提供するd払いです。利用率12%でメルペイと連動しており、1つのQRコードでdポイントクラブ会員約7,815万人と、メルカル月間利用者数の約1,802万人を集客できます。
手数料は2.6%と比較5社のうちPayPayに次いで低く、2021年9月末まではキャンペーン期間となり無料です。
<参照>d払い店舗オーナー向け案内ページ
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4. au PAY
会員数は2,500万人でシェア5位となるau PAYは、初期導入費用が無料、銀行に関わらず入金手数料は無料です。また、PontaポイントをauPAY残高にチャージできるなどPontaポイントカード利用者も取り込めます。
決済手数料は3.25%ですが、2021年7月末まではキャンペーン期間中につき無料となっています。QRコードのステッカーを店頭に貼るだけで手間なく導入できます。(引用:https://biz.aupay.wallet.auone.jp/)
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5. メルペイ
2020年6月時点の会員数が700万人でシェア6位のメルカリが提供するメルペイは、メルカリユーザーにとって利便性が高いサービスです。
メルカリ利用者がメルカリアプリ1つで決済でき、アプリ上の地図で加盟店を検索できたり、メルカリで得た売上もコード決済の支払いに利用できるなどの特徴があります。若い世代からの利用率が高いことも特徴です。
メルペイとd払いは共通の1つのQRコードで決済が可能になります。
<参照>オリコン顧客満足度:スマホ決済サービスのランキング・比較
費用対効果を考慮したコード決済・QRコード決済の導入を
国の後押しやコロナ禍でのキャッシュレス需要などを受け、支払い方法の中でもコード決済が最も増加傾向にあります。また、コード決済事業者各社が積極的にキャンペーンを実施しており、2021年度はますます市場が拡大する見込みです。特に、キャッシュレス決済の中でもコード決済は店舗側がQRコードの紙を用意するだけで済む場合が多く、導入のしやすさが特徴です。
コード決済サービスのそれぞれの顧客の傾向と自店の顧客層に合わせて検討を進めることが重要になります。
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