ピーク・エンドの法則とは?店舗の接客とどう関係?活用方法を解説

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ピーク・エンドの法則は、心理学や行動経済学の分野で知られる人間の心理現象の一つで、事業者がファンやリピーターをつくる上で重要なヒントを有しています。

ピーク・エンドの法則とは何かを理解すれば、顧客のサービス満足度向上や営業活動の成功率アップにつながります。

本記事では、日常生活における具体例とともに、ピーク・エンドの法則の概要とマーケティングへの活用方法を詳しく解説します。

ピーク・エンドの法則とは

ピーク・エンドの法則とは、もっとも感情が動いたとき(ピーク)と一連の出来事が終わったとき(エンド)の記憶が、その出来事の全体的な印象を決定づけることを示した法則で、ピーク・エンド効果とも言われます。

ピークとエンドの記憶はその出来事の一部分に過ぎませんが、経験そのものの印象を左右するほど大きな影響力を持っています。

ピーク・エンドの法則を証明する実験

ピーク・エンドの法則を根拠付けるものとして、心理学者や行動経済学者として知られるダニエル・カーネマン氏が1993年に行った「冷水を用いた実験」があります。

実験では被験者に二つの環境を体験してもらい、最後に「もう一度体験するならどちらがよいか」と質問しました。

一つ目の環境は14度の冷水に被験者の手を60秒間浸すというもので、もう一つの環境では手を浸す時間を90秒間に変更し、60秒目からは温度を14度から15度までゆっくりと上昇させました。

いずれの条件も、冷水に規定の時間だけ手を浸すこと以外は、被験者に詳しい条件を伝えていません。

実験後の質問に対する回答として、より長い時間手を冷水に浸されているにもかかわらず、被験者の大半が「2回目の90秒間の体験」を選択しました。これは、最後に少しだけ痛みが楽になったという「エンド」の記憶が、その体験全体の印象を良くしたと説明できます。

ピーク・エンドの法則は顧客満足度を高め、リピーターを増やすのに役立つ

ピーク・エンドの法則が店舗ビジネスに重要な理由は、この法則で語られるピークとエンドが、顧客満足度を大きく左右する瞬間だからです。

飲食店などで顧客が自分の注文を間違えられれば、もちろん良い気分はしません。良い気分がしないままに帰宅するとその店に対して悪い印象を抱いていまい、口コミサイトなどでネガティブな口コミを書き込まれることにもつながりかねません。

ミスが起こった際や退店の際に、謝罪や割引、その他特別な対応によってフォローをはかれば、たとえミスをしても良い印象に変えることができます。その理由は、顧客は多くの場合、ピーク・エンドの法則に従って、ピークそしてエンドの印象によって店舗そのものをイメージするようになるからです。

またピーク・エンドの法則からは、顧客が店に悪い印象を抱かなかったとしても、最後まで特別印象に残る場面が無ければ、リピーターになる可能性を下げてしまうとも考えられます。誕生日の顧客などにはデザート時にサービスをしたり、退店時に自分の言葉で感謝や店のこだわりを伝えたりすることで、全体の印象を上げ、再来店につなげることができます。

このように「顧客の感情が動く瞬間」サービスを受ける最後の瞬間」を意識し、これらのポイントに力点をおいてサービスを強化できれば、顧客満足度の向上やリピーターの獲得に期待できます。

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ピーク・エンドの法則の例

ピーク・エンドの法則はビジネスだけでなく、日常生活のさまざまな場面で活用されています。

ピーク・エンドの法則によって説明できる3つの具体例を紹介します。

数分間の体験のための行列:満足感が並ぶ時間を忘れさせる

日本にはいくつものテーマパークがあります。ディズニーランド、富士急ハイランド、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンなどは代表格で、アトラクションには長い行列ができ、数時間待ちは珍しくありません。

しかし、どれも2時間から3時間の待ち時間に対しアトラクションの体験時間は5分程度であり、日常の感覚では時間のコストパフォーマンスが非常に悪いといえます。

テーマパークでこのような長い行列が受け入れられている理由は、ピーク・エンドの法則によって説明が可能です。

長い行列に並んでアトラクションを利用する一連の体験の中で、ピークはアトラクションを利用することであり、同時に利用そのものがエンドでもあります。ピークとエンドの印象が全体の印象に影響を及ぼすと考えれば、アトラクションに乗っている時の楽しい体験が、待ち時間のマイナスの記憶を補っているといえます。

こうしたピーク・エンドの法則の働きはアトラクションに限らず、行列ができる人気の飲食店でも同じです。

ピーク・エンドの法則の効果により、行列に並ぶ記憶がピークとエンドのポジティブな印象で書き換えられ、行列に並ぶという条件付けそのものがポジティブな結末をさらに際立てる要因として機能しています。

中盤まで退屈な映画:一場面が全体の印象を決める

ピーク・エンドの法則は、映画の全体的な印象にもあてはまります。

映画をよく観る人ならば、冒頭や途中の展開が平凡で面白みが感じられなかったとしても、ラストシーンに納得感があれば、作品全体に対する印象が良くなるという経験をしたことがあるのではないでしょうか。

2018年公開の『カメラを止めるな!』は、こうしたピーク・エンドの法則でも説明できる魅力を持っています。

ある期間の思い出の良しあし:一部で全体が決まる

日常生活の中にも、ピーク・エンドの法則は隠れています。

例えば、「高校時代を振り返る」というテーマが出された時、多くの人は文化祭や体育祭などの印象深いイベント(ピーク)、あるいは大学受験や卒業式といった終盤の思い出(エンド)を口にします。 これは、高校生活におけるピークとエンドが、高校時代全体の印象を決定していると説明できます。

そのため、イベントの達成感や、第一志望校への合格を家族や友人と喜びあった経験がある人は、ピークやエンドを良い体験として記憶しているため、その特定の出来事だけでなく、自分の高校生活全体を良かったものとして評価します。

反対に、体育祭などのイベントで恥をかいた記憶や、受験に失敗してつらい経験をした記憶がある場合、嫌な記憶としてのピークやエンドが全体の印象に影響し、高校生活全体を嫌な思い出と感じるでしょう。

学校生活だけでなく、あるイベントについての思い出など、自分自身の体験を冷静に振り返ってみれば、ピーク・エンドの法則を実感することができるかもしれません。

店舗でのピーク・エンドの法則の活用方法3選

次に、ピーク・エンドの法則を実際に店舗での接客に活かし、評判を高めたりリピーターを獲得する方法について解説します。

1. 顧客満足につながる応対を設計する

顧客の体験を一つのストーリーと考え、その中でピークとエンドを設計し、力点をおいてサービスが提供できれば、リピーターやファンを増やせるでしょう。

レストランの例で考えると、まず顧客が来店し、着席してメニューを見て注文します。 料理を待ち、料理が来たら食事を楽しみます。食べて一息ついたらお会計をし、退店します。

この一連の体験の中でピークになるのは多くの場合、メインの料理が出てきて味わう時でしょう。そのピークで、顧客の思い出に残るようなすばらしい演出があれば、顧客に良い印象を強く与えることができます。

エンドは退店するときであり、この店舗は他と違うと感じる応対や演出があれば、「また来たい」という感想につながるかもしれません。

店舗側のアクションはあくまで一例ですが、ピークとエンドにあたるタイミングを把握し、競合他社とは違う点をつくり、独自の価値を付加することが大切です。

2. 特別感を出す

顧客は、自分が無名として扱われるより、特別な存在であることに喜びを感じる傾向にあります。

特別な値引きや今回だけのおまけといった売り文句は古くから使われてきたマーケティング手法ですが、形を変えつつ現在も使われています。

自らを特別に扱ってくれる相手に対し、顧客は興味を持ちます。話の内容、または扱っている商品について、強度の差こそあれど耳を傾けてくれるでしょう。過度になれば逆に信頼を損ねるケースもあるものの、適度に特別感を演出することで良好なピークとエンドの印象をもたらします。

3. 「エンド」の印象がより重要

ピークがどこにあるかは物事によって変わりますが、エンドは基本的に変わらないため、ピークよりもコントロールしやすいポイントといえます。またエンドはそもそも顧客からの評価を決定するタイミングです。店舗ビジネスにおいても特に注意をして顧客対応を行う必要があります。

レストランを例にすれば、たとえば顧客が注文した料理が品切れで提供できないといったことがあれば、体験のピークにおいて良くない印象を抱くでしょう。それでも、退店のタイミングで良い印象を与えることができれば、その印象が店舗に対するイメージとして残る可能性は高いです。

挽回の方法としては、品切れを詫び、食後の飲み物をサービスしたり、デザートにアイスを追加で添えるといった形でもてなしたりといったことが可能です。結果、印象が好転しリピーターになってもらえる、あるいは良い印象のお店として友人知人に対して口コミしてもらえる可能性があります。

ただし反対に、会計が終わったらさっさと立ち去るなどお見送りが雑であったり、口では礼を述べても態度が良くなければ、悪印象が滞在の記憶の全体として顧客に残るでしょう。

ピーク・エンドの法則を意識し、顧客対応に役立てる

ピーク・エンドの法則(効果)は、このように接客にとって根幹にかかわる重要性を秘めています。

活用のために必要なのは、自分の商品サービスがどういったピークおよびエンドを有しているかの把握です。この認識があいまいであれば、ピーク・エンドの法則の有効な活用は果たせません。

人生の思い出をも決定する力を秘めたピーク・エンドの法則について、店舗における活用方法を確立することは集客に役立つでしょう。

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