VRIO分析とは?4つの項目で経営資源をチェック・強みと弱みを把握・方法を解説

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思考の要点と整理方法、論理の発展のさせ方をパターン化したフレームワークは、企業の規模にかかわらず経営にあたって課題解決や成長を目的に用いられています。

様々なフレームワークが存在しますが、経営資源を重視したVRIO分析(ブリオぶんせき)は競争社会におけるアドバンテージを生み出すために用いられています。

この記事では、多くの有名企業も実践しているフレームワークのVRIO分析について、基礎となる部分と実際の活用方法を学びつつ、注意点についても網羅的に解説します。

VRIO分析とは

VRIO分析はアメリカで生まれました。

アメリカのビジネススクールでも経営資源に基づく戦略論(通称RBV)の重要性に注目が集まっています。VRIO分析とは、このRBVの中で提唱されているフレームワークです。

日本でも「企業戦略論【上】基本編 競争優位の構築と持続」(著者:ジェイ・B・バーニー 翻訳:岡田正大 出版:ダイヤモンド社)を始めとする3部作として、邦訳のうえで発売されています。

経営資源の強みや弱みを分析

経営学分野において、VRIO分析は企業が持つ経営資源の、独自の強みや弱みを分析するフレームワークと定義づけられています。

経営資源とは「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」の4つを指します。

VRIO分析の発案者は、アメリカの経営学者にしてユタ大学の教授であるジェイ・B・バーニーです。バーニー教授は、経営戦略策定に有用なフレームワークとして、VRIO分析を著書の中で提示しました。

分析項目には、経営資源の経済的価値(Value)、希少性(Rarity)、模倣可能性(Imitability)、組織(Organization)という、VRIO分析の頭文字に相当する4つの視点が用意されています。

これらの視点から、企業における競争優位性の維持と、その向上を図るのがVRIO分析を採用する目的です。

ただし、分析した要素はただ無造作に並べるだけでは活用できません。一覧表やフローチャートといった表示方法、俯瞰のためのツールを用いることで、企業の弱点の発見とつながります。

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前提条件となる3C分析

VRIO分析を活用するにあたっては、3C分析の事前の実施が推奨されます。3C分析は、VRIO分析と同じくフレームワークの分類です。

3C分析の特徴は、市場や競合他社などの外的な要因を分析し、自社の戦略の決定に活用できる点にあります。

3C分析の目的は、自社の置かれた環境からKSF(Key Success Factor)、つまり成功要因を抽出する点に置いています。

市場(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の3つのCを分析し、事業における勝利の条件を導くことは、企業体の戦略決定において大きな役割を果たすでしょう。

3C分析において、とりわけ特徴と呼べるのは、分析にあたって外的要因に依拠しすぎていない部分です。市場や競合だけでなく、自社という内的要因も分析の対象とすることで、現実に沿った戦略の立案が可能になります。

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VRIO分析の4視点

前提として3C分析を行った後は、VRIO分析に移っていきます。

VRIO分析の4つの視点では以下のような観点から判断を行います。

  1. 経済的価値(Value):当経営資源の保有の有無は、企業の売上を左右するものか
  2. 希少性(Rarity):当該経営資源は、市場において希少なものであるか
  3. 模倣可能性(Imitability):当該経営資源は、競合が獲得を目指す際に多大なコストを支払う必要があるか
  4. 組織(Organization):当該経営資源を活用するために必要な組織の方針や工程が整備されているか

模倣可能性については経営のシステムや保有特許の残り期間などを含む幅広い概念であり、組織については企業体に留まらず人材採用や教育までまたがる内容となっています。

これら内的要因が外的要因と同等に重要なのが、VRIO分析の特徴です。

VRIO分析の方法

VRIO分析は、使用方法まで体系付けられています。使用するためのプロセスを2段階に分けて紹介します。

1. 分析のツールを選択する/一覧とフローチャート

VRIO分析を使うにあたり、分析のためのツールを選択します。一般的に用いられるのは一覧表およびフローチャートのいずれかであり、どちらを用いたとしても分析結果は同等に算出されます。

一覧表は、多くの情報を扱える代わりに、評価のための負担が大きい点にあります。

分析する経営資源について、個々の要素全てをYESとNOではっきり切り分けていくため、大型の戦略や計画の分析に向いているでしょう。

フローチャートの特徴は、使用する情報が最低限に留まるため、評価の負担を抑制できる点にあります。チャートに沿ってNOが出た段階で該当する経営資源の分析を停止することから、個別に細かく見る一覧表よりも、多くの経営資源を分析できます。

結果は変わらないものの、プロセスには違いがあります。向き不向きを考慮した上で、状況に合ったツール選択が分析の効率や効果を左右する鍵となるでしょう。

2. 4つの評価項目を順番に判断/評価対象はバリューチェーンを構成する各要素

VRIO分析の内訳は経済的価値、希少性、模倣可能性、組織です。これら4つの項目について、1つずつ、設問に回答していきます。

評価対象の経営資源は「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」であることを先に示しましたが、これは企業の事業が持つ「バリューチェーン」の各工程が含むものです。

バリューチェーンとは、企業が消費者に対し提供する価値が生み出されるまでの工程です。企業が消費者に提供する価値には、商品を入手したあとのアフターケアも含まれます

製造業であれば仕入れと購買、製造、広報、営業、またその後のカスタマーサポートが存在します。4つの評価指標に判定を下していきます。

実際に評価を下していく過程を説明します。

経済的価値においてYESの判断が出た場合、希少性へと進みます。同様に、希少性がYESであれば、模倣可能性へと進みます。

こうして4項目について確認し、4つの視点すべてで良好な結果が出るか、あるいはどの段階でNOが出るかを確かめます。

NOが出た場合、その項目に問題点があります。YESは、OKやGOODと置き換える場合があります。

4項目すべてにYESが出たならば、その経営資源は持続的な競争優位の状態にあると判定されます。逆に、4項目すべてにNOが出たならば、他社と比べて競争において不利な状況にあるか、競争力がない状態と考えられます。保有している経営資源の価値はなく、事業の打ち切りを検討する必要が生じます。

これら極端な結論でない場合、どの要素が足りていないかによって市場における優劣が分類できます。

VRIO分析には、ポテンシャルがありながら活かせていない経営資源を発見する効果もあります。

経済的価値(Value)

希少性(Rarity)

模倣可能性(Imitability)

組織(Organization)

市場における優劣

NO (Vに対する評価項目がYESでなければ評価しない) (Rに対する評価項目がYESでなければ評価しない)

(Iに対する評価項目がYESでなければ評価しない)

競争劣位
YES NO

(Rに対する評価項目がYESでなければ評価しない)

(Iに対する評価項目がYESでなければ評価しない)

競争均衡
YES YES NO

(Iに対する評価項目がYESでなければ評価しない)

一時的な競争優位
YES YES YES

NO

持続的な競争優位

YES

YES

YES

YES

経営資源の最大活用(資源が成果につながる状態)

VRIO分析の注意点

VRIO分析には注意点があります。これらは正確な分析に欠かせない内容となるため、実施する際に確認しておく必要があります。

1. 事前に外部環境の分析を行っておく必要がある

VRIO分析の実施にあたっては、事前に外部環境の分析を実施しておかなければなりません。

VRIO分析の1問目には、「企業にとっての機会、ならびに脅威」の設問があります。

分析の効果を最大限に理解するためにも必要な措置です。

機会と脅威の詳細を把握したい場合、ファイブフォース分析(業界の収益性を分析するフレームワーク)、PEST分析(マクロな視点で経営環境を分析するフレームワーク)、SWOT分析(意思決定のための現状を分析するフレームワーク)などの併用が効果的です。

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2. 分析結果は変化する

VRIO分析の結果、経営資源が競争優位と判断されたとしても、その優位が永続することはない点に注意しなければいけません。

2000年前後より、通信技術の発展やそれに伴う国際化の進展によって、外部環境は常に変化し、多様化の道を進んでいます。

そのため、顧客が有する価値の基準も一定ではなく、時代に合わせたトレンドを敏感に把握し、その都度分析を実施して判断をすることが重要となっています。

3. 判定項目をしっかりと設定しておく必要がある

VRIO分析において、判定するための項目は細密な設定が望ましいです。

分析のために必要なのはまずは正確なデータです。そして加えて、そのデータを評価するための分析の判定項目も同様に重大な要素だと認識しておきましょう。

一方で、項目の定義や要件設定に慎重になりすぎると、VRIO分析に時間をかけすぎてしまい、現実と分析を行うための当時のデータで乖離が生まれます。こうしたギャップが生まれないためのバランスを保持することが推奨されます。

さらに、外的な比較を実行するにあたって、ターゲットが異なる場合は対象として不適格です。たとえ同業であっても、比較対象の選択をする際には慎重に行う必要があります。

経営戦略を立案するためのフレームワークVRIO分析

VRIO分析は経営学の中で生まれたアカデミックな内容であり、ジェイ・B・バーニー教授が発表した当初は実務で活用するには不向きと考えられていました。 しかし、評価のためのツールや手法が確立することにより、現在ではその有用性が認められています。

今では、経営戦略の立案に有効なフレームワークの一つとして数えられています。

VRIO分析を正常な形で運用することは、企業の所有する経営資源の価値を正しく算定し、効果的な経営戦略を立案する助けとなります。VRIO分析を行う際にはそのほかのフレームワークと併用して、より自社に合った課題や戦略を見つけるという意識が大切です。

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