「GoTo効果ナシ」宿泊施設はどうすべき?"強み"を見つけ、宣伝し、リピーターへつなげよう

旅行・観光需要を喚起する施策として、7月22日から始まった「Go To Travel(トラベル)」キャンペーンですが、全ての宿泊施設がその恩恵を受けられているわけではないようです。

観光庁が9月30日に発表した最新の宿泊旅行統計(8月分データ)では、Go To Travelキャンペーンの効果はリゾートホテルで顕著で、ビジネスホテルなどでは未だ客室稼働率が回復していないというデータが出ています。

旅行代金から割引されるキャンペーンであるため、旅行者は「せっかくだから良いホテルに泊まろう」という考えになりやすく、低価格帯のホテルとの格差を生み出しています。また、ビジネスホテルの場合はそもそも観光客をターゲットにしていないこともあり、余計に苦戦を強いられているのではないかと考えられます。

では、Go To Travelキャンペーンの効果を実感できていない宿泊施設は、今後どうしていくべきなのでしょうか。

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Go To「だけ」では上手くいかない

まず言えるのは、Go To Travelキャンペーンに頼っているだけでは上手くいかない、ということです。

キャンペーンが実施され旅行需要が増加しているからといって、確実に施設の客数増加に結びつくわけではありません。

Go To Travelキャンペーンの恩恵を受けるためには、旅行需要をつかむための、宿泊施設側の工夫が必要になってきます。

「Go Toがあれば確実に客数が増える」わけではない

Go To Travelキャンペーンが確実に客数につながるわけではない、というのが、どういうことなのかを説明します。

まず、旅行者が宿泊施設を「選ぶ」までには、4つのフェーズがあると考えられます。

  1. 旅行に行こうと思う
  2. 旅行の目的地を決める
  3. いくつかの宿泊施設を検索し、閲覧する
  4. 宿泊施設を決める

これらのフェーズでいえば、Go To Travelキャンペーンは、旅行代金の割引という特典を設けることで、1の「旅行に行こうと思う」人を増やすキャンペーンであるといえます。

つまりGo To Travelキャンペーンは、旅行需要を増加させるものであって、各宿泊施設の客数を確実に増加させるものではありません

2の「旅行の目的地を決める」の時点で施設から離れた場所が選ばれたり、3の「いくつかの宿泊施設を検索し、閲覧する」で目に留まらなかったりすれば、その施設が選ばれることはないのです。

旅行前の「詳細な情報発信」が重要に

新型コロナウイルスの流行により、観光施設・飲食店などでは休業や入場制限、営業時間の短縮などが実施されています。

そのため旅行者は、旅行前の期間に下調べをいつもより念入りに行い、旅行プランを練るようになっていると考えられます。

したがって、旅行者が「旅行先で宿泊する場所を決める」というのはこれまで以上に少なくなると考えられます。この期間に情報発信をしっかり行うことで旅行者に見つけてもらい、「行こう」と思ってもらえるかどうかが、Go Toキャンペーンからの恩恵を受けられるかどうかを左右するといえます。

また今回のキャンペーン期間には、4つのフェーズのうち、2の「旅行の目的地を決める」と、3の「宿泊施設を検索し、閲覧する」の順番が逆転することも考えられます。どこに行きたいか、よりも「どの宿泊施設がお得か」が先行するという可能性です。

施設独自のキャンペーンなどを実施している場合は、お得なキャンペーンを探している人に向けてどれだけプロモーションできるかが、大きな鍵を握ります。

Go Toの効果が出ていない場合、やるべきこと2つ

Go To Travelキャンペーンの恩恵を受けるために宿泊施設がやるべきことは、一言でいえば「"強み"を見つけ、それを"宣伝"していく」ことです。

強みがなければ選んでもらうのは難しいですし、強みがあっても旅行者に知ってもらわなければ意味がありません。

1. 競合とは違う"強み"を見つける・作り出す

数ある宿泊施設の中で自分の施設を選んでもらうには、競合施設との差別化が重要です。

旅行者は多くの場合「目的地」と「価格帯」で宿泊施設を絞り込み、当てはまったいくつかの候補の中から施設を選びます。

地域と価格帯が同じ、似たような宿泊施設から1つを選ぶわけですから、例えば「朝食が無料」「アメニティが充実している」「近くの店で使えるクーポンがもらえる」といった少しの差が、選ばれるかどうかに大きく関わってくると考えられます。

旅行者が「これがあるからここにしよう」と考えるような、最後の決め手になる強みを見つけましょう。なければ独自のキャンペーンを実施するなど、強みを「作り出す」のも良いでしょう。

一方、強みとは別に、その施設が「安全・安心」であるかどうかは非常に重要です。他の施設に比べて新型コロナウイルス対策に不十分な点があれば、選んでもらえない可能性が高くなります。ガイドラインを守った営業ができているかどうか、今一度確認しましょう。

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2. 宣伝する:公式サイト、SNS、予約サイトなどでの発信

強みを持ったら、次は施設の認知度を上げましょう。

Go To Travelキャンペーンは旅行予約サイトもしくは旅行代理店からの予約が対象となります。

なかでもBooking.com、じゃらん、楽天トラベル、一休.comといった各予約サイトで検索し、いくつかの施設を比較してから予約するという流れが多いといえます。

各予約サイトの施設情報を最新の状態に更新し、テキストや画像で施設の魅力を発信しましょう。公式サイト・SNSでの発信も併せて行うとより効果的です。

また、そうした予約サイトのユーザーは口コミを重視しています。高評価な口コミを集めるとともに、低評価な口コミにも真摯な態度で返信することで信頼度を上げましょう。

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一方で、施設情報を発信するだけでは不十分です。Go To Travelキャンペーンは対象や申請方法が複雑なため、思った以上に旅行者はキャンペーン内容を把握していないものと思った方が良いと考えられます。

プロモーションの際はGo To Travelキャンペーン自体の内容についても説明を入れると、キャンペーンを使おうという気持ちを起こさせる効果があることに加え、余計なトラブルを防ぐことにもつながります。

さらに、オンライン予約が苦手な高齢者などが常連客として存在する場合などは、ハガキでキャンペーンについて告知するなど、オフラインでの施策も一定の効果があると考えられます。

事例:強みを持ち、それを宣伝したビジネスホテル「ホテルニューショーヘイ」

東京でのGo To Travelキャンペーン開始に先立ち、独自のキャンペーンで話題を集めた「ホテルニューショーヘイ」の事例を紹介します。

「ホテルニューショーヘイ」は、新宿区四谷に位置するビジネスホテルです。

新型コロナウイルスの流行後、宿泊客数9割減に悩まされていましたが、"SNSに投稿するだけで宿泊が無料"となる大胆なキャンペーンを実施し、話題となりました。プレスリリースを出した後は、朝から晩まで電話がなりっぱなしだったといいます。

元々「ホテルニューショーヘイ」には、ドリンクを無料で楽しめるラウンジがありました。さらにこのキャンペーンと並行して、系列の居酒屋でドリンクと活けアジの刺身の無料券を配布しており、ビジネスホテルとしては珍しい "強み"をもつ施設だといえます。

また、Twitterでの情報発信や、Googleマイビジネスでの返信も積極的に行っています。

ビジネス需要をメインとしているホテルでも、競合にはない強みを効果的に宣伝すれば、旅行需要をつかむことは可能だということを示す好事例だといっていいでしょう。

※現在宿泊無料キャンペーンの受付は終了しています。

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キャンペーン終了後はどうすればいい?

SNS上で目立つのが、「普段だったら泊まらないところに泊まってきた」「Go To終わったら泊まらない」といった口コミです。

キャンペーンで旅行需要をつかめたとしても、終了後にまた旅行需要が減少し、客足が途絶えてしまう可能性もあります。

では、Go To Travelキャンペーン終了後はどのような施策を行えばいいのでしょうか。

「また来たい」を次の訪問へ確実につなげよう

Go To Travelキャンペーンが終了すると、旅行回数が少ないライト層の旅行需要が減少し、新規顧客を集めにくくなると考えられます。

そのような場合、リピーターや常連客へのプロモーションを強化すると効果的です。

Go To Travelキャンペーンなどをきっかけとして、一度施設を訪問してくれた旅行者が「また来たい」と思ってくれたのであれば、そのニーズを逃さず、もう一度来てもらえるような施策を打ちましょう。常連客であれば、これまで年に1回しか来ていなかった人に、2回来てもらえるような工夫を施しましょう。

オンラインであれば、予約サイト経由などで数か月に1回程度メールを送ると、施設のことを思い出し「また行こう」と考えるきっかけになります。

また、一度目の訪問で公式SNSをフォローしてもらえるようなキャンペーンを実施し、SNSでの宣伝を見てもらうといった施策も考えられます。オフラインではハガキを送るのも効果的でしょう。

先を見すえた施策を

キャンペーンで旅行需要をつかめていない宿泊施設も多く、需要をつかめたとしても、キャンペーン終了後に旅行需要が減少し、客足が途絶えてしまう可能性があります。

今後宿泊施設が生き残っていくためには、本記事で解説したように予約を待つだけでなく自分から施設の魅力を発信するとともに、Go To Travelキャンペーン終了も含め、先を見すえた施策を打つことが重要となってくるでしょう。

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この記事の筆者

口コミラボ編集部

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