新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛で消費が落ち込む中でも、ネットショッピングは盛況でした。
家で過ごす時間が増えたことで、ネットショッピングの利用が約50%増加したという調査結果もあります。
しかし、この数年「モノが売れない時代」と言われています。
ネットショッピングが台頭して、小売店に足を運ばなくてもモノが購入できる時代になりました。
また、少子高齢化により売上が変化しており、小売業がどのようなかたちで顧客が実際に足を運ぶような収益構造をつくるのが課題です。
この記事では、ネットで商品を購入する傾向が増加している中で具体的な小売店の解決策や今後の展望について紹介します。
モノが売れない現状
「モノが売れない」といわれるようになったのは、インターネットの発達によって顧客が店舗に来店しなくてもネットで商品が購入できるようになったからです。
また、インターネットの発達により消費者の収集できる情報量が増加したことも原因のひとつです。
誰でも簡単にいつでも情報が収集できるようになった結果、消費者の間でのトレンドの移り変わりが激しくなり、人気だった商品が新しいトレンドの誕生により、すぐに廃れてしまうというサイクルになりました。
なぜ「モノが売れない」のか
現在の小売店では、単に「モノが売れない」のではなく、「モノを売り続けるのが困難になっている」のが現状です。
その要因の一つが、品質が改良された新商品が次々と開発されるようになったことです。
消費者は品質の良い商品を手に入れられるようになり、頻繁にモノを買い替える必要がなくなるため、モノを買わなくなるといったサイクルが生まれます。
また、現代の消費者はインターネットを通して、手軽に大量の情報量を得ることができます。
それにより、消費者はトレンドをいち早くつかめるようになりました。
そして、消費者がトレンドに敏感になることで、さまざまなトレンドが生まれ、廃れていきます。
これらの理由により、「ひとつのモノを長く売り続けるのが困難になっている」といえます。
消費者のニーズが多様化・細分化
小売業にとって、急速に変化する時代のニーズに応えられるかどうかも重要な課題となっています。
現代社会では、モノを所有することから共有することが常識となりつつあります。
この背景には、デフレ経済や老後不安により消費者が高額な商品を購入することへの不安があります。
そのため、サブスクリプション型のサービスが台頭してきました。これは、月に決まった金額を払うことで、映像や音楽をはじめさまざまなサービスを無制限で使うことができるサービスです。
このような消費者のニーズの変化や細分化に対応することも、「モノを売る」ためには必要となります。
深刻なショールーミング化
ショールーミングとは、実店舗にて商品を見て触り確認してから、オンラインショップで商品をより安く購入するという行為です。
インターネットやスマートフォンが普及するにつれて、消費者は欲しい情報を自ら取得できるようになり、選択肢が多様化しました。
そして、消費者の購買行動は、同じ商品をより低価格で販売しているEコマース上で行われるようになりました。
実店舗でモノが売れなくなりショールーミング化がすすむと、経営が悪化し倒産する企業が増えるだろうという懸念もあります。
解決の一手として注目されている「オムニチャネル戦略」
ネットだけでなく、店舗などリアルの場を含めたあらゆるものを連携し、顧客と接点を持つことで売上をアップさせる戦略をオムニチャネルといいます。
ここでは、オムニチャネルの概要と具体的な「オムニチャネル」化の事例や方法を紹介します。
オムニチャネルとは?マルチチャネルとの違いや具体的な方法を紹介
オムニチャネルでは各チャネル(流通経路)の壁を取り払うことで、店舗に在庫のない商品をオンラインで注文したり、オンラインで注文した商品を店舗で受け取るなどの利便性を消費者に提供する手法です。今回は、オムニチャネルとはどのようなものか、オムニチャネルの持つメリット、オムニチャネルを導入する際に気をつけておきたいポイントなどを解説します。目次いまさら聞けない「オムニチャネル」とは?ネット、リアルに関わらず顧客と接点を作るという戦略マルチチャネルとは「つながり」が違うO2Oとも違う戦略オムニチャネ...
オムニチャネルとは
オムニチャネルとは、実店舗やイベント、ネットやモバイルを問わず、販売を統合するという意味です。
またオムニチャネルで使われるチャネルには、店舗、屋外広告、カタログ、ネット、SNSなどの様々な情報メディアがあります。
それだけでなく、ネットやリアルに関わらず、あらゆるチャネルでお客さまとの接点を持つことを「オムニチャネル化」といいます。
オムニチャネルと混同されがちな戦略として、マルチチャネルがあります。
マルチチャネルは、顧客との接点を複数持った販売活動のことです。実店舗とECサイトで在庫や注文状況が連携していないもので、各々が販売活動をしている状態です。
オムニチャネルは、マルチチャネルのように顧客との接点を持ちながら顧客との接点を管理統合することによって、顧客体験を持たせることです。
顧客の情報からその人に合わせた商品を提示することによって、その人に合わせた商品を提案できます。
オムニチャネル戦略の導入
オムニチャネル戦略をいち早く経営に取り入れたのはアメリカの大手百貨店Macy’s(メイシーズ)です。
伝統的な経営体制からなかなか脱却できず、売り上げが落ち込んでいた背景から、実店舗とEコマースの商品在庫を統合してサービスを提供するオムニチャネル戦略を打ち出しました。
この戦略では、すべての商品在庫に無線ICタグを付けて、店舗とEコマースの在庫を一元的に管理しました。
また、店舗のスタッフに専用の機器を配布し、接客時にその場で商品在庫を確認できるようにしたり、店舗の在庫がない場合、Eコマースの商品在庫から取り寄せをできるようにしたりしました。
結果、オムニチャネル戦略を打ち出した1年後にメイシーズのEコマースでの売上は40%増加し、商品在庫の無駄を大幅に削減しました。
現在、日本国内でも「オムニチャネル戦略」は積極的に取り組まれており、セブン&アイホールディングスやイオングループなどが、店舗とEコマースなどの複数のチャネルを統合することで、売り上げを伸ばしています。
【Dynamics 365】
オムニチャネルの構築を支援するシステムのひとつとして、Dynamics 365というマイクロソフト社が提供するシステムがあります。
Dynamics365を導入することで、店舗、Web、モバイルなどの顧客との接点をひとつのサービスで管理できるようになり、収益や顧客の利便性を向上させることができます。
Dynamics365は、企業の会計や生産を統合的に管理する機能と顧客の基本情報や、企業と顧客の関係を管理する機能の両方を担っています。経営に関わるさまざまな情報を一括で管理でき、オムニチャネル化だけでなく、企業全体のシステムの最適化をはかることもできます。
オムニチャネル戦略に取り組みたい場合は、Dynamics 365の導入を検討してみることもひとつの手段となります。
小売店の今後の展望
少子高齢化や人口減少が進むなかで、国内の消費支出はさらに落ち込む可能性が高いと考えられています。
また社会の変化により、家族消費から個人消費へとニーズが変化していきます。
小売店が今後生き残っていくには、変化に対応し、ターゲットを明確にした経営を行っていく必要があります。
今後変化していくもの
少子高齢化、税制改革、景気状況などの社会の変化により、顧客のライフスタイルや消費志向が変化しています。
そして、それらの変化に対応するために、企業はコスト削減、競争力強化、サービスの先進化に取り組んでいく必要があります。
小売店が生き残っていくためには、このような社会の変化や顧客の変化に柔軟に対応していくことが必要です。
小売店の将来
少子高齢化、人口減少などにより、国内の消費自体が大きく落ち込んでいく可能性があります。
また、それに伴い晩婚化や共働きといったライフスタイルの変化も起こり、人びとの消費は家族消費から個人消費へと変化していくため、小売店はこのようなニーズに対応した販売を行う必要があります。
また、買い物の仕方も、実店舗からネットが主流となっていく可能性があります。
ネットショッピングで小売店が生き残っていくためには、送料無料や当日配送などのサービスで差別化したり、ターゲットを絞り込んだマーケティングを行っていく必要があります。
例えば、増加する高齢者にターゲットを絞る場合、食品の宅配サービスを行ったり、健康や介護に関連する商品の品ぞろえを豊富にしていくことなどがあげられます。
【With コロナ時代】小売店の今後
新型コロナウイルスの感染拡大により、営業を自粛する店が多いなか、小売店はこれまで生活インフラとして営業を続けてきました。
しかし、従業員の間では、感染リスクの高さを懸念する声や、相次ぐ問い合わせや苦情へ対応する心理的な負担に苦しむ声もあがっています。
小売店がコロナ禍で生き残っていくためには、従業員を感染やストレスから守るための対策や、金銭面での補償を行っていくことも必要です。
環境変化に対する柔軟な対応が鍵となる小売店
現在、品質の向上によりモノを買い替える消費者が減少し、モノを「買う」よりも「共有」することが、トレンドとなりつつあります。
また、実際に店頭に足を運ばなくても、商品をネットから購入することができ、Eコマースと呼ばれるネットショッピングが台頭しています。
小売業は、こうした現状に即して、消費者のニーズをいち早くつかんだマーケティングや、オムニチャネル化を行っていく必要があります。
また、新型コロナウイルスの感染拡大により、実店舗で働く従業員への配慮や補償が改めて重要視されるようになりました。
ITの活用やターゲットを絞った戦略で、小売店を取り巻く環境に柔軟に対応していくことが必要です。
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