緊急事態宣言が解除され、ホテルなどの宿泊施設では徐々に営業を再開する動きが広まっています。
一部のホテルでは、コロナ期間中は軽症患者専用の療養施設として新たな役割を担っていたものの、多くのホテルでは営業を自粛しており、落ち込んだ分の売り上げ補填にあたっては自治体による支援金の活用をはじめ、消費喚起を図る取り組みが必要不可欠です。
夏の観光シーズンを目前に控え、ホテルが今取り組むべき対策事例や活用必須の支援金について解説します。
新型コロナウイルスによる休業要請について
2020年4月7日、東京や大阪を含む7都道府県を対象に緊急事態宣言が発令され、飲食店や商業施設は休業を余儀なくされました。
5月25日に宣言は解除され、経済活動は徐々に再開の動きが見られるものの、4月初旬から続いている休業要請によって多くの事業者が厳しい経営状況におかれています。
多くの観光地でホテルの休業が広がる
4月17日に緊急事態宣言の全国的な拡大を受けて、全国知事会ではホテルに対する休業要請の提言をまとめました。
新型コロナウィルス拡大防止のため、都道府県をまたぐ移動自粛の推進にあたり、全国のホテルでは休業の動きが広がっていました。
プリンスホテルでは44の国内ホテルのうち、東京と名古屋の5つのホテルを除いて臨時休業を実施(一部のホテルでは6月1日より営業が再開)、マリオットホテルやコンラッド東京などを手がけている森トラストでは、運営している19のホテルのうち17のホテルを4月17日から休業していました。
なお、休業していた17のホテルは6月6日までに全施設で営業を再開しています。
東急ホテルでも33のホテルを 5月31日まで全国的に休業していました。6月23日現在も4施設が休業を継続しています。
宿泊療養としての役割も期待
休業により業績悪化に苦しむホテル業界ですが、現場の医療崩壊を防ぐため、新型コロナウィルス軽症患者の療養施設としてホテルの新たな役割が期待されています。
都道府県の要請により、大手ホテルチェーンが軽症患者の受け入れにあたっていました。
特定警戒都道府県に指定され、札幌市内で確認されたPCR検査の陽性者数が累計で760人(6月23日時点)にのぼっていた北海道では「リッチモンドホテル札幌駅前」、「東横イン札幌すすきの南」に加え、3月末にリニューアル工事を終えたばかりの「アパホテル&リゾート札幌」が宿泊療養施設となっています。
現在、新型コロナウイルスは収束に向かっていますが、観光以外の需要としてホテルの新たな役割に期待が集まっています。休業に伴う宿泊業が利用できる支援
新型コロナウィルスの影響により休業を余儀なくされていた事業者に向けて、様々な支援策が実施されています。
以下では中小企業および個人事業主を対象にしたセーフティネット保障5号や、各地域が実施する休業に対する協力金について解説します。
セーフティネット保証5号
セーフティネット保障5号とは支援策の一環であり、売上高が減少している対象中小企業者へ、信用保証協会が通常の保証限度額(一般保証)とは別枠で、融資額の80%を保証する制度です。
対応業種の拡大により「旅館・ホテル」も補償対象となっています。
直近3か月間の売上高が申請には必要でしたが、今回の新型コロナウィルスの影響を受け、一時的な運用緩和として2月以降における3か月間の売上が算出可能になるまでは売上高見込みでも申請可能となっています。
各自治体による支援
政府だけでなく各自治体においても、それぞれ休業に対する支援を実施しています。
東京都の「感染拡大防止協力金」では、2020年4月16日から同年5月6日まで休業を実施した中小企業および個人事業主に対して、最大100万円の支援金を提供しています。
神奈川県が実施する「新型コロナウィルス感染症拡大防止協力金」では最大で30万円の支援金が提供されます。
また、大阪府と京都府の事業者が対象となる「休業要請支援金」では、それぞれ最大で100万円および20万円が提供されます。
上記自治体の支援金対象となるには、床面積の合計が1,000㎡以上であることが必要になります。
また、休業を実施する箇所は宴会場などの集会の用に供する部分に限られます。
緊急事態宣言が5月4日に延長されたことを受けて、支援金の提供を受けるために必要な休業期間が延長されるといった措置も取られています。そのため、各自治体の公式サイトでの随時確認が望ましいでしょう。
ホテルの休業の際の対策事例
現在、新型コロナウィルスの影響で厳しい状況に置かれている宿泊業界ですが、現在の状況を乗り切るための様々な施策がなされています。
ホテル併設レストランにおけるテイクアウト販売の開始や、今後使用することのできる「未来に泊まれる宿泊券」の提供などがあります。
テイクアウトの販売
大阪市の梅田にある「ザ・リッツ・カールトン大阪」では、4月13日から1Fイタリアンレストランの「スプレンディード」にて、テイクアウトメニューを販売していました。
カプレーゼサラダやマルゲリータ、和牛チーズバーガーなどのイタリアン嗜好を凝らした高級料理を自宅でも楽しめるように提供しています。
引き渡し時間は午前11時から午後6時までとなっていて、電話およびオンライン予約が可能です。
また、大阪市の「インターコンチネンタルホテル大阪」でも、2020年4月6日から6月30日まで、予約限定でテイクアウトメニューを販売しています。
単品でのアラカルトメニューの他に4,000円、3,000円にてセットメニューでの販売もしており、受け渡し時間は午前11時から午後7時までで、電話での予約を受け付けています。
コロナ回復後に泊まれる宿泊券の販売
ブティックホテルなど新たな試みで注目を集め、全国に5つのホテルを展開するCHILLNNは、新型コロナウィルスで厳しい経営状況にある旅館・ホテルなど宿泊施設の状況を改善するために「未来に泊まれる宿泊券」を提供しています。
将来宿泊を検討している施設の宿泊券を、消費者が事前購入することにより、宿泊施設への支援を図るとしています。
利用にあたっては、同社が運営するプラットフォーム「CHILLIN」の登録が必要となっています。
ホテル宿泊施設側は月額9,800円で利用可能であり、初月料金、登録費は無料となっていて、5月21日時点で200以上の宿泊施設が登録しています。
また、沖縄県石垣島の宿泊施設では新型コロナウィルスの影響を受けて、クラウドファンディングを利用して休業中の資金を募る活動も見られます。宿泊施設「CORE HOUSE」では、5年間有効な「未来型宿泊券」や、宿泊費からの割引などが資金提供の返礼品となっています。
回復後に呼び込むための準備を
新型コロナウィルスの影響により緊急事態宣言が発令されており、観光地へ旅行する人の数は大幅に減少しています。
予約のキャンセルなどにより資金繰りが悪化して倒産に追い込まれている旅館・ホテルも多くありますが、各自治体ではそれぞれ支援金を実施しており、セーフティネット保障5号では一時的な運用緩和もしており、保証を受けやすくなっています。
また、「未来に泊まれる宿泊券」やクラウドファンディングなどの旅館・ホテルを支援するプラットファームも整備されています。
厳しい状況にある宿泊業ですが、上記の支援金やプラットフォームを利用してコロナウィルス終息後の準備に努めることが重要です。
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