飲食店ができるバリアフリー3事例、活用できるアプリについて解説

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飲食店などを経営するためには、車いすなど障がいをサポートする道具を必要とする人、聴覚や視覚など一見すると気づきにくい障がいを有している人など、さまざまなお客様に対応できる体制作りが必要です。

今回は、飲食店におけるバリアフリーについて考えます。

飲食店でできるバリアフリーの例

飲食店に特化した内容と言えばメニューのバリアフリー化になりますが、その他にバリアフリー化を図る中でどのような配慮をすれば障がい者が過ごしやすくなるでしょうか。

ここでは飲食店がぜひ取り入れたい、

  • 出入口
  • トイレ
  • メニューとオーダー

の3点に絞って考えます。

出入口

高齢者や車いすを使う人、視覚障がい者などは、少しの段差でも大きな障害になることがあります。そのため、できる限り段差を取り除くことが必要です。

出入口や通路のスペースに車いすなどでもスムーズに行き来できる余裕を持たせます。

動きやすいだけでなく、通行の妨げになる物を置かないなどの配慮をしましょう。

手前や奥に開閉するドアは、車いすでは操作しづらいため、出入口のドアはスライド式や自動ドアが適しています。

店外の段差を取り払えない場合などは、困っているときにすぐに介助できるよう、ガラスや窓付きのドアで店外も見えるようにしておくと良いでしょう。

トイレ

トイレ内は車いすでも使いやすいよう広いスペースを確保しましょう。

国土交通省『高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準』によると、下記のような寸法が採用されています。

▲[主要寸法の基本的な考え方]:国土交通省より
▲[主要寸法の基本的な考え方]:国土交通省より

車いすの方向転換には操作能力に大きく依存しますが、概ね140〜180cmを確保することが望ましいとされています。

また、出入口から席までの動線は確保するものの、席とトイレの間の動線を確保し忘れることもあります。

トイレの場所がわかりやすいよう、トイレの場所やトイレまでの動線がわかる表示を掲示をし、急ぎの時もすぐ移動できるようにしておく必要があります。

さらに、トイレや洗面所の鏡は、車いす利用者の人でも活用しやすいよう低く設置すると良いでしょう。

メニューとオーダー

メニューは、点字表記をしたり、指差しでオーダーできるよう写真を表示したりすると視覚や聴覚、言語に障がいを持つ方がオーダーしやすい環境につながります。

店員を呼ぶことができないお客様もいるので、単なる呼び鈴ではなくどの席の客が押したことかがわかる呼び鈴(ブザー)を設置します。

お客様の中には、アレルギーがあり特定の食材を除いてほしいなどオーダー以外のことを伝えたい場合もありますから、筆記できる物をスタッフが持っているかテーブルにあるとよいです。

アンケート用紙とペンは、いざという時にお客様とスタッフが筆記で会話するためのアイテムになり、口コミも集められますから設置を検討するとよいでしょう。

飲食店のバリアフリー化事例とアプリ

バリアフリー化を図る際に、先行者の事例を見に行くことも自店舗のバリアフリー化の参考になります。

また、バリアフリー化されたレストランが検索できる口コミアプリなど、店舗側のバリアフリー化以外のコンテンツも登場しています。

ここではバリアフリー対策をしている店舗の事例および役立つアプリについて紹介します。

コメダ珈琲

全国に展開している喫茶店の一つであるコメダ珈琲は、特に新店舗で積極的にバリアフリーに取り組んでいます。

特徴的なのが駐車場で、店舗前に障がい者用の駐車スペースを1~2台確保しています。

店舗前に段差がある場合は、ほとんどの店舗にスロープが設置されており、駐車場から店内への移動がスムーズに行えます。

また、車いす利用者だけでなく育児中のおむつ交換をしたい育児者なども想定した、多目的トイレの設置も進んでいます。

コメダ珈琲は大手カフェチェーンですが、同じカフェチェーンでもオーダーから商品を受け取るまでをカウンターで行う店があります。

コメダ珈琲は着席でのオーダー、スタッフによる配膳ですので、スロープや多目的トイレなどのバリアフリー対策に加えてオーダーのしやすさも利用者に役立っているようです。

レストラン「風の音」

レストラン「風の音」は、神奈川県にある中華レストランで、介護事業を展開する地元企業のアイシマが運営しています。

風の音では、車いす利用者が移動しやすいゆとりを持った空間づくりに取り組んでいます。

多目的トイレ、車いす利用者に対応した手洗い台、店舗前の段差の除去など、駐車場から店内までスムーズに移動できるシームレスな環境です。

また、介護の視点から高齢者にあわせて量と辛みを抑えたメニューを提供しており、バリアフリー化とあわせて高齢者にとって利用しやすく利用者が増加しました。

次第に障がい者や一般客のお客様も増え、親子3代や、障がい者と介助者の両者が快適に過ごせることが特徴となっています。

アプリ「Bmaps」

コンサルティング会社ミライロが開発したバリアフリー地図アプリ「Bmaps(ビーマップ)」は、バリアフリー化されたレストランの具体的な情報や口コミを見られるアプリです。

Bmapsでは、出入口の段差の有無や段差数、店内の調光やバリアフリーサービスの有無、補助犬への対応など、詳細な設備情報を入手することができます。

車いす利用者の中には、レストランの新規開拓はBmapsで行い、お店を利用した後は必ず口コミを投稿する人もいるようです。

Bmapsで自店舗を紹介することによって、新規顧客を獲得する機会を生み出すことができます。

さらに、Bmapsに投稿される利用者の口コミ(感想)は、設備や業務改善の参考材料になります。

Bmapsの口コミは、設備をバリアフリー化して終わりではなく、それがお客様に本当に役立っているかどうかまで訴求していくのに役立ちます。

そもそもバリアフリーとは

「バリアフリー」とは、直訳すると「障壁を取り除く」という意味になります。三省堂大辞林では「高齢者や障害者が社会生活を送るうえで、障壁となるものを取り除くこと。」と解説されています。

もともとは、道路や建物などの段差を取り除くなど建築業界のワードとして広まりましたが、今では障がい者が必要とした時に積極的に介入するなど心理的なバリアも含まれた広義の用語として使用されています。

2006年にはバリアフリー新法(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律)が制定され、共通したバリアフリー基準に基づいて高齢者や障がい者の円滑な動線を確保することが求められています。

東京都では「建築物バリアフリー条例」が制定され、500㎡以上の飲食店にもバリアフリー化を義務付けています。

バリアフリー化を考えるときは、地域で定められた基準などについての情報収集も必要です。

ユニバーサルデザインとの違い

バリアフリー新法の資料に目を通すと、「ユニバーサル化」という言葉が出てきます。

普遍的や万人向けという意味を持つユニバーサル化は、バリアフリーとは異なり障がいの有無だけでなく、性別や年齢、体格、国籍など、さまざまな人々の違いに左右されず快適に過ごす環境を言います。

ユニバーサルデザインは、近年ホテルの客室などでよく聞かれ、どんなお客様でも居心地よく利用できることを目指しています。

こうしたことからバリアフリー化もユニバーサル化の中の一つと言えます。

バリアフリー化のメリット

バリアフリー化を図ることで、障がいを持つ人も利用しやすくなります。

例えば大手飲食店検索サイトのぐるなびは、絞り込み検索の項目に「車いすで入店可」というものがあります。

車いすの人が飲食店を探すときに検索ツールを利用し、車いすでもスムーズに過ごせるという条件を満たした店を探すことは十分に想定できます。

そこにヒットしないと顧客獲得のチャンスを失ってしまうということです。

また、さまざまな利用客が安心して過ごせる体制を整えていることは、顧客満足度や信頼度のアップにつながります。

こうしたことは集客だけでなく、バリアフリー整備をメリットに感じて再び来店する可能性もあり、リピーターの獲得にもつながるでしょう。

バリアフリー化を通して心のこもった接客を

バリアフリーという言葉が自然と使われるようになって久しいですが、意味合いは変化し、心理的な障壁を取り除くことも重視されています。

障がいを抱える人や高齢者が快適に過ごせるスペースであることはもちろん、「温かく迎え入れられている」と感じられることも重要です。

それにはバリアフリーの意識を理解したスタッフの教育も必要です。

設備の充実とともに人の心にも正しいバリアフリーの精神を育て、さまざまな立場のお客様に分け隔てなく心のこもった接客がなされる飲食店を目指しましょう。

<参照>

国土交通省:高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準

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