新型コロナウイルスの感染拡大によって、さまざまな業種で企業や店舗が苦境に立たされています。しかし社会の流れは常に変化しており、業績を悪化させないためにも、状況や顧客のニーズの変化に応じて業態の転換が必要不可欠です。
本記事では具体的にどういった業態転換の事例があるのかを紹介しながら、業態転換時に活用できる助成金や補助金について解説します。
関連記事
業態転換でコロナ禍の変化に対応/補助金や支援事業についても解説
事例1. ネパールダイニング「スルエシー」
東京都板橋区にあるネパールダイニングの「スルエシー」では、新型コロナウイルスの影響による売り上げの落ち込みに伴い、テイクアウトやデリバリーの導入、助成金の活用をはじめさまざまな対策を講じています。
コロナ禍の業態転換の事例として、その具体的な対応について紹介します。
コロナ禍でのテイクアウト・デリバリー需要に対応
対策のひとつとして挙げられるのが、テイクアウトやデリバリーへの対応です。
スルエシーでは従来、店内でカレーを提供していました。しかし2020年4月以降、新型コロナウイルスの感染拡大に伴って客足が遠のいたことをきっかけに、新しくテイクアウトやデリバリーへの対応を始めています。
また、そのために電動アシスト付自転車を購入したり、テイクアウト用の窓口を設置したり、看板やチラシでテイクアウトやデリバリーについての認知度向上を図ったりといった集客対策も実施しました。
助成金の活用
スルエシーではこれらの対応をするにあたって、東京都中小企業振興公社が実施している「業態転換支援事業助成金」を活用しました。
先述した自転車の購入や看板、チラシの作成、POPを作成する際に必要なiPadの購入などはこの業態転換助成金を活用しています。
また、テイクアウト用の窓口を作る際に、道路に面した壁を壊して店舗に入らなくとも注文できるよう実施した工事費用も業態転換助成金の対象でした。
客足が遠のき苦境を強いられていたコロナ禍においても、助成金を活用することで業態転換に対応できた事例です。
さまざまな補助金・助成金
スルエシーに限らず飲食業界では、コロナ禍に対応した対応が求められており、その中で従来の販売方法だけではなく、時代に即した業態へ転換するニーズが高まりつつあります。
しかし業態転換にも費用がかかるため、国や地方公共団体などが飲食店に対し、あらゆる補助金や助成金を用意しています。
先に紹介した東京都中小企業振興公社の業態転換支援事業もそのひとつですが、ほかの代表的なものに経済産業省が実施している「事業再構築補助金」などがあります。この補助金は条件によって最大で1億円が補助されるもので、詳細は事業再構築補助金のWebサイトから確認できます。
関連記事
補助金と助成金の違いは?共通点・それぞれの申請手順・ポイントを解説
パソコン購入はIT導入補助金の対象?リースも補助金の対象
事例2. ツバメコーヒー
ツバメコーヒーは新潟県燕市にあるコーヒーショップです。
このコーヒーショップでは、インターネットを活用しコロナ禍の需要に合わせた業態転換に取り組みました。
本項では、具体的にどのような取り組みを実施していたのかについて解説します。
コロナ禍での「おうち需要」への対応
ツバメコーヒーで取り組んだのが「おうち需要」への対応です。新型コロナウイルスの感染が拡大したことで、自宅での時間を楽しむ人が増え、家で楽しめるコンテンツへの需要が高まりました。
この動きに伴いツバメコーヒーでは、「おうち時間セット」や「自宅待機セット」などの、コロナ禍におけるおうち需要を満たす限定商品をECサイトで発売し、売り上げを伸ばしました。
さらにコーヒーだけでなく、かわいらしいロゴを活かしたマグカップやノート、ポストカードといったオリジナルグッズも販売し、他店との差別化に取り組んでいます。
ECサイトの活用
ツバメコーヒーで商品やオリジナルグッズの販売に活用しているのが、ECサイトです。ECサイトとは、物やサービスを販売することを目的として開設されたWebサイトを指します。
コロナ禍で来店できない顧客へ向けた販売としての活用のほか、遠方に住んでいる人がオンラインで商品を購入できることもECサイトの大きなメリットです。
実店舗の客足に影響が及ぶ中、ECサイトでさまざまな商品を打ち出したことが販路を拡大し、売り上げを確保できた事例だといえます。
ECサイトを有効活用する方法
ECサイトには、モール型と自社サイト型の2種類があり、前者はAmazonなどの事業者が運営しているサイトで、後者は企業や店舗が自らで制作し運営しているサイトです。
ツバメコーヒーでは自社サイト型を用いて運営しており、このタイプではサイトの構成が自由にできたりコストを抑えられるというメリットがあります。
その一方でモール型と違い、発信力を高める必要があることやサイトを構築する手間がかかるというデメリットもあります。
関連記事
モール型ECサイトの出店費用や特徴/自社ECサイトとの違い
ECサイト3社比較|Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピング
業態転換の意義
業態転換する際には、費用がかかったり手間がかかったりすることも少なくありません。
しかしながら業態転換には大きなメリットがあり、社会の状況によっては業態転換しなければ、企業や店舗が継続できない状況もあります。
1. 変化する状況に対応する
新型コロナウイルスの感染拡大によって、業態転換が余儀なくされている業種は少なくありません。しかしながら企業や店舗を取り巻く状況は常に変化しています。
そのため大きな社会的な変化や競合店の進出といった急激な変化がなくとも、社会の流れが変わることでこれまで軌道に乗っていたビジネスがうまくいかなくなる可能性も低くないといえます。
企業や店舗はこういった状況の変化に対応していく必要があり、その際に業態転換は必要不可欠です。
本記事で紹介した2つの事例のように、顧客のニーズや社会の流れに対応して業態転換している企業は飲食業界以外にも多く、半数以上の企業が創業時と現在で本業が変化しているというデータも出ています。
2. 顧客との接点を多角化する
業態がひとつしかない企業や店舗では、その業態の業績が悪くなった際に企業や店舗全体の業績悪化に直結します。しかし複数の業態を持つことで、ひとつの業態の業績悪化による全体の業績悪化を防げるだけでなく、顧客との接点を多角化できます。
たとえば、店内営業のみだった飲食店がテイクアウトを開始したり、オンラインでの販売を開始したりすると、業態転換によりこれまで店を訪れたことがなかった新しい顧客とのチャネルができます。
より多くの顧客との接点が生まれることは、結果として企業や店舗の業績安定につながります。
状況の変化に合わせて業態を変更する
社会の流れは常に変化しており、企業や店舗では業績を維持、向上させるためにその流れに合わせて業態転換をしていかなければなりません。特に現在は新型コロナウイルスの感染拡大により、生活様式が大きく変わってきていることから、業態転換は必要不可欠です。
また、国や地方公共団体が業態転換時に活用できる補助金を用意していることもあります。苦境に立たされている企業や店舗では、補助金を活用することでより業態転換に踏み切りやすくなるでしょう。
口コミラボ 最新版MEOまとめ【24年11月版 Googleマップ・MEOまとめ】
そこで口コミラボでは、MEO・口コミマーケティングに役立つ最新ニュースをまとめた「Googleマップ・MEO最新情報まとめ」を毎月発行しています。
本記事では、主に2024年11月の情報をまとめたレポートのダイジェストをお届けします。
※ここでの「MEO」とは、Google上の店舗・施設情報の露出回数を増やしたり、来店行動につなげたりすることで、Google経由の集客を最大化させる施策を指します。
※『口コミアカデミー 』にご登録いただくと、レポートの全容を無料でご確認いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→写真・PDFからメニュー名を文字起こしする機能が実装 ほか【2024年11月版 Googleマップ・MEOまとめ】