新型コロナウイルスによって深刻な影響を被った宿泊業界ですが、7月の述べ宿泊者数は2,000万人超えと、先月6月の約1.6倍に回復しています。
7月22日に開始されたGo Toトラベルも影響したとみられ、今後の宿泊業界の回復にも期待が集まります。
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7月の宿泊者数2,000万人超え、6月の1.6倍に回復
観光庁の統計によると、6月の延べ宿泊者数は1,424万840人(前年同期は4,581万390人)、7月の延べ宿泊者数は2,258万1,570人(前年同期は5,178万530人)となり、7月は6月の約1.6倍にまで回復したことがわかりました。
前年同月比では6月・7月ともに半分以下の水準となっているものの、新型コロナウイルス感染拡大後で最も落ち込み1,000万人を割り込んだ5月時点の778万5,180人と比較すると、毎月約700万人のペースで延べ宿泊者数が回復していることがうかがえます。
6月の都道府県別の統計によれば、最も回復幅の大きかったのは東京都で、5月から6月にかけて延べ宿泊者数が57万8,030人増加しています。東京に次いで回復幅の大きかった北海道は35万70人、3番目となる沖縄県は34万6,880人とそれぞれ増加しています。
北海道や沖縄県など、日本の観光地を代表する都道府県で回復傾向が顕著に見られることから、都道府県を跨いだ移動の自粛が徐々に解除され、少しずつ観光目的の旅行者が増えていることが数字に表れているといえるでしょう。
※6月の統計資料は2次調査の数値、7月の統計資料は速報版である1次調査の数値となっています。
Go Toトラベルも影響か
今回の宿泊者数回復には、7月22日から始まった「Go Toトラベルキャンペーン」の好影響もあったとみられます。
トラベルズー・ジャパンが会員向けに実施した意識調査によれば、Go Toトラベルキャンペーンの利用意向は87.5%となっています。時期は10月が最多ですが、7月に利用したいという人も27.8%と、一定数いたようです。
利用意向がどこまで実際の利用につながったかは不明ですが、旅行が元々好きな人の旅行意欲は高いといえます。今後もGo Toトラベルキャンペーンを利用した旅行は継続され、宿泊者数の回復に貢献すると考えられます。
客室稼働率:7月は30%超え、昨年の半分程度の水準まで回復
同統計の客室稼働率に目を向けると、6月は22.8%(前年同期は60.6%)、7月は30.4%(前年同期は63.3%)となっています。
延べ宿泊者数同様、昨年の数値と比較すると大きく下回っていますが、昨年2019年の年間平均客室稼働率は62.7%であったことを考えると、7月には昨年の半分程度の水準まで持ち直したといえます。
また、やはり落ち込みが最も激しかった5月の12.9%と比較すると、目覚ましい回復ぶりがわかります。
さらに、客室稼働率を細かく施設別に見ると、7月時点で稼働率が最も高かったのは39.5%のビジネスホテル(前年同期79.6%)でした。
一方、最も稼働率が低かったのは21.4%の旅館(前年同期50.4%)でした。大浴場や大広間での食事、女将さんによる丁寧な接客など、対面接触でのサービス提供が前提となっている側面も大きいことが、旅館利用に二の足を踏む要因の一つとなったとも考えられます。
3密回避を実現した宿泊プランや徹底した消毒など、宿泊者にとっての安心材料をSNS等で積極的に発信するなどの施策を実施することにより、利用促進を図ることが重要であるといえます。
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宿泊業の現状は?6月・7月の宿泊業界を振り返る
6月から7月にかけて延べ宿泊者数と客室稼働率はともに回復傾向にあり、7月に倒産した宿泊業者は数ヶ月ぶりに減少しました。
しかし、宿泊業者にとって頼みの綱であった「Go To トラベルキャンペーン」から東京を除外することが発表されるなど、依然として混乱は続いています。
7月に倒産した宿泊業者は7件、4か月ぶり減少
東京商工リサーチの調査によると、7月の宿泊業における倒産件数はわずか7件となり、5か月ぶりに前年同月の9件を下回りました。
なお、新型コロナウイルス感染後に宿泊業の倒産が最も増えたのは4月の25件であり、5月は10件と減少したものの、6月は16件に増加しています。
しかしながら、7月は4か月ぶりに一桁台にまで減少し、例年並みの水準にまで回復しました。
一方、倒産企業の負債総額に目を向けると、倒産が最も深刻であった4月時点では約179億8,500万円であったものの、7月は約11億1,200万円(昨年同期約16億6,800万円)にとどまっており、こちらも例年並みに落ちついています。
Go To トラベルは「東京除外」、急な発表に戸惑う人も
コロナによって宿泊需要が落ち込み、厳しい立場に立たされていた事業者が頼みの綱としていたのが、政府主導の「Go To トラベルキャンペーン」です。
旅行代金の最大35%が補助される同キャンペーンは、落ち込んだ宿泊需要の底上げを目的に7月22日から開始されましたが、東京都で再び感染拡大が進むタイミングと重なったことを受け、開始直前の7月17日に突如として東京を除外することが発表されました。
経済効果よりも安全対策を重視した結果、上記の決断に至ったとのことであり、キャンセル料は国が負担することとなりました。
急な方向転換により、SNS上では戸惑いの声も上がっています。
Twitter:しゅうたん。 @shutantan029 による投稿
なお、東京都では都が東京都外への旅行自粛を呼びかけており、同時に東京23区内の飲食店には9月15日まで時短営業を呼びかけています。
そのため、東京都の除外を解除するかどうかの判断は9月後半になるといわれていますが、これも新型コロナウイルスの感染拡大状況によって大きく左右されると見られており、今後の動向を注視する必要があります。
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8月以降の宿泊者数はどうなる?主なイベントから動きを予測
8月は「Go To トラベルキャンペーン」の活用が広まったとされ、赤羽国土交通相は「一定の効果をあげた」と結論づけるも、野党からは効果を疑問視する声も上がりました。今後の宿泊需要については未だ不透明な部分も多いとの声も聞かれます。
8月からはGo To トラベルが本格化、延べ420万人以上が利用
国土交通省による8月25日の発表によると、「Go To トラベルキャンペーン」適用の割引商品を販売した7月27日から8月20日の1か月弱の期間で、少なくとも延べ約420万人が同キャンペーンを利用しました。
宿泊旅行統計における延べ宿泊者数や客室稼働率の増加、そして宿泊業倒産件数の減少など、宿泊業全体の数値が回復傾向に転じていることがうかがえ、今後も回復の流れは続くと予想されます。
一方で、宿泊施設の6割はGo To トラベルキャンペーンに未登録であるという現状の課題も指摘されており、政府は8月31日までとしていた事業者の登録期限を延長して対応にあたっています。
しかしながら、登録期間がいつ終了となるかは発表されていません。
そのため、同キャンペーンへの登録を考えているものの未だ登録を済ませていない事業者は、公式サイトから早めの登録を済ませると良いでしょう。
また、東京都の除外が解除された場合に見込まれる宿泊需要の増大にそなえ、各事業者においてあらかじめ施策を講じておくことも重要です。
<参照資料>
観光庁:宿泊旅行統計調査
東京商工リサーチ:TSR速報(大型倒産情報・注目企業動向)
日本経済新聞:薄日差す宿泊業 「GoTo」も下支え
観光経済新聞:【データ】「Go To Travelキャンペーン」意識調査
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