旅館が知るべき行動経済学|価格設定・集客・接客でどう役立つ?

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行動経済学は、一見すると合理的ではないように見える、人間の判断や経済活動について研究する学問です。

本記事では、旅館マーケティング目線で行動経済学を解説します。

旅館が知るべき行動経済学1. 価格設定

旅館にとっての購買活動では「宿泊」が商品となります。顧客にとっては決して安い商品ではないため、安易な気持ちで宿泊を決める事はありません。

そこで行動経済学を応用し、高価でも手に入れたくなるような価格設定を行っていくことが重要となります。

選択回避の法則:プランの選択肢は3つ〜5つまで

人間は選択肢が多くなりすぎると、その中から1つの事柄や商品を選んで決定することを避けがちになります。この法則のことを決定回避の法則と言い、旅館に当てはめて考えると宿泊プランが該当します。

「7±2の原則」によって人間が一度に比較できる事柄は5〜9つまでと言われており、選択肢が多すぎると選ぶこと自体が顧客にとって困難に感じられてしまいます。

宿泊プランの場合は大きな商品且つプラン内容が絞られている場合が多いため、3〜5つに絞ると良いといわれています。

選択回避の法則とは?モノが多すぎると選べない心理・販売戦略に役立つ4つのポイント

モノやサービスが市場にあふれ、消費者は常に数多くある選択肢を突きつけられながら消費活動をしています。消費者にとっての選択肢が多いことは歓迎されることのように思えるかもしれませんが、売り手にとってネガティブな影響も生み出しかねません。なぜならば、人間には選択肢が多すぎると決定を避けるという「選択回避の法則」が存在するからです。目次選択回避の法則とは:選択肢が多すぎると選べない心理ジャムの実験:24種類よりも6種類の方が購買率が高い「現状維持の法則」につながるケースも選択回避の法則をベースに販...

マジカルナンバーとは?7や4が重要である理由・人が理解できる情報のかたまりの数

マジカルナンバーは、アメリカの心理学者であるジョージ・ミラー教授が発表した理論に登場します。この理論は人間の記憶容量に関する論文の根幹を支えるものとなっており、認知心理学という学問領域を成立させる重要な発見となりました。マジカルナンバーは、人間の短期記憶が可能な情報のかたまりの数量のことです。情報整理に役立つ理論として、これまでにマジカルナンバー7、次いでマジカルナンバー4が発表されています。この記事では、マジカルナンバーについて、またマジカルナンバーをどのようにマーケティングに活用できる...


極端の回避性:真ん中の価格帯が選ばれやすい

人間は選択肢を提示されると、真ん中の選択肢を選ぼうとする心理が働きます。

この心理のことを極端の回避性と呼び、最も売りたい商品を真ん中の金額に設定することで商品が選ばれやすくなります。極端の回避性は、1番安い価格の商品よりは少し高い商品の方が品質が良い、しかし1番高いものは贅沢すぎるという心理が働くことを指しています。

極端の回避性が働くために、低価格帯や高価格帯の商品は避けられがちな傾向にあり、結果的に高すぎず安すぎない無難な価格の商品を購入することが多くなります。

旅館の場合は一番良い料理と客室、もし足りなければサービスや周辺の観光資源を上乗せして販売すると、高級プランを作成できるでしょう。

松竹梅の法則とは|真ん中を選ぶ心理・マーケティング現場への活用・価格設定のポイント

松竹梅の法則とは、条件の異なる3つの選択肢から一つを選び取る時、無意識で中間のものを選ぶという心理のことです。商品を売りたい場合には、それ単体ではなく価格や質が異なる3つの選択肢を用意することで、中間にあたる商品を選んでもらえる可能性が高まります。この記事では、松竹梅の法則とはなにかについて、また松竹梅の法則をマーケティングに活かすためにはどのような方法があるかについて紹介します。目次松竹梅の法則とは竹が選ばれる理由:極端の回避性選択肢が2つではダメな理由選択肢が4つ以上ではダメな理由松竹...

おとり効果とは?消費者心理とマーケティング施策・注意すべき5つのポイント

顧客の心理を活用した商品やサービスのマーケティング方法は多岐にわたります。その中でも、おとり効果とは、一番売れてほしい商品を選択してもらうために別の選択肢を紛れ込ませ、顧客の意思決定に影響を与える効果です。おとり効果を取り入れるためには、提示する選択肢の内容や価格を工夫する必要があります。「松・竹・梅」の価格設定がよいとされており、おとり効果を理解することで有効なマーケティングの一つとして活用できます。本記事では、おとり効果を取り入れた事例や上手く活用するための5つのポイントを解説していま...

アンカリング効果:高いものと比較させて安く見せる

アンカリング効果とは、初めに示した情報がその後の人間の判断に強い影響を及ぼす現象のことを指します。

マーケティングにおいては、高い商品と比較させて他の商品を安く見せる形で用いられています。最初に与えた印象的な数値や情報がその後の意思決定に影響を与えてしまい、元々の値段が高額に設定されていても、その商品サービスよりも高いものと比較して提示することで、商品を安いと脳が認識してしまいます。

例としては1泊4万円のプランと1泊7万円のプランが提示された時に前者が安く見えてしまうケースや、値下げの際に元価格を記載することで値下げ後の価格が安く見えるケースが挙げられます。

アンカリング効果とは?意味やマーケティングへの活用事例を業種別に紹介

たとえば2万円の予算で掃除機の購入を考えていたときに、元値が4万円の掃除機が在庫処分のため2万8,000円で売られていたら予算をオーバーしているのにもかかわらず購入を検討してしまうことなどが挙げられます。 この場合、元値の4万円が基準となるため顧客にお得感を感じさせます。

旅館が知るべき行動経済学2. 集客

安定した売り上げを旅館が確保するために、集客に力を入れることは必要不可欠な要素です。

そこでここからは、行動経済学を応用しながら、有効的に旅館の客足を伸ばす方法を紹介していきます。

利用可能性ヒューリスティックとザイオンス効果:ユーザーの目に触れる

利用可能性とは、選択するときに最近学んだことや代表的な事例が想起されやすく、特徴を思い出すことで評価することを指しています。想起ヒューリスティックとも呼ばれており、より鮮明で最新の印象を顧客に残せるかどうかが集客に影響されます。

具体的にはSNSでのこまめな情報発信が挙げられますが、フォローしている人にしか効果がないとも言われているので、利用するSNSや宣伝方法は一考の余地があるといえます。

ヒューリスティックとは?意思決定に使われる法則の主な種類・マーケティング活用例を紹介

ヒューリスティックは、人間の意思決定に影響を与える心理の一つです。ものごとの全体をとらえ、論理的思考に基づいてではなく、経験や先入観から答えを導こうとする様子を指す言葉でもあります。ヒューリスティックは、便利な手法に見えて多角的な視点を失い、重大な判断ミスを引き起こす可能性もあります。無意識で使用しているため意識すること自体が難しく感じられますが、正しく認識すると集客のための効果的なマーケティング手法の構築や後悔のない判断につながります。そこで本記事では、意思決定の際に使用されるヒューリス...

ザイオンス効果とは?意味とマーケティングでの活用方法3選

ザイオンス効果とは、最初は興味が無かったり良い印象を持たなかったりしても、繰り返し目にすることで好感度や印象が良くなっていく現象のことです。わかりやすい例がテレビコマーシャルです。何度もCMで見たり聞いたりしている商品には親近感がわくので、お店で見かけたときに他の商品よりも良い商品だと思ったり、購入したりする可能性が大きくなります。直接人と会わなくとも、SNSでよく見かけるというだけでもザイオンス効果は発揮されます。本記事ではザイオンス効果の活用事例や、マーケティングにおける活用方法につい...


気質効果とフレーミング効果:言い訳で決断を後押し

気質効果とは、顧客の言い訳づくりを手助けし、集客につなげる方法です。旅館の場合は、主に非日常の空間を楽しむため、日々の疲れを癒すために利用されます。しかし決して安い商品ではないため、予約をして良いのか、本当にこれで満足できるのかと迷いが生じやすくなります。

そこで「毎日頑張っているあなたにぴったりの極楽プラン」といったように買いたい・予約したいという感情を正当化できるキャッチコピーを打ち出すことによって、集客効果が見込めます。

フレーミング効果とは?有名な実験「アジア病問題」・マーケティングへの活用例・5つの活用法

フレーミング効果とは、価値が同じでも表現の仕方を変えることにより相手の捉え方に影響を与える事象です。マーケティングには人間のさまざまな心理的作用が活用されており、フレーミング効果もその一つです。この心理現象について詳しく理解することで、顧客に対して商品の訴求力を高められます。フレーミング効果が起こる原因や実証実験を紹介した上で、販売方法や宣伝方法における活用例を解説します。関連記事行動経済学を小売業に活かすには?目次フレーミング効果とは「フレーミング効果」とは表現の仕方が相手の選択行動に影...


ウィンザー効果:口コミで魅力的に

ウィンザー効果とは、直接顧客に訴えかけるよりも第三者を介した口コミや情報の方が信頼性が増す心理現象のことを指しています。

実際にマーケティングでも利用されており、評判の良い該当商品の口コミを第三者が発信することで、購入に結びつきやすくなるなどの効果が認められています。

TripAdvisorや主要OTAなど口コミが掲載されているレビューサイト、Google マップに旅館に対する宿泊者からの好意的な口コミがあれば、集客効果が期待できるでしょう。

ウィンザー効果とは?口コミから信頼の獲得へ・マーケティングへの活用法を紹介

ウィンザー効果は、直接利害関係のない第三者から得た情報を信頼しやすいという人間の性質から、評価対象とは無関係な場所から得られた情報が信頼されやすくなる効果を指します。昨今のマーケティング施策では欠かすことのできない口コミやレビューが、消費者に影響を与えていることの背景には、このウィンザー効果の存在があります。本記事では、ウィンザー効果の現象そのものや、マーケティング施策の例、ウィンザー効果をマーケティングに応用する際のポイントについて解説します。目次ウィンザー効果とはウィンザー効果の実例ウ...

旅館が知るべき行動経済学3. 接客

旅館における接客は、客室で顧客へ提供する有形無形のさまざまなサービスや、出迎えから見送りまでの館内での振る舞い、あるいは食事や娯楽の提供シーン。

顧客に満足してもらうための接待は、以下の3つのポイントに沿って応用していくと効果的です。

初頭効果とアンカリング効果:基準で印象をコントロール

初頭効果とは、最初に得た情報によって情報の価値判断に影響を受ける心の働きを指しています。

旅館で活用する場合には、初対面の印象を良くする工夫をすることを意識します。旅館では特に顧客が到着した瞬間の出迎えを意識して、印象アップを狙っていくとよいでしょう。

アンカリング効果に似た効果です。

アンカリング効果とは?意味やマーケティングへの活用事例を業種別に紹介

たとえば2万円の予算で掃除機の購入を考えていたときに、元値が4万円の掃除機が在庫処分のため2万8,000円で売られていたら予算をオーバーしているのにもかかわらず購入を検討してしまうことなどが挙げられます。 この場合、元値の4万円が基準となるため顧客にお得感を感じさせます。


ピークエンド効果:全体の印象を決めるタイミングを知る

ピークエンドの法則とは、ピークという言葉が示す通り最も感情が動いた時点と、一連の出来事が完了したエンドの記憶によって、全体についての印象が決定してしまう法則のことを指しています。

過去に経験した出来事がこの法則にしたがって印象付けられるため、この法則を逆手にとりピークとエンドを意識して接待することで、顧客が増える可能性が高くなります。

旅館ホテルであれば顧客を出迎えてから見送るまでの接客の中で、どこを印象付けたいかを設計したり検討したりすることで顧客満足度の向上につながります。

ピーク・エンドの法則とは?店舗の接客とどう関係?活用方法を解説

ピーク・エンドの法則は、心理学や行動経済学の分野で知られる人間の心理現象の一つで、事業者がファンやリピーターをつくる上で重要なヒントを有しています。ピーク・エンドの法則とは何かを理解すれば、顧客のサービス満足度向上や営業活動の成功率アップにつながります。本記事では、日常生活における具体例とともに、ピーク・エンドの法則の概要とマーケティングへの活用方法を詳しく解説します。目次ピーク・エンドの法則とはピーク・エンドの法則を証明する実験ピーク・エンドの法則は顧客満足度を高め、リピーターを増やすの...


返報性の原理:口コミの投稿などお返しをしてもらう

返報性の原理は、他人から何かしらの施しを受けたときに、お返しをしなければいけないという意識を持つ心理効果のことを指しています。

無料や、顧客の期待以上のおもてなしは顧客の心を動かします。たとえば宿泊者は、無料の上質なアメニティや、ウェルカムドリンクを提供された時に、無意識のうちに何かお礼をしなければと考えます。

良い口コミを書いてもらったり、良かったことを発信してもらいたいのならば、旅館はこのようなタイミングでお願いをすると実際に行動にうつしてもらえる可能性が高いでしょう。

返報性の原理とは ?お返しをしたくなる心理的法則/マーケティングに活用するポイントを紹介

返報性の原理とは、相手から何かを受け取った際、お返しをしないと申し訳ないと感じる心理的な法則を指します。この心理効果はビジネスシーンに幅広く活用されています。たとえば、スーパーの試食や化粧品店のテスター、ビジネス交渉など、損得を判断するシーンでよく見られます。他にも、自分が困っているときに友人に助けられたら、今度は自分が友人を助けたいという気持ちを持つようになったり、反対に、自分から親切で丁寧な対応をすれば、相手も同じように返してくれることも返報性の原理による効果といえます。本記事では、返...

行動経済学を知り、旅館により顧客が集まるサイクルを

顧客は限られた時間や予算の中で後悔しない選択肢をとるために慎重に行動を決断します。情報収集の段階でさまざまなメディアに触れていますが、その中でも顧客の本音が見える「口コミ」の影響力は絶大です。

行動経済学の理論は人間の考え方や無意識で従っているルールについて解き明かしています。旅館にとっては、顧客目線でサービスの印象を理解するのに役立ち、問題点の改善や、さらなる品質向上につなげるヒントとなるでしょう。

口コミラボ 最新版MEOまとめ【24年9月・10月版 Googleマップ・MEOまとめ】


MEOに関わるサービス「Googleマップ」「Googleビジネスプロフィール」や、各種地図アプリ・口コミサイトは日々更新を続けており、その全容を把握するのは難しくなっています。

そこで口コミラボでは、MEO・口コミマーケティングに役立つ最新ニュースをまとめた「Googleマップ・MEO最新情報まとめ」を毎月発行しています。

本記事では、主に2024年9月・10月の情報をまとめたレポートのダイジェストをお届けします。

※ここでの「MEO」とは、Google上の店舗・施設情報の露出回数を増やしたり、来店行動につなげたりすることで、Google経由の集客を最大化させる施策を指します。
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「ポリシー違反によるビジネスプロフィールの制限」が明文化 ほか【2024年9月・10月版 Googleマップ・MEOまとめ】

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    この記事の筆者

    口コミラボ編集部

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