夏休みシーズン真っ只中にありながら、都道府県をまたいだ移動の自粛が各地で呼びかけられ、宿泊業界への逆風が止みません。1年以上にわたる海外観光客の不在からも大きな影響を受けています。
観光業界では県内旅行や、ワクチン接種者を対象としたプランなどで誘客をはかっています。この記事では、2021年7月、8月の宿泊業界データを紹介します。
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ホテルや旅行会社の休廃業が過去最多ペース…ワクチン接種者限定ツアーなど引き続き展開中/宿泊業界動向まとめ【2021年7月】
<参照>
「“都道府県またぐ移動 中止か延期呼びかけを”知事会 国に提言|NHK
2021年1−7月の宿泊業倒産件数は49件、コロナ関連が過半数超(東京商工リサーチ調査)
東京商工リサーチは8月10日、2021年1−7月の宿泊業の倒産についてレポートを公開しています。
負債1,000万円以上の倒産件数は累計49件で、前年同期の79件と比べ37.9%減となりました。
その一方で、新型コロナ関連倒産が目立ち、件数は27件、構成比は過半数を超えています。月を追うごとにコロナ関連倒産の比率が高まっていることを伝えています。
倒産件数が抑制されている背景には、政府による資金繰り支援策が講じられていること、持続化給付金や雇用調整助成金などの各種支援が一時的な資金繰りに役立っていることがあります。
企業倒産件数自体は低水準である中、宿泊業倒産における新型コロナ関連倒産の比率の高さが目立ちます。「コロナ倒産」の割合は2021年5月から急激に高まっており、4月33%であったところ、5月は42%、6月は66%7月はコロナ始まって以降最高となる83.3%に達しました。
「県民割」等の施策により、県をまたいだ移動を抑制しながら収益を上げる道が模索されていますが、デルタ株の流行を理由に利用停止を決める自治体も見られるなど現状の効果は限定的であることがうかがえます。
<参照>
宿泊業の倒産は49件に減少、小・零細規模の息切れが目立つ(2021年1-7月) : 東京商工リサーチ
山口県、県民に外出半減要請 宿泊券は利用停止: 日本経済新聞
倒産のうち61.2%が小規模な事業者
従業員数別では5人未満が30件で最多となっており、倒産件数全体の61.2%を占めています。小規模な事業者がコロナでの市場沈下の打撃を大きく受けています。
地区別の倒産件数については、2地区で増加、5地区で減少、同数が2地区となっています。倒産件数が増加したのは北海道(1→3件)、関東(13→15件)です。
「ホテル・旅館」休廃業が6月100件超(帝国データバンク)
帝国データバンクは8月10日、2021年7月の全国企業倒産集計のデータを発表しています。
倒産件数は490 件で、7月としては過去最少を記録しました。前年同月の件数は847件であり、前年同期比42.1%減となります。
同社は企業の休廃業・解散の動向も報告しています。休廃業・解散は 1~6月の累計で 2万8,400 件であり、前年同期比4.6%減です。倒産件数推移と比べると昨年比較で状況が改善していないことがうかがえます。
休廃業は倒産と異なり、債務ではなく資産が超過している事業主が、自主的に事業停止を決定するものです。事業の将来性が見込めない場合にこうした決断をしていることが推察されます。
「ホテル・旅館」の休廃業の件数増加も顕著で、6月時点で100 件を超えました。これは過去5年で初めての記録です。旅行代理店を含めた旅行業の休廃業・解散は過去最多ペースとなっているといいます。
<参照>
2021年 7月報 | 株式会社 帝国データバンク[TDB]
2021年1-6月 全国企業「休廃業・解散」動向調査
まとめ
観光市場の回復が進まないなか、ホテルはワーケーションや、外部飲食店からデリバリーするルームサービスや、オンライン研修のための宿泊プランなど工夫をこらしています。移動に対し社会的、心理的に大きな制限がかかる中、宿泊施設にとって、周辺住民に対しサービスを訴求していくことは一つの解決策となるでしょう。情報発信の方法について見直し、選択し、取り組んでいくことが大切です。
日本旅行業協会の菊間会長は再就任の会見で、2021年4月5月の旅行業界の苦境を訴えました。ワクチン接種完了にともなう制限緩和の意見も示しています。
お盆シーズンの報道機関の取材では、旅行者の「ワクチンを接種したから(旅行を)決めた」という声が伝えられています。感染症拡大による社会的混乱は当然避けるべき事態ではあるものの、それを防ぎながら宿泊業界、観光業界の回復を目指す方策が求められています。
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