外出自粛の影響で飲食店や宿泊施設、娯楽施設などが軒並み苦境を強いられる中、他人との接触を避けつつ一人で店舗や施設を訪れる人、いわゆる「おひとり様」の消費行動が注目されています。
一方、どの業界・業種でも「おひとり様需要」を捉えられるのかというと、そうではないようです。
本記事では、Google 検索におけるトレンドの推移を見られるツール「Google トレンド」を利用し、「おひとり様需要」が業界や業種ごとにどのように推移しているのか、また2回目の緊急事態宣言前後でどう変わったのかを分析します。
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業界・業種ごとの「おひとり様需要」を分析
今回はGoogleトレンド(※)を利用し、「おひとり様需要」の推移を分析しました。
「〇〇(業種) 一人」で検索し、過去12か月の検索需要の推移をみています。
なお、Googleトレンドのデータは1月28日時点のものです。
※Googleトレンドは、Google検索のトレンドをチェックできるGoogle公式のサイトです。「調べる」機能では、あるキーワードの検索需要を調べたり、各キーワードの需要を同時に5つまで比較したりできます。正確な検索回数はわかりませんが、設定した期間のうち、もっとも検索された時期を100とした相対値が表示されます。
飲食:業種ごとに回復傾向異なる
飲食業では、業種ごとに回復傾向が異なりました。
「一人焼肉」が1月末に向けて需要を伸ばした一方、カフェやバー、居酒屋などの需要は回復していないようです。
カフェ、バー、居酒屋は2回目の緊急事態宣言後 減少傾向に
「カフェ 一人」の検索需要をみると、1回目の緊急事態宣言解除後は徐々に回復傾向にあったものの、2回目の緊急事態宣言後大きく減少していることがわかります。
また、「バー 一人」も9〜11月に検索需要を伸ばしましたが、その後減少しているようです。
「居酒屋 一人」は1回目の緊急事態宣言における落ち込みから回復して以降、一定の需要を獲得していますが、それでも「第3波」の報道があった11月末や、2回目の緊急事態宣言を機に減少傾向がみられます。
ラーメンは一定の需要獲得
一方、「ラーメン 一人」は一定の需要を獲得しているようです。
推移が激しくわかりづらいため、「居酒屋 一人」と比較してみましょう。
平時には「居酒屋 一人」の方が検索需要が大きいようですが、緊急事態宣言発令などによる落ち込みも大きくなっています。「ラーメン 一人」の方が、比較的安定した需要を持っているといえるでしょう。
「一人焼肉」、一大ブームの予感
では、最近流行している「一人焼肉」の需要も調べてみましょう。
点線部分は確定していないデータではありますが、「焼肉 一人」というキーワードは1月下旬に大きく検索需要を伸ばす見通しです。
さらに、「焼肉 一人」と「居酒屋 一人」を比較してみます。
すると、1回目の緊急事態宣言で2つの検索需要は一度近づきますが、その後「焼肉 一人」が大きく突き離していることがわかります。
焼肉店は煙の排気設備を備えており、店内の換気ができているイメージがあることから、2020年の後半頃に話題を集めました。居酒屋チェーンを展開するワタミの「焼肉和民」への転換、「焼肉ライク」などの一人焼肉チェーンの拡大もあり、今後一大ブームとなるかもしれません。
一方、居酒屋でも「一人飲み専用居酒屋」が登場(※)するなど、「おひとり様需要」を後押しする動きがあります。今後の回復につながるかが注目です。
※参考 時事通信:新しい生活様式への変化。『業界初』一人飲み専門居酒屋が新オープン
宿泊:GoToトラベルの影響大
宿泊業では、Go To Travelキャンペーンの開始・停止に合わせて検索需要も増減しています。
「ホテル 一人」で調べると、かなり顕著にその傾向がみえます。
また、「旅館 一人」も同様の傾向がみられます。
このようにGo To Travelキャンペーンは、宿泊需要の回復に大きな影響を及ぼしているといえます。
娯楽:カラオケは緊急事態宣言後も一定の需要。一方映画は戻らず
では、娯楽需要はどうでしょうか。「カラオケ 一人」で調べると、緊急事態宣言後も大きな減少はみられません。
「ヒトカラ(一人で楽しむカラオケのこと)」は、非接触で楽しめる娯楽として根強い人気を持っているようです。
一方「映画 一人」は、緊急事態宣言を受けて「映画館はどうなる?」といった報道が相次いだためか検索需要もいったん増加していますが、その後大きく減少しています。
2020年には「鬼滅の刃」ブームもあった映画業界ですが、「おひとり様需要」による回復はなかなか難しい部分もあるようです。
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