7月23日から開催されている東京オリンピックをめぐり、開催に対しネガティブだったメディアがいざオリンピックが始まるとポジティブな姿勢に変わったと指摘する声がSNS上で上がっています。
このようなオリンピックに対する姿勢の変化は「手のひら返し」と呼ばれ、一時SNS上でトレンド入りするなど話題となっています。
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メディアの「手のひら返し」が話題に
SNS上で話題となっている「手のひら返し」とは、オリンピック開催に批判的だったメディアなどが、オリンピック開始後はその熱狂ぶりを報道するという姿勢を指したものです。
東京オリンピックではオリンピック序盤から日本人選手のメダル獲得が相次いだこともあり、オリンピック反対の報道からメダルラッシュの報道へすぐに切り変わったことに違和感をおぼえるSNSユーザーもいるようです。
SNS上でもオリンピック開会式以降、投稿のポジティブ率が急上昇
オリンピック開始以降のポジティブな声は、メディアだけでなくSNSの一般ユーザーの間でも増加しています。
Yahoo!リアルタイム検索では、あるキーワードをツイートした数とその推移、さらに感情の割合(ポジティブ、ネガティブな反応がそれぞれ何割か)を調べられます。
この機能を用いて「オリンピック」と検索すると、東京オリンピック開催直前の7月19日~22日に対し、開催中の7月23日~26日の期間に投稿数と「ポジティブ」の割合が急上昇しています。
以下が開会式直前(7月19日~22日)のデータです。
対して、以下が開会式以降(7月23日~26日)のデータです。
ツイート数は約46万件から約150万件以上に急増し、ポジティブ率は32%から56%へと上昇していることがわかります。
ネガティブなツイート・ポジティブなツイートをしていたユーザーの投稿頻度や内容をランダムに分析してみたところ、オリンピックに対しネガティブなツイートをしていたユーザーは普段から1日に何度もツイートするなど比較的投稿頻度が高く、同じくネガティブな意見を持つユーザーから多数リツイートされ注目を集める状況も数多くみられます。また、オリンピック開会式以降も「手放しでは喜べない」といった趣旨のネガティブなツイートは続いているようです。
一方オリンピックを楽しむユーザーの中には、注目する試合の時やメダル獲得のタイミングのみ反応し、普段は投稿の頻度がそれほど高くないライトユーザーも多く存在するように見受けられました。
これはあくまで傾向であるものの、Twitter上でオリンピックに対しネガティブであったユーザーが「手のひら返し」したという例は比較的まれなもので、オリンピックを楽しみにしていたユーザーやこれまでオリンピックに対し無関心だったユーザーが、オリンピック開催を機に投稿を始めたものと考えられます。
オリンピックを楽しみにしていた・もしくはこれまで無関心だった「サイレントマジョリティ」の存在
オリンピックに関するポジティブな反応が増えた背景には、「ノイジーマイノリティ(声高な少数派)」と対をなす、「サイレントマジョリティ」という概念に注目する必要があります。
「サイレントマジョリティ」は日本語で"静かな多数派"という意味で、積極的な発言はしないため目立たないものの、実際には多数派を占める人々のことを指します。
今回のオリンピックでは、オリンピックに対しネガティブなツイートをしている人のツイートが目立ったことでそれが多数派であるかのようにみえましたが、実際はオリンピックを楽しみにしていた人、特に意見がなく無関心だった人が多数を占めていたのかもしれません。
口コミ分析においてはノイジーマイノリティ・サイレントマジョリティの考慮が必要
オリンピックに対するSNS上の反応の事例からもわかるように、すべての口コミが大多数の意見とは限りません。SNS等を用いた口コミ分析においては、ノイジーマイノリティ・サイレントマジョリティの考慮が必要です。
たとえば今回、仮に一部の批判的な意見を聞いてオリンピックを中止にしていたら、開催後に見えてきたサイレントマジョリティの声を見逃すことになったでしょう。
同様に、飲食店であればメニューの考案や廃止、店舗全般であればオペレーション改善といった重要な事柄について口コミをもとに判断する場合、ノイジーマイノリティの意見を取り入れてしまうと、大多数の「サイレントマジョリティ」にとって受け入れられない変更となってしまうおそれもあります。ノイジーマイノリティに振り回されず、適切な判断を下せるようにすることが重要です。
あなたが聞こうとしているのは、「多数派に聞こえる声」でしょうか。それとも「真の多数派の声」でしょうか。
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