飲食店用語の「ポーション」とは、基本は料理の分量を指す言葉ですが、状況や解釈によって使い方や意味が分かれる場合があります。
この記事では、ポーションという言葉の意味と、それぞれの状況における意味、そして飲食店でのポーションの重要性について解説します。
ポーションとは
ポーションの意味
ポーションという言葉の意味合いは多様で、使われる場所により異なる場合があります。
まずここでは、言葉の基本的な定義から解説します。
portionとpotionの2種類がある
まず理解が必要なのは、飲食業界における「ポーション」とは「portion」と「potion」というふたつの英単語に由来する言葉だということです。
「portion」は、名詞では「(あるものの切り離された)一部分」や「割り当て」「一人前」という意味で、また動詞では後ろに目的語をとって「〜を分割する」という意味です。
いっぽう「r」がない「potion」は水薬を指す言葉で、また薬の一回の服用量を指すこともある単語です。
日本ではこれらの意味を持つ言葉が「ポーション」というカタカナ語で同様に発音されていくうちに、和製英語としての「ポーション」の用法が決まっていったという背景があります。
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飲食店の盛り付けにかかわるポーション
ポーションという言葉は、飲食業全般では盛り付けに関わる用語として使われます。まず、飲食業全般におけるポーションの用法について説明します。
料理の分量という意味のポーション
飲食関係で使われる「ポーション」は、提供する料理やメニューの分量の意味です。特に、各メニューごとに一人前分として設定された材料の分量や数量を指す際に使われます。
店舗内での調理オペレーションの管理のためにも使われ、レシピやマニュアルに登場することもあります。飲食店を経営していく上で、調理や盛り付けの際、決められたポーションを厳守することは管理の基本です。
また、まれに高級レストランやビストロなどの宣伝文句として「ポーション多め」という表現が見られることがあります。これは一人分の分量が少ないイメージの強い高級レストランでも、一人前分を多めに提供していることをアピールしています。
オーバーポーションとアンダーポーションとは?/基準からずれないことが大切
調理の際決められたポーションより多く材料を使ったり、盛り付けたりしてしまうことを「オーバーポーション」、逆に少なくしてしまうことを「アンダーポーション」と呼びます。
オーバーポーションは利益率の低下を招くだけでなく、通常のポーションで食事を提供された客との差異から生まれる不公平感などの問題を招きます。
一方で、アンダーポーションも同じ様な不公平感を客に与えることや、そもそも量が少ないことによる顧客満足感の低下などを招く恐れがあります。
ポーションに明確な基準がなければ、必要以上に使いすぎてしまったり、品質の偏りを引き起こすことにつながってしまうため、明確かつ継続的な管理が必要です。
ポーションを決めておくことのメリット
ポーションをしっかりと決め、管理することは多くのメリットをもたらします。
まず、オーバーポーションによる食品ロスを防ぐことが挙げられます。設定された量をきっちりを守ることで、使途不明なイールドロスを防止することにつながります。
また、料理の見た目や味を統一でき、安定した食事を提供できるようになります。分量だけでなく味や料理の外観が安定して提供できることは店舗への信用につながり、リピート率の促進に貢献します。
ポーションを管理するときのポイント
ポーションを管理するには数字を明確にすることが大事です。
「適量」のような曖昧な基準ではなく「100g」「200ml」のように数字を決めたり、「大さじ1杯」のように定量的な基準を示す必要があります。また、その基準をスタッフ内できちんと共有することも重要です。
コーヒーに関係するポーション
ポーションという言葉はコーヒーを取り扱うときにも登場します。この場合、ポーションは分量ではなく、ミルクやコーヒーを意味します。
小分けのケースという意味のポーション
コーヒーを扱う際のポーションとは、「小分けされた一回分の材料」という意味です。
小分けされたミルクやスティックシュガーなどは、全てあらかじめ規定された一杯分がまとめてあるものと捉えることができます。これらは全てポーションです。
また、スティック上のコーヒーや後述のコーヒーポーションなど、コーヒー自体のもとになる材料の小分けもポーションと言うことができます。
たとえば「明日の分のミルクポーションが足りない」と言うとき、それは店内で販売しているコーヒーに付けるミルクの小分けが想定される分の準備できていないことを指す、ということになります。
ミルクポーションとは
ミルクポーションとは、コーヒーに付属するミルクの小分けのことです。
飲食店ではミルク用のジャグ(小瓶)に入れて提供されることもあれば、プラスチック容器の形で提供されることもあります。
俗に言うコーヒーミルクのような使い切りの容器に入ったものを「ポーションミルク」と言うこともあります。
コーヒーポーションとは
コーヒーポーションとは、コーヒー一杯分を濃縮した液体のことで、一般的にはポーションミルクと似た形の一回り大きな容器に入っています。
コーヒーポーションをお湯、ミルクなどで割るだけでコーヒー飲料ができます。
水で割ることもできるので、アレンジも簡単に行えます。インスタントコーヒーやドリップコーヒーよりもさらに手軽にコーヒーを作ることができるのが特徴です。
飲食店で使うだけでもさまざまな意味があるため状況に応じた使い分けを
飲食業におけるポーションはここまで見てきたように、コーヒー一杯分に必要なミルクの量であったり、一人前の分量であったり、多様な意味を含むものです。
スタッフ同士でポーションという単語を扱う際には、どのような意味で使われているのかを明確にしておくことが重要です。スタッフ間で言葉の解釈に齟齬があった場合、行き違いが生じて円滑なコミュケーションが妨げられてしまいます。
さらに、ポーションをきちんと設定しておくことで、安定した商品の提供が可能になります。スタッフ間で共有し、商品の質の維持に努めることで顧客の満足度向上にもつながるでしょう。